カテゴリー「世間/世界/社会/会社」の40件の記事

2009年10月12日 (月)

アメリカ合衆国市警察のロゴ

先程 (2009/10/12 01:10:40)、キーフレーズ [合衆国市警察ロゴ] で画像検索 (google) されていて、このサイトを訪問された方がいらしたようだ。

若干興味が引かれて、キーフレーズ ["united states" police department logo city] で google 検索すると、その結果のトップが [Best Brands of the World] と云うサイトの [City of Philadelphia Police Department logo] と云うページだったんだが、これは「ジョーク」作品だろうな。記章の中のモットーが "COFFEE", "DONUTS, "CORRUPTION" (「コーヒー」、「ドーナッツ」、「腐敗」)と、当て擦りめいた文言になっているのだ。

ここは、地道に、英文版ウィキペディアのカテゴリページ [Category:Municipal police departments of the United States] をベースにして、アメリカ合衆国地方自治体警察の各記事をブラウズし、そこに「ロゴ」が掲載されているかチェックした方が確度が高いような気がする。

因みに、英文版ウィキペディアのフィラデルフィア市警察の記事 ([Philadelphia Police Department (Pennsylvania)]) によるなら、その記章に書かれているモットーは "HONOR", "SERVICE", "INTEGRITY" (「道義」、「奉仕」、「廉潔」と謂ったところか)。

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2009年2月 7日 (土)

今日は初午。練馬区高松の地口行灯

東京都練馬区高松に、所謂「激安スーパー」である [業務スーパー練馬店] (東京都練馬区高松3-21-18) があって、時時買い物をする。だから、その敷地の中に、恐らく以前はそこに大きな屋敷 (農家) があっただろう名残と思われる稲荷祠があることには気が付いていた。

いま google map のストリートビューで確認してみたら、看板や木が邪魔をして屋代そのものは見えづらいのだが、鳥居ぐらいは見ることができた (航空写真では、屋代の赤い屋根が見える)。

その [業務スーパー] に、たまたま昨日今日 (2009年2月5日・6日) と行く用事があったのだが、その「お稲荷さん」に地口行灯が五・六灯飾ってあったのだな。「ああ。そう言えば、もう初午なんだな」と思ってしまった。調べてみたら今日 (「こんにち」と読んでいただきたい) 2月6日が初午だった。

しかし、顧みてみると、初午に地口行灯が飾ってあるのを実見したのは初めてかもしれない。子どものころ見たことがあるかもしれないのだが、だとすると、忘れてしまっている (そう言えば、去年だったか一昨年だったか、板橋の下頭橋の豊敬稲荷だったかの前を初午の日に通りかかったら、太鼓が柵柱に吊り下げてあって、誰でも叩けるようにしてあったのを見た記憶があるが、その時にも地口行灯はなかったようだ)。

勿論、地口行灯そのものは、北千住の商店街や浅草寺門前の伝法院通りで見かけたことがあるのだが、あれは観光用であって常時掲げられており、初午とは関係ない。

今日見た地口行灯で私が読み取れたものはたった二つで、曰わく「小狐三本桜」と「狐道成寺」だけだった。まぁ「義経千本桜」と「娘道成寺」ぐらいなら私でも知っていると云うだけのことなのだが、そのほかも全て「狐」で通しているらしかった。かってそう云う風習があったのだろうか。浅学にして、その有無を承知しないのが残念である。

原稿を書いているうちに日付が変わってしまったが、このまま投稿することにする。

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2009年1月 8日 (木)

日本語版ウィキペディアの「サニャック効果」に対する誤った解説について。付けたし:欧州宇宙機関の HYPER プロジェクト

日本語版ウィキペディアの [サニャック効果 (最終更新 2008年12月10日 (水) 12:32)] の冒頭はこう始まっている。



サニャック効果( - こうか、Sagnac effect)は光に関する物理現象の一つで、特殊相対性理論で説明される現象によって、光路中を進む光の速度がその光路の運動に関係なく一定である為に、光路の運動によって光路の長さが変わったかのように見える現象である。
--サニャック効果 (最終更新 2008年12月10日 (水) 12:32)

しかし、この文章は物理学上、殆ど意味をなさない。僅かに、意味があるとしたら、相対論に就いての初歩的な勘違いの見本に使えるかもしれないと云ったぐらいだろう。

これが、実質的に一人の著作になるものなのか、あるいは「多くの船頭」がいたのかを確かめるほどの茶人では私はないし、また分かったとしても、他人様の頭の上の蝿を追う趣味はないので、以下は、誰彼の責任を追及するものでは全くないことを断わったうえで、話を続けていく。

この文章中の「光路」が如何なる意味で使われているのかが、まず問題になる。相対論で、時空中を自由な光が進む軌跡は所謂「ゼロ測地線/zero geodesic」(或いは「ヌル測地線/null geodesic」) になる。しかし、「光路の運動」と云う表現が物理的意味を持つには、「光路」がゼロ測地線そのものであることは難しいだろう。勿論、ゼロ測地線とは別のものである可能性もない訳ではないが、しかし「光の速度が...一定」であると言っている以上、ゼロ測地線の「空間」(「時空」の「空」部分) への投影を、時間をパラメータとして表現していると推定するのが最も妥当と言うべきだろう。勿論、これは「時空多様体」に「時間軸」を含む大域的な座標軸が存在している場合の話だが、「サニャック効果」が主題となる文脈では、この条件は満たされていると考えて良いだろう。

つまり、「光路の運動」とは、ゼロ測地線が載っている座標系が、観測者が載っている座標系に対して運動していると云うことを言いたいのだと考えることができる。

これを念頭に置いて、改めて、ウィキペディアの文章を読むと、「特殊相対性理論で説明される現象によって、光路中を進む光の速度がその光路の運動に関係なく一定である」となっていて、これだけで、この文章は「アウト」なのだ。

特殊相対論が言っているのは、異なる慣性系が互いに等速直線運動をしているなら (まぁ、一方の慣性系から見て、他方の慣性系が等速直線運動をしているなら、自動的に、その逆がなりたっているのだが...) 、真空中を進む同一の光の速度を、どちらの慣性系の時間と空間距離を以って測っても同一になると云うことだけである。

しかし、特殊相対論では、基本的には、それ以上のことは言えない。

一般の時空多様体は、ミンコフスキー空間 (つまり慣性系) を貼り合わせた構造を持つので、局所的には、慣性系になっている。従って、観測者が載っている局所座標系を取り敢えずは慣性系と見なすことは可能である (そして、それに載っている観測者自身に対しては静止している。以下、こうした座標系を「静止座標系」と呼ぶことにする)。しかし、静止座標系を作るのと同一の手続きで、真空中の光をゼロ測地線として載せいてる別の座標系を、静止座標系に対して等速直線運動をする慣性系にすることは一般には不可能である。そして、大雑把な言い方では、(サニャック効果に沿った例を挙げると) 静止座標系に対して回転運動する座標系に載っているゼロ測地線としての光の速度を静止座標系に乗っている観測者が測ると、一般には (具体的には、例えば、空間中、回転の接線方向に光が進んでいる場合など)、特殊相対論の謂う「真空中の光速 c」にはならない。

ここで「権威」を持ち出して議論の補強ような愚劣なことをする積もりはないが、それでも一般相対論の優れた解説者の言葉を引用しておくのも無駄ではないだろう。

重力場が存在すると、その自然な「光路」が屈曲することから得られる結論を論じて、アインシュタインは、次のように説明する:

In the second place our result shows that, according to the general theory of relativity, the law of the constancy of the velocity of light in vacuo, which constitutes one of the two fundamental assumptions in the special theory of relativity and to which we have already frequently referred, cannot claim any unlimited validity. A curvature of rays of light can only take place when the velocity of propagation of light varies with position. Now we might think that as a consequence of this, the special theory of relativity and with it the whole theory of relativity would be laid in the dust. But in reality this is not the case. We can only conclude that the special theory of relativity cannot claim an unlimited domain of validity ; its results hold only so long as we are able to disregard the influences of gravitational fields on the phenomena (e.g. of light).
--Albert Einstein. "Relativity: The Special and General Theory" (1920) Part II. Section 22. "A Few Inferences from the General Theory of Relativity" - Wikisource

この結論の2つめ重要な点としては、一般相対論に従うなら、特殊相対論の2つの基本的仮定の一方をなし、本書でしばしば言及されてきた真空中の光速度一定の法則が、無制限な妥当性を主張できなくなると云うことである。光線が屈曲すると云うことは、光の伝搬速度が場所によって変化しなければ起こりえない。この結果、特殊相対論と、相対論に関わる全ての理論が一敗地に塗れると云う風に考えることになるのだろうかと云うなら、事実はそうではない。これは、特殊相対論が妥当性を主張できる範囲は無制限ではなく、その結論は、(例えば、光の) 現象への重力場の影響が無視できる限りにおいてのみ成立すると云うだけのことなのであると言える。
--アルベルト・アインシュタイン「相対論:特殊と一般」(1920年)。第2部第22章「一般相対性原理からの幾つかの結論」

ただし、ドイツ語原書 "Über die spezielle und die allgemeine Relativitätstheorie" が出版されたのは 1916 年らしい。

一応補足しておくと、「光速度不変の法則」が成立しなくなるのは、静止座標系から加速度系を観測する場合であって、ゼロ測地線としての「光路」が載っている座標系自身において (つまり、その固有時間で) 光の速度を測るなら、その座標系が静止座標系に対して如何なる運動をしていようとも、所謂「真空中の光速度」になる。これはつまり、ゼロ測地線が座標変換してもゼロ測地線に移ると云うことである。さらに言うなら、このことは、物理法則が座標変換に対して共変的であらねばならないと云う、一般相対論の要請に従っている。つまり、「光速度不変の原理」と行ったものがあるなら、特殊相対論より一般相対論の方に馴染んでいるのだ。

これは、上記引用したアインシュタインの言葉尻とは一見異なるが、「光速度不変の原理が破れる」と云うのは、一般相対論が登場したばかりの当時 (例えば "Die Grundlage der allgemeinen Relativitätstheorie" の発表は1916年) として、啓蒙書において特殊相対論側から見た言い方をしたまでのことで、一般相対論側から表現すれば、固有時間で計った光速度は常に一定である。

これに対し、GPS により一般相対論が生活の中に入り込んでいる現在にあっては、メートル法自体が、距離の定義を一般相対論による「光速度不変の法則」に基づくようになっている。つまり、現在の国際単位系 (SI -- フランス語 "Le Système International d'unités" の略) では、長さの基本単位 1メートルを、光が真空中を 1/299,792,458 秒間に進む距離として定義されている (1983年) のは (第2.1.1.1項。Le Système international d’unités" 第8版 2006年 p.22 (仏文) p.112 (英文) 参照)、たとえ加速度系中で測定したとしても、「固有時間」の厳密性が精度良く担保される限り、その「固有時間」で測定した光速度は不変であることを踏まえているのだ。これに対応して「国際度量衡委員会 (CIPM -- フランス語 "Comité international des poids et mesures" の略。英語では "International Committee for Weights and Measures)")」の2002年の勧告では、一般相対論を考慮して、実際にメートル単位を構成する場合には、光路の長さを、固有時間の進み方に影響を与える重力ポテンシャルの不均一性が発生しないような短さに留めるよう求めている (国際度量衡局 [BIPM -- フランス語 "Bureau International des Poids et Mesures" の略] "Le Système international d’unités" 第8版 2006年 付録1. p.78 (仏文) 及び p.167 (英文) 参照)。

日本語版ウィキペディアの記載にとって皮肉なことに、「光路中を進む光の速度がその光路の運動に関係なく一定である」と云う表現に、幾らかでも物理的な意味を付与しようとするなら、それは、特殊相対論では不可能で、一般相対論によらねばならないのだ。


サニャック効果自体に就いても少し書いておこう (ただし、以下の内容は、このブログで既に書いてあることも多い)。

サニャック効果を論ずる場合は、空間中の光の伝搬速度としての「光の速度」と、時空の構造定数としての「(真空中の)光の速度」とを分けて考える必要がある。サニャック効果の成立にとり、空間中の光の伝搬速度は、本質的な重要性は持たない。

だから、光ファイバー中を、「(真空中の)光の速度」の速度をかなり下まわる伝搬速度で進んでも (勿論、表式中には光ファイバの屈折率が現れるが) 成立する。

また、「光路」がゼロ測地線である必要もない。サニャック効果に関わるのは、空間中の単純な径路である。サニャック効果の「説明」にしばしば使われる円周はゼロ測地線 (の「空間」への投影) ではないから安易に「光速度の不変性」を云々してはならないのだが、その事実とは無関係にサニャック効果は成立する。

それどころか、伝搬するのが光である必要さえない。これは「サニャック効果の普遍性」として知られている。実際問題として、サニャック効果を検出するには、時間差を高精度で測定する必要がある訣だが、光の場合は、光干渉計を用いることで、位相差として現れるサニャック効果の検出が容易になるため、歴史上最初に光に就いて発見されただけである。

しかし現在では、例えば、電子のクーパー対、電子、中性子、原子 (カルシウム、セシウム、ルビジウム) の物質波でのサニャック効果が確認されている。特に、サニャック効果による原子物質波の位相干渉を用いる回転角速度検出は、光を用いる場合より精度が格段に高くなることが期待されるために研究が進められている。

例えば ESA/ESTEC ("European Space Agency"/"European Space Research and Technology Centre" 欧州宇宙機関/欧州宇宙技術センター) で、宇宙空間において、地球の自転による Lense-Thirring effect の測定と、併せて、微細構造定数 の高精度測定を行なうべく推進されている HYPER プロジェクトでは、冷却原子の物質波のサニャック干渉を用いた装置 (Atomic Sagnac Interferometer--ASI--) 2基を観測衛星に搭載することが計画されている ("HYPER: A POTENTIAL ESA FLEXI-MISSION IN THE FUNDAMENTAL PHYSICS DOMAIN")。


サニャック効果は、静止座標系に対して、等速回転運動している座標系内部では大域的な同時性が成立せず (これは、同時性を表わす微分形式が完全積分可能ではないと云うことでありフロベニウスの定理/Frobinius' theorem に関わる)、空間中異なる位置にある2事象の同時性が、その2事象を結ぶ径路に依存することに起因する。この2事象の離間が無限小である場合には、その同時性のズレは線素から容易に求まるが、線素には時空の構造定数としての「(真空中の)光の速度」が入っているから、それに応じてサニャック効果の表式にも「(真空中の)光の速度」(「(真空中の)光の速度」を 1 とした場合は、見かけ上出てこないが、それは別の話だ) が現れる。しかし、これは、例えば光ファイバの中を光がどれだけの速度で伝搬するかとは独立している。一般の2事象の場合の同時性のズレは、無限小離間における同時性のズレを線積分すれば得られるわけだが、これは線積分をどの径路に従って行なうかで変化する。この時、特に、回転軸に対して径路の進む向きが重要となるが、これはサニャック効果を引き起こすコリオリ力ポテンシャルがベクトルポテンシャルであるためである。

こうしたことを踏まえるなら、「光路の長さ」を「光の速度」で割って求めた「時間」からサニャック効果を説明する仕方は、その基礎とする理論が何であったとしても、私は首を傾げざるを得ない。現在のメートル法がそうであるように、「長さ/距離」が「(固有) 時間」から求められるべきものであって、その逆ではないからだ。

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2008年6月10日 (火)

[be minded + to 不定詞] に就いて: 我那覇問題仲裁判断翻訳に関連して

[nouse: 我那覇和樹対日本プロフェッショナルフットボールリーグ仲裁判断 (CAS 2008/A/1452) 結論部訳文] (2008年5月30日 [金]) での「訳註」に補足しておく。

[be minded + to 不定詞] は「[to 不定詞] したい」、「[to 不定詞] する意向である」と云う意味であることは、[nouse: 我那覇和樹対日本プロフェッショナルフットボールリーグ仲裁判断 (CAS 2008/A/1452) 結論部訳文] であることは「訳註」で書いた通りだが、その根拠を明示しておかなかったことが気になりだしたためである。

実際、例えば、私が現在事実上常用しているたった一つの英和辞典である「小学館プログレッシブ英和中辞典第3版」(現在「第4版」になっているが、これに就いては未確認)では、形容詞 "minded" の語義 (p.1203) としては「通例複合語」と云うラベルのもとに「1.<人が>...の心[気質]をもった」と「2.<人が>...に興味[関心]をいだいている」と云う語義しか与えられていなかったりしているのである。

勿論、こうした例ばかりではなく、研究社の「新編英和活用大辞典」では "minded" の項 (p.1576) に 「He would help us if he were minded to do so. 彼にその気があるなら私たちを助けてくれるだろうに」と云う文例を掲げている。

しかし、「特殊辞典」でなくても、一般的な英語辞典に目を向けるなら

Concise Oxford Dictionary (1999) 10th ed. p.906
mind
5. (be minded) be inclined to do a particular thing.

Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners (2001) 3rd ed. p.981
minded
If someone is minded to do something, they want or intend to do it. [FORMAL]
The Home Office said at that time that it was minded to reject his application for political asylum...
If the Americans were so minded then they could take sanctions against them.

Concise Oxford Dictionary (COD) の語釈は "be minded" の形では「ある具体的な何かをするつもりである」と云うことだし、COBUILD の方は「誰かが何かを "(is) minded to do" とは、その何かをすることを欲する又はするつもりであるということである」と云う意味である。ちなみに COBUILD の2つの例文を訳すと「当事内務省は、彼の政治亡命申請を拒否する意向であると表明していた」と「もしアメリカ側にそう云う積もりがあるというのだったとしたら、それに対する制裁を受けることになりもしようが」となる。

なお、COD も COBUILD も手元にあったもので調べたのだが、現在 COD は第11版、COBUILD は第5版の筈。


ではオンライン辞典ではどうか。

"Online Dictionary, Encyclopedia and Thesaurus. Free access." で "minded" を調べると:

minded
adj.
1. Disposed; inclined: I am not minded to answer any of your questions.

この語釈も「...したい」と云うことであるし、また例文を訳すなら「私は、君の質問には一切答える積もりはない」となる。


聖書からも引用できる。

Then Joseph her husband, being a just man, and not willing to make her a public example, was minded to put her away privily.
--Matthew 1:19 (King James Version)

これは、婚約中のマリアが、自分と関りなく妊娠したことを知ったヨセフが密かに彼女を離縁「しようと思った」と言う箇所である。「新共同訳」及び「文語訳」では、それぞれ次のようになっている。

夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにすることを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。
--新共同訳「マタイによる福音書」第1章第19節

夫ヨセフは正しき人にて之を公然(おほやけ)にするを好まず、私(ひそか)に離縁せんと思ふ。
--文語訳「マタイ傅」第1章第19節


まぁ、これくらいでいいだろう。

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2008年5月30日 (金)

我那覇和樹対日本プロフェッショナルフットボールリーグ仲裁判断 (CAS 2008/A/1452) 結論部訳文

以下は 2008年5月27日(スイス・ローザンヌ) に Court of Arbitration for Sport が申立人我那覇和樹と被申立人日本プロフェッショナルフットボールリーグ (Jリーグ) との間の仲裁事件に対して下した仲裁判断 (CAS 2008/A/1452) の結論部分とその和訳文である。

46. As mentioned above, whilst the opinion of the treating doctor carries much weight it is not conclusive of this issue. Nor is it conclusive to say that that opinion has the support of another medical expert such as Dr. Onishi. We note that contrary opinions have been expressed by Dr. Aoki and Dr. Lefor. Had the alleged offense occurred in 2008 Dr. Goto and Mr. Ganaha would be required to seek a retroactive approval of a therapeutic use exemption from a body of independent medical experts who would conduct a medical re-assessment of the treatment.
46. 上述の如く、担当医の意見は大変重要だとは言え、本件にとり決定的なものではない。この意見を大西医師のような別の医療専門家が支持していると云うことも決定的ではない。当仲裁廷は、青木医師やレフォー医師は反対の意見を述べたということも留意しているのである。本事案が2008年に発生したものであったのなら、後藤医師及び我那覇氏は、治療行為に就いて医学的な再査定を行なう独立した医療専門組織から、治療上の使用と云う例外にあたることに遡及的な同意を得る必要があったであろう。

47. Whilst the Panel might be minded to accept that in all the particular circumstances of this case, the intravenous infusion was a legitimate medical treatment for Mr. Ganaha within the meaning of the 2007 WADA Code the Panel notes that at the time the J League had not adapted those provision of the WADA Code which related to sanctions.
47. 本仲裁廷は、本件の個別的な事情全体に鑑みて、2007年反ドーピング機関 (WADA) 規定に照らすなら、この静脈注射は、我那覇氏への正当な医療措置であったと認めらめるものなら認めたいのであるが、本仲裁廷は、当時、 Jリーグは、反ドーピング機関規定の制裁に関する該当条件を採用していなかったことにも留意するのである。

[[訳註:"be minded + to 不定詞" は「[to 不定詞] したい」、「[to 不定詞] する意向である」と云う意味だが (補足参考:[nouse: [be minded + to 不定詞] に就いて: 我那覇問題仲裁判断翻訳に関連して] 2008年6月10日[火])、その前に "might" が付いているので、「(本来ならば) [to 不定詞] したいのだが・・・」と云う含みのある表現になる。この文の場合は、さらに後に続く文により「(本来)認められるものなら認めたいのだが(それができない)」と云う含意になる。「正当な医療措置」であることを認めたくても、その根據になる反ドーピング機関規定の該当条件をJリーグが採用していなかったからである。]]

48. The Anti-Doping Regulations of the J League which were in force at the time of the infusion and which were reproduced as Exhibit 2.2 in the proceedings, provide that the Anti-Doping Special Committee under Article 5.1, "shall be entitled ... to impose sanctions upon players ..." (underlining added by the Panel). Article 5.2 then gives examples of the types of sanctions which are referred to. The Panel has considered the proper construction of the regulation and notes that under the wording of the clause, the Committee is "entitled" to impose a sanction. There is no obligation or requirement to impose a penalty. There is an entitlement to impose a penalty but there is no mandatory obligation that a penalty be imposed for every infraction. In the present case after a careful evaluation of the evidence and the competing submissions of the parties and hearing the witnesses, the Panel has reached the conclusion that there is no need to decide if there has been a violation because the Panel is satisfied that it is not a case where any sanction should be imposed on Mr. Ganaha. His conduct is not deserving of any sanction. The phrase used in the applicable section of WADA Code was unclear and the provision has since been revised. The explanation given by Dr. Aoki at the meeting in January 2007 was not sufficiently clear. The J League had not taken adequate action to specify the detailed conditions, both substantial and procedural, to determine what is legitimate medical treatment. There was, and still is, on the evidence divided medical views on the necessity for an intravenous infusion in the circumstances of this case. Mr. Ganaha had no capacity to evaluate the professional judgment of the treating medical practitioner. Mr. Ganaha had no ability to check the medical recording and reporting by the treating medical practitioner. If the medical recording and reporting had been more complete and not deficient in the respects asserted by Dr. Aoki, Mr. Ganaha may not have been charged with an infraction of the J League Anti-Doping Regulations. The Panel is of the view that Mr. Ganaha's conduct is not deserving of any sanction and the Panel does not need to reach a conclusion on whether Mr. Ganaha an anti-doping violation by using or applying a prohibited method or not. Even if the Panel were to reach a conclusion that Mr. Ganaha had committed an anti-doping violation by using a prohibited method he should not be sanctioned as he bears no fault. After considering the unique facts and circumstances of this case, the Panel has reached the conclusion that Mr. Ganaha acted totally without fault. The Appeal is upheld and the decision with respect to Mr. Ganaha is set aside and relief requested by Appellant is hereby granted.
48. 本件注射時に効力があり、証拠物件2.2として本件記録書類中に収録されているJリーグの反ドーピング規則は、第5条第1項で、反ドーピング専門委員会は「選手に対して制裁を課する権限を有するものとする」(下線は、当仲裁廷による付加) と規定している。次いで第5条第2項では、相当する制裁の種類の例が示されている。当仲裁廷は、「規則」の本来的な構成を検討した結果、この条項の文言によるなら、「委員会」は制裁を課する「権限を有する」ものであることに留意する。制裁金を課する義務又は必要性は記されていない。制裁金を課する権限は存在するわけだが、全ての違反に対し制裁金を課する職務上の義務は存在しない。本件の場合、証拠及び両当事者の係争意見を注意深く検証し、証人への訊問を行なった結果、本件にあっては、我那覇氏には如何なる制裁も課されるべきものではないことを、本仲裁廷が確信する以上、本仲裁廷は違反が存在したのかを判定する必要はないとの結論に達した。我那覇氏の行動は、如何なる制裁にも相当しない。反ドーピング機関 (WADA) 規定の該当部分で用いられていた表現は不明確であったため、条文は改訂されたのだった。2007年1月での会議において青木医師が行なった説明は、十分に明確ではなかった。Jリーグは、正当な医療行為が如何なるものかを決定するための内容上・手続上双方における詳細な条件を規定する適切な行動を取らなかった。当時、そして現在でもなお、本件の状況下において静脈内注射を行なう必要性に対する医学的な見解は、証拠上分かれている。我那覇氏には、医療措置実施者の専門的判断を評価する能力はなかった。我那覇氏には、医療措置実施者による治療記録作成及び報告をチェックすることは不可能であった。もし治療記録及び報告が、より完備したものであって、青木医師が主張した点において不備がなかったなら、我那覇氏は、Jリーグ反ドーピング規則違反に問われることはなかったかもしれない。本仲裁廷の見解では、我那覇氏の行動は如何なる制裁にも値するものではなく、我那覇氏が禁止されている方法を利用又は適用することで反ドーピング規則違反を犯したか否かに就いての結論は、出すに及ばない。たとえ、本仲裁廷が我那覇氏が禁止されている方法を利用して反ドーピング規則違反を犯したと云う結論に至るべきものがあったとしても、我那覇氏には過失はない以上、我那覇氏は制裁を課されてはならない。本案件固有の事実及び状況を検討した結果、本仲裁廷は、我那覇氏の行動には全く瑕疵がないとの結論に達した。本件申し立ての主張は支持され、我那覇氏に関する決定は破棄され、申立人が要求する救済はここに認可される。


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2007年5月31日 (木)

トウモロコシ先物価格が急伸しているそうだ。(2007年5月31日)

シカゴの穀物市場の情報が得られるガジェットがないか探していたら、次のような記事にぶつかった。

CHICAGO - U.S. corn futures rose nearly 5 percent on Wednesday as concerns over crop weather fueled speculative buying and also helped to rally wheat and soybean prices.

Traders said corn futures at the Chicago Board of Trade were also lifted by strong cash markets, where farmers were not keen on selling their supplies with prices below $4 a bushel -- a drop from 10-year highs hit in February.

"Cash corn is on fire in the domestic market," Charlie Sernatinger of Fortis Clearing Americas said.
--By K.T. Arasu
REUTERS
Updated: 4:44 p.m. ET May 30, 2007
US corn soars 5 pct on speculative buying, weather - MSNBC Wire Services - MSNBC.com
シカゴ - 米国トウモロコシ先物は、作況への懸念からの思惑買いで水曜日5%近く値上がりし、このためもあって小麦及び大豆価格が反発した。

取引業者によれば、生産農家は、この十年来の高値であった2月の水準から下がってしまう1ブッシュル当たり4ドル未満の価格では売り渋っているため強含みとなっている現物市場に引き上げられる形でシカゴ商品取引所 (Chicago Board of Trade) のトウモロコシ先物が高騰したと云う。

フォーティス・クリアリング・アメリカズ (Fortis Clearing Americas) のチャーリー・サーナティンジャー (Charlie Sernatinger) は、「国内市場でのトウモロコシ現物取引は、過熱している」と語った。
--K.T. Arasu
ロイター
2007年5月30日東部標準時午後4時44分

東京でも対応して、トウモロコシ先物価格が急騰したと云う:

とうもろこし市況速報=急伸、シカゴ大幅高に支援され
2007年05月31日 15:16 JST

 東京とうもろこしは急伸。30日のシカゴ大幅高に支援されてストップ高続出で寄り付いたあと、期先が値を削った一方、期近7・9月限は終日ストップ高に張り付き、いったんストップ高から外れた期中11月限も後2から再びストップ高となった。
 前営業日比は、410円高~500円高のストップ高。
--商品,商品先物,先物,先物取引,商品相場,コモディティー,最新経済ニュース | Reuters.co.jp


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2007年5月30日 (水)

毛岸英と毛岸青の母楊開慧 (杨开慧) の写真

楊開慧 (杨开慧) の写真に就いては、次のサイトを参照。

彼女は、1920年末、毛沢東と結婚した。二人の子に 毛岸英 (1950年11月25日朝鮮戦争で戦死)、毛岸青 (2007年3月23日4時18分北京市の人民解放軍総医院で死亡)、毛岸龍 (1931年5月夭折。一説に行方不明) がある。彼女は、1930年10月に湖南省国民党政府主席の部下により逮捕され、1930年11月14日に処刑された。

1957年春節、楊開慧の友人だった李淑一が、毛の詩の読後感を書いた手紙を送り、それに夫の柳直荀が1932年9月19日に死亡(彼自身中国共産党員だったが、内部抗争の結果処刑された。1945年4月「平反(名誉回復)」--人民网)した後の孤閨の嘆きを詠んだ [菩薩蛮] 詞「驚夢(惊梦)」を同封した(1933年夏の作らしい--柳直荀故居)。

これに対し、1957年5月11日の返信で、毛は、楊開慧と柳直荀とを偲ぶ詩を付した:

蝶戀花《答李淑一》
一九五七年五月十一日

我失驕楊君失柳,
楊柳輕直上重霄九。
問訊吳剛何所有,
吳剛捧出桂花酒。

寂寞嫦娥舒廣袖,
萬裏長空且為忠魂舞。
忽報人間曾伏虎,
淚飛頓作傾盆雨。
--毛澤東詩集
--漢文會館 - Yuzx.com


《蝶恋花•答李淑一》(1957年5月11日)

我失骄杨君失柳,
杨柳轻飏直上重霄九。
问讯吴刚何所有,
吴刚捧出桂花酒。
寂寞嫦娥舒广袖,
万里长空且为忠魂舞。
忽报人间曾伏虎,
泪飞顿作倾盆雨

李淑一原词《菩萨蛮·惊梦》

兰闺索莫翻身早,
夜来触动离愁了。
底事太难堪,
惊侬晓梦残。
征人何处觅,
六载无消息。
醒忆别伊时,
满衫清泪滋。
--新华网

ここで、毛はかっての妻を「驕」と形容している。私なぞは、単純に生活人の「乾いたユーモア」を感じるが(楊開慧処刑当時、毛が別の地で別の女性と暮らしていたことを込めても、そう思う)、中国人にとってはかなり引っ掛かりのある表現らしい。しばしば、彼女は「驕楊(骄杨)」として言及され、そして apologization が行なわれている。

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2007年4月18日 (水)

羅一秀: 毛沢東の「最初」の夫人

アクセス解析を見ていたら、毛沢東の最初の妻である [羅一秀(罗一秀)] を少なくとも名前を挙げて言及している日本語サイトで、Google/Yahoo-J にヒットするのはどうやらこの nouse だけらしいことを知った。新たに稿を起こすほどの必要性は、今のところ感じていないが、[羅一秀(罗一秀)] に就いて言及した非日本語サイトへのリンクを幾つかまとめておけば、誰かの役には立つこともあろうか、取り急ぎ、これを書く。

まず、やや面映いが、「日本でただ一つ」の部分を再録しておく。

試みに、中文版の wikipedia [毛泽东] を見た。ところが、それからは毛沢東が 1893年12月26日生まれであったことは分かったが、1909年/1910年の記載が見当たらない:

1893年12月26日,毛泽东出生在湖南省长沙府湘潭县韶山冲(今湖南省湘潭市韶山市)的一个中农家庭中。1908年,其父毛顺生为他配婚与罗氏(罗一秀),但毛泽东始终不承认这桩婚事。1911年春,到湖南长沙湘乡驻省中学求学。1912年,以第一名的成绩考入湖南全省公立高等中学校(今长沙市第一中学),次年春考入湖南省立第四师范学校,学校后来并入湖南省立第一师范。

ただ、父 毛順生 (毛顺生) により1908年に結婚させられた (其父毛顺生为他配婚与罗氏) 最初の妻 羅一秀 (罗一秀) が、1910年春に病死していることだけが分かっただけだ(个人生活)。
--nouse: 毛沢東郷関ヲ出ヅ

つまり、「最初の妻」と書いたが、毛沢東は妻として認めていなかったらしい(但毛泽东始终不承认这桩婚事)。

さて、ザッとネットを調べたところでは Wikipedia 系 (コピーを含む) を除けば [羅一秀(罗一秀、あるいは Luo Yixiu)]に言及しているのは、二・三にすぎない(ちなみに、日本語版 ウィキペディア には、今のところ言及なし)。

まず、本人に就いての Wikipedia の記事(英文版と中文版しか見つからなかった)。

ついでに、夫の方の wikipedia 記事を幾つか言語で:。

  • Mao Zedong - Wikipedia, the free encyclopedia
    Genealogy
      Mao Zedong had several wives which contributed to a large family. These were:
    1. Luo Yixiu (罗一秀, 1889-1910) of Shaoshan: married 1907 to 1910
    2. Yang Kaihui (杨开慧, 1901-1930) of Changsha: married 1921 to 1927, executed by the Kuomintang in 1930
    3. He Zizhen (贺子珍, 1910-1984) of Jiangxi: married May 1928 to 1939
    4. Jiang Qing: (江青, 1914-1991), married 1939 to Mao's death
  • Mao Zedong - Wikipedia
    Familie
      Frauen
    1. Luo Yixiu , (羅一秀, 1889 - 1910) aus der Provinz Hunan: geheiratet 1907 - 1910 (verstorben)
    2. Yang Kaihui (杨开慧, 1901 - 1930) aus Changsha: geheiratet 1921 - 1927, (1930 von der Kuomintang hingerichtet)
    3. Gui-yuan (He Zizhen) (贺子珍, 1910-1984) aus Jiangxi: geheiratet 1928; geschieden 1939
    4. Jiang Qing (江青, 1914-1991), geheiratet 1939
  • 毛沢東 - Wikipedia
    [羅一秀(罗一秀)] についての記載は見当たらない。
  • 毛泽东
    上記に引用済み。

なお、[马代伟 (Ma Daiwei)] と云う女性が、毛沢東の "the unpopular wife" (1912-1920) として付け加えられることもある。

Wikipedia 系以外では次のようなものが見つかった。

  • 毛澤東後代 「夾著尾巴做人」by [shingjia]
    毛澤東共有三任妻子(一說四任,元配羅一秀,不被毛承認)、十名子女(六名夭折),大兒子毛岸英在韓戰中去世。目前毛澤東仍在世的三名子女,是他與楊開慧所生的毛岸青、與賀子珍所生的李敏,與江青所生的李訥。
  • 毛主席的儿子是? 十名子女一戰死五夭亡 by [houni1986]
    毛澤東先後有四位妻子 毛澤東先後娶過四位妻子,她們分別是: 羅一秀:一九○七年由父母包辦結婚,一九一○年春患痢疾病逝。 楊開慧:一九二○年結婚,一九三○年底被當時南京國民政府湖南省主席何鍵槍殺。 賀子珍:一九二八年在井岡山與毛澤東同居,一九三七年前往蘇聯治病。 江靑:一九三八年在延安與毛澤東同居。

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2007年4月11日 (水)

List of Links to Mercurius/Hermes Images (English Version)

Below is a list of links to web image resources of Mercurius (or, Mercury)/Hermes, the Roman/Greek gods of herald, commerce, travel, invention, music, agriculture and thievery, and to pages showing images of the gods.

I prepared a Japanese version of the list in the course of writing a blog piece "Foundation of Starbucks and Changeovers of its Logo" (in Japanese) and published it with a preface as another Japanese article on March 12, 2007 ("List of Links to Mercurius/Hermes Images: Iconography of the Il Giornarle logo").

Il_giornarle_logo"Il Giornarle" (1985-1987) was a coffee bar chain in Seattle, Washington, USA, managed by Howard Schultz, who created it after he left Starbucks (a coffee beans retailer in those days) and ran it until he purchased his ex-employer and merged the two companies into a new one, Starbucks Corporation.

Original_twin_tailed_siren_1Starbucks_logo_until_1987Il Giornarle logo was a profile of Mercury's head printed, as testified by Schultz, in green, which the new company took as a logo color instead of the original dark brown.

Unfortunately, the available copy of Il Giornarle logo has lost shadings, and it is hard to me to state whether in the icon the god wears a winged cap, one of his specialties. The image, however, looks a reproduction of what can be dated to many years ago, such is exactly the mermaid (siren or melusina) of the Starbucks first logo.

Roman_coin_mercury_syd_00875Il Giornarle's Mercury may have been got from something old like an ancient or medieval fine art work, a legendary relic, and (most plausibly) a punch mark of Greco-Roman coins. Maybe. So not maybe. That is a question. Thus I began to collect images, ancient or not, of Mercurius and Hermes, often never distinguishable between the two. I realized soon that the image resource relating to the word "Mercurius," "Mercury" or "Hermes" is surprisingly large, and, what was worse, many images are irrelevant to the Roman/Greek god, but often pictures of goods such as a French boutique's.

Mercurius/Hermes is the god of commerce, and may hide himself in all the commercial products, though what I was seeking was apparent images of the god. I suspended the work, and made up a list of the then found pages showing either of the two gods or both and some image files.

Unlike the Japanese version, some links have thumbnails for help to readers.

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2007年3月12日 (月)

メルクリウス/ヘルメス図像リンク集: イル・ジョルナーレ ("Il Giornale") ロゴに関連して

(Supplementary note. April 11, 2007: This page is in Japanese. Please take a look at an English article "nouse: List of Links to Mercurius/Hermes Images (English Version)" if you feel it better.)

2007年3月7日 (水) の記事 [nouse: スターバックスの成立と、そのロゴの変遷] で、スターバックス (Starbucks Corporation) の現 Chairman であるハワード・シュルツ (Howard Schultz) が一時期(1985年-1987年)スターバックスを離れていた際に経営していたコーヒー・ショップ・チェーンの「イル・ジョルナーレ ("Il Giornale")」のロゴが、ローマ神話の伝令神/商業神 メルクリウス (Mercurius. 英語表記は Mercury) であったことに付記して、そのロゴ中の横顔には、「翼の付いた帽子らしいものも見える」と書いただけで、それ以上は話を広げなかった。

勿論、話を広げようにも材料がないのだが、一応、何かを考える場合の手掛かりぐらいは作っておいた方がよいだろう。

と云う訣で、メルクリウス又はヘルメスの図像の簡単なリンク集を作成してみた。

その内容は、非常に雑多だが、これはある程度、メルクリウス/ヘルメスの性格が極めて多面的であるためかもしれない。まぁ、それはともかくも、雑多過ぎて、分類・整理するのが面倒なのは確かで、だからしていない。遺漏は当然あるだろうし(実際たとえば、ヘルメス文書関係のは大略落ちている筈である)、内容の当否のチェックもしていないので、本当にこれは手始めのものと言ってよい。

Il_giornarle_logoRoman_coin_mercury_syd_00875
ただ、それとは別に付言すると、「イル・ジョルナーレ ("Il Giornale")」のロゴに雛形がもしあったとするなら、それはコインに刻印された図像であった可能性が、それなりに大きいだろうから、そのことは僅かながら意識的に材料を収集した(近代になって、例えば切手の図案として描かれた可能性もあることはあるが、それにしても、その源流はコインの刻印になるのではないか)。とは言え、それもイル・ジョルナーレ・ロゴとの類似性の観点から採用したため、全体のごく一部である。

ここで、「イル・ジョルナーレ ("Il Giornale")」のロゴに右側に並べて示したのは、217-215 BC 頃のローマの貨幣で、表側 (obverse) に羽根の付いた帽子 (petasus 又は petasos) を被ったメルクリウスが刻印されているもので、元の画像は Wildwinds.com に掲載されている "Anonymous. 217-215 BC. Æ Semuncia (5.44 gm). Head of Mercury right wearing petasos / Prow of galley right; ROMA above. Crawford 38/7; Sydenham 87. * Sear RCV 620" の
Example No.6 に見られる。

Stc3a8le_de_mercure_01Fudomyouou_tnm_jp付言ついでに書いておくと、古拙なメルクリウス像には、我が文化における「鬼」の像を連想させるものがある。頭の翼が「角」で、手に持ったカドゥケウス(Caduceus) --ケリュケイオン (Κηρύκειον)-- が「金棒」と言う訣だ(不動明王や制託迦童子の像にも少し似ている)。

当然、メルクリウス像に配して、鬼の画像も並べたいところだが、適当な正対立像が見当たらなかったので、東京国立博物館に収蔵されている不動明王立像の画像を並べておく。似ているような似ていないような微妙なところではある。

不動明王が剣とは別の手で持っているのは、羂索、つまり縄である訣だが、メルクリウスが、カドゥケウスを持っている手と別の手で持っているのは、「小銭入れ」とか「袋」とかされているようだ。(「剣と索との組み合わせがカドゥケウスに対応することがありうるか?」は、一度考えた方が良いかもしれない)

ちなまれているのは: nouse: スターバックスの成立と、そのロゴの変遷

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2007年3月 7日 (水)

スターバックスの成立と、そのロゴの変遷

スターバックス (Starbucks) コーヒーショップ・チェーンのロゴに就いて検索されて、このサイトを訪問されるかたが頻頻といらっしゃるので、少し情報をまとめておく。

コーヒーショップチェーンとしてのスターバックスの創業者であるハワード・シュルツ (Howard Schultz) の著作 --Dori Jones Yang との共著-- "Pour Your Heart into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time" (私は未見。邦訳 [スターバックス成功物語] もあるが、これも未見) に、ある程度のことが書いてあるとは思うが、ネット上で収集できた情報を、以下まとめておく。

撞着していることもある雑多な情報源から選択・再構成を行なったので、錯誤の混入したことや、あるいは「組み合わせによる錯誤」が生じたこともありうるだろうが、その点は悪しからず。

スターバックスがコーヒーショップチェーンになるまで

「スターバックス」を創設したのは、ジェリー・ボールドウィン (Jerry Baldwin), ゴードン・バウカー (Gordon Bowker), ゼヴ・シーグル (Zev Siegl) と云う3人の男だった。しかし、物語は、4人目の男、アルフレッド・ピート (Alfred Peet) から始まる。

アルフレッド・ピートは、1920年、オランダで生まれた。生家が アルクマールでコーヒーや紅茶をあきなう店だった彼だが、学校の成績が芳しくないこともあって、父親から認めてもらえず、第二次世界大戦後、逃げるようにして母国を出て、インドネシアで紅茶業界に身を置いた。その後、ニュージーランドに居たこともあるが、結局1955年、35歳の時に米国カルフォルニア州 (State of California) のサンフランシスコ・ベイエリア (San Francisco Bay Area) に移り住んで、コーヒーの輸入業に職を得る。この仕事をする中、アメリカのコーヒーに幻滅を憶えた彼は、ヨーロッパ風のコーヒー豆販売を考えるようになり、遂に1966年、カルフォルニア州バークレイ (Berkeley) のヴァイン街 (Vine Street) とウォルナット街 (Walnut Street) との交差点に、自家焙煎のコーヒー豆と紅茶を販売する店「ピーツ・コーヒー・アンド・ティー」 (Peet's Coffee & Tea) を開いたのだった。

(2007-10-04 [木] 追加及び補正:Alfred H. Peet は、2007年8月29日に死去。享年87。その後に書かれた英文版ウィキペディアの記事 "Alfred Peet" や、ニューヨーク・タイムズの記事 "Alfred H. Peet, 87, Dies; Leader of a Coffee Revolution" を読むと、第二次世界大戦前後の彼の経歴は、私が書いたものと異なっていた可能性がある。大雑把にまとめると、ピートは、戦前にロンドンに移り住んでおり、コーヒー・紅茶の会社に就職していたが、戦後リプトンに再就職し、さらに、リプトンの社員としてインドネシアやニュージーランドに赴任したらしい。)

彼の店から数ブロックの近さにはカリフォルニア大学バークレー校 (University of California, Berkeley) のキャンパスがあり、学生、芸術家、作家、音楽家、そしてヒッピー (Hippie) などが彼の店を訪れる(ピート自身は、「ヒッピー」の客を喜ばなかったらしい)。高品質を追求するピートの店の深い煎りのコーヒー豆は評判となって、熱狂的ともいえる愛好家も現われるようになる。ピートは、自分が売っているコーヒー豆の挽き方や淹れ方を、顧客に教えることもするのだった。

ジェリー・ボールドウィン (1942年サンフランシスコ生まれ) は、当時、サンフランシスコで学生生活をしていたが、ある人物から貰ったピートの豆に感動したことをきっかけにして、ピートの店の存在を知る。彼は、ピートの店のことを、サンフランシスコ大学 (University of San Francisco) の同窓生でルームメイトのゴードン・バウカーにも教える。その後、二人は、ワシントン州 (State of Washington) シアトル (Seattle) に引っ越すが、通信販売でピートの豆を取り寄せてまで、そのコーヒーを飲み続けた。

ところで、バウカーは、カナダブリティッシュコロンビア州 (British Columbia) バンクーバー (Vancouver) にある「マーチーズ・ティー・アンド・コーヒー」 (Murchie's Tea & Coffee) のコーヒー豆もお気に入りで、しばしば3時間かけて車をとばし、豆を買いに行っていた。しかし、ある日、コーヒー豆を買ってきた返りのドライブの途中、バウカーは、シアトルにコーヒー豆の販売店を作ることを思いつく。

相談を受けて良いアイデアだと思ったボールドウィンは、バウカーの隣に住んでいた、やはりサンフランシスコ大学同窓生のゼヴ・シーグルにも声をかけると、シーグルも賛成するのだった。三人は、様ざまな機会(特に、1970年のクリスマス休暇)にピートの店を訪れ、コーヒーに就いての専門的知識を身に付けていく。

こうして1971年、ボールドウィン(英語教師)、バウカー(作家)、シーグル(歴史教師)の三人は、焙煎コーヒー豆とコーヒーメーカー、それに紅茶とスパイスを販売する店を開いた。資金は、三人が1350ドルづつ出し合い、そして借入も5000ドルして工面した。場所は、ワシントン州シアトルのパイク・プレイス・マーケット (Pike Place Market) が選ばれた。

店の名前は「スターバックス・コーヒー・ティー・アンド・スパイス」("Starbucks Coffee, Tea and Spice")。当初、バウカーは、アメリカの作家ハーマン・メルヴィル (Herman Melville 1819年8月1日–1891年9月28日) の小説 [白鯨] (Moby-Dick) に登場し、物語の舞台であると言って良い捕鯨船 Pequod を店の名前にしようと主張した。

You may have seen many a quaint craft in your day, for aught I know;--square-toed luggers; mountainous Japanese junks; butter-box galliots, and what not; but take my word for it, you never saw such a rare old craft as this same rare old Pequod.
--Moby Dick, or, the whale Chap. 16 "The Ship"
何はあれ、諸君も若いころそれぞれに奇妙な船を見たことはあるだろう。--底の四角な斜桁(しゃげた)船、山なす日本のジャンク、パタ箱みたいなガリイ船、その他さまざま。だが絶対に断言してもいいが、このたぐいまれな古船ピークォドほど、たぐいまれな古船を見られた人はないであろう。
--「白鯨」 (訳:阿部知二) 筑摩世界文學体系 36 [メルヴィル] 1972年。東京 筑摩書房。p.51 ([八木 敏雄]訳の岩波文庫版全3巻もある。)

しかし、意見を聞いた宣伝コンサルタントのテリー・ヘクラー (Terry Heckler) に、"Pequod" からは "Pee-quod" (オシッコ-刑務所)が連想されるとして反対される。そして、ヘクラーは、シアトルっ子にとっての「お山 (The Mountain)」--日系人は「タコマ富士」と呼んだ-- であるレーニア山 (Mount Rainier) に19世紀末/20世紀初頭にあった鉱石採掘場の名 "Starbo" (又は "Storbo") を主張するのだった。

議論の結果、店の名称に選ばれたのは "Starbo" に音が似ており、捕鯨船 Pequod の一等航海士の名前である "Starbuck" (スターバック) にちなんだ "Starbucks" (スターバックス) だった。(ちなみに、私が簡単に調べた範囲では、「白鯨」中にはスターバックがコーヒーを好んだとか、飲んだと云う記述はないようだ。)

The chief mate of the Pequod was Starbuck, a native of Nantucket, and a Quaker by descent. He was a long, earnest man, and though born on an icy coast, seemed well adapted to endure hot latitudes, his flesh being hard as twice-baked biscuit. Transported to the Indies, his live blood would not spoil like bottled ale.
--Moby Dick, or, the whale Chap. 26 "Knights and Squires"
ピークォド号の一等航海士はスターバック。ナンタケット出身で、代々の震教徒(クエイカ)である。丈の高い、熱のある人物で、寒冷な海岸に育ったにもかかわらず、肉は二度焼きのビスケットのように堅くて、熱帯にも適合しうる人柄と見えた。インド諸島に送られても、そのいきいきとした血は、瓶詰のビール同様、くさることはないであろう。
--「白鯨」 (訳:阿部知二) 筑摩世界文學体系 36 [メルヴィル] 1972年。東京 筑摩書房。p.76

三人が新しい店を開いた際、当初のうちはピートからコーヒーの生豆を廻してもらったり、焙煎機等の器材の業者の探し方を教えてもらったりしていた。その店構えもピートの店を手本にして作られていた。客に試飲はさせるが、飲み物としてのコーヒーを販売しないと云う方針も踏襲された。

最初のうちはシーグルだけが有給で、その彼が店頭に立った。他の二人は、それまでの仕事を止めずに、昼休みや夕方にやってきて手伝った。ボールドウィンの担当は会計だったが、コーヒーに就いての知識を更に追求していた。バウカーは実務には向かなかった。

店は、1971年から1976年までは Western Avenue 2000番地にあったが、その後 Pike Place 1912番地に移転した。("Pike Place Market" 及び "Seattle City Clerk's Neighborhood Map Atlas - PIKE-MARKET" を参照)。

その後事業は拡大し、1980年には店舗も6店までに増えるが、この年には、既に事業に情熱を失っていたゼヴ・シーグルが、持ち株を、他の二人に売却してスターバックスを去ってしまう。また、バウカーは、オーナーの地位に留まっていたとはいえ、興味が別の事業に移ってしまっており、日々の具体的な経営を行なっていたのはボールドウィンだけだった。

開業してから10年後、1981年にシアトルのスターバックスを、ニューヨークのビジネスマン、ハワード・シュルツ (Howard Schultz) が訪れる。1953年7月19日ニューヨーク市 (New York City) ブルックリン地区 (Brooklyn) の貧しい家庭に生まれ育って、苦学して大学を出た後、ゼロックス (Xerox Corporation) のセールスマンなどを経て、当時のシュルツは、スウェーデン (Sverige) の家庭用プラスティック製品製造業者 Hammarplast の米国での営業マネージャーをしていた。彼は、Hammarplast 製のドリップ・コーヒーメーカーを、どのデパートよりも数多く仕入れてくれていたコーヒー豆販売店に興味を持ったのだった。パイク・プレイスの一号店を訪れたシュルツは、スターバックスでの丁寧で熱心な仕事ぶりに感銘を受ける。

スターバックスで働きたいと考えたシュルツは、東海岸の遣り手営業マンであるシュルツとの肌合いの違いに尻込みするスターバックスの二人のオーナー、ボールドウィンとバウカーを説得して、1982年9月にマーケティングと営業担当責任者としてスターバックスに入社する。

1983年春、国際見本市に出席するためイタリアのミラノを訪れたシュルツは、そこでのコーヒー・バーの居心地の良さに感激し、美味しいエスプレッソ・コーヒーが飲めるだけでなく、社会的・文化的な場としての役割も果たす店舗を米国とカナダに展開しようと、スターバックスの両オーナーに主張する。しかし、「良質な焙煎豆の販売」にこだわるオーナーたちは、「飲食業」への進出を望まず、シュルツの主張を認めなかった。逆に、ボールドウィンとバウカーは、1984年にサンフランシスコでのピートの事業を買収して、焙煎豆の小売販売に一層傾斜する。しかし、この結果、スターバックスは多額の負債を抱えることになった。

シアトルとサンフランシスコ双方で事業を管理しなければならなくなっボールドウィンのもと、シアトルのスターバックス従業員の士気は低下する。更に財政が逼迫したために賞与が支給されなくなった際に労働争議が発生する。これにショックを受けたボールドウィンはスターバックスの経営から逃げ腰になってしまった。

このころ、シュルツはボールドウィンを何とか説得して、試験的に飲料の販売をスターバックスの店舗で行なう。条件の悪いなか良好な成績があがってシュルツは喜び、ボールドウィンも考え方を改めるだろうと期待したが、ボールドウィンの態度はかたくなだった。

スターバックスの将来に展望を持てなくなったシュルツは、スターバックスを離れて、自分自身で新規事業を起こすことを考えるようになる。そうしたなかで、彼は弁護士のスコット・グリーンバーグ (Scott Greenberg) と出会い、自分の構想が有望であると励まされる。シュルツの不満を知ったボールドウィンとバウカーは、むしろシュルツが新規事業に始めることに肯定的で、計画が具体的なものになるまでは、それまでの地位に留まることに同意するのだった。

1985年、シュルツはスターバックスを去る。そして、自らシアトルにエスプレッソを提供するイタリアン・コーヒーの店舗チェーンを経営に乗り出した。ボールドウィンは開業資金を15万ドル投資してくれた上、シュルツの要請によって、新会社の取締役になった。バウカーも、6ヵ月契約で非常勤のコンサルタントを引き受けた。シュルツとバウカーは、1985年12月にイタリアのミラノとヴェローナにエスプレッソ・コーヒーバーの視察旅行に行っている。

店の名前はバウカーの提案に従って「イル・ジョルナーレ ("Il Giornale") 」になった。イタリア語で「日刊新聞」とか「日誌」を意味する言葉である。

1号店が1986年4月に開店したシュルツの「イル・ジョルナーレ」は成功する。半年後にはやはりシアトルに2号店、1987年4月にカナダ、バンクーバーに3号店が設けられた。そして1987年中間業績として、3店の販売年額は150万ドルに達した。

一方、スターバックス経営から別の事業へと興味が移っていたバウカーは、その事業のための資金が必要だった。また、ボールドウィンは、シアトルとサンフランシスコとの間の行き来や、スターバックスでの労働問題に倦んでいた。スターバックスと「ピートの店」とのうちの一つを選ぶと議論の余地なく「ピートの店」と云う気分だったのだ。1987年3月、二人はスターバックスの全てを売却する決心をする。

これを知ったシュルツはすぐに行動を開始する。彼は、自分の事業のためにスターバックスの獲得が必要であることを理解していた。数週間のうちに、シュルツは買収資金380万ドルを調達する。1987年8月に買収手続き完了。契約後、シュルツとグリーンバーグはイル・ジョルナーレ1号店へ歩っていき、窓際のテーブルに陣取ると、エスプレッソで乾杯したと云う。イル・ジョルナーレとスターバックスは統合され、新会社の名称は「スターバックス・コーポレーション」("Starbucks Corporation") とされた。ハワード・シュルツは、新スターバックスの社長兼最高経営責任者に就任した。

その後、スターバックスは成長を続ける。1996年には東京銀座の松屋店がオープンして、北米以外に初めて店舗を持つ(もっとも、1994年に成田空港内で一時期営業をしたことがあるが撤退していた)。1998年、コーヒーチェーン店の買収によりイギリス進出。2006年11月現在、全世界に直営店、7102店(米国内には5668店)、提携店が5338店(米国内3168店)、総計12,440店が存在する。


スターバックス・ロゴの変遷

Starbucks_logo_until_19871971年コーヒー豆の販売店としてスターバックスが出発した際のロゴは、あからさまに海又は水の女怪をモチーフにしており、簡単には「双尾の人魚 (女性) (Mermaid)」と言い表わせるものであった。船員たちを蠱惑して破滅させると云う特徴に注目するなら、代表的なものがギリシア神話(特に「オデュッセイア第12歌」)に登場するため、それに従ってセイレーン (Siren. ギリシア語複数形では Σειρήνες) と呼ばれることもある。警笛を意味する「サイレン」の語源であるのは周知の通り。

更に、女性の水怪として "Melusina (Melusine)" や ローレライ (Loreley) も同じ系譜に属する。

このセイレーンのロゴを提案したのも、テリー・ヘクラーだったらしい。ネットで引用されている、シュルツの記述によれば ("Pour Your Heart into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time"):

"Terry [Heckler] also poured over old marine books until he came up with a logo based on an old sixteenth-century Norse woodcut: a two-tailed mermaid, or siren, encircled by the store's original name, Starbucks Coffee, Tea, and Spice. That early siren, bare-breasted and Rubenesque, was supposed to be as seductive as coffee itself." [pg. 33]
さらにテリーは、海事関係の古書を何冊もひろげて、双尾の人魚(つまりセイレーン)を描いた16世紀ノルウェーの古い木版画を元にして、周りを当初の店名 "Starbucks Coffee, Tea, and Spice" で縁どることで、ロゴを作り上げたのだった。この胸乳を露にしたルーベンス風の最初のロゴは、コーヒーそのものと同じぐらい蠱惑的であることを意図したものだった。(第33ページ)

ヘクラーが、エリザベス朝ロンドンにあった [人魚亭] ("Mermaid Tavern") を意識していたかどうかは不明だが、元になっている発想は同じだろう。

Original_twin_tailed_siren_1実は、初代のスターバックス・ロゴが下敷きにした図版は、ほぼ分っている。"Deadprogrammer's Cafe ≫ How the Starbucks Siren Became Less Naughty" によれば、 Juan Eduardo Cirlot による "A Dictionary of Symbols" の "siren" の項にあるそうだが、そのほかにも Ad De Vries による Elsevier's Dictionary Of Symbols And Imagery: In English With Definitions (イメージ・シンボル事典) の "melusina" の項にも掲載されている(私が確認したのは大修館書店刊の日本語版)。

初代のスターバックス・ロゴと、木版画板とを比較すると、基本的に同一の図像であることは議論の余地はないが、Michael Krakovskiy ("Deadprogrammer's Cafe" 作成者) も指摘しているように、両者には微妙な、そして重要な違いがある:

  1. 木版画版では、女性像の腹部の膨らみを強調するために入られていたハッチングが、スターバックス・ロゴでは、ほぼ消されている。

  2. 木版画版では、目立っていた臍穴が、スターバックス版では目立たないものになっている。

  3. 木版画板では、深く切れ込んだ二本の尾の境目が、スターバックス版では、なだらかなものになっている。

  4. 木版画板では、微妙に沈痛な表情(特に口元)であるのが、スターバックス版では、微笑している。

基本的に改変は「あからさまに性的な要素を取り除く」と云う方針で行なわれたと思しい。

二つの図像は、基本的に同一だから、もちろん共通点もある訣だが、特に目立つものは:

  1. 胸乳を露出している(両方とも)。

  2. 両手のそれぞれで、二本の尾のそれぞれを支えている。

  3. 王冠を被っている。

  4. 長い髪を背中にたらしている。

あと、もう一つ初代のスターバックス・ロゴの特徴として指摘しておかねばならないのは、その色彩である。それは、焙煎したコーヒー豆を連想させる(seal brown か?)。

Peetslogoちなみに、初代のスターバックス・ロゴと "Peet's Coffee & Tea" の(現在の) ロゴとは、ほぼ同一色である。焙煎コーヒー豆販売店としてのスターバックスが創業した1971年当時の "Peet's Coffee & Tea" ロゴ (もしあったとしての話) が、現在のものと、少なくとも色彩が同一であるかどうかの確認はとれなかったが、スターバックス・ロゴの色彩選択に影響を及ぼした可能性はある。

Il_giornarle_logoスターバックス・ロゴには、もう一つ源流がある。それは、シュルツがスターバックスを離れていた時に経営していた「イル・ジョルナーレ ("Il Giornale") 」のロゴである。円の中央に、ローマ神話のメルクリウス (Mercurius. 英文表記では Mercury) の横顔を配し(翼の付いた帽子らしいものも見える)、その周りを、文字 "IL GIORNALE" と3 + 3 個の星で縁どったものだった。

この星が何を象徴しているのかは、確認がとれなかった。もちろん、メルクリウスは水星をも意味する言葉ではあるが、それとの関連性も不明。更に、話を広げると、一応西洋占星術や錬金術のことも考えなければならなくなるだろうが、今その余裕はない。

注意すべきなのは、シュルツの著作 "Pour Your Heart into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time") に従うなら、本来は、このロゴが緑色であったことである:

"Our logo reflected the emphasis on speed. The Il Giornale name was inscribed in a green circle that surrounded a head of Mercury, the swift messenger god." [pg. 88] (Note: Please excuse the poor condition of the Il Giornale logo. I scanned the image from a many times photocopied memo from Il Giornarle letterhead.)
私たちのロゴは、素早さの強調を反映したものだった。"Il Giornale" と云う店名が書き込まれた緑色の円が、素早く知らせを伝える神「マーキュリー (Mercury)」の頭部を取り囲むように配置されていた。[第88ページ] (「イル・ジョルナーレ ("Il Giornale") 」のロゴが見づらいことをご勘弁願いたい。この画像は、イル・ジョルナーレのレター・ヘッドから何遍もコピーを繰り返したメモをスキャンして得られたものなのだ。)

Starbucks_logo_198719921987年、スターバックスとイル・ジョルナーレとの統合に応じて、ロゴも変更される。中心となる像は、初代のスターバックス・ロゴに従って「セイレーン」が採用されたが、色はイル・ジョルナーレの緑色が選ばれた。また、扱う商品が変更になったので、縁どりの文字も、"Starbucks Coffee, Tea, and Spice" から "Starbucks Coffee" (そして、星 1 + 1 個) になった。

再び、シュルツの説明を引用するなら:

"To symbolize the melding of the two companies [Il Giornarle and Starbucks] and two cultures, Terry [Heckler] came up with a design that merged the two logos. We kept the Starbucks siren with her starred crown, but made her more contemporary. We dropped the tradition-bound brown, and changed the logo's color to Il Giornarle's more affirming green." [pg. 108]
両社 [スターバックスとイル・ジョルナーレ] と、その文化の融合を象徴するために、テリー・ヘクラーは、その二つのロゴを一つにまとめたデザインを作り上げた。スターバックスのセイレーンは星を付けた王冠を被せて残したが、ヨリ現代風にした。また、ロゴの色は、古めかしい茶色は止めて、イル・ジョルナーレの、ヨリ積極的な感じの緑色へと変更した。[第108ページ]

初代から二代目のロゴへの変更点は、図案の様式化を進めた(「より現代風にした」)だけではない。次のような特徴がある:

  1. 視覚的な厚みを意図的に排除しており、腹部に膨らみは全く感じられない。

  2. 髪の毛を背中に垂らさず、胸の方に垂らすようにしたことで、両乳首を隠した。

  3. 二本の尾の間の境目が実質的になくなっている。

  4. 顔が正対しているため、表情が明白に archaic smile になっている。

ただし、この段階では臍穴は残っていた。また、尾が、全体としての様式化により、水の関わり合いが薄れているのを補う形で、尾の文様が、波形になっている(もっもと、初代の鱗形が失われたと云う見方もできる)。

なお、セイレーンの「星を付けた王冠」には、メルクリウスの「翼が付いた帽子」が名残を留めているのかもしれない。だから、スターバックス・ロゴは、ヒョッとすると、手塚治虫の [ビッグX] や、鳥山明の [Dr.スランプ アラレちゃん] と細い線でつながっていると想像することはできる。

ただし、これに関連して書いておくと、"melusina" (melusine) や "Alchemical siren" は、しばしば冠を被った姿で描かれる。以下を参照:

Starbucks_logo_from19921992年、スターバックスは、再度ロゴを変更する。[二代目] でさえ、性的でありすぎると反発する顧客があったため(ただし風評)という。この年、スターバックスは NASDAQ に株式上場を行なっており、それが影響した可能性もあるだろう。

シュルツは、その著作で "In 1992 we also asked Terry Heckler to revise our logo: She stayed mostly the same but lost her navel. [pg. 309]" (1992年、我々は、テリー・ヘクラーに、スターバックス・ロゴを改訂するよう依頼した。その結果、女性像は、ほぼ元のままだが、臍穴がなくなることになった。[第309ページ]) と言っているが、勿論、他にも変更が加えられている。画像の一部を拡大して、はみ出た部分を切り落としたと云うのが、変更の要旨なのだが、その際、画像の中心を、二代目における胸から、三代目では顎に移している。このため、「風評」云々は別として、たしかに更に性的な含意は削ぎ落とされることになった。

目立つ変更点をまとめると:

  1. シュルツも認めるように、臍穴が見えない。

  2. セイレーンの下半身が、ほぼ見えなくなって、僅かに二本の尾の先端部分が「見切れる」ように移りこんでいるだけになっている。

  3. 尾の文様が、波形からヘリングボーン (herringbone) 風になっている。

Starbucks_logo_original2実は、スターバックスのオリジナル・ロゴと呼ばれるものには、別のパターンがある。ロゴの周囲銘文が "Starbucks Coffee, Tea, and Spice" ではなくて "Starbucks Fresh Roasted Coffee" になっているものだ。

2006年9月にスターバックスが創立35周年記念として、ワシントン州 (本社がある) とオレゴン州 (ワシントン州の南隣にある) 内の店で出すコーヒーのカップに付けてあるロゴを「オリジナルのもの」に差し替えたのだが、その時のロゴは、こちらの方だったらしい。("The Insider: Principal roasts Starbucks over steamy retro logo" 参照)

参考サイト:

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2007年2月26日 (月)

「大衆が恐れる者は、必ずや大衆を恐れる」: ユリウス・カエサルの面前に抛り込まれた一句。

[Quintus Fabius Maximus (クィントゥス・ファビウス・マクシムス) の言葉] を書いたついでに、セネカの [怒りについて (De ira)] に就いてもう少し書いておく。

例えば、次のような一節がある:

また、恐怖はそれを起こさせる張本人に常に戻ってきて、恐れられる者自身が安心していられない。この事実はどうであろう。ここで君は、ラベリウスの次の詩の一句を思い起こすであろう。この詩が内戦の最中に劇場で朗読された時、それは全国民の注意を一身に集め、正に一般大衆の感情が声となって投げつけられたかの観があった。
  大衆が恐れる者は、必ずや大衆を恐れる。
--岩波文庫 33-607-2 [怒りについて] セネカ。訳:茂手木元蔵。1980年。東京 岩波書店 p.66

Quid quod semper in auctores redundat timor nec quisquam metuitur ipse securus? Occurrat hoc loco tibi Laberianus ille versus qui medio civili bello in theatro dictus totum in se populum non aliter convertit quam si missa esset vox publici adfectus:
  necesse est multos timeat quem multi timent.
--"De ira" LIBER II, Cap.xi 3
上記引用和訳文中、「この事実」は、前文に係る。上記訳文に従えば「恐怖はそれを起こさせる張本人に常に戻ってきて、恐れられる者自身が安心していられないと云う、この事実はどうであろう?」と云うこと("Quid quod" は、「と云う事実はどうだろう」と云う意の成句)。
"in se ... convertit" は「(自らに)注意を集める」、"non aliter quam" は「正に」で良いだろうが、"populum" (populus 対格)を「国民」としたのはどうか。むしろ「聴衆」とすべきではなかったか。また「一般大衆の感情」とされている "vox publici adfectus" は「民衆の怨嗟の声」くらいまで訳せるかもしれない。"missa esset" は mitto の接続法過去完了三人称単数女性。拙訳を付けておくと:

恐怖と云うものは溢れて、恐怖を引き起こした人々にまで逆流するのが常なので、恐怖される者自身も安全ではないのだと云う事実はどうだろう。ここで、君は、内戦の中、劇場で朗読された際に、あたかも民衆の怨嗟の声が抛り込まれたかの感があったので聴衆が耳をそばだてたと云う、あのラベリウスの詩の一節を思い起こすだろう:
  大衆が恐れる者は、必ずや大衆を恐れる。

ここで、「内戦 (civilis bellum)」とは、ユリウス・カエサル (Gaius Iulius Caesar 或いは Gaius Julius Caesar) と反カエサル派との戦い (ルビコン川越境 49BC。ムンダ会戦45BC) のことだろう。

ラベリウス (Decimus Laberius) は、 カエサルの命により行なわされたプブリウス・シルス ( Publilius Syrus) 等との「黙劇」(mimus) 競演の際 (紀元前46年のことだと云う)、自作劇の前口上として゛カエサルの権力が大きくなりすぎたことを揶揄する詩をカエサルの面前で朗読した。そして、劇中シルスを当てこすった奴隷役で登場したラベリウスは、"Porro Quirites! libertatem perdimus" (「ところで、ローマ市民諸君! 我々は自由を失おうとしているぞ」) と叫ぶのだが、それから一呼吸置いて付け加えたのが問題の言葉だった。この「最後の一句」が発せられると、全聴衆がカエサルの方を向いて、彼に注目したという。

セネカが、下敷きにしたと言われるマクロビウス (Ambrosius Theodosius Macrobius) の "Saturnalia" の一節を引用しておく:

In ipsa quoque actione subinde se, qua poterat, ulciscebatur inducto habitu Syri, qui velut flagris caesus praeripientique se similis exclamabat:
  Porro Quirites! libertatem perdimus
et paulo post adiecit:
  Necesse est multos timeat quem multi timent.
Quo dicto universitas populi ad solum Caesarem oculos et ora convertit, notantes inpotentiam eius hac dicacitate lapidatam. Ob haec in Publium vertit favorem.
--Macrobii "Saturnalia" Liber II Cap.vii 4-5
"ora" は os の複数対格。



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2007年2月22日 (木)

Quintus Fabius Maximus (クィントゥス・ファビウス・マクシムス) の言葉

古代ローマにクィントゥス・ファビウス・マクシムス (Quintus Fabius Maximus) と云う将軍(独裁官、執政官)がいた(c. 275 BC-203 BC)。第二ポエニ戦役 (Seconda guerra punica) でカルタゴの驍将ハンニバル (Hannibal) と戦い、良くローマを守った人物だが、彼が常づね、こう言っていたと云う(取り敢えず、私の記憶に従って書くおくと):

将軍にとって一番恥づかしいことは「それは考えていなかった」と言って弁解することである。

実は、私は長い間、この逸話をモンテーニュ (Michel de Montaigne) の [エセー (Essais)] の中で読んだと信じていた。

このたび、その出典を確かめるために(つまり、モンテーニュ自身が、どこかから引用してきた筈なので、Essais の注釈から、そのオリジナルを探そうとしたのだ)、ネット上を調べたのだが、どうやら私の記憶が間違っていたらしい。つまり Essais の中には該当する部分がないらしいのだ。

どういうことかと訝しんでいると、私の物覚えの悪さにだめ押しするかのように、Essais 云云を通り越して「オリジナル」らしいものが見つかってしまった。セネカ (Seneca) の [怒りについて (De Ira)] である。英単語をキーワードにして検索したから、最初は英語版が出てきたが、勿論セネカはラテン語で書いている:

Turpissimam aiebat Fabius imperatori excusationem esse 'non putavi', ego turpissimam homini puto.
--"De ira" Cap.XXXI 4

そう言えば、[怒りについて] は岩波文庫で持っていた筈だ...

本を引っ張り出して、調べてみたら、歴然と読んだ跡がある、と言うか、どうやら結構「感動」したらしく、至るところに赤鉛筆で傍線が引いてある。勿論、問題の箇所にも引いてあって:

ファビアスは常にこう言っていた。最高指揮官にとって一番恥ずかしい弁解は、「自分は考えなかった」ということである、と。
--岩波文庫 33-607-2 [怒りについて] セネカ。訳:茂手木元蔵。1980年。東京 岩波書店 p.97
ちなみに、この後に「それは誰にとっても一番恥ずかしいことと私は考える。」と続く。上記引用中の "ego turpissimam homini puto" に対応する部分である。

imperatori が「将軍」より「最高指揮官」としたほうが良いのは勿論だが、そのほかにも Turpissimam が対格、aiebat が未完了過去 imperatori が与格、excusationem が対格だから、文型としては「一番恥づかしいことは『・・・』と言って弁解すること」よりも、「一番恥ずかしい弁解は、『・・・』ということ」の方が素直だろう。ただ、その場合「弁解」と云う訳語を使うのは、その形成する局所コンテキストが、元の姿より微妙にずれてしまう。

「辯疏」と云う言葉もあって、これを使えば良かろうとも思うが、取り敢えず、今私が訳すとするなら、「最高指揮官にとって、最も恥づべき釈明は『それは考えていなかった』と云うでものある」あたりから検討を始めることになるだろう。まあ、これはすぐ、「最高指揮官にとって、『それは考えていなかった』と云う釈明が最も恥づべきである」と書き換えた方が良いと思い直すだろうが...。

付言すれば、現在完了形 "non putavi" は、「自分は考えなかった」よりも「それは考えていなかった」と訳したい。あるいは、「それは想定外だった」か。

「『それは想定外だった』と云う釈明が最も恥づべきである」と云う定格が、個人の行動指針として実践的な説得力をもつかどうか、現代日本と同様、古代ローマでもあやしいものだ。だからこそ Quintus Fabius Maximus は、当初 "Cunctator" (のろま、愚図) と揶揄されたのだろう。ファビアスは、自らの行動で、この蔑称をそのまま敬意を以って称えられる「二つ名前」へと変容させていく。そこには個人と社会との関係に動態が垣間見えて興味深い。

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2007年2月14日 (水)

Duane Michals の詩 "All things mellow in the mind"

Duane Michals (デュアン・マイケルズ) と云う写真家がいる。この人は、単に写真を撮るだけでなく、そのプリントにちょっとした短文を添えることがあるようで、実際、私が少し気になって買った(数年前、或いは更に以前?) picture postcard (Sidney Janis gallery (閉鎖中) 及び Fotofolio (要登録)) がそれだった。

写真はモノクロ、裸体の男性上半身像で、左手は自らの頭にもたせかけ、右手は頭蓋骨を自分の顔と同じ高さに捧げ持っている。頭蓋骨と男性の顔は、両方とも正面向きだ。

私の持っている postcard ではマイケルズの詩が写真の左側に(恐らく自筆で)書かれているのだが、オリジナルでは、詩のタイトルが写真の上、本体が写真の下に書いてあるようだ(写真だけなら、もう少し大きい画像が、"Thomas Paul Fine Art: MICHALS, Duane (1932- ) All Things Mellow in the Mind" で見られる)。

そこに書かれているのは、こう云う詩である:


ALL THINGS MELLOW IN THE MIND

ALL THINGS MELLOW IN THE MIND,
A SLEIGHT OF HAND, A TRICK OF TIME.
AND EVEN OUR GREAT LOVE WILL FADE,
SOON WE'LL BE STRANGERS IN THE GRAVE.

THAT'S WHY THIS MOMENT IS SO DEAR.
I KISS YOUR LIPS, AND WE ARE HERE.
SO LET'S HOLD TIGHT, AND TOUCH AND FEEL,
FOR THIS QUICK INSTANT, WE ARE REAL.

心愉しかったことの全てや

心愉しかったことの全てや
手練手管も、物のはずみも
そして二人の素晴らしい愛さえも、消えていくのが「ものの運命(さだめ)」。
もうぢき、二人は土の下に行く。そうして二人は見ず知らずになる。

だからこそ、この今の愛おしさ。
君の唇にキスすれば、僕らは確かにここにいる。
そしてしっかり抱き合おう。互いに触れ合い、感じ合う
その時、その時にだけ、確かに僕らは生きている。

ここで、注意しておくと、写真との組み合わせから判断するなら、この詩の "GRAVE" は、「黄泉の国」とか「あの世」の隠喩としてではなく、「人間が骸骨になるところ」と云う直裁な含意があると云うことだ。

デュアン・マイケルズは同性愛者だと云う。そして、そのことを念頭に入れて彼の作品は理解されることがあるようだ。

例えば、ポール・アンソニー・ジョンストン (Paul Anthony Johnston) が、自ら製作した写真シリーズ "SERO-LOGUES" を題材にして、所謂 AIDS の写真表現に及ぼした影響や写真表現の HIV 抗体陽性者への役割を論じた ""SERO-LOGUES:" A COLLABORATIVE APPROACH TO AlDS PHOTOGRAPHIC REPRESENTATION" (YORK UNIVERSITY, NORTH YORK, ONTARIO. JULY 1997) において、マイケルズに HIV 抗体陽性者や AIDS 発症者を被写体にしたことがないと言われて意外に思った (p.68) と書いていることが逆に証明している。

また、米国におけるゲイの共同体である "Radical Faeries" (当初は男性同性愛者のみの共同体だった、現在はそうでもないらしい) に就いての報告記事 (1998 K. Mark Demma) には、シャボン玉を吹きつつ "All things mellow in the mind." と語る HIV 抗体陽性の男性 Dane (Wonder's wife) が登場する。仲間の一人 Elbow が、心臓の外科手術を控えていて不安で堪らないのだけれど、仲間と一緒にいると、それが和らぐと告白したのを受けた言葉らしい。

しかし、私はと言えば、見事に鈍感で、問題のポストカードを見たときは、Hamlet の一場面なぞを連想していた。

この "ALL THINGS MELLOW IN THE MIND" が、彼のどの写真集に収められているかは、確認できなかった。写真集に収められているかどうかも不明だ。ただ、作成年度が1986年/1987年ぐらいらしいことが分かっただけだ。そうすると、"Album : The Portraits of Duane Michals, 1958-1988" あたりか、あるいは素材としてなら "Eros and Thanatos" (発行:1993年4月。Amazon.co.jp では成人指定)かもしれないと云う気もするが、すべて未確認。



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2007年2月12日 (月)

「あるグロテスク・ジョーク (伊丹十三 [ヨーロッパ退屈日記] に関連して)」補足

[あるグロテスク・ジョーク (伊丹十三 [ヨーロッパ退屈日記] に関連して)] (2007年2月10日) では、[ヨーロッパ退屈日記] 中の [産婦の食慾] と云う段に紹介されたジョークの話をしたが、それを聞かせてくれたのがイギリス人の男性同性愛者であることを引き取って、話は次のように続く:

 一般に、というようなことはいいたくないが、わたくしの狭い経験の範囲では、彼らは、普通の外国人よりずっと細やかに動く、襞の多い心を持っている。礼儀作法ではなく、心の翳りから生まれた気がねや思いやりを持っているように思われる。人間関係において非常に我慢強く、赦すこと、諦めることを知っている。つまり、私小説的な精神風土に育ったわたしたち日本人には、たいへん近しく、親和力を感じさせる存在である。

 普通の西洋人は、わたくしには、何かずっと酷薄な、武装した存在に感じられる。友達づき合いをしていても、いつ、しらじらしいただの他人に変化してしまうかわからない。自分の権利が少しでも犯されそうになろうものなら、ただちに冷たい叱責をまなざしに浮かべて、激しく抗議してくるに違いない振幅の狭さが感じられて気が赦せない。

 あるいはまた、普段ひどく無口で、はにかみやの大男が、突然、われわれアメリカ南部の白人が、過去においていかに黒人と美しい協調をなしとげてきたか、いかに黒人が現状に満足しているか、黒人問題などというものは、実際問題として南部には存在しない、という驚くべき発言を、アメリカ人独特の、身についた正義の身振りで愚かしくしゃべりたてるのである。

 これは我慢がならない。屈託のない心、含羞のない心、これは我慢がならない。

 わたくしの外国の友人たちが、イタリー人を除いてほぼホモ・セクシャルである、というのはかかる理由による。

同性愛者の性格に関する記述に対する評言は、私には材料がないので控える。ただ、この文章が書かれた、1960年代前半は、アメリカ合衆国第34代大統領 Dwight D. Eisenhower が、同性愛者の連邦政府職員就業禁止を命じた条項(第8条a項1-3)を含む行政命令第10450号を発した1953年4月27日(多くの州・地方自治体・企業が、連邦政府の措置に追従し、また FBI による捜査が行なわれたと云う)と、言ってみればゲイたちが「人間関係において非常に我慢強く、赦すこと、諦めること」を止めた Stonewall riots が発生した1969年6月28日(この日の未明ニューヨーク市グレニッチ・ヴィレッジの gay bar "Stonewall Inn" に対してニューヨーク市警が行なった家宅捜索に対し、同性愛者たちが抵抗し、それが発端となって終焉まで数日間かかる「暴動」が起こった。これを契機にアメリカ合衆国において同性愛者たちの権利を求める運動が昂揚する)との間に挟まれていることは、一応指摘しておこう。

「普通の西洋人」の性格に就いても、"9.11" 以降のアメリカ合衆国の姿を思い起こして、つい何事かを言いたくなるのだが、情緒に対して情緒で反応しても仕方がない、多くは言うまい。ただ、かって南アフリカ共和国において、白人政権が倒れた前後(1994年)だと思うが、TV の報道番組で現地の白人が、彼らが「過去においていかに黒人と美しい協調をなしとげてきたか、いかに黒人が現状に満足しているか、黒人問題などというものは、実際問題として存在しない」と云ったたぐいの驚くべき発言をしていたと記憶する。これが「白人の性格」なのか、「『奴隷』利用者の性格」なのかは(勿論、両者は相関しているかもしれない)、軽軽に判断すべきではないのだろうが、こうした人物類型が存在することは確かだろう。

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2007年2月 7日 (水)

毛沢東郷関ヲ出ヅ

毛沢東に [改西乡隆盛诗赠父亲] (改西郷隆盛詩贈父親) と云う七言絶句がある。

七绝·改西乡隆盛诗赠父亲 (1909年)

孩儿立志出乡关,学不成名誓不还。
埋骨何须桑梓地,人生无处不青山!
--人民网>>中国共产党新闻>>领袖人物>>人民领袖毛泽东>>诗词作品

これは簡体字版だが、繁体字版(というか、日本語の旧字体版)では、次のものがネット上で見つかった。

留呈父親 毛澤東 (1910年)

孩兒立志出郷關,學不成名誓不還;
埋骨何須桑梓地,人間無處不靑山。
--毛沢東詩詞 留呈父親 詩詞世界 (碇豊長の詩詞 漢詩)

この二つの版を比べると、作成年度が一年、第四句が「人生」と「人間」とで異なっているが、いづれにしろ、この詩を藉りて郷関を出ようとする青年の志を述べたものと理解してよいだろう。しかし、具体的にはどのような状況であったのか?

試みに、中文版の wikipedia [毛泽东] を見た。ところが、それからは毛沢東が 1893年12月26日生まれであったことは分かったが、1909年/1910年の記載が見当たらない:

1893年12月26日,毛泽东出生在湖南省长沙府湘潭县韶山冲(今湖南省湘潭市韶山市)的一个中农家庭中。1908年,其父毛顺生为他配婚与罗氏(罗一秀),但毛泽东始终不承认这桩婚事。1911年春,到湖南长沙湘乡驻省中学求学。1912年,以第一名的成绩考入湖南全省公立高等中学校(今长沙市第一中学),次年春考入湖南省立第四师范学校,学校后来并入湖南省立第一师范。

ただ、父 毛順生 (毛顺生) により1908年に結婚させられた (其父毛顺生为他配婚与罗氏) 最初の妻 羅一秀 (罗一秀) が、1910年春に病死していることだけが分かっただけだ(个人生活)。

しかたがないので、別のサイトを探してみると、次のようなものが見つかった(簡体字版と繁体字版、双方を示す)。

  一九一○年秋天,毛泽东离开闭塞的韶山,走向外面更广阔的世界。这是他人生历程中的第一个转折。他的激动心情是可以想象的。临行前,他改写了一首诗,夹在父亲每天必看的帐簿里:“孩儿立志出乡关,学不成名誓不还。埋骨何须桑梓地,人生无处不青山。”
-- 中国共产党新闻>>毛泽东纪念馆>>一、出乡关

 一九一○年秋天,毛澤東離開閉塞的韶山,走向外面更廣闊的世界。這是他人生歷程中的第一個轉折。他的激動心情是可以想象的。臨行前,他改寫了一首詩,夾在父親每天必看的帳簿裡:“孩兒立志出鄉關,學不成名誓不還。埋骨何須桑梓地,人生無處不青山。”
--中國共產黨新聞>>毛澤東紀念館>>一、出鄉關

取り敢えず、この情報で良しとすべきだろう。つまり、詩は1910年秋に毛沢東が故郷を出る時に関わると云う訣だ(「他改寫了一首詩,夾在父親每天必看的帳簿裡/彼は、ある詩を書き直したものを、父親が毎日看る帳簿に挿み込んだ」)。

さらに [出乡关] に従って述べるなら、故郷(湖南省長沙府湘潭県韶山衝)を出た毛沢東は、韶山から五十里 (「公里 km」かどうか未確認) ほど離れた所の「湘郷県立東山小学堂 (湘乡县立东山小学堂)」に入学する。この小学堂は、湘郷県城近くの東山台の麓にあった。類似の私塾と比べて、伝統的な四書五経を始めとする経書以外に自然科学・地理・英語等の新学問を教えることが毛沢東には魅力だったらしい。

どうやら毛沢東を湘潭県城の米屋に徒弟奉公させるつもりだった父 毛順生 は、この進学には当初反対したらしく、親戚(母方の従兄弟? 文園昌)の説得でようやく同意してくれたのだが、そうした父に対し彼は「學不成名誓不還」と、意気込みを見せたかったのだろう。

1911年春に、東山小学堂にいた教師 賀嵐岡 (贺岚冈) が、長沙の湘郷駐省中学に転任すると、毛沢東もそれに合わせて、同校を入試合格したようだ。

さて、毛沢東が手本にした問題の詩は、西郷隆盛のものではなく、幕末の僧 [月性] の作と伝えられている詩 [將東遊題壁] (まさに東遊せんとして壁に題す) であることは良く知られているとおりだ([月性] は、西郷隆盛と共に錦江湾に身を投じた僧 [月照] とは別人)。特に「ジンカン到る所セイザンあり」と云う最後の一句は、諺にさえなっている。

將東遊題壁 釋月性

男兒立志出郷關  男児 志を立てて 郷関を出づ
學若無成不復還  学 もし成るなくんば 復還らず
埋骨何期墳墓地  骨を埋むるに 何ぞ墳墓の地を
             期せんや
人間到處有靑山  人間 到るところ青山あり
--釈月性 将東遊題壁 日本漢詩選 詩詞世界 (碇豊長の詩詞 漢詩)

月性版の出だし「男兒」を毛沢東が「孩兒」にしたのは、日本語と中国語の語感の違いの問題かもしれないが、第2句で「不復還」を「誓不還」としたのは、毛少年の客気だろう。

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2007年2月 6日 (火)

ちなみに: [人人為我,我為人人] ([人人为我,我为人人]) は、よく使われる「中国語表現」である。

記事 ["One for all, and all for one" (「一人は万人のために、万人は一人のために」) に就いて] (2007年1月30日) 末尾で触れた [人人為我,我為人人] (簡体字では [人人为我,我为人人])、或いはむしろ [我為人人,人人為我] ([我为人人,人人为我]) は、よく使われる「中国語表現」である。

名人名言/經典名人名言30句」や「Yahoo! 雅虎 知识堂 [“我为人人,人人为我”出自何处?]」から分かるように、それが、アレクサンドル・デュマ・ペール (大仲马) の小説 [三銃士] ([三个火枪手] 又は [三劍客]) に由来すると云うことも、少なくともある程度は知られている(これは日本でも同様だろう)。

[雷锋纪念馆ウェブサイト中の或るページ] に見られるように、 [我為人人,人人為我] は、中国共産党が伝説的な労働英雄に仮託した期待される労働者像の属性であるだけでなく(「团结友爱,互相帮助,我为人人,人人为我的良好风气,雷锋正是在这样的时代精神熏陶下茁壮成长起来的」)、党が現在の人民に口を酸っぱくして説いている道徳律でもある。

形成我为人人、人人为我的社会氛围
2007年01月19日01:14

 ●我为人人和人人为我是辩证统一的整体,二者不能分割。只有先做到我为人人,才能实现人人为我。这种价值取向是与社会主义核心价值体系相一致的正确价值取向。
 ●我为人人、人人为我的价值取向,对国家、对社会、对他人充满责任感,是调节人际关系、维护社会秩序、促进社会和谐的润滑剂。
 推进和谐文化建设,构建社会主义和谐社会,是我们当前面临的重大战略任务。党的十六届六中全会《决定》指出,要“推动形成我为人人、人人为我的社会氛围。”和谐文化建设首先要求树立正确的价值取向。我为人人、人人为我,是处理个人与他人、个人与社会关系的正确价值取向。大力倡导我为人人、人人为我的价值取向,对于促进社会和谐具有极其重要的意义。

《人民日报》 (2007-01-19 第09版)

残念ながら、[我為人人,人人為我] が、いつごろから党中央のスローガンとして採用されたかは、確認できなかった。

北京大学付属中学の卒業生らしい [欧阳程] (北大附中63—11班) は、「1958—1963年,是国际共产主义大论战的年代,是国际风云变幻的年代;是中国人民告别大跃进、与自然灾害抗争的年代;是全国人民学雷锋,人人为我、我为人人的年代。」と回想している(难忘的五年)。

しかし、大躍進政策の惨澹たる失敗に応ずる形で毛沢東の後に劉少奇国家主席を襲ったのが 1959年4月27日、雷鋒の殉職は 1962年8月15日、毛沢東の「向雷鋒同志学習(雷鋒同志に学ぼう)」は、1963年3月5日で、若干の齟齬がある(ちなみに、所謂 [廬山会議] は、1959年7月/8月である)。どうやら、[我為人人,人人為我] は、大躍進政策の当時、既に使われていたらしい。毛沢東は、このスローガンに反対する立場を取っていたと云う。

      在群己關係上,1958年紅專討論的時候,曾有一個流行的觀點,即「人人為我,我為人人」,並把它看成是「無產階級的信條」14。毛澤東非常不以為然,他說15

    斯大林只談經濟,不談政治,雖然說忘我勞動,其實多作一小時也不行,都不能忘我。人的作用,勞動者的作用不談。如果沒有共產主義的運動,想過渡到共產主義是困難的。「人人為我,我為人人」不妥當,結果都離不開我。有人說馬克思講過的,是馬克思講過的我們可以不宣傳。人人為我,是人人都為我一個人,我為人人,能為幾個人?

    14:〈人人為我,我為人人〉,《人民日報》社論,1958年3月15日。
    15: 《毛澤東思想萬歲》(1969),頁248-49。
    --《二十一世紀》網絡版


政治関連以外のことも書いておこう。

日本語の [生活協同組合] に相当するのは "消費合作社" ("消费合作社") と呼ばれるものであるらしいが、これについて言えば、台湾 [國立勤益技術學院員生消費合作社] のスローガンは [我為人人。人人為我。互助合作。團結進步] である。

また [吴念鲁] と云う人物が亡父 [吴朗西] (吳朗西。作家、翻訳家。巴金と親交があったらしい。また、日本に留学していたことがある由) の想い出を綴った [忆父亲吴朗西] には、[吴朗西] が重慶で [消费合作社] を創設したと云うくだりがあるが、そこでも:

父亲于1939年9月回到重庆沙坪坝。后来,在父亲、巴金、田一文、陈辉等人努力下,终于在重庆民国路开办了文化生活出版社重庆分社,父亲任总经理,巴金任总编辑兼副总经理。
沙坪坝是重庆一个文化区,但是由于交通不便,销售渠道不畅通,使一些投机商人囤积居奇,特别是生活必需品的价格不断上涨,居民生活很不方便。
父亲为了改变这一状况,在他的互助、互爱、互利思想指导下,以"人人为我,我为人人"为服务宗旨,创办了消费合作社。

学校のモットーにも使われていて、香港のキリスト教系私立校 (幼稚園から、日本における高校ぐらいまでの一貫校) [民生書院 (Munsang College)] の校訓は、[人人為我,我為人人] である。

[生命保険] は、中国語では [人壽保險]。

人壽保險是「我為人人,人人為我」的經濟制度,以提供個人或家庭因生、老、疾病、殘廢及死亡所導致的生活不安定,給予確定的經濟生活保障為宗旨。
--壽險保戶手册

高尧 (高堯) と云うサッカー選手(山東魯能泰山隊所属)は、「你的座右铭是什么?」(あなたの座右の銘は?) と聞かれて、「我为人人,人人为我 」と答えている(高尧:我为人人,人人为我)。


ちなまれているのは: "One for all, and all for one" (「一人は万人のために、万人は一人のために」) に就いて

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2007年1月30日 (火)

"One for all, and all for one" (「一人は万人のために、万人は一人のために」) に就いて

記事 [「一人ひとりに、それぞれの必要に応じて。一人ひとりが、その能力に応じて。」と「全員が一人ひとりのために。一人ひとりは全員のために。」] (2007年1月26日) で書いた [三銃士 (ダルタニャン物語 第一部)] ("Les Trois Mousquetaires" 1844年) に現われる "Tous pour un, un pour tous." (「全員が一人のために。一人は全員のために。」) の対応英語形は "One for all, all for one" になる。この変異例としては "One for all, and all for one" や "all for one, one for all" 或いは "All for one, and one for all" がある。日本語の「一人は万人のために、万人は一人のために」も、この系統とみなして良いだろう。

"Voyage en Icarie ([イカリア旅行記] 第3版 1845年)" 表紙における "Tous pour chacun. Chacun pour tous." (全員が一人ひとりのために。一人ひとりは全員のために。) が、どう関わるのかは、未確認。


で、取り敢えず話を日本に限ると 「一人は万人のために、万人は一人のために」(変異例:「みんなが一人のために、一人はみんなのために」)や "One for all, all for one" 等は、様ざまな組織及び個人の pet philosophy になっている:

生活協同組合 (生協)
コープこうべ
全国生協連
大学生協
農業協同組合 (農協)。 ただし「"Each for All, All for Each (一人は万人のために 万人は一人のために)"」を採用している。
JA (農協) 東京中央会
JA 全農
JA 全中
その他の協同組合
全労済
労働組合
動労千葉
自治労群馬県本部
自治労横浜
関西合同労組
全日本郵政労働組合 英文による組織紹介のタイトルが "One for all, all for one"
チーム競技
ラグビー (愛知県「岡崎ラグビースクール」)
サッカー (神戸大学体育会サッカー部)
野球 (松坂大輔)
ソフトボール (茨城県東海村「舟石川ソフトボールスポーツ少年団」)
バレーボール (Vリーグ「トヨタ自動車」チーム)
フットサル (フットサルラボ:脱初級者フットサルブログ)
ラクロス (東京女子体育大学・ラクロス部)
駅伝 (99年北大駅伝)
モダンダンス (大東文化大学モダンダンス部)
チアリーディング (福井県 WENDYS)...
バンドスタイル又はシンガーチームスタイルのタレントの features
H.P.オールスターズ: "Hello! Project" のユニット。「ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!」は、その楽曲名。
氣志團ちゃんブログ:ONE FOR ALL.ALL FOR ONE. (2006年4月21日)
学校/課外活動のモットー
聖ドミニコ学園小学校(東京都世田谷区)
山口県立豊北高等学校
岡山県立矢掛高校吹奏楽部
学園祭・運動会のテーマ
西九州大学福祉医療専門学校・佐賀調理製菓専門学校の合同学園祭
沖縄キリスト教学院大学・沖縄キリスト教短期大学 学生会2006キリ学祭
横浜市國學院大學幼児教育専門学校“若葉祭”
文教大学付属中学・高等学校学園祭 (東京都品川区旗の台)
神戸山手女子中学校・神戸山手女子高等学校
啓新高校(福井県)
広島県立加計高等学校
大阪産業大学
横浜市立日限山中学校
舞鶴市立城南中学校
高知県立高知追手前高等学校吾北分校
山口県立南陽工業高等学校体育祭...
成人式の標語
秋田県横手市
政治家の看板文句
豊島区議会議員 池田なおひろ (自由民主党)
衆議院議員 後藤田 正純 (自由民主党)
前・衆議院議員 田中慶秋 (民主党)
山口県下関市議会議員 長ひでたつ (公明党)
千葉県浦安市議会議員 辻田あきら
福井県議会議員 のだ富久 (県民連合)
神奈川県知事 松沢成文
長野県下伊那郡下條村議会議員 宮島きよのぶ
衆議院議員 森喜朗 (自由民主党)
ブログのタイトル
多数。無慮数百あるようだ。
個人の「好きな言葉」/「座右銘」
多数。

なにか、こう目眩いがしてくるね。

保険会社も、しばしば「一人は万人のために、万人は一人のために」を標語にする:

その根拠にしているのは、ドイツ語形の "Einer für Alle, Alle für Einen" のようだ。これは、直接にはドイツ(その後米国に移住)の保険学者 Alfred Manes によるらしいが、それが更に由来するものがあるかどうかは、私には不明。

外国での対応表現の使われ方に就いて調べてみるつもりだったが、別の機会を俟つことにする。

    参考になるかもしれないサイト:
  • One for all, and all for one - Wikipedia: 記事中、"One for all, and all for one" をモットーとする団体として具体的に挙げられているのは "Hells Angels" だけである。
  • Panthéon de Paris - Wikipedia: 2002年11月30日に Alexandre Dumas がパリ・パンテオンに改葬された際に、棺にかけられた drap bleu には "Tous pour Un, Un pour Tous " と記されていたと云う (Alexandre Dumas, samedi 30 novembre 2002)。
  • Rugby School Internet Services: rugby football が始まったとされるイングランドの public school "Rugby School" のサイト。"one for all" や "all for one" に就いて特記している様子は見られない。「学校新聞」である "The Grapevine" 2006年2月号に "This term has been a pretty amazing one for all the badminton squads,..." とあるが、これは「今期は、バドミントンチームの全てが素晴らしい成績を残した」と云うこと。
  • Rugby Football Union: 英国ラグビーフットボール協会のサイト。"one for all" や "all for one" に就いて特記している様子は見られない。
  • RugbyRugby: Latest News: ラグビーフットボールの専門サイト中の記事。"one for all and all for one" と云うスローガンに就いての言及がある。
  • Unus pro omnibus, omnes pro uno - Wikipedia: ラテン語。非公式ながらもスイスの伝統的モットー。
  • Trivia for The Truman Show (1998) によれば、映画 "The Truman Show" (1998年) には、"UNUS PRO OMNIBUS, OMNES PRO UNO" が町のモットーとして登場する。この映画は、1967年のイギリステレビドラマシリーズ "The Prisoner" (「プリズナーNo.6」) を意識している。
  • Solidarität im Verfassungsstaat:「立憲国家における団結」"Einer für Alle, Alle für Einen" や Alfred Manes の話が出てくる。副題: "Grundzüge einer normativen Theorie der Verteilun" は「分配の標準理論の基本的特徴」と言ったところか。
  • 集団主義 - Wikipedia 曰わく: 「One for All , All for One」(1人はみんなのために、みんなは1人のために)というスローガンは、個人主義的な成員に、心理的に集団と一体化しよう、と呼びかける理念・イデオロギーで、1844年にイギリスで生活協同組合運動が発足したときに考案されたもの。これを西欧的集団主義と把握する考え方がある。北朝鮮はこのスローガンを愛用し、全体主義批判に対し、自国は集団主義であると反論する。
  • 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法: 第5章 [公民の基本権利及び義務] 第63条 朝鮮民主主義人民共和国において公民の権利及び義務は、「1人はみんなのために、みんなは1人のために」という集団主義原則に基づく。
  • Rochdale - Wikipedia: イングランド西北部の都市。協同組合運動 (cooperative) 発祥の地。
  • Rochdale Principles - Wikipedia: 初期協同組合運動の原則。"one for all, all for one." に類する箇条は見当たらない。
  • Statement on the Co-operative Identity - Wikipedia: "International Co-operative Alliance" (ICA 国際協同組合同盟) による協同組合運動宣言。

ついでに書いておくと "one for all, all for one." 及び "one for all, and all for one." に対応するロシア語表現は,それぞれ "Один за всех, все за одного." 及び "Один за всех и все за одного." また、イタリア語形は "Uno per tutti, tutti per uno." 及び "Uno per tutti e tutti per uno."

"Один за всех" "все за одного" が、Сергей Михайлович Эйзенштейн (セルゲイ・エイゼンシュテイン)の 映画 "Броненосец Потёмкин" (「戦艦ポチョムキン」)に出てくるらしいが、未確認(ただし "Battleship Potemkin: Scenario and script by Sergei Eisenstein" 参照)。

"One for all, all for one." は、「ユートピア/革命の昂揚」の指標であるのと同時に、「ディストピア/革命の幻滅」隠蔽の指標でもあると言うべきか。

いみじくも、アレクサンドル・デュマ・ペール (Alexandre Dumas) は、このあたりの機微を、アトスとアラミスに「手を差し出して誓え!」と迫られたポルトスが、「ブツブツ口ごもりながらも、周りの勢いに気圧されて」(Vaincu par l'exemple, maugréant tout bas)、ダルタニャンとの四人で「全員が一人のために、一人は全員のために」と唱和したと、書いていることを忘れるべきではないだろう( [ダルタニャン物語 第一部「三銃士」"Les Trois Mousquetaires"] 第9章)。


    最後に、各国語おける問題の標語を改めてまとめておこう(主な変異例がある場合には、それも付ける):
  • フランス語: "Tous pour un, un pour tous."

  • 英語: "One for all, all for one." ("One for all, and all for one." )

  • ドイツ語: "Einer für Alle, Alle für Einen"

  • 日本語: 「一人は万人のために、万人は一人のために。」(「みんなは一人のために、一人はみんなのために。」)

  • イタリア語: "Uno per tutti, tutti per uno." ("Uno per tutti e tutti per uno.")

  • ラテン語: "Unus pro omnibus, omnes pro uno"

  • ロシア語: "Один за всех, все за одного." ("Один за всех и все за одного.")


    補足
  • スペイン語: "uno para todo, todo para uno." ("uno para todo y todo para uno.")

  • オランダ語: "Een voor allen, allen voor een." ("een voor allen en allen voor een.")

  • ポルトガル語: "um para todos, todos para um." ("um para todos e todos para um.")

  • 中国語形: "我為人人,人人為我" らしい。(中国語ウィキペディアのスイスの項 "瑞士" による。) "one" には「我」、"all" には「人人」が当てられているのが興味深い。

  • ハングル: "전체는 하나를 위해, 하나는 전체를 위해" 「チョンチェヌン ハナルル ウィフィェ, ハナヌン チョンチェルル ウィフィェ」か? (ハングル版ウィキペディアのスイスの項 "스위스" による。"전체"「チョンチェ」は「全体」の意、"는"「ヌン」は主題を表わす格助詞、"하나"「ハナ」は数詞「一」、"를"「ルル」は目的格助詞、"위해"「ウィフィェ」は目的を表わす用言「為である」。)


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2007年1月26日 (金)

「一人ひとりに、それぞれの必要に応じて。一人ひとりが、その能力に応じて。」と「全員が一人ひとりのために。一人ひとりは全員のために。」

記事 [メモ: John Lennon "Imagine"] (2007年1月4日) において、

No need for greed or hunger" などマルクスが「ゴータ綱領批判」(Karl Marx - Kritik des Gothaer Programms) で示した共産主義社会における生産と供給との関係のスローガン "Jeder nach seinen Fähigkeiten, jedem nach seinen Bedürfnissen! (一人ひとりが、それぞれの能力に応じて! 一人ひとりに、それぞれの必要に応じて!)" を連想させる(ただし、人間性の理解に就いては若干浅薄ながらも秀逸なこのキャッチコピーは、マルクスの独創ではないらしい)。

と書いたが、これは Étienne Cabet (エチエンヌ・カベー。1788年1月I日-1856年11月9日) が、彼の著作 "Voyage en Icarie ([イカリア旅行記] 初版 1840年)" 第3版(1845年)の表紙に、

A chacun suivant ses besoins. De chacun suivant ses forces.
一人ひとりに、それぞれの必要に応じて。一人ひとりが、その能力に応じて。
("forces" を 「諸力」と訳す向きもあるようだが、これは「能力」と訳す方が良いと思う。)

と掲げているのを踏まえている。

なお "Voyage en Icarie" の表紙には、次の言葉も見られる。

Tous pour chacun. Chacun pour tous.
全員が一人ひとりのために。一人ひとりは全員のために。

これと類似するモットーに "Tous pour un, un pour tous." (「全員が一人のために。一人は全員のために。」)と云うものがある。これは、アレクサンドル・デュマ・ペール (Alexandre Dumas, 1802年7月24日-1870年12月5日) の小説 [三銃士 (ダルタニャン物語 第一部)] ("Les Trois Mousquetaires" 1844年) 第9章末尾近くに登場する。

-Et maintenant, messieurs, dit d'Artagnan sans se donner la peine d'expliquer sa conduite à Porthos, tous pour un, un pour tous, c'est notre devise, n'est-ce pas ?
– Cependant… dit Porthos.
– Étends la main et jure ! » s'écrièrent à la fois Athos et Aramis.
Vaincu par l'exemple, maugréant tout bas, Porthos étendit la main, et les quatre amis répétèrent d'une seule voix la formule dictée par d'Artagnan :
« Tous pour un, un pour tous. »
« C'est bien, que chacun se retire maintenant chez soi, dit d'Artagnan comme s'il n'avait fait autre chose que de commander toute sa vie, et attention, car à partir de ce moment, nous voilà aux prises avec le cardinal. »
--Les Trois Mousquetaires - Chapitre 9 - Wikisource
(文脈をチェックしていないので、心許ないが、一応訳を付けておく。)
ダルタニャンは、ポルトスには自分の振る舞いの訣を敢えて説明せずに、こう言った:「だって諸君、『全員が一人のために、一人は全員のために』と云うのが僕らの合い言葉だったんじゃなかったっけ?」
「しかしなぁ...」とポルトス。
「手を差し出して誓え!」アトスとアラミスとが同時に叫んだ。
ブツブツ口ごもりながらも、他の三人が手を差し出したのに気圧されて、ポルトスも手を差し出した。四人の朋友は、ダルタニャンが定めた「決め科白」を声を揃えて繰り返したのだった:「全員が一人のために、一人は全員のために。」
「これでよしと。各自、一旦自分のところに戻ること。」ダルタニャンは、生まれてこのかた命令ばかりしてきたかのような口振りで言った。「ただし、すぐに出発するぞ。今度は枢機卿との戦いだ。」

日本語版ウィキペディア [(ダルタニャン物語)] によれば「原作でこの言葉が登場するのは、手を重ねて誓いを立てた1度きりで、この合言葉で銃士たちが剣を掲げる場面は登場しない」とのこと( [三銃士たちの合言葉] の項参照)。

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2007年1月18日 (木)

英語での火災放送の文例

英語での火災放送の文例を探して、このサイトに来た方がいるようなので、幾つか探してみた。以下で間に合えばよいのだが...

しかし、その前に内容をまとめておこう。

1. 変異はあるのだが、基本は "Code Red" に、火災の発生(可能性の段階を含む)場所の情報を付け加えると云うものだ。前置詞は特に必要ではない。そして、通常これを3回繰り返すらしい。
2. "Code Red" を火災以外の場合(例えば「学校敷地に不審者がした」とか)にも使用するような施設では、"Code Red" の後に "Fire" の一語を続けて言うことがあるらしい。
3. 鎮火等で、危険がなくなった事を伝える際には、"Code Red + 該当箇所" を言ってから、"All Clear." と言う。
4. 「火災訓練」ではないことを明示したい場合は "This is not a drill." を最後に付け加える。更には、"This is not a drill. Repeat: This is not a drill." とダメ押しすることもあるようだ。「これは訓練ではない。繰り返す。これは訓練ではない。」と云うヤツだ。

と云う訣で以下の通り:

1. Telecommunications Emergency Procedures and Contingency Plans
Immediately upon receiving a call from University Police informing the operator of a fire, and/or upon hearing the alarm bells, the operator will announce the following over the overhead page system (the message is repeated three times).
  "Code red nursing station________room _________."
  "Code red nursing station________room _________."
  "Code red nursing station________room _________."
If the location is other than at a nursing station, give the proper location of the fire by announcing (the message is repeated three times):
  "Code red location_______."
  "Code red location_______."
  "Code red location_______."
All subsequent overhead announcements for fire emergencies will be Originated from the hospital administration office.

2. BOSTON UNIVERSITY MEDICAL CAMPUS Safety and Disaster Manual "Safety and Disaster Manual"
Page Operators will send a group page upon instruction from the Control Center. Page script example: "CODE RED L BUILDING 6 TH FLOOR". (Operator Services maintains a current Code Red Page list). Page Operators will also send pages to clear fire alarms upon BFD approval. Example: "CODE RED L6 ALL CLEAR".

3. Thomas Jefferson University - Department of Environmental Health and Safety: Fire Manual
The Fire Alarm
A CODE RED announced over the paging system means "Fire or Fire Drill." The telephone operator will repeat this three times, followed each time by the location of the alarm. For example, if there is a fire on the 7th floor Thompson, it will be announced:
  "CODE RED, 7th floor, Thompson."
  "CODE RED, 7th floor, Thompson."
  "CODE RED, 7th floor, Thompson."
When the alarm is over, the telephone operator will announce:
  "CODE RED, 7th floor, Thompson, All Clear."

4. MEDICAL UNIVERSITY OF SOUTH CAROLINA (MUSC) "FIRE /LIFE SAFETY FIRE REACTION PLAN" Revised
A message will be broadcast over the fire alarm public address system, "Code Red", and announce the location of the fire (e.g., 6th Floor).

5. Duke University Safety Manual: "OCCUPATIONAL AND ENVIRONMENTAL SAFETY OFFICE SITE SPECIFIC FIRE PLAN" Part II General Statement
"ATTENTION PLEASE - CODE RED HAS BEEN REPORTED IN YOUR ZONE. IF RELOCATION IS NEEDED, MOVE ALL PERSONS TO YOUR DESIGNATED EVACUATION ZONE".
  本稿の話題とは外れるが、"EVACUATION ZONE" が「退避勧告/命令対象範囲」ではなく、いわゆる「避難地域」として使われている例であることに注意。([災害(地震)対策文書中の用語「避難所/避難場所」の英訳としての "evacuation area" に就いて] 参照)。

6. ITASCA RESOURCE CENTER EMERGENCY PROCEDURES
The Front Desk will sound the Building-wide Alarm and announce "CODE RED, Fire, Location if known, Please evacuate the building" over the building-wide intercom three times.

7. Hospital Emergencies
Samples of Hospital Emergency Codes (these terms may differ for different hospitals)
All of these codes are usually announced over the hospital intercom, along with the exact location (floor and/or unit) where the emergency is taking place (for example, "Code Red, Unit 5700"). When the emergency no longer exists, an "All Clear" announcement is made and repeated 3 times over the intercom. ("Code Red 5700 all clear. Code Red 5700 all clear. Code Red 5700 all clear.").

8. Carolinas HealthCare System: Safety and Security Module for Temporary Staff, Students, and Volunteers
"Attention please, Code RED," [this is repeated three times, along with the location of the fire. Chimes and strobe lights will also be activated where located.

9. BOISE VA MEDICAL CENTER: ORIENTATION
Fire alarm pull boxes are located by all exits and at nurses' stations on the medical wards. The fire alarm is a chime and strobe light that only activates in the building where the alarm is activated. There will be an overhead page for "Code Red Building ___," which will be repeated three times.

10. Code Red
Code Red!...Code Red!...Dick Cheney's pants are on fire and the entire White House is in danger of being totally engulfed and consumed!
  この最後の例は、火災放送の文例がパロディ的に使われている例。Dick Cheney は、現アメリカ合衆国副大統領。字面から言えば「尻に火がついた」と云うところだが、含意は別で "Dick Cheney's pants are on fire" は "Liar, Liar, Pants On Fire" と云う、子どもの囃し言葉を踏まえている。


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2006年11月12日 (日)

米国特許5193056(シグナチャ特許/"Hub and Spoke"特許)の要約・発明の背景・独立クレームの翻訳(再編集版)

本稿は、 [nouse] において、[ゑびすや] が2005年8月4日(木)に公表した「米国特許5193056(シグナチャ特許/"Hub and Spoke"特許)要約・発明の背景・独立クレーム」を、英文と和訳文とがパラグラフ毎に並記されるよう再編集したものである。また、この機会に翻訳の補正を行なった(元になった記事に就いても対応する補正をしてある)。


本件は、ビジネスモデル特許が注目を集めるきっかけとなった Signature Financial Group Inc. の所謂「シグナチャ特許」(あるいは "Hub and Spoke" 特許)である。

米国特許 No.5,193,056 (R. Todd Boes. March 9, 1993) の要約・発明の背景・独立クレームの訳文。


Data processing system for hub and spoke financial services configuration
ハブ及びスポーク型構成金融サービス用データ処理システム


Abstract
要約

A data processing system is provided for monitoring and recording the information flow and data, and making all calculations, necessary for maintaining a partnership portfolio and partner fund (Hub and Spoke) financial services configuration. In particular, the data processing system makes a daily allocation of assets of two or more funds (Spokes) that are invested in a portfolio (Hub). The data processing system determines the percentage share (allocation ratio) that each fund has in the portfolio, while taking into consideration daily changes both in the value of the portfolio's investment securities and in the amount of each fund's assets. The system also calculates each fund's total investments based on the concept of a book capital account, which enables determination of a true asset value of each fund and accurate calculation of allocation ratios between the funds. The data processing system also tracks all the relevant data, determined on a daily basis for the portfolio and each fund, so that aggregate year-end data can be determined for accounting and for tax purposes for the portfolio and for each fund.
パートナーシップ・ポートフォリオとパートナー基金(ハブとスポーク)からなるよう構成した金融サービスを維持するのに必要な、情報フロー及びデータの監視・記録、並びに、全ての計算を行うデータ処理システムが提示されている。前記データ処理システムは、特に、ポートフォリオ(ハブ)に投資された複数の基金(スポーク)の資産配分を日々行う。前記データ処理システムは、ポートフォリオの投資証券価値及び各基金資産額双方の日々の変化を勘案しつつ、ポートフォリオにおける各基金の保有率(配分率)を決定する。また、前記システムは、簿価資本勘定 (book capital account) と云う概念に基づいて各基金の投資総額を計算するので、各基金の真の資産価値を決定し、基金間の配分比を正確に計算することが可能になる。また、前記データ処理システムは、ポートフォリオと各基金に対し日次ベースで決定される全ての関連データを追跡していくので、ポートフォリオ及び各基金に関する会計処理及び税務対策のための総合的な年度データを決定することができる。


訳注:上記要約で "partner fund" は「パートナーファンド」ではなく「パートナー基金」と訳してある。これは、他の箇所で無限定の "fund" を「基金」と訳してあるのにそろえるためである。


BACKGROUND OF THE INVENTION
発明の背景


Investment vehicles such as mutual funds have certain operating costs. To name just a few expenses, every fund, including institutional funds (whose investors are financial institutions), pays an investment advisory fee to an investment adviser who invests the fund's assets, custodian fees to a custodian for the safekeeping of the fund's assets, portfolio accounting fees for the determination of the fund's asset value and income, shareholder servicing fees to various entities which provide investors with information and services regarding the fund, an audit fee to the fund's independent accountants who review the fund's financial statements, and a legal fee for counsel to represent the fund and each of its independent trustees. A retail fund (one whose investors are largely individuals) incurs the same kinds of expenses as an institutional fund, although certain expenses, such as shareholder servicing fees and distribution (12b-1) fees, will be larger for a retail fund, since individual investors need more services than do sophisticated institutional investors.
投資信託などの投資ビークルには、一定の運用コストがかかる。そうした費用の幾つかだけでも挙げてみると、機関基金(投資家が金融機関であるもの)を含めて、どの基金であっても、基金資産を投資する投資顧問への投資顧問料、基金資産の保護預かりを行うカストディアンへの料金、基金資産価値及び収益を決定するためのポートフォリオ会計処理料、基金に関する情報及びサービスを投資家に提供する様々な事業主体への株主サービス料、基金の財務諸表を検討するため基金が選定した独立会計士への会計監査料、基金及び基金から独立した個々の受託者を代理する弁護士への弁護料を支払っている。リテール資金(大多数が個人投資家からなるもの)でも、機関資金と同種の費用が発生するが、個人投資家には、熟練した機関投資家よりも必要となるサービスが多いから、リテール資金では、株主サービス料や配当料 (12b-1 フィー) など、ある種の支出は機関資金より増えることになろう。


訳注
::上記の "(12b-1)" は、米国で投資信託に基金資産から毎年引き落とすことが認められている販売経費。「1940 年投資会社法」に基づく証券取引委員会 (Securities and Exchange Commission) の規則 "12b-1" に由来する。


Having a large amount of assets results in various economies of scale in fund operating costs. Since many of a fund's expenses are independent of the fund's asset base, a larger fund asset base produces a lower operating expense ratio (expenses to assets), which increases the net investment performance of the fund. Also, since larger funds purchase securities in larger denominations, they are able to bargain for higher yields (on bonds and other debt securities) or pay lower brokerage commissions (on equity securities) than a smaller fund can.
巨額の資産を保有すると、基金運用コストに様々な「規模の経済性」が効いてくる。基金の支出の多くは、基金の資産基盤とは独立しているため、資産基盤が大きくなると、その分、運用費用率(費用対資産)が減少し、基金の純投資効果が増大する。また、基金が大きいと、証券を大きな額面金額で購入することになるので、(債券その他の負債証券において)高めの利回りで取り引きを行うことや、(持分証券において)基金が小さい場合より低い仲介手数料支払いで済むことが可能になる。


One way to achieve a large asset base is to combine assets of two or more mutual funds or other collective investment vehicles (hereafter referred to as funds). Current laws, however, place several restrictions on commingling the assets. A newly developed financial services configuration, called "Hub and Spoke" (a service mark of Signature Financial Group, Inc.), does allow for commingling the assets of two or more mutual funds. This financial services configuration involves an entity that is treated as a partnership for federal income tax purposes and that holds the investment portfolio (hereafter referred to as the partnership portfolio) and funds that invest as partners in the partnership portfolio.
大きい資産基盤を実現する一つの方法としては、複数の投資信託その他の集団投資ビークル(以下「基金」と呼ぶ)の資産を結合することがある。しかし、現行法は、資産の混和に幾つかの制限を課している。「ハブ・アンド・スポーク "Hub and Spoke"」 ( シグナチャ・ファイナンシャル・グループ・インコーポレーティド "Signature Financial Group, Inc." のサービス・マーク) と呼ばれる、新開発の金融サービス構成では、複数の投資信託の混和が可能になる。この金融サービス構成は、連邦所得税上パートナーシップとしてみなされ、投資ポートフォリオ(以下「パートナーシップ・ポートフォリオ」と呼ぶ)と、そうしたパートナーシップ・ポートフォリオのパートナーとして投資を行う基金とを保有する事業主体を利用する。


Under the partnership portfolio and partner fund configuration, each of several funds, called "Spokes" (a service mark of Signature Financial Group, Inc.), can be a mutual fund registered under the Investment Company Act of 1940 (the "1940 Act") and the Securities Act of 1933 (the "1933 Act"). In addition to mutual funds, a "Spoke" (a service mark of Signature Financial Group, Inc.) may also be a pension fund (subject to ERISA), a common trust fund (regulated by various banking regulators), an insurance company separate account, or a non-U.S. domiciled investment fund In addition, a partnership portfolio, called the "Hub" (a service mark of Signature Financial Group, Inc.), is established, and each fund is an investor in the partnership portfolio. The partnership portfolio is registered under the 1940 Act (since it is an investment company), but its shares are not registered under the 1933 Act. Individuals cannot invest directly in the partnership portfolio. Its only investors are the funds, each of which invests 100% of its assets in the portfolio.
パートナーシップ・ポートフォリオ=パートナー基金構成にあっては、複数ある基金のうちの個々の基金 --「スポーク "Spoke"」( シグナチャ・ファイナンシャル・グループ・インコーポレーティドのサービス・マーク)と呼ばれる -- は、「1940 年投資会社法 Investment Company Act of 1940」(「投資会社法」)及び「1933 年証券法 Securities Act of 1933」(「証券法」)のもとで登記された投資信託と云うこともありうるが、「スポーク "Spoke"」(シグナチャ・ファイナンシャル・グループ・インコーポレーティドのサービス・マーク)には、投資信託の他にも、年金基金(従業員退職給付保障法 -- ERISA: Employment Retirement Income Securities Act -- の管轄下にある)、共同信託基金(様々な銀行業務規制担当者の管掌下にある)、保険会社の分離勘定、米国外居住者による投資基金がなってもよい。更に「ハブ "Hub"」(シグナチャ・ファイナンシャル・グループ・インコーポレーティドのサービス・マーク)と呼ばれるパートナーシップ・ポートフォリオが設立され、各基金は、そのパートナーシップ・ポートフォリオにおける投資家となる。そのパートナーシップ・ポートフォリオは(投資会社であるから)「投資会社法」に従って登記されるが、その株式は「証券法」に従った登記はされない。個人は、このパートナーシップ・ポートフォリオへの直接投資をすることはできない。その投資家は、基金のみであり、そうした各基金は、ポートフォリオの資産群の 100% を投資する。


訳注
::上記の "investment fund In addition" は、当然 --investment fund. In addition-- と読むべき。


Although the portfolio may legally be a trust or other entity, it is considered to be a partnership for tax purposes. As a partnership, it receives "flow-through" tax treatment and, so, the portfolio does not pay taxes, but rather all economic gain or loss flows through to the portfolio investors. Mutual funds must rely on qualifying for "regulated investment company" ("RIC") status under the Internal Revenue Code (the "Code") to avoid taxation. The RIC provisions of the Code generally prevent mutual funds from investing in other types of funds and impede the division of a single mutual fund into multiple mutual funds. These RIC provisions also lead to economic distortions and inequities among shareholders which will be discussed below.
このポートフォリオは、法律的には信託又は他の事業主体でありうるが、税法上はパートナーシップとみなされる。パートナーシップとして、このポートフォリオは、税制上「通り抜け的」取り扱いを受けるため、税の支払いを行うことはなく、全ての経済的損益は、ポートフォリオの投資家側に通り抜ける。投資信託が課税回避するには、内国歳入法(「歳入法」)上、「適格投資会社」(RIC: regulated investment company) の要件を満たす必要がある。歳入法の適格投資会社条項は、投資信託が他の種類の基金に投資することを禁止しており、また、単一の投資信託が複数の投資信託に分割することを妨げている。また、こうした適格投資会社条項は、以下に論ずるような、株主間における経済的歪みや不均衡をもたらしている。


訳注::
上記訳文において "flow-through" に対する「通り抜け的」と云う訳語に就いては、「大蔵省財政金融研究所」(現在、財務省財務総合政策研究所)「フィナンシャル・レビュー」November-1995 所収の「投資信託の税制」(田邊 曻:日本投資信託制度研究所理事長 大蔵省財政金融研究所特別研究官)の p.31 を参照のこと。


With the assets of two or more funds combined in the portfolio, the economies of scale described above can be more fully realized. The assets of different types of investment vehicles may now be commingled, resulting in more efficient and effective investment management. While all funds can benefit from Hub and Spoke services, a fund with a small amount of assets, which ordinarily would not be a viable fund because it would have a prohibitively high operating expense ratio, can now be established on a cost-effective basis by investing its assets in a portfolio. Investing in a portfolio also provides the new fund with an investment history, which makes the fund more attractive to investors. Therefore, a mutual fund sponsor can more efficiently organize a new mutual fund to be offered to customer markets which previously could not be economically accessed by that sponsor.
ポートフォリオにおいて組み合わされた複数の資産に対しては、上記の規模の経済性が一層充分に働くことが可能になる。異なる種類の投資ビークルの資産が融合できるようになっているので、投資管理が一層効率的・効果的に行なえるようになっている。全ての資金が、ハブ・アンド・スポーク型サービスによる利益を受けることができるわけだが、小額資産の基金に就いて言えば、通常は運用費用率が高くなり過ぎてしまうために、基金として実際的であり得ないのが普通だったが、資産をポートフォリオに投資することで、費用効果性がある仕方での設立が可能になっている。また、ポートフォリオへの投資は、新規基金に投資履歴を付与するため、そうした資金を、投資家にとって一層魅力のあるものにする。これによって、以前は経済的に参入不可能であったような顧客市場にも提示できるような新規投資信託を一層効率的に設立することが、投資信託の主催者にとり可能になった。


Because the portfolio is not a mutual fund, it is not subject to certain economic distortions and inequities that are inherent to normal mutual fund investing. Consider a first fund which invests in a second mutual fund just before the second fund distributes its capital gains. The first fund realizes capital gains from this distribution, as does every shareholder of the second fund. The first fund, however, has not actually realized any gain in the value of the second fund, and so the second fund is merely returning a portion of the first fund's original investment. The first fund is required to pay tax on part of its original investment or, if it is a mutual fund, pass such tax on to its shareholders. Thus a return of investment becomes subject to tax.
ポートフォリオは、投資信託ではないため、正規の投資信託での投資に付き纏う或る種の経済的歪みや不均衡には陥らない。基金「甲」が、投資信託である基金「乙」に、「乙」によるキャピタルゲインの配当直前に投資した場合を考えると、「乙」の全ての株主同様、この配当により「甲」もキャピタルゲインを実現する。しかし、実際には「甲」は「乙」の価値における利益の実現をしていないのだから、「乙」は、「甲」の当初の投資の一部を返還するに過ぎない。「甲」は、当初投資の一部に対し税金を支払うことが求められるか、あるいは、投資信託の場合は、そうした税金は、その株主に転嫁される。つまり、投資利益が課税対象となるのである。


Unlike a mutual fund, the portfolio makes daily allocations of income, capital gains, and expenses or investment losses, rather than actual distributions. These daily allocations, which are determined and managed by the data processing system and method disclosed herein, are based on an "allocation ratio" which is further described below. Such daily allocations avoid economic distortions and inequities by directly allocating the appropriate economic benefit and loss to each shareholder on that day. Mutual funds merely distribute income, and gain or loss, to whatever shareholders happen to exist on an arbitrary date when a distribution is made. While such gain or loss is taken into account in between such distributions through the determination of the net asset value of the mutual fund's shares, it is the distribution of the gain or loss which creates a taxable gain or loss for a shareholder. The Hub and Spoke financial services configuration thus avoids this disadvantage by more accurately matching economic and taxable income.
投資信託の場合と異なり、ポートフォリオは、実際の配当を行うのではなく、収益、キャピタルゲイン、そして費用又は投資損失の配分を日々行う。この日々の配分は、以下に記載する「配分比」に基づいて、本明細書に開示されたデータ処理システム及び方法により決定・管理される。こうした日次配分は、その日に、適切な経済的利得及び損失を各株主に直接配分することで、経済的歪み及び不均衡を回避する。投資信託は、配当が行なわれた任意の日付にたまたま株主であったたらば誰であっても、それに対し収益及び損益の配当を行うだけである。そうした配当どうしの間に、投資信託株式の純資産価値の決定を通じて、そうした損益が考慮に入れられるとは言え、株主にとって課税対象となる損益を発生させるのは、その損益配当である。そこで、ハブ・アンド・スポーク型金融サービス構成は、経済的な課税対象収益を整合化することでこうした欠点を解消する。


The partnership portfolio and partner fund configuration presents great administrative challenges. Because each of the partners in the portfolio is some type of fund, the assets of which change daily as customers make further investments or withdrawals, the partnership interest of each fund varies daily. For example, consider a portfolio made up of Funds A and B. Assume that at the start of the day Fund A has $750,000 invested in the portfolio and Fund B has $250,000 invested. The portfolio has $1,000,000 in assets with Fund A having a 75% share and Fund B having a 25% share. Next, assume that by the end of the day the portfolio has not changed in value due to market fluctuations, but that additional purchases by fund shareholders have given Fund A $800,000 in assets and Fund B $275,000 in assets. The portfolio has grown to $1,075,000 in assets, with Fund A having a 74.4% share and Fund B having a 25.6% share.
パートナーシップ・ポートフォリオ=パートナー基金構成は、管理上大きな問題がある。ポートフォリオの各パートナーは、何らかの種類の基金であるから、その資産は、顧客が投資を追加したり引き上げたりするのに応じて、日々変化するため、各基金のパートナーシップ持分は、日々変動する。例えば、基金 A と基金 B とからなるポートフォリオを考える。一日の寄りつきに、ポートフォリオに対し、基金 A が $750,000 投資し、基金 B が $250,000 投資していたとする。ポートフォリオの資産は $1,000,000 であり、基金 A の分担所有権は 75% となり、基金 B の分担所有権は 25% となる。次いで、その日の大引けでは、市場変動によるポートフォリオ価値の変化は無かったが、基金株主の追加購入により、基金 A の資産は $800,000 になり、基金 B の資産は $275,000 になったとする。ポートフォリオの資産は $1,075,000 に増大しており、基金 A の分担所有権は 74.4% となり、基金 B の分担所有権は 25.6% となる。


Further complexities arise as the value of the portfolio assets rise and fall or as additional funds invest in the portfolio (or as existing funds withdraw their investments entirely). Additionally, as in any mutual fund complex, many Hub and Spoke structures may be administered simultaneously. A new and unique data processing system and method is necessary to enable accurate daily allocations to be made among each of the funds in a portfolio. Also, each such daily allocation is comprised of various economic components--income, gain, loss, expenses. These various components must be isolated and aggregated, on a continual basis, for both non-tax accounting purposes and, again (in separate accounts), for tax purposes.
ポートフォリオの資産価値は増減したり、また、ポートフォリオへの追加資金投資があるため(又は、既存の基金がその投資全額を引き出したりするため)、さらに複雑性が増す。その上、投資信託における複雑性と同様、多くのハブ・アンド・スポーク型構造が同時に管理されることもありうる。ポートフォリオの各基金に対して日々の配分を正確に行なえるようにするためには、新規で独創的なデータ処理システム及び方法が必要である。また、そうした日次配分は、それぞれ、様々な経済要素 -- 収益、損失、支出 -- からなる。こうした様々な要素は、非課税会計処理上、そして、やはり(分離勘定においては)税法上、継続的に分離されたり総合されたりする必要がある。


Economic inaccuracies would appear over time if daily allocations were not made. Such inaccuracies will arise since typically a mutual fund will not actually allocate or pay out on a daily basis the economic components of the fund's economic experience for that day. Depending on a particular fund's prospectus, actual cash distributions can be made monthly, quarterly, or as otherwise so determined.
日次配分が行なわれないとすると、時間経過に伴って、経済上の不正確性が現われることになろう。こうした不正確性は、典型的には投資信託が、基金にその日発生した経済的出来事の経済的要素を日次ベースで実際に配分、つまり、清算しないために発生する。実際の現金配当は、個別の基金の事業目論見に応じて、月毎、四半期毎、その他の所定期間毎に行なってよいことになっているのである。


Were the partnership portfolio structured as a mutual fund, which makes distributions on a periodic basis, income earned on a given day, if not allocated on that day would result in an increase in capital value of the fund as a whole, rather than in income received by a particular investor; similarly, expenses incurred, if not allocated on that day, would result in a decrease in capital value of the fund as a whole, rather than as a decrease in income for a particular investor. The data processing system and method of the present invention will allow each fund to recognize on its balance sheet its fair share of economic benefit or loss experienced by the portfolio on that day.
資信託として構成されたパートナーシップ・ポートフォリオの場合、配当が期間ベースで行なわれるものであるならば、所定の日に得られた収益は、その日に配分されない限り、特定の投資家が受け取る収益の増加ではなく、基金全体の資本価値の増加に繋がることになる。同様に、費用が発生して、その日に配分されない場合、特定の投資家の収益が減るのではなく、基金全体の資本価値の減少に繋がることになる。本発明のデータ処理システム及び方法によるなら、各基金は、そのバランスシート上において、その日のポートフォリオに生じた経済的利益又は損失の公正な割当分を把握することができる。


A unique method has been developed to calculate accurately the fund allocation ratios. Each fund has a book capital account, which represents each fund's total investment in the portfolio including all earned, but undistributed, economic benefit. This book capital account for each fund includes the previous day's fund shareholder purchases and redemptions, the fund's proportional share of daily portfolio income and expenses, and the fund's share of daily portfolio realized and unrealized gain or loss.
基金の配分比を正確に計算する独自な方法が開発されたのである。各基金には、獲得されてはいるが配当されていない全ての経済的利益からなるポートフォリオへの各基金の投資額全体を表わす簿価資本勘定 (book capital account) が設けられている。各基金に対する、この簿価資本勘定には、前日の基金株主の買入及び償還と、日次ポートフォリオ収益・損失での基金の比例割当分と、日次ポートフォリオ損益(「確定」か「含み」かにかかわらず)での基金の割当分とが含まれる。


On each fund's first day as a portfolio investor, or on the beginning of each fiscal year that a fund continues to participate in a Hub and Spoke configuration, its respective share ownership in the portfolio is determined by its relative percentage of the total dollar amount of investments in the portfolio. Thereafter, the fund's allocation percentage is adjusted through proper adjustments to the book capital account balances of the participating funds (which a data processing system according to the present invention determines daily). The respective fund book capital accounts, which change every day, continually indicate the accurate relative ownership of the portfolio by each fund. Each fund's book capital account will be either increased or decreased daily depending upon the following:
(a) increased by any capital contributions (purchases by fund shareholders) made by the fund to the portfolio;
(b) decreased by any distributions (including portfolio expenses and redemptions by fund shareholders) made to the fund by the portfolio;
(c) increased by any increase in net unrealized gains or decrease in net unrealized losses allocated to the fund;
(d) decreased by any decrease in net unrealized gains or increase in net unrealized losses allocated to the fund; and
(e) increased or decreased by the amount of profit (portfolio income) or loss (portfolio expenses), respectively, allocated to the fund.
各基金のポートフォリオ投資家としての初日、つまり、基金が継続してハブ・アンド・スポーク型構成に参加する各会計年度の当初では、各資金のポートフォリオにける夫々の所有権割当分は、そのポートフォリオへの投資総額に対する相対割合により決定される。その後は、基金の配分率は、(本発明のデータ処理システムが日次決定する)参加基金の簿価資本勘定残高に対する適切な調整を通じて、調整される。各基金の簿価資本勘定は、日々変化し、ポートフォリオにおける各基金の正確な相対的所有権を、連続的に示すことになる。各基金の簿価資本勘定は、以下のように日々増大又は減少する:
(a) 基金がポートフォリオに対し行う何らかの資本供与(基金株主による買入)に応じて増加する。
(b) ポートフォリオが基金に対し行う何らかの配当(ポートフォリオ支出及び基金株主による償還等)に応じて減少する。
(c) 基金に配分される含み利益の何らかの増大、又は、基金に配分される含み損失の何からの減少に応じて増大する。
(d) 基金に配分される含み利益の何らかの減少、又は、基金に配分される含み損失の何からの増大に応じて減少する。
(e) 基金に配分される利益(ポートフォリオ収益)又は損失(ポートフォリオ支出)のそれぞれに応じて増大又は減少する。


A data processing system and method according to the present invention successfully determines each of these ever changing, and interrelated, accounts. By calculating the daily adjusted total investments for each fund according to the concept of a book capital account, the allocation ratios may be calculated accurately. The data processing system also determines, each day and over time, data necessary for calculating aggregate year-end income, expenses, and capital gain or loss for tax and accounting purposes.
本発明のデータ処理システム及び方法は、こうした恒久的に変化し続け相互に関連している勘定の夫々を決定するのに成功した。簿価資本勘定の概念に従って、各基金の投資総額の調整を日々計算することで、配分比が正確に計算できる。また、前記データ処理システムは、税務及び会計処理のための統合年度末収益・損失及びキャピタルゲイン・ロスの計算に必要なデータを、毎日長期間にわたり決定して行く。


独立クレーム:

1. A data processing system for managing a financial services configuration of a portfolio established as a partnership, each partner being one of a plurality of funds, comprising:
(a) computer processor means for processing data;
(b) storage means for storing data on a storage medium;
(c) first means for initializing the storage medium;
(d) second means for processing data regarding assets in the portfolio and each of the funds from a previous day and data regarding increases or decreases in each of the funds, assets and for allocating the percentage share that each fund holds in the portfolio;
(e) third means for processing data regarding daily incremental income, expenses, and net realized gain or loss for the portfolio and for allocating such data among each fund;
(f) fourth means for processing data regarding daily net unrealized gain or loss for the portfolio and for allocating such data among each fund; and
(g) fifth means for processing data regarding aggregate year-end income, expenses, and capital gain or loss for the portfolio and each of the funds.
1. 各パートナーが複数の基金のうちの一つであるパートナーシップとして設立されたポートフォリオ構成の金融サービスを管理するデータ処理システムであって、
(a) データを処理するコンピュータ・プロセッサ手段と、
(b) 記憶媒体にデータを記憶させる記憶手段と、
(c) 前記記憶媒体を初期化する第1の手段と、
(d) ポートフォリオ及び各基金の資産に関する前日からのデータと、前記各基金・資産の増減に関するデータとを処理し、前記ポートフォリオにおける各基金の保有割当率を配分する第2の手段と、
(e) 前記ポートフォリオの日次更新する収益・支出及び確定損益に関するデータを処理し、そうしたデータを各基金に割り当てる第3の手段と、
(f) 前記ポートフォリオの日次含み損益に関するデータを処理し、そうしたデータを各基金に割り当てる第4の手段と、
(g) 前記ポートフォリオ及び各基金の総合年度末収益・支出及びキャピタルゲイン・ロスに関するデータを処理する第5の手段とからなることを特徴とする金融サービス用データ処理システム。

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2006年11月10日 (金)

米国特許5960411(ワンクリック特許)の要約・発明の背景・独立クレームの翻訳(再編集版)

本稿は、 [nouse] において、[ゑびすや] が2005年7月24日(日)に公表した「米国特許5960411(ワンクリック特許)要約・発明の背景・独立クレーム」を、英文と和訳文とがパラグラフ毎に並記されるよう再編集したものである。また、この機会に翻訳の補正を行なった(元になった記事に就いても対応する補正をしてある)。


本件は、ビジネスモデル特許として著名な、Amazon.com, Inc. の所謂「ワンクリック特許」である。

米国特許 No.5,960,411 (Hartman, et al. September 28, 1999) の要約・発明の背景・独立クレームの訳文。


Method and system for placing a purchase order via a communications network
通信ネットワークを介した購入発注方法及びシステム


Abstract
要約

A method and system for placing an order to purchase an item via the Internet. The order is placed by a purchaser at a client system and received by a server system. The server system receives purchaser information including identification of the purchaser, payment information, and shipment information from the client system. The server system then assigns a client identifier to the client system and associates the assigned client identifier with the received purchaser information. The server system sends to the client system the assigned client identifier and an HTML document identifying the item and including an order button. The client system receives and stores the assigned client identifier and receives and displays the HTML document. In response to the selection of the order button, the client system sends to the server system a request to purchase the identified item. The server system receives the request and combines the purchaser information associated with the client identifier of the client system to generate an order to purchase the item in accordance with the billing and shipment information whereby the purchaser effects the ordering of the product by selection of the order button.
インターネットを介して商品品目を購入するための発注方法及びシステム。購入者による発注は、クライアント・システム側で行なわれ、受注はサーバー・システム側で行なわれる。サーバー・システムは、クライアント・システムから、購入者識別情報、支払い情報、発送情報などからなる購入者情報を受信する。次いで、サーバー・システムは、クライアント・システムに対し、クライアント識別子を付与し、付与されたクライアント識別子に、受信された購入者情報を付随させる。サーバー・システムは、付与されたクライアント識別子と、前記商品項目を確認し且つ注文ボタンを有する HTML 文書とを、クライアント・システムに送信する。クライアント・システムは、付与されたクライアント識別子を受信・記憶し、前記 HTML 文書を受信・表示する。前記注文ボタンの選択に応じて、クライアント・システムは、確認済商品項目を購入する旨の要求を、サーバー・システムに送信する。サーバー・システムは、前記要求を受信し、クライアント・システムのクライアント識別子に付随する購入者情報を組み合わせて、代金請求及び商品発送情報に従って前記商品項目を購入すると云う注文を生成することで、購入者が注文ボタンの選択により製品の注文が行なえるようにする。


TECHNICAL FIELD
技術分野

The present invention relates to a computer method and system for placing an order and, more particularly, to a method and system for ordering items over the Internet.
本発明は、コンピュータによる発注方法及びシステムに関し、特に、インターネットを介した商品項目の注文方法及びシステムに関する。


BACKGROUND OF THE INVENTION
発明の背景

The Internet comprises a vast number of computers and computer networks that are interconnected through communication links. The interconnected computers exchange information using various services, such as electronic mail, Gopher, and the World Wide Web ("WWW"). The WWW service allows a server computer system (i.e., Web server or Web site) to send graphical Web pages of information to a remote client computer system. The remote client computer system can then display the Web pages. Each resource (e.g., computer or Web page) of the WWW is uniquely identifiable by a Uniform Resource Locator ("URL"). To view a specific Web page, a client computer system specifies the URL for that Web page in a request (e.g., a HyperText Transfer Protocol ("HTTP") request). The request is forwarded to the Web server that supports that Web page. When that Web server receives the request, it sends that Web page to the client computer system. When the client computer system receives that Web page, it typically displays the Web page using a browser. A browser is a special-purpose application program that effects the requesting of Web pages and the displaying of Web pages.
インターネットは、通信リンクを通じて相互接続された膨大な数のコンピュータ及びコンピュータ・ネットワークからなる。相互接続されたコンピュータは、電子メール、ゴーファー (Gopher)、ワールド・ワイド・ウェブ (WWW) などからなる様々なサービスに利用して情報を交換する。WWW サービスを用いると、サーバー・コンピュータ・システム(つまり、ウェブ・サーバー又はウェブ・サイト)は、情報を、グラフィカルなウェブ・ページの形で、遠隔クライアント・コンピュータ・システムへ送信できる。そうすることで、遠隔クライアント・コンピュータ・システムは、そうしたウェブ・ページを表示することができる。WWW の各リソース(例: コンピュータ又はウェブ・ページ)は、「統一資源ロケータ (Uniform Resource Locator)」(URL)により一意的に識別可能である。特定の或るウェブ・ページを閲覧する際、クライアント・コンピュータ・システムは、例えば「ハイパーテキスト転送プロトコル (HyperText Transfer Protocol)」(HTTP) 要求などのような要求において、そのウェブ・ページの URL を指定する。その要求は、そのウェブ・ページをサポートするウェブ・サーバーに送られる。前記要求を受信した前記ウェブ・サーバーは、そのウェブ・ページを、前記クライアント・コンピュータ・システムに送信する。前記ウェブ・ページを受信すると、前記クライアント・コンピュータ・システムは、典型的には、ブラウザを使って、そのウェブ・ページを表示する。ブラウザとは、ウェブ・ページを要求したり、ウェブ・ページを表示したりするのに目的を特化したアプリケーション・プログラムである。


Currently, Web pages are typically defined using HyperText Markup Language ("HTML"). HTML provides a standard set of tags that define how a Web page is to be displayed. When a user indicates to the browser to display a Web page, the browser sends a request to the server computer system to transfer to the client computer system an HTML document that defines the Web page. When the requested HTML document is received by the client computer system, the browser displays the Web page as defined by the HTML document. The HTML document contains various tags that control the displaying of text, graphics, controls, and other features. The HTML document may contain URLs of other Web pages available on that server computer system or other server computer systems.
現在のところ、ウェブ・ページは、典型的には、「ハイパーテキスト・マークアップ言語 (HyperText Markup Language)」(HTML) を使って定義される。HTML では、如何にしてウェブ・ページが表示されるべきかを定めるタグの標準的セットが提示されている。ユーザーが、ブラウザに、或るウェブ・ページを表示するよう指示すると、ブラウザは、そのウェブ・ページを定義する HTML 文書をクライアント・コンピュータ・システムに転送するようにと云う要求を、サーバー・コンピュータ・システムに送信する。要求された HTML 文書が、クライアント・コンピュータ・システムにより受信されると、ブラウザは、HTML 文書により定められている通りにウェブ・ページを表示する。HTML 文書は、テキスト、グラフィクス、コントロールその他の要素の表示を制御する様々なタグを含んでいる。そうした HTML は、そのサーバー・コンピュータ・システム又は他のサーバー・コンピュータ・システム上で閲覧可能な他のウェブ・ページの URL を含んでいることがある。


The World Wide Web is especially conducive to conducting electronic commerce. Many Web servers have been developed through which vendors can advertise and sell product. The products can include items (e.g., music) that are delivered electronically to the purchaser over the Internet and items (e.g., books) that are delivered through conventional distribution channels (e.g., a common carrier). A server computer system may provide an electronic version of a catalog that lists the items that are available. A user, who is a potential purchaser, may browse through the catalog using a browser and select various items that are to be purchased. When the user has completed selecting the items to be purchased, the server computer system then prompts the user for information to complete the ordering of the items. This purchaser-specific order information may include the purchaser's name, the purchaser's credit card number, and a shipping address for the order. The server computer system then typically confirms the order by sending a confirming Web page to the client computer system and schedules shipment of the items.
ワールド・ワイド・ウェブは、電子商取引を実施するのに特に適する。多くのウェブ・サーバーが、販売業者による製品の広告・販売を可能にする場として開発されている。そうした製品としては、購入者にインターネットを介して電子的に配達される品目(例: 音楽)もあれば、従来の配送経路(例: 運送業者)を通じて配達される品目(例: 書籍)もある。サーバー・コンピュータ・システムは、購入可能な商品項目を列挙した電子版カタログを提供することもある。潜在的には購入者であるユーザーは、そのようなカタログをブラウザで眺めて、購入すべき様々な商品項目を選択することができる。ユーザーが購入予定の品目選択を完了した際には、サーバー・コンピュータ・システムは、品目の注文を完了するための情報をユーザーが提供するよう促す。この購入者固有の注文情報には、購入者の名前、購入者のクレジットカード番号、注文に対する送り先アドレスが含まれうる。その際、サーバー・コンピュータ・システムは、典型的には、確認用ウェブ・ページをクライアント・コンピュータ・システムに送信することで注文の確認を行ない、そして商品項目発送の予定を組む。


Since the purchaser-specific order information contains sensitive information (e.g., a credit card number), both vendors and purchasers want to ensure the security of such information. Security is a concern because information transmitted over the Internet may pass through various intermediate computer systems on its way to its final destination. The information could be intercepted by an unscrupulous person at an intermediate system. To help ensure the security of the sensitive information, various encryption techniques are used when transmitting such information between a client computer system and a server computer system. Even though such encrypted information can be intercepted, because the information is encrypted, it is generally useless to the interceptor. Nevertheless, there is always a possibility that such sensitive information may be successfully decrypted by the interceptor. Therefore, it would be desirable to minimize the sensitive information transmitted when placing an order.
購入者固有の注文情報は、取り扱いに注意を要する情報(例: クレジットカード番号)を含んでいるので、販売業者及び購入者双方とも、そうした情報の安全性を確保することを望む。インターネットを介して転送される情報は、その最終目的地に至る途中で様々な介在コンピュータ・システムを通過するから、安全性問題は重要である。情報は、介在システムにおいて、不道徳な人物が傍受してしまうかもしれないからだ。取り扱いに注意を要する情報の安全性確保の一助として、そうした情報をクライアント・コンピュータ・システムとサーバー・コンピュータ・システムとの間で転送する際には、様々な暗号技術が利用されている。そうした暗号化情報も傍受されうるとは言え、暗号化されているから、おおむね、傍受者の役には立たない。それでも、そうした取り扱いに注意を要する情報の暗号解読に、傍受者が成功する可能性は常にある。従って、発注の際には、取り扱いに注意を要する情報の転送を最小限にすることが望ましいと言える。


The selection of the various items from the electronic catalogs is generally based on the "shopping cart" model. When the purchaser selects an item from the electronic catalog, the server computer system metaphorically adds that item to a shopping cart. When the purchaser is done selecting items, then all the items in the shopping cart are "checked out" (i.e., ordered) when the purchaser provides billing and shipment information. In some models, when a purchaser selects any one item, then that item is "checked out" by automatically prompting the user for the billing and shipment information. Although the shopping cart model is very flexible and intuitive, it has a downside in that it requires many interactions by the purchaser. For example, the purchaser selects the various items from the electronic catalog, and then indicates that the selection is complete. The purchaser is then presented with an order Web page that prompts the purchaser for the purchaser-specific order information to complete the order. That Web page may be prefilled with information that was provided by the purchaser when placing another order. The information is then validated by the server computer system, and the order is completed. Such an ordering model can be problematic for a couple of reasons. If a purchaser is ordering only one item, then the overhead of confirming the various steps of the ordering process and waiting for, viewing, and updating the purchaser-specific order information can be much more than the overhead of selecting the item itself. This overhead makes the purchase of a single item cumbersome. Also, with such an ordering model, each time an order is placed sensitive information is transmitted over the Internet. Each time the sensitive information is transmitted over the Internet, it is susceptible to being intercepted and decrypted.
電子カタログから様々な商品項目を選択を行うのは、一般的に「ショッピング・カート」型モデルに基づいている。購入者が、電子カタログから或る商品項目を選択すると、サーバー・コンピュータ・システムは、その商品項目を、譬えて言うなら、ショッピング・カートに入れていく。購入者の商品項目選択が完了すると、購入者が、代金請求・発送情報を提供した時点で、ショッピング・カート中の全ての商品項目が「チェックアウト」(つまり、注文)される。購入者が、何か一つの商品項目を選択するたびに、自動的にユーザーに代金請求・発送情報の提供を促して、その商品項目の「チェックアウト」が行なわれるモデルも幾つかある。「ショッピング・カート」型モデルは、非常に柔軟かつ直感的で解かりやすいとはいえ、購入者に多くの情報交換を行うよう求めると云うマイナス面がある。例えば、購入者が電子カタログから様々な商品項目を選択し、次いで、選択が終了した旨を示した際、購入者には、注文完結のために、購入者固有の注文情報を提供するよう促す注文用ウェブ・ページが提示される。そうしたウェブ・ページには、他の発注を以前行った際に購入者が提供していた情報が予め書き込まれているようにできる。そうした情報は、サーバー・コンピュータ・システムにより有効性が確かめられてから、注文が完結する。こうした注文モデルには、二つの点で問題が発生しうる。まず、もし、購入者が注文しようとする品目が一つだけの場合、注文過程の様々なステップを確認し、購入者固有の注文情報の点検・更新を待機するオーバヘッドが、商品項目選択を行うオーバヘッド自体より、遥かに大きくなる可能性がある。このオーバヘッドは、単一の商品項目の購入を煩わしいものにする。また、こうした注文モデルにあっては、発注が行なわれる度に、取り扱いに注意を要する情報がインターネットを介して転送される。取り扱いに注意を要する情報がインターネットを介して転送される度に、傍受され暗号解読される可能性がある。


独立クレーム

1. A method of placing an order for an item comprising:
under control of a client system,
displaying information identifying the item; and
in response to only a single action being performed, sending a request to order the item along with an identifier of a purchaser of the item to a server system;
under control of a single-action ordering component of the server system,
receiving the request;
retrieving additional information previously stored for the purchaser identified by the identifier in the received request; and
generating an order to purchase the requested item for the purchaser identified by the identifier in the received request using the retrieved additional information; and
fulfilling the generated order to complete purchase of the item
whereby the item is ordered without using a shopping cart ordering model.
1. 商品項目の発注方法であって、
クライアント・システムの制御下にあって
前記商品項目を確認する情報を表示する段階と、
単一の動作が実行されただけで、前記商品項目を注文する旨の要求を、前記商品項目の購入者の識別子と共に、サーバー・システムに送信する段階と、
前記サーバー・システムの単一動作注文コンポーネントの制御下にあって、
前記要求を受信する段階と、
前記受信された要求中の前記識別子により識別される購入者に関して以前から記憶されていた付加的な情報を検索する段階と、
前記検索された付加的情報を用いて、前記受信された要求中の前記識別子により識別される購入者に関して、前記要求された商品項目を購入するための注文を生成する段階と、
前記生成された注文に応じた納品を行って、前記商品項目の購入を完結する段階からなることで、
ショッピング・カート型注文モデルを用いることなく、前記商品項目が注文されるようにすることを特徴とする商品項目発注方法。


6. A client system for ordering an item comprising:
an identifier that identifies a customer;
a display component for displaying information identifying the item;
a single-action ordering component that in response to performance of only a single action, sends a request to a server system to order the identified item, the request including the identifier so that the server system can locate additional information needed to complete the order and so that the server system can fulfill the generated order to complete purchase of the item; and
a shopping cart ordering component that in response to performance of an add-to-shopping-cart action, sends a request to the server system to add the item to a shopping cart.
6. 商品項目を注文するクライアント・システムであって、
顧客を識別する識別子と、
前記商品項目を確認する情報を表示する表示コンポーネントと、
単一の動作が実行されただけで、前記確認された商品項目を注文する旨の要求をサーバー・システムに送信し、前記要求には、前記サーバー・システムが、注文完結に必要な付加的情報の所在場所を探し出すことかでき、そして、前記サーバー・システムが、前記生成された注文に応じた納品を行って、前記商品項目の購入を完結するようができるようにするために、前記識別子がふくまれるようにしてなる単一動作注文コンポーネントと、
「ショッピング・カートへの投入動作」実行に応じて、ショッピング・カートに、前記商品項目を投入させる旨の要求を前記サーバ・システムに送信するショッピング・カート注文コンポーネントとからなることを特徴とする商品項目注文クライアント・システム。


9. A server system for generating an order comprising:
a shopping cart ordering component; and
a single-action ordering component including:
a data storage medium storing information for a plurality of users;
a receiving component for receiving requests to order an item, a request including an indication of one of the plurality of users, the request being sent in response to only a single action being performed; and
an order placement component that retrieves from the data storage medium information for the indicated user and that uses the retrieved information to place an order for the indicated user for the item; and
an order fulfillment component that completes a purchase of the item in accordance with the order placed by the single-action ordering component.
9. 注文を生成するサーバー・システムであって、
ショッピング・カート注文コンポーネントと、
複数のユーザーに関する情報を記憶するデータ記憶媒体と、各々が前記複数のユーザーのうちの一人を指定する情報を含み、単一動作が実行されただけで送信される商品項目注文要求を受信する受信コンポーネントと、指定されたユーザーに関する情報を前記データ記憶媒体から検索し、前記検索された情報を、前記指定されたユーザーのために前記商品項目の発注を行うのに利用する発注コンポーネントとからなる単一動作注文コンポーネントと、
前記単一動作注文コンポーネントによる発注に従って前記商品項目の購入を完結する納品コンポーネントとからなることを特徴とする注文生成サーバー・システム。


11. A method for ordering an item using a client system, the method comprising:
displaying information identifying the item and displaying an indication of a single action that is to be performed to order the identified item; and
in response to only the indicated single action being performed, sending to a server system a request to order the identified item
whereby the item is ordered independently of a shopping cart model and the order is fulfilled to complete a purchase of the item.
11. クライアント・システムを用いて、商品項目を注文する方法であって、
前記商品項目を確認する情報を表示し、前記確認された商品項目を注文するために実行されるべき単一動作を指定する表示を行う段階と、
前記指定された単一動作が実行されただけで、前記確認された商品項目を注文する旨の要求を、サーバー・システムに送信する段階とからなることで、
前記商品項目が、ショッピング・カート型モデルとは独立して注文され、納品されて、前記商品項目の購入が完結することを特徴とするクライアント・システムを用いた商品項目注文方法。

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2006年9月21日 (木)

スターバックスのオリジナル・ロゴ


米国のスターバックス・コーヒー・カンパニー (Starbucks Coffee Company) が創業35周年と云うことで、今月(2006年9月)中は、ワシントン州 (本社がある) とオレゴン州 (ワシントン州の南隣にある) 内の店で出すコーヒーのカップに付けてあるロゴを、通常のものから差し替えてオリジナルのものにしているそうだ(ただし、こちらのロゴも「オリジナル」と呼ばれている)。

オリジナルは、胸乳を露にした双尾の人魚が、自らの二つの尾をそれぞれの手で一つづつ握り締めているように見える。実は、現在のロゴ中、女性像の両脇の文様が何であるか、私はかねがね不思議に思っていたのだが、オリジナルを見て、人魚の尾であると納得した。

ちなみに、ケント市内の小学校の校長先生が、教師たちにスターバックスのコーヒーを学校に持参する際には、スリーブで、上半身裸の人魚部分を隠すよう言った由。--The Insider: Principal roasts Starbucks over steamy retro logo. Monday, September 11, 2006

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2006年2月21日 (火)

[アメリカ合衆国大統領行政命令第9066号]訳文


以下は、2006年1月23日付の「"evacuation area" 補足 その2: 戦時における日系米人強制収容の場合」で言及したアメリカ合衆国大統領の「行政命令第9066号 (Executive Order No. 9066)」の原文と和訳文です。

Executive Order No. 9066
The President
Executive Order

Authorizing the Secretary of War to Prescribe Military Areas

Whereas the successful prosecution of the war requires every possible protection against espionage and against sabotage to national-defense material, national-defense premises, and national-defense utilities as defined in Section 4, Act of April 20, 1918, 40 Stat. 533, as amended by the Act of November 30, 1940, 54 Stat. 1220, and the Act of August 21, 1941, 55 Stat. 655 (U.S.C., Title 50, Sec. 104);

Now, therefore, by virtue of the authority vested in me as President of the United States, and Commander in Chief of the Army and Navy, I hereby authorize and direct the Secretary of War, and the Military Commanders whom he may from time to time designate, whenever he or any designated Commander deems such action necessary or desirable, to prescribe military areas in such places and of such extent as he or the appropriate Military Commander may determine, from which any or all persons may be excluded, and with respect to which, the right of any person to enter, remain in, or leave shall be subject to whatever restrictions the Secretary of War or the appropriate Military Commander may impose in his discretion. The Secretary of War is hereby authorized to provide for residents of any such area who are excluded therefrom, such transportation, food, shelter, and other accommodations as may be necessary, in the judgment of the Secretary of War or the said Military Commander, and until other arrangements are made, to accomplish the purpose of this order. The designation of military areas in any region or locality shall supersede designations of prohibited and restricted areas by the Attorney General under the Proclamations of December 7 and 8, 1941, and shall supersede the responsibility and authority of the Attorney General under the said Proclamations in respect of such prohibited and restricted areas.

I hereby further authorize and direct the Secretary of War and the said Military Commanders to take such other steps as he or the appropriate Military Commander may deem advisable to enforce compliance with the restrictions applicable to each Military area hereinabove authorized to be designated, including the use of Federal troops and other Federal Agencies, with authority to accept assistance of state and local agencies.

I hereby further authorize and direct all Executive Departments, independent establishments and other Federal Agencies, to assist the Secretary of War or the said Military Commanders in carrying out this Executive Order, including the furnishing of medical aid, hospitalization, food, clothing, transportation, use of land, shelter, and other supplies, equipment, utilities, facilities, and services.

This order shall not be construed as modifying or limiting in any way the authority heretofore granted under Executive Order No. 8972, dated December 12, 1941, nor shall it be construed as limiting or modifying the duty and responsibility of the Federal Bureau of Investigation, with respect to the investigation of alleged acts of sabotage or the duty and responsibility of the Attorney General and the Department of Justice under the Proclamations of December 7 and 8, 1941, prescribing regulations for the conduct and control of alien enemies, except as such duty and responsibility is superseded by the designation of military areas hereunder.

Franklin D. Roosevelt
The White House,
February 19, 1942.


行政命令第9066号
大統領
行政命令

陸軍長官への軍事地域指定権付与

本戦争を成功裏に遂行せしめんためには、1940年11月30日の第54会期制定法第1220号及び1941年8月21日の第55会期制定法第655号により訂正された1918年4月20日の第40会期制定法第533号(合衆国法典集第50編第104章)の第4章に定められた意味での諜報行為並びに国防用物資・国防用不動産・国防用設備への破壊行為に対抗するため、あらゆる可能な防護策をとる必要があることに鑑みて、

合衆国大統領及び陸海軍最高司令官としての私に与えられている権限により、私は今やここに、陸軍長官及び陸軍長官が随時指名する陸軍司令官に対し、陸軍長官又は陸軍長官が指名した司令官のいずれにせよ、必要又は望ましいと判断する時には何時でも、陸軍長官又は該当司令官が決定する場所及び範囲の地域を軍事地域として指定し、当該地域より、誰であるにしろ、またと、全員であるにしろ人を排除する権限を付与する。これに関連して、如何なる者の進入・滞在・離脱する権利であっても、陸軍長官又は該当陸軍司令官が自由裁量で定めることのできる如何なる規制にも従わわねばならないものとする。陸軍長官には、如何なる地域からにしろ、そこから排除された住民に対して、陸軍長官又は前記陸軍司令官の判断に従って必要と思われる交通手段・食料・避難所その他の便宜を供与し、他の措置が取られるまで、この命令の目的を達成する権限が付与される。如何なる地区又は地方であっても、軍事地域の指定は、1941年12月7日及び8日の布告に基づく司法長官による禁止及び制限地域の指定に取って代わるものであり、また、こうした禁止及び制限地域に対する前記布告に基づく司法長官の責務及び権限に取って代わるものである。

私は、さらに、陸軍長官及び前記陸軍司令官に対し、連邦軍その他の連邦機関の利用、及び州及び地方自治体の援助を受ける権限を含めて、上記において指定権限が付与された軍事地域の各々に適用される規制の遵守が履行されるようにするために陸軍長官又は該当陸軍司令官が適切と判断する他の手続きを取る権限を付与し、また、そうすることを指示する。

私は、さらに、行政省庁、独立機関その他の連邦機関の全てに対し、医療援助、医療機関への収容、食料、衣料、交通手段、土地・避難所・その他の支給品の利用、備品、設備、施設、サービスを提供するなど、本行政命令の履行において陸軍長官又は前記陸軍司令官を援助する権限を付与し、また、そうすることを指示する。

本命令は、1941年12月12日付の行政命令第8972号に基づいて従来付与されていた権限を如何なる仕方でも修正又は制限するものと看做されてはならず、また、今後の軍事地域指定により取って代わられる責務及び責任を除いて、破壊行動の疑いがある場合の捜査に関しての連邦捜査局の責務及び責任も、敵国人の行動規制及び管理を規定する1941年12月7日及び8日の布告に基づいた司法長官及び司法省の責務及び責任を修正又は制限するものと看做されてはならない。

フランクリン・D・ルーズベルト
ホワイトハウス
1942年2月19日

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2006年1月23日 (月)

"evacuation area" 補足 その2: 戦時における日系米人強制収容の場合


"evacuation area" が、災害からの避難とは別の文脈で使われることがあるので、そのことを書いておく。

1941年12月7日(ハワイ現地時間)における日本海軍の真珠湾攻撃を契機とする日米戦争中、米国大統領フランクリン・ルーズベルト (Franklin D. Roosevelt) が 1942年2月19日に出した行政命令 9066 (Executive Order 9066) に基づいて、アメリカ合衆国西海岸地域(ワシントン州西部、オレゴン州西部、カリフォルニア州、アリゾナ州の一部)に居住していた日系米人が、所謂 "relocation camp" に強制収容されたが、この日系人が立ち退かされた地域が "evacuation area" として言及されることがある。ただし、当時の文書の中で使われていたかどうかは確認できなかった。

以下のサイトを参照:

  1. Japanese American Internment Online Exhibit

  2. Childhood Lost: the Orphans of Manzanar

行政命令 9066 が正式に破棄されたのは、1976年4月ジェラルド・フォード (Gerald Ford) 大統領によってだった。

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"evacuation area" 補足 その1

2006年1月19日付けの記事「災害(地震)対策文書中の用語「避難所/避難場所」の英訳としての "evacuation area" に就いて」で、"evacuation area" を「そこに避難すべき地域」として使用している例として、ランドルフ メイコン大学 (Randolph-Macon College) の「キャンパスの安全:緊急事態対応プラン」(Campus Safety: Emergency Response Plan) だけしか示さなかったので、もう一つと云うか、二つと云うか、別の大学の例を挙げておく。妙な言い方をするようだが、実は共にカリフォルニア大学 (University of California) なのである。


カリフォルニア大学サンタクルーズ校 (University of California, Santa Cruz) の情報テクノロジー・サービス (ITS: Information Technology Services) 部門の「緊急時対応プラン」(Emergency Response Plan) 中の "Unit Coordinator/Building Evacuators" (「部長/ビル避難担当者」とでも訳すべきか?)が緊急時にすべきことを列挙したうちの一つ:

Move injured people to evacuation area if possible (an evacuator stays with an individual with head and/or neck injuries, if in a relatively SAFE location.)

可能な場合には負傷者を避難場所に移送する(比較的に安全な場所にいる場合には、避難担当者は、頭部及び/又は頚部の負傷者と共に移動しないでいること)。

なお、このプランは採択日 (Date Adopted) が 2003年10月1日、改定日 (Date Revised) は2004年10月1日である。

二番目は、カリフォルニア大学バークレー校 (University of California, Berkeley) の「マクラフラン・ホール・ビル緊急時対応プラン」(McLaughlin Hall Building Emergency Plan) 中、火災が発生したビル内にいる場合の行動を規定した一節:

If alarm is sounded, immediately turn off any electrical equipment or machinery you are operating and proceed to the evacuation area. The last person to leave the room should close the door before evacuating the building. Report the exact location of any handicapped or trapped persons still inside to the Building Coordinator, Marilyn Witbeck, Assistant Building Coordinator Ronnie Goodlund, or to a Roll Taker.

火災報知器が鳴った場合、使用中の電気機器又は電動機械の電源を即座に切り、避難場所に移動すること。最後に部屋を出る者は、ビルから避難する前に、部屋のドアを閉鎖すること。ビル内に残っている身体障害者又は閉じ込められている人物の正確な位置を、ビル管理者のマリリン・ウィトベク (Marilyn Witbeck)、ビル管理者補佐のロニー・グッドランド (Ronnie Goodlund)、その他代理の者に報告すること。

このプランは採択日 (Date Adopted) が 1999年1月13日、改定日 (Date Revised) は2002年10月28日である。

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2006年1月19日 (木)

災害(地震)対策文書中の用語「避難所/避難場所」の英訳としての "evacuation area" に就いて

以前から公報や掲示で見かける度に気になっていたことを書いておく。

それは、災害時(具体的には所謂「大地震」を想定しているのだろう)における避難場所(「避難所」と云う言い方もするようだが)を案内する公報や公的掲示での英訳語のことだ。私が見かけた限りでは「避難場所/避難所」は、どれも "evacuation area" と訳されていた。

しかし、私の語感によれば、英語で "evacuation area" と言ったら、災害時に逃げ込む場所は意味しない。逆に、災害時に人々をそこから退去させるべき地域を意味する。これは、"evacuate" の基本的な意味が「空にする」ことから従っている("evacuate" は "vacuum"「真空」と同族)。ちなみに、「避難路」の英訳語としての "evacuation route" には、私も異存はない。「退避路」と言い換えることができる含意があるからだ。

私だったら、「避難場所」には "refuge" か "haven", ただし "haven" では、近くに実物の「避難港」があった場合、それと混同される可能性があるから、やはり "refuge" を当てるのが一番良いか、などと考えていた(前に "evacuation" を付けないで、文脈で処理したいところ)。

だが、これらは全て私の一人合点だ。と云う訣で、native speakers が作成したと信じられるウェブサイトを調べてみた。そうすると、"evacuation area" は、「そこから退避すべき地域」と「そこに避難すべき地域」の二通りに使われているのだな。困ってしまう。

ザッと見たところ、行政組織の作成した文書では「そこから退避すべき地域」が使われているのに対し、教育機関(私が気が付いたのは、ほぼ全て大学だったが)では「そこに避難すべき地域」だった。

ここで付言しておくと、教育機関の場合は、「そこから退避すべき地域」と云う意味の言葉を使う状況は余り考えられない。何故なら、「そこから退避すべき」なのは、「地域」と云う一般的な概念であるより、具体的に「校舎」や「寄宿舎」が想定されるからだ。

とにかく、例を幾つか示そう。まず「そこから退避すべき」の方。

最初は、米国の連邦緊急事態管理庁 (FEMA: Federal Emergency Management Agency) の 2005年3月7日付けの警戒レベル更新情報 (National Situation Update: Monday, March 7, 2005) から:

Utah Chemical Spill Forces Evacuations and Closes Interstate
A railcar leaking industrial waste, including caustic acids, has forced the closure of major highways and the evacuation of more than 6,000 people in South Salt Lake City, Utah. The leak was discovered early Sunday, March 6th, while crews were loading chemicals into the parked car. The cause for the leak was a faulty liner in the railcar. Spilled materials include hydrochloric, hydrofluoric, nitric and sulfuric acids.

An area less than one square mile, south and east of the rail yard, was recommended for evacuation, with less than half of that a mandatory evacuation area due to concerns for windborne fumes. Numerous streets and portions of Interstate 80 and Interstate 15 were closed. No injuries have been reported.

ユタ州で化学物質流出により住民避難・州間高速道路閉鎖
鉄道車両から腐食性の酸などの産業廃棄物が流出したため、ユタ州サウス・ソルトレーク・シティにおいて、主要高速道路が閉鎖され、六千人を超える人々が避難を余儀なくされている。流出は、3月6日日曜早朝、作業員が停車中の車両に化学物質を積み込んでいる際に発見された。流失の原因は、車両の内壁に欠陥があるためだった。塩酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸などが流出した。

操車場の南方及び東方1平方マイル弱の範囲に避難勧告が出されたが、そのうちの半分たらずの地域は、蒸散物が風で運ばれることが懸念されて、退避命令の対象となった。多くの街路と州間高速道路80号及び15号の一部とが閉鎖された。負傷者は報告されていない。


2005年10月23日付けの FEMA のニューズリリース (Release Number: HQ-05-351) は、ハリケーン [ウィルマ Wilma] への警戒をフロリダ州民に訴えたものだが、その中では、"non-evacuation area" と云う表現が出てくる。これは、退避指示対象外地域の意味:

Federal Government Continues Preparations For Hurricane Wilma
"Residents of Florida should continue watching the progress of the storm and follow the guidance of their state and local officials," said David Paulison, Acting FEMA Director. "Hurricane Wilma has been unpredictable and from all reports will be a major hurricane. Individuals need to heed evacuation instructions of their local officials and make sure that whether they are evacuating their homes or in a non-evacuation area, that they have sufficient food and water for their family for at least three days."

連邦政府はハリケーン・ウィルマへの警戒態勢を継続中
連邦緊急事態管理庁長官代理ディヴッド・ポーリソン (David Paulison) は、「フロリダ州の住民の皆さんは、これからもハリケーンの進路に注意を払い、州及び地方自治体担当者の指示に従ってください。ハリケーン・ウィルマは、予測を超えたものになっており、全ての観測結果が大型ハリケーンになることを示しています。住民の皆さんは、地方自治体担当者の退避指示に気を付けるようにし、自宅から退避しないのならば、退避指示対象地域外に住んでいることを確認してください。また、家族にとり十分な食料及び水を少なくとも三日分確保してください」と語った。


今だに尾を引きずっている感のあるハリケーン [カトリーナ Katrina] に関する例としては、米国沿岸警備隊 (United States Coast Guard) が、2005年11月4日に発行した 第5版 "Questions and Answers for Civilian Employees Affected by Hurricane Katrina" (「ハリケーン・カトリーナの影響を受けた軍属に関する質問解答集」)から引用する。なお、"Civilian Employees" は、[三軍]関連の文書なら当然「軍属」と訳すべきだが、[沿岸警備隊]ではどうか、やや迷った。しかし、米国沿岸警備隊の準軍隊的性格に沿って、やはり「軍属」と訳しておく:

A. EVACUATION ORDER ISSUES
A.9. What happens if an employee never left the evacuation area because he/she was assigned official duties in the area (permanent duty station), but the employee's dependents evacuated to the safe haven? (Version 3, dated 30 Sept. 2005)
If the employee's home is uninhabitable, the employee and his/her dependents will receive evacuation subsistence. The employee does not receive evacuation payments but is in a regular pay status.

A. 退避命令関連
A.9 軍属が、退避命令対象地域内(駐在地)での任務があったため同地域から全く出なかったが、同人の扶養家族は避難所に避難した場合はどうなりますか? (2005年9月30日。第3版)
軍属の自宅が居住不適格になっている場合、同人及びその扶養家族は、退避扶助が受けられます。軍属には退避手当ては支給されずに、通常の給与状態のままです。


次は、フロリダ州パスコ郡(Pasco County)の緊急事態管理室で出した、緊急事態対策マニュアル中の事業者向け留意点 "Protect Your Business!" の一節:

Develop A Written Plan
Develop a staffing policy that identifies essential employees and which of them, if any, must remain at the facility during the hurricane. Outline a chain of command and what each person's responsibilities will be pre and post storm. The policy should identify when employees will be released from work, as well as when they are expected to return. Employees living in designated evacuation areas should be released from work to protect their families and homes once an evacuation is ordered for their area, if not before. Businesses may predetermine that employees will return to work when county or local municipal employees are ordered to return, in case telephone service is out. Establish a rendezvous point outside the evacuation area and time for employees in case damage is severe and communications are disrupted.

計画書を作成しましょう
基本となる従業員を見極め、更に、その中にハリケーンの間中、施設に留まらせる必要がある者がいる場合には、その従業員を指定する配置方針を作成してください。命令系統と、ハリケーンの前と後とにおける各人の責任内容との要点をはっきりさせてください。前記配置方針では、従業員が何時職務から離れることになるのかと云うことと、何時職務に復帰することが期待されているのかと云うことを明確にするようにしてください。指定退避命令対象地域に居住する従業員は、その地域への退避命令が出される前とは言わないまでも、出されさえしたなら家族及び自宅を守るため職務を離れるようにされていなければなりません。事業所は、電話回線が不通である場合、国又は地方自治体職員への復帰命令が出された際に、従業員が職務に復帰すべきことを定めることができます。被害が甚大で通信が断絶している場合に、退避命令対象地域外でかつ期間外において従業員と面会する場所を決めておいてください。

前記の通り、大学の緊急事態(主に火災)対応マニュアルでは、"evacuation area" を、所謂「避難場所」の意味で使っているものがある。ただし、全てではない。私の見たところでは、米国のアイヴィリーグ (Ivy league) に属する大学の多く、スタンフォード大学 (Stanford University) や、英国のオックスフォード大学 (University of Oxford)・ケンブリッジ大学 (University of Cambridge)・ロンドン大学 (University of London) では、「避難場所」の意味で "assembly point" "assembly area" "meeting point" "meeting place" 或いは、この系列の類似の用語を使っているようだ。

とは言え、アイヴィリーグ中、コロンビア大学 (Columbia University) では該当する用語例を探し出せなかった。また コーネル大学 (Cornell University) では "Evacuation Assembly Location" や "evacuation meeting point" の他に、"Off-campus evacuation area" も使っている。


"evacuation area" を使っている例を一つだけあげておく。以下は、米国ヴァージニア州ハノーヴァ郡 (Hanover County) アッシュランド (Ashland) にあるランドルフ メイコン大学 (Randolph-Macon College) が出している「キャンパスの安全:緊急事態対応プラン」(Campus Safety: Emergency Response Plan) と云う文書の一節である:

Evacuations
In the event of an emergency campus evacuation, R-MC will employ the Hanover County Emergency Plan and all students and employees will be transported to an evacuation area designated by the Hanover County Emergency Services Coordinator.

避難
キャンパスを避難する緊急事態の場合、本学は、ハノーヴァ郡緊急事態プランを採用し、全ての学生及び職員は、ハノーヴァ郡緊急事態対策調整官が指定する避難場所に移される。

この原稿を書くにあたって、街なかなどで、私が見かけたのが特殊な場合なのかも知れないと思って、「避難所/避難場所」の英訳を "evacuation area" としている例を日本語ウェブをネットで検索してみたが、市や区レベルばかりではなく、国や都、そして JIS でも使われていた。

  1. 内閣府が作成した「首都直下地震対策に関する参考資料」([文書のプロパティ]によれば作成日時2005年6月20日)では、[NTTドコモのiモード災害用伝言板サービス] の [メッセージ登録内容] の例として、「避難所に居ます」の英語版として "At evacuation area" が示されている。
  2. JIS の定めている「案内用図記号」規格 [JIS Z 8210 2002] 中 [広域避難場所] を示す図記号(発行年2002年。分類 6.1.4) の表示事項(つまり「広域避難場所」)の英文版は "safety evacuation area" になっている。(「JIS Z 8210 2002 案内用図記号 掲載図記号 一覧」を参照(日本工業標準調査会のウェブサイトからは、JIS規格票原本を閲覧することができる)。
    なお、総務省消防庁が2005年3月に決定した津波避難用の3つの図記号中 [津波避難場所] 及び [津波避難ビル] は、その検討時に付された英文は "Tsunami Evacuation Area" と "Tsunami Evacuation Building" だったが、これが最終案に含まれているかどうかは、確認できなかった。
  3. 東京都生活文化局文化振興部事業推進課が2003年3月に発行した「Earthquake Survival Manual いざというときのためのサバイバル・マニュアル」では
    避難場所に避難(大きな公園・広場)
    火事の危険から身を守り、鎮火を待つ場所
    の対応英文は
    Evacuate to the Evacuation Area (a large park or open space)
    This is a place safe from fire and for people to wait until fire is extinguished.
    である。
  4. 東京都交通局が2001年8月30日に発表したニュースリリースによれば『駅周辺案内地図上で避難場所に指定されている公園等に「避難場所EVACUATION AREA」と表記するとともに中国語、ハングルも併記する』ことが決められている。


最後に、私一個の意見を言うなら、「避難場所」の意味で "evacuation area" を使うのは、やはり気持ちが悪い。native speakers が誤解しなければ良いがなどとも思う。

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2005年10月25日 (火)

Like Shut up!: "If you see something, say something." 補遺その2

新たに "If you see something, say something, like SHUT UP!" が登場するブログを発見したので、記録しておきましょう。そこに記載されている出来事は、「Like Shut up!: "If you see something, say something." 補遺」で紹介した「Chie in Boston:2005年8月10日」と同じ米国ボストンでのことです。ひょっとすると主人公は同一人物かな?

I could write about strange things I see around Boston. For example, a seventy year old man made an interesting display of social rebellion one morning as we were both waiting for the T. An announcement which has become quite frequent since the London bombings had just been played over the loudspeaker. "This is the MBTA chief of police...now, more than ever, it is important that you, the riders, be observant of unauthorized bags...so, if you see something, say something." The old man grunted, and took out a white paper lunch bag. On one side the bag said "If you see something, say something, like SHUT UP!" The other side of the bag said "unauthorized bag." The man proceeded to put the bag on his head, as I stared in bemused disbelief. Something I would expect from a rebel in his teens or twenties was coming from an elderly man. I laughed (maybe a little too loudly) but I was also pleased to see that he was willing to break from the social norms to promote his ideals- whatever they may be (refusing to be a slave to fear? or authority?)
--jessica (boston, mass, United States) "la bostonienne: Definition" (Monday, August 22, 2005)

ボストン付近で私が目撃した変な物事なら書くことが出来るかもしれません。例えば、或る朝、私たち二人が地下鉄を待っていると七十歳ぐらいの老人男性が、社会に対する反抗心を、面白い形で見せてくれたのです。ロンドンの爆破事件以降とても頻繁になっているアナウンスがラウドスピーカーから流れた時のこと:「こちらは、マサチューセッツ湾岸交通局警備部長です・・・今や、これ迄にもまして、お客様が不審な袋の発見にご協力いただくことが大切になっております・・・不審物や不審な行動を見かけたら係員までお知らせください。」老人は不満そうな声をあげると、ランチ用の白い紙でできた袋を取り出したのでした。袋の片方の側には「『不審物や不審な行動を見かけたら係員までお知らせください。』ウザいんだよ!」と書いてありました。袋の反対側には「不審な袋」。老人がその袋を自分の頭の上に乗せるのを、私は信じられない気持ちで見つめていました。十代や二十代の反体制派の人物がしそうなことを、老人がしているのです。私は(多分、少し大きすぎる声で)笑ってしまいしたが、同時に、何であるにしろ彼の理想(恐怖の奴隷になることへの拒絶?、あるいは、権威の奴隷になることへの?)を押し進めるために社会規範から逸脱するのも厭わない姿を見て嬉しくなったのでした。

"like SHUT UP!" は「ウザいんだよ!」と訳すのは、良い手かもしれません。

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2005年10月22日 (土)

スターバックス・カップ・スリーブの注意書:「断熱スリーブに再生紙利用」篇 あるいは、スリーブの la raison d'être

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2005年10月18日付けの「スタバのカップ・スリーブ」で引用したスリーブの la raison d'être を訳しておきましょう。まづ、再録すると:


This insulating sleeve is
made from 60% post-
consumer recycled fiber
and uses approximately
45% less material
than a second paper cup.
Intended for single use only.

意味は明瞭。でも、意外と訳しづらいですね。

この熱防護用帯の 60% は、
消費者が廃棄した繊維材を
リサイクルした原料から
作られています。また、
2個目の紙カップより、
約 45% 少ない材料で済みます。
使い捨て専用です。

「2個目の紙カップ」の前に「紙カップを2つ重ねて使う場合の」と、説明を付け加えたいところ。

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2005年10月21日 (金)

スターバックス・カップ・スリーブの注意書:「熱いです」篇 ("Careful, the beverage you're about to enjoy is extremely hot.") と a pastiche disclaimer

Starbucks Coffee の disclaimer: "Careful, the beverage you're about to enjoy is extremely hot." は、確かにツッコミ所があって、ウェブ上でも "drink" はするが、"enjoy" している訣ではないとか、"extremely hot" でなくて、キチンと "hot" なものを出せとか言われているが、これらの主張には結局 [為にする] と云ったおもむきがあって(それだけなら良いが、結局言っていることが詰まらないので)採るに足らない。

むしろ目立つのは、これを「disclaimer 一般」の提喩として用いていることである。つまり、サイト上での発言を読んだ結果は、読者自身の責任に属することを要求する文脈で、この惹句が使われている。代表的な例は次の通り:

The opinions expressed on this site are solely the author's, and not representative of any individual, company, corporation, government, head of state, deity, pantheon, or anyone or anything else I may have missed. Read at your own risk. Don't try this at home. Careful, the beverage you're about to enjoy is extremely hot. Contents packed by weight, not volume. Objects in mirror may be closer than they appear. Don't feed the animals. If anything offends you, quit reading and don't come back.

このサイトで表明された意見は、著者だけのものであり、如何なる個人、会社、組織、政府、政府首脳、神格、神々、その他著者が列挙し忘れたかもしれない人や存在によるものではありません。読者は自己の責任でお読みください。家庭内で実験しないでください。この飲み物は大変熱いのでご注意ください。内容量は重量によるもので、体積によるものではありません。鏡に見える物体像は、見かけより近いことがあります。動物に餌を与えないでください。御不満な点がありましたら、読むのは止めて、もう来るなよな。

たしかに、"enjoy" は訳しづらい。

この種の disclaimer を掲げいてるサイトの例:


  1. f.u.b.a.r

  2. .::antzz.izhere.com::.

  3. Olafs Observatory - Open the door. Step outside...

  4. www.myspace.com/thetexican

  5. What's a guy to do with free webspace?

サイトが異なっても、若干の変異を除けば文章が一致するから、出所は一つで、それが「流行った」らしい。

穿った見方をするなら、これは、ワルぶったことを書いても、シッカリと法的な免責は確保している自分自身を滑稽化して apologize していると言えるが、その背景は、情報にしろ物品にしろあらゆる交換・伝達行為に disclaimer をイチイチ付けてなければならない社会にお互い住んでいる鬱陶しさだろう。要するに言いたいのは、最後のワン・センテンスなのだから。でも、「出て行け」と言ってしまうと、交換・伝達は成立しない。痛し痒しと言うべきか。

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2005年10月18日 (火)

スタバのカップ・スリーブ (「熱いです」と「断熱スリーブに再生紙利用」の注意書)

久しぶりでスターバックス (Starbucks Coffee) でコーヒーを飲んだ。久しぶりも久しぶりだし、回数も少ない。多分二度目か三度目だろう。

別にスタバに限らない。そもそも、コーヒーハウスに入ることは滅多にないのだ。しかし、これからするのは、そう云う話ではない。

雨の中を歩き回った後だったので、ホットコーヒーを頼んだのだが、その時の同行者がカウンターから持って来た紙カップには、片面段ボールで作った帯が巻かれていた。

そこに印刷してあるスターバックスのエンブレムの下には "Careful, the beverage you're about to enjoy is extremely hot." と云う注意書。そしてその裏側(対蹠側)には、こう謳ってある。

This insulating sleeve is
made from 60% post-
consumer recycled fiber
and uses approximately
45% less material
than a second paper cup
. Intended for single use only.

これは、ちょっと面白かったですね。つまり、熱い飲み物を入れた時には、紙カップを二重にすることが期待される可能性があるとスターバックスは考えている訣だ。

日本であるか、それ以外(まぁ、米国でしょうね)かは別として、そしてスターバックス・コーヒーショップ・チェーンであるか否かも別として、実際にそう云う「風習」があった/あるのだろうな、と、その時思ったのだった。「勿体ないことをする」

しかし、まぁ、熱すぎると云うので紙カップを放り出されて飛び出たコーヒーで誰かが火傷を負い、その損害賠償に巨額の負担を強いられるよりはマシだと、企業としては考えるでしょうね。

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2005年9月27日 (火)

声を潜めて言う


偶然の一致が面白かっただけなんですが、記録しておくと。

2005年9月18日の「Like Shut up!: "If you see something, say something." 補遺」で引用した "Tomato Nation: Like, Shut Up!" のパラグラフの次は、こう始まっています。

The same people who make note of my "bodacious ta-tas" will often conclude, when either I don't respond or I mutter "like, shut up" under my breath, that I don't like boys that way.

この "under one's breath" は、"in a very quite voice." (COD 10th ed.) と云う意味なんですが、稀とは言わないけれど、それほど頻繁に使われる表現でもない。ところが、これが2005年9月13日の「チェスタトンのブラウン神父物一篇」で言及した "The Innocence of Father Brown" に出てくるのです(ただし、"under his breath" と云う形で、別の一篇にですが)。

All three inquirers made an exclamation; and the inspector said under his breath, "Are we after escaped lunatics?" The waiter went on with some relish for the ridiculous story:
The Blue Cross

まぁ、続けて読んだ2つの別々の流れの中での文章中に、同じ表現があったと云うだけで、「だから何なんだ」と言われると、返す言葉がないのですけれど。


ついでに書いておくと、今回の引用で興味深いのは "Like Shut up!" の最後にある "don't like boys that way." と云う言い方ですね。浅学のせいか、私は辞書で見かけたことがありませんが、その意味するところはすぐ分かる。「女性同性愛者」だと云うことでしょう。そして、これは後続の文脈でも裏付けられる。

「後続」部分までとはいきませんが、取り敢えず、引用部分だけでも訳しておきましょう。

私の「スゲェオッパイ」に何事かを言う人物は、私が無視したり、「止めてよ!」と呟いたりすると、大抵私のことを「男嫌い」だと決め込もうとする。

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2005年9月18日 (日)

Like Shut up!: "If you see something, say something." 補遺


先月(2005年8月12日付)、記事 "If you see something, say something." を書いた際には、このキャッチコピーをキーフレーズにして google 検索しても、日本語サイトは殆ど引っかからなかったんですが、最近検索し直してみたら、幾つか出てきました。そのサワリの部分を紹介すると:

1. Chie in Boston:2005年8月10日

ロンドンのテロ事件以降、ボストンのT(地下鉄)でも毎分毎分アナウンスが流れている。切れ間なく流れるので、もうちょっと頻度を減らしてくれてもいいのにな、という感じ
unattended bag(持ち主のいない荷物)とか、suspicious person(怪しい人)を見たら知らせてくれというアナウンスで、途中で"If you see something, say something.(何か見たら、何か言ってください。)"というフレーズがある。この前Sheenaがハーバードスクエアで、コックさんのような白い帽子をかぶって無言でゆっくり歩いている人をみたそうで、その人の帽子には"If you see something, say something ...like shut up!"と書いてあったそう。
毎日地下鉄を使っている人には、いいかげんうるさいよ、もういいよというアナウンスになってきているようで、Sheenaもここ何年かで一番面白いものをみたと言っていた。私も一緒に大爆笑してしまったけど、警戒するに越したことはないし、のど元過ぎれば何とやらだなぁとちょっと思った。

2. Lady Luck の英語日記 [2005年08月30日(火)]

私がNYにいる間によく見かけたものの一つに
このポスターがあります

「If you see something, say something」

電車の中、フェリーの中、街角、公共の場では
いろんなところでこのサインをみました。

厳重警戒下にあるので1ブロックくらいごとに
お巡りさんがたってますし、
地下鉄やフェリー乗り場ではランダムに手荷物検査も
行われていました。

これでホントにbombingsが防げるのか?
ということについてはクラスでも話題になりましたが、
その時は

実際防ぐことはできないかもしれないけど
何もしないよりはましですし、
何と言ってもこの事によって人々を安心させる状況を作っている
という点での効果はある

という結論に達しました。

3. STAGE > 旅行 > 掲示板 > バックナンバー

タイトル:『女性専用車両』 <<旅行>>
投稿者:田舎のプレスリー 男性56歳 2005-04-04 09:56:06

NY地下鉄の各車両に貼ってあったステッカーの文句:
「If you see something, Say something」

実は、これは、「テロ防止のための、不審物についての警告」でした。
初めて見た時は、車両内での犯罪行為を見たら... ということか、と思ったのですが、違っていました

4. 街中の広告 ~マンハッタン~

ベスト・コピー賞!
If you see something, say something.
これほど、明快で、力強くアピールする文句はあるのだろうか!
これは本当に気に入った。犯罪抑止にもきっと大いに影響するにちがいない♪
糸井さんの「おいしい生活」など目じゃない 笑

5. えむあいてぃMBA留学記 by mitjin 2005-08-14 16:27

他にはテロ関係の対応の早さには感心した。ロンドンテロが起きてすぐ、その日朝のボストン地下鉄でテロ警戒放送が流れ始め、警官も朝から地下鉄駅にいた。ボストン時間で早朝にロンドンで事件が起き、もう数時間後には警官が配備されていたから、この対応のすばやさには感心した(因みにそれ以降、毎日テロ警戒放送が地下鉄で流れている。♪If you see something, say something♪ というキャッチフレーズが頭から離れない、、、)。

これらのうちで、私が興味を引かれたのは「Chie in Boston:2005年8月10日」の「ハーバードスクエアで、コックさんのような白い帽子をかぶって無言でゆっくり歩いている人をみたそうで、その人の帽子には"If you see something, say something ...like shut up!"と書いて」と云うくだりですね。この "like shut up!" の "like" の語感が掴めない。勿論、Chie in Boston さんが書いていらっしゃるように、"like shut up!" は「いいかげんうるさいよ、もういいよ」と云う意味であるに違いないんですが、それが "like" とどう結び付くのか、しっかりと掴みたい。より限定して言うなら、"like" は前方 (この例では "If you see something, say something") に係るのか、後方 (この例では "shut up") に係るのか(両方に係ることも考えられる)、或いは、単なる繋ぎの言葉で、意味上の重みは余り無いのかと云うことをハッキリさせたい。

と云う訣で、「いいかげんうるさい」と云う意味合いで "like shut up" が使われている例を、ネット内検索してみると次のものが見つかりました。


  1. Tomato Nation: Like, Shut Up!

  2. Television Without Pity > Birds of Prey > Recaps & Extras > Season 1 Episode 11

  3. Television Without Pity > Boot Camp > Recaps & Extras > Season 1 Episode 6

  4. I Love Bees: The Damage

最初の3つの記事は、無関係ではありません。それは、Sarah D. Bunting と云う女性が "Tomato Nation" の主催者であるとともに、"Television Without Pity" の共同創設者/編集長だからです。ただし、書いたのは、3つとも別人ですね。最初は、Sarah 本人、2番目は Daniel MacEachern, 3番目は Kim Reed. そして、この3つのうち、1番目には "like shut up" が頻出するのに対し、他の2つは、かなりの長文ですが1回づつ。注目すべきは1番目でしょうね。

4番目のサイトの主催者は Dana と云う女性(「性」ラベルは、ネット上では余り意味がないが)。ただし、発言者は seriouseveryonelisten. もともとは、"everyone stop and read" にポストされたものらしい。しかし、文意が取りづらいですね。なお "I Love Bees" は、サイトのエピグラムとして、カフカの『変身』の冒頭部分を掲げているけれども、これは解釈には役に立たないでしょう。だから、これに就いては無視することにします。

と云う訣で、Tomato Nation: Like, Shut Up! をザッと読んでみたのですが、そこから得た印象では、ここでの "like" は、前の文章を受けて、「... みたいなことは押し並べて」と云うことを含意する可能性もありますが、相手の押しつけがましさを拒絶する間投詞のようにも見える。つまり、私にはよく分からない。全くもって面目ねぇ。

問題の文章を1パラグラフだけ紹介しておきましょう。

Let me make something clear. I don’t object to the fact that men comment; I object to the comments themselves. First of all, I started wearing a bra at age ten, so, while it does get a trifle old sometimes, I’ve gotten used to the occasional remark. Second of all, I do not wear tight shirts and short skirts for no reason. I dress not just for warmth but to look attractive as well, and while I do so mostly for the benefit of people I already know, I certainly don’t mind if it earns me an appreciative whistle from a stranger once in a while. But I could do without so-called compliments like "nice titties," frankly. If you find me fetching, feel free to say so, and if you want to ogle me, I can’t stop you, but - "titties"? Like, shut up! Dialogue lifted from a fifties porno will not get it done!

Sarah は、anti-sexist として分類される態の人だと云うだけでなく、この文章自体が sexism で翻訳するのに抵抗をおぼえる内容ですが、 sexism から離れて日本語を使うのは難しい。しかし、無理に男性的・中性的な表現をしても裏燒きされた sexism になるだけなので、こんな具合で・・・

(前のセンテンスの内容: ニューヨークは、この一週間ほど季節はずれの暖かさだ。「私」は陽気の良い日が好きだけれども、実は、また寒くなって欲しい。サンタさんの前に並んでいる子供たちの半分ほどが半ズボンではクリスマスの買い物をする気にならないし、冬着を着てれば、野卑な口笛を聞かずにすむ。)

ハッキリさせておきたいことがある。私は、男性が発言すると云うこと自体に抗議しているのではない。男性の発言内容そのものに抗議しているのだ。まず第一に、私は10歳でブラを着けはじめたので、ブラがちょっと古くなってしまったと云うことが何度かあるうちに、こうした口笛を吹かれると云う事態には慣れっこになってしまった。第二に、私は、理由もなくピッタリしたシャツやショートスカートを身につける事はない。私は、保温のためと云うばかりではなく、魅力的に見えるようにするためにも衣服を着ることがあるけれども、それは、殆どの場合、既に知り合いになっている人たちのためであって、見も知らぬ人物から時折お褒めの口笛を頂けるかどうかなどとは気にしていない。けれども、本当のところ、私は「イカすパイオツ」みたいな「賛辞」を受けないでは済まないのだ。私が誘っていると思ったら、そう言ってくれて構わないし、私に流し目をくれると云うのなら、それを私が止めるわけにはいかない。でも「パイオツ」だって? 止めてよ! 50年代ポルノから頂いてきた台詞が旨くいくわけないでしょ!

うーむ。"titties" が旨く訳せない。それから "short skirts" は「ミニスカート」ではなく「ショートスカート」と訳してある。

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2005年8月18日 (木)

メモ: 「ワンクリック特許」クレーム1翻訳の従来例


Amazon.com, Inc. の所謂「ワンクリック特許」、つまり、米国特許 No.5,960,411 ('411 特許)も、「シグナチャ特許」同様ビジネスモデル特許の代表例として注目を浴びたので、これを論ずる日本語ウェブサイトは数多い。

そうしたサイトのうち、米国特許のクレーム1の和訳文、又は、その代わりとして対応日本出願(特開平11-161717)の特許請求の範囲1引用しているものを纏めておく。

このメモは、将来あるかもしれない展開(このウェブログの「米国特許5,960,411要約・発明の背景・独立クレーム」及び「米国特許5960411(ワンクリック特許)の要約・発明の背景・独立クレームの翻訳(再編集版)」参照)に備えて、現時点で収集できる情報を簡単に纏めたものにすぎない。以下に記した評言・判断は、あくまでも仮のものである。


米国 '411 特許のクレーム1が示されている例:

  1. ビジネスモデル特許(その4) (訳者は、コンピュータ・ネットワークに就いての知識とは無縁であるようだ。"client/server system" の概念さえ知らないらしく、冒頭で「クライアント・システム」とすべき "client system" を「顧客のシステム」と訳している。)
  2. 以下は、pdf ファイル

  3. ビジネスモデル特許の現状と課題 日本弁理士会ソフトウエア委員会 (全ての独立クレームである 1, 6, 9, 11の訳文が与えられている。)


米国特許ではなく、対応日本出願(特開平11-161717)の「特許請求の範囲第1項」が示されている例:

  1. ★パテントサロン★ トピック アマゾン「1-Click特許」訴訟

  2. ビジネスモデル特許の事例

  3. 米国ビジネスモデル特許(4) amazon.com の1-Click特許(USP 5,960,411) 対応日本特許(特開平11-161717号)の請求項1
  4. 以下は、pdf ファイル

  5. ビジネスモデル特許とは何か?


以前にも書いたことだが、このウェブログ nouse で現在行っている一連の米国特許公報要約・発明の背景・独立クレームの翻訳では、意図的に「発明の記述」や「図面」をなるべく読まないようにしている。しかし、本件に就いて言うなら、米国公報の独立クレームでも、日本公報の特許請求の範囲1でも、読んでいると一番肝腎なところがぼやかされている感じで、隔靴掻痒の思いがある(興味深いことだが、比較すると、日本出願の方がまだマシである)。

原則に反し、そして当てずっぽうだが、本件の要だろうと思われるところを米国公報の「発明の記述」部分から引用しておく。

FIG. 2 is a block diagram illustrating an embodiment of the present invention. This embodiment supports the single-action ordering over the Internet using the World Wide Web. The server system 210 includes a server engine 211, a client identifier/customer table 212, various Web pages 213, a customer database 214, an order database 215, and an inventory database 216. The server engine receives HTTP requests to access Web pages identified by URLs and provides the Web pages to the various client systems. Such an HTTP request may indicate that the purchaser has performed the single action to effect single-action ordering. The customer database contains customer information for various purchasers or potential purchasers. The customer information includes purchaser-specific order information such as the name of the customer, billing information, and shipping information. The order database 215 contains an entry for each order that has not yet been shipped to a purchaser. The inventory database 216 contains a description of the various items that may be ordered. The client identifier/customer table 212 contains a mapping from each client identifier, which is a globally unique identifier that uniquely identifies a client system, to the customer last associated with that client system. The client system 220 contains a browser and its assigned client identifier. The client identifier is stored in a file, referred to as a "cookie." In one embodiment, the server system assigns and sends the client identifier to the client system once when the client system first interacts with the server system. From then on, the client system includes its client identifier with all messages sent to the server system so that the server system can identify the source of the message. The server and client systems interact by exchanging information via communications link 230, which may include transmission over the Internet.

第2図は、本発明の一実施例を説明するブロック図である。本実施例は、ワールドワイドウェブ (WWW) を用いるインターネットを介した単一アクション注文方式をサポートするものである。サーバー・システム 210 は、サーバー・エンジン 211 と、クライアント識別子/顧客対応表 212 と、様々なウェブ・ページ 213 と、顧客データベース 214 と、注文データベース 215 と、在庫品目データベース 216 とからなる。サーバー・エンジンは、URL で指定されたウェブ・ページへのアクセスを要求する HTTP リクエストを受信すると、そうしたウェブ・ページを様々なクライアント・システムに提供する。こうした HTTP リクエストは、「単一アクション注文」を実現するための単一アクションを購入者が行った旨を示すものである場合がある。顧客データベースには、様々な購入者又は潜在的購入者に就いての顧客情報が蓄えられている。前記顧客情報としては、顧客の名前、代金請求情報、及び、出荷情報等の購入者固有の注文情報が挙げられる。注文データベース 215 は、購入者への出荷が完了していない注文の各々を示す項目からなっている。在庫品目データベース 216 は、注文されるかもしれない様々な品目に就いての説明を蓄えている。クライアント識別子/顧客対応表 212 は、クライアント・システムを一意に識別するグローバル一意識別子であるクライアント識別子夫々から、前記クライアント・システムに直近に付随した顧客へのマッピングを保持している。クライアント・システム 220 は、ブラウザと、ブラウザに割り当てられたクライアント識別子とからなる。クライアント識別子は、「クッキー (cookie)」と呼ばれるファイルに記憶される。ある実施例では、サーバー・システムは、クライアント・システムとサーバー・システムとの最初の交信時に、クライアント・システムにクライアント識別子を割り当てて、そのクライアント・システムに送信する。その後は、クライアント・システムは、サーバー・システムに送る全てのメッセージに、そのクライアント識別子を含ませて、サーバー・システムがメッセージの発信元を識別できるようにする。サーバー・システムとクライアント・システムとは、インターネット通信を含んだものでありうる通信リンク 230 を介して情報の交換を行う。

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2005年8月12日 (金)

If you see something, say something.


もう昨日(2005年8月11日)のことになってしまいましたが、日本テレビ系列(読売テレビ製作)の「ダウンタウンDX」と云うテレビ番組を観ていたら、ゲスト出演者のウエンツ瑛士さんが持っていたニューヨークのサブウェイカードの裏面(だと思う)が大写しになりました。そこに

If you see something, say something.

と大書してあったのです。瑛士君は、好きな言葉だけど意味は判らないと言っていましたが、多分大抵の人には何を言いたいかは、すぐピンと来るでしょう。私にも判って、そして「面白い言い方をするもんだ」と思った。現在の日本の言い方なら

不審物や不審な行動を見かけたら係員までお知らせください。

と云った書き方をするところですね(番組を最後まで観なかったので、そのなかで説明がされていたかどうか、私は知らない。もし、だとしたら、失敬)。

冒頭の "If you" が無くても、文章として成立しますが、この "If you" があるとないとでは、文章のニュアンスが隨分違ってくる。現在の「ニューヨーク市と云う文脈」と云うか「アメリカ合衆国と云う文脈」だと、付いている場合 "something" に「不審」と言うラベルを貼ることができるんしょうね。

「サブウェイカード上の注意書」と云う文脈だけなら、"If you" 無しでも、字体やレイアウトでなど、何らかの形で強調するなら「不審」のラベルを貼ることができるでしょうが、おそらく、サブウェイカード以外でも、同じキャッチコピーを使ったキャンペーンが行なわれているだろうから、様々な局面に対応できるものとしては "If you" が付いていたほうが良いと判断されたのでしょう(基本的に、"If you" が付いていないパターンの方はお仕着せがましい)。

"See something, Say something" でも、"something" に「不審」のラベルを貼るよう社会全体の雰囲気を持って行くことはできます。でも、その場合、このスローガンは実質が "See anything, Say something" に変質してしまう。つまり、あらゆるものが「不審物の候補」、あらゆるひとが「不審者の候補」になってしまう。そして「不審」かどうかの判断の契機は社会の網目の中に紛れ込んで、特定できなくなる。あまりゾッとしない話ではありますが。

    関連リンク:
  1. MTA Newsroom (ニューヨーク市交通局)
  2. If you see something, say something (テキサス州ハリス郡都市交通局)
  3. Press Action ::: ‘If You See Something, Say Something’: Paranoia Rides the IRT (「キャンペーン」に対する反応の例)

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2005年8月10日 (水)

メモ: 「シグナチャ特許/"Hub and Spoke"特許」クレーム1翻訳の従来例


「シグナチャ特許」(「ハブ・アンド・スポーク特許」)、つまり、米国特許 No.5,193,056 ('056 特許)は、強い関心を呼んだので、特許関連の日本語ウェブサイトでも、数多く紹介・論評されている。当然、クレームの和訳文も付随して示されている例も少なくない。

一方、このウェブログの「米国特許5,193,056要約・発明の背景・独立クレーム」では、翻訳にあたって、意図的に「発明の記述」や「図面」をなるべく読まないようにしたので、こうした従来訳とは立っている土俵が違っている。従って、内容を比較しても得るものは、少ないだろう。

このメモは、将来あるかもしれない展開に備えて、現時点で収集できる情報を簡単に纏めたものにすぎない。以下に記した評言・判断は、あくまでも仮のものである。

米国特許ではなく、対応日本出願(特表平6-505581)の「特許請求の範囲第1項」が示されている例:

  1. ビジネス特許

  2. ハブ・アンド・スポーク特許

  3. 米国ビジネスモデル特許(1) シグナチャ特許(USP 5193056)

  4. 米国ビジネスモデル特許(1) シグナチャ特許(USP 5,193,056)

  5. State Street事件判決 (この解説には、日本出願の「特許請求の範囲第1項」のほかに、米国出願のクレーム1が日本文として紹介されているが、解説の都合上か、大幅に編集されており「訳文」にはなっていない。)
  6. 以下は、pdf ファイル

  7. E-Commerce とビジネスモデル特許をめぐる法的問題 ...

  8. インターネット上のビジネスモデル特許
  9. 日本出願と米国出願では、クレームの内容が一対一に対応するとは限らないのは当然である。しかし、その点を割り引いても、日本出願には首を傾げたくなるところがある。

    米国出願のクレーム1(c)における "first means for initializing the storage medium;" を「媒体の初期化」ではなく「保存媒体を起動するための第1の手段:」としたのは、まだ「ご愛敬」として見過ごせないこともないが、(e)項で、"net realized gain or loss" を「正味の非換金ゲインあるいは損失」としてしまったのは失態だろう。このため、(f)項での「正味の非換金ゲインあるいは損失」(原文: "net unrealized gain or loss") との区別が付かなくなっている。

    "gain or loss" 「ゲインあるいは損失」としているのも気になる。「損益」または「ゲイン・ロス」と統一した方が良かったろう。


米国 '056 特許のクレーム1が示されている例(そう推定されるものも含む):

    以下は、pdf ファイル

  1. 経済産業省産業金融小委員会 報告書 参考試料2 (e 項と f 項とで、"net" が「総」と訳されている。"net" を訳文上に顕在化させる場合には、素直に「純」または「正味」を使うべきではなかったか。)

  2. ビジネスモデル特許の現状と課題 (数行の間で「資産」を「試算」としたり、「経費」を「軽費」としたりと、タイプミス・校正ミスが目立つ。"realized," "unrealized" を「認識される」、「認識されない」としてしまっているのも問題。)


米国連邦巡回控訴裁判所での判決の訳文中に含まれる形で '056 特許 クレーム1の和訳が示されている例:

  1. 連邦巡回控訴裁判所 96-1327 号事件判決

  2. STATE STREET v. SIGNATURE ハブ・アンド・スポーク事件
  3. 以下は、pdf ファイル

  4. 三協国際特許事務所 US 特許実務入門コース 添付資料2: (e 項で、"realized" の含意が訳文に反映されていない。)


なお、"realized" そして "unrealized" については、「実現された」、「未実現の」といった訳語も使われているようだが、このウェブログの米国特許5,193,056要約・発明の背景・独立クレーム では「確定(損益)」及び「含み(損益)」を使っている。

"unrealized" に「含み」を当てたのは、野村證券証券用語解説集中 「含み損益[ふくみそんえき]」の項や、新日本石油財務株式関連データ2000高島屋 ファクトブック2000を参照。

野村證券の証券用語解説集では、「実現損益」を "realized profit and loss" に対応させている。これを無視して、"realized"に「確定」と云う訳語を当てたのは、"net" の処理を統一するため。

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2005年8月 4日 (木)

米国特許5193056(シグナチャ特許/"Hub and Spoke"特許)要約・発明の背景・独立クレーム


本件は、ビジネスモデル特許が注目を集めるきっかけとなった Signature Financial Group Inc. の所謂「シグナチャ特許」(あるいは "Hub and Spoke" 特許)である。

米国特許 No.5,193,056 (R. Todd Boes. March 9, 1993) の要約・発明の背景・独立クレームの訳文。



Titel of Invention: Data processing system for hub and spoke financial services configuration

発明の名称: ハブ及びスポーク型構成金融サービス用データ処理システム

Abstract
A data processing system is provided for monitoring and recording the information flow and data, and making all calculations, necessary for maintaining a partnership portfolio and partner fund (Hub and Spoke) financial services configuration. In particular, the data processing system makes a daily allocation of assets of two or more funds (Spokes) that are invested in a portfolio (Hub). The data processing system determines the percentage share (allocation ratio) that each fund has in the portfolio, while taking into consideration daily changes both in the value of the portfolio's investment securities and in the amount of each fund's assets. The system also calculates each fund's total investments based on the concept of a book capital account, which enables determination of a true asset value of each fund and accurate calculation of allocation ratios between the funds. The data processing system also tracks all the relevant data, determined on a daily basis for the portfolio and each fund, so that aggregate year-end data can be determined for accounting and for tax purposes for the portfolio and for each fund.


要約
パートナーシップ・ポートフォリオとパートナー基金(ハブとスポーク)からなるよう構成した金融サービスを維持するのに必要な、情報フロー及びデータの監視・記録、並びに、全ての計算を行うデータ処理システムが提示されている。前記データ処理システムは、特に、ポートフォリオ(ハブ)に投資された複数の基金(スポーク)の資産配分を日々行う。前記データ処理システムは、ポートフォリオの投資証券価値及び各基金資産額双方の日々の変化を勘案しつつ、ポートフォリオにおける各基金の保有率(配分率)を決定する。また、前記システムは、簿価資本勘定 (book capital account) と云う概念に基づいて各基金の投資総額を計算するので、各基金の真の資産価値を決定し、基金間の配分比を正確に計算することが可能になる。また、前記データ処理システムは、ポートフォリオと各基金に対し日次ベースで決定される全ての関連データを追跡していくので、ポートフォリオ及び各基金に関する会計処理及び税務対策のための総合的な年度末データを決定することができる。


訳注:上記要約で "partner fund" は「パートナーファンド」ではなく「パートナー基金」と訳してある。これは、他の箇所で無限定の "fund" を「基金」と訳してあるのにそろえるためである。



BACKGROUND OF THE INVENTION
Investment vehicles such as mutual funds have certain operating costs. To name just a few expenses, every fund, including institutional funds (whose investors are financial institutions), pays an investment advisory fee to an investment adviser who invests the fund's assets, custodian fees to a custodian for the safekeeping of the fund's assets, portfolio accounting fees for the determination of the fund's asset value and income, shareholder servicing fees to various entities which provide investors with information and services regarding the fund, an audit fee to the fund's independent accountants who review the fund's financial statements, and a legal fee for counsel to represent the fund and each of its independent trustees. A retail fund (one whose investors are largely individuals) incurs the same kinds of expenses as an institutional fund, although certain expenses, such as shareholder servicing fees and distribution (12b-1) fees, will be larger for a retail fund, since individual investors need more services than do sophisticated institutional investors.

::上記の "(12b-1)" は、米国で投資信託に基金資産から毎年引き落とすことが認められている販売経費。「1940 年投資会社法」に基づく証券取引委員会 (Securities and Exchange Commission) の規則 "12b-1" に由来する。

Having a large amount of assets results in various economies of scale in fund operating costs. Since many of a fund's expenses are independent of the fund's asset base, a larger fund asset base produces a lower operating expense ratio (expenses to assets), which increases the net investment performance of the fund. Also, since larger funds purchase securities in larger denominations, they are able to bargain for higher yields (on bonds and other debt securities) or pay lower brokerage commissions (on equity securities) than a smaller fund can.

One way to achieve a large asset base is to combine assets of two or more mutual funds or other collective investment vehicles (hereafter referred to as funds). Current laws, however, place several restrictions on commingling the assets. A newly developed financial services configuration, called "Hub and Spoke" (a service mark of Signature Financial Group, Inc.), does allow for commingling the assets of two or more mutual funds. This financial services configuration involves an entity that is treated as a partnership for federal income tax purposes and that holds the investment portfolio (hereafter referred to as the partnership portfolio) and funds that invest as partners in the partnership portfolio.

Under the partnership portfolio and partner fund configuration, each of several funds, called "Spokes" (a service mark of Signature Financial Group, Inc.), can be a mutual fund registered under the Investment Company Act of 1940 (the "1940 Act") and the Securities Act of 1933 (the "1933 Act"). In addition to mutual funds, a "Spoke" (a service mark of Signature Financial Group, Inc.) may also be a pension fund (subject to ERISA), a common trust fund (regulated by various banking regulators), an insurance company separate account, or a non-U.S. domiciled investment fund In addition, a partnership portfolio, called the "Hub" (a service mark of Signature Financial Group, Inc.), is established, and each fund is an investor in the partnership portfolio. The partnership portfolio is registered under the 1940 Act (since it is an investment company), but its shares are not registered under the 1933 Act. Individuals cannot invest directly in the partnership portfolio. Its only investors are the funds, each of which invests 100% of its assets in the portfolio.

::上記の "investment fund In addition" は、当然 --investment fund. In addition-- と読むべき。

Although the portfolio may legally be a trust or other entity, it is considered to be a partnership for tax purposes. As a partnership, it receives "flow-through" tax treatment and, so, the portfolio does not pay taxes, but rather all economic gain or loss flows through to the portfolio investors. Mutual funds must rely on qualifying for "regulated investment company" ("RIC") status under the Internal Revenue Code (the "Code") to avoid taxation. The RIC provisions of the Code generally prevent mutual funds from investing in other types of funds and impede the division of a single mutual fund into multiple mutual funds. These RIC provisions also lead to economic distortions and inequities among shareholders which will be discussed below.

With the assets of two or more funds combined in the portfolio, the economies of scale described above can be more fully realized. The assets of different types of investment vehicles may now be commingled, resulting in more efficient and effective investment management. While all funds can benefit from Hub and Spoke services, a fund with a small amount of assets, which ordinarily would not be a viable fund because it would have a prohibitively high operating expense ratio, can now be established on a cost-effective basis by investing its assets in a portfolio. Investing in a portfolio also provides the new fund with an investment history, which makes the fund more attractive to investors. Therefore, a mutual fund sponsor can more efficiently organize a new mutual fund to be offered to customer markets which previously could not be economically accessed by that sponsor.

Because the portfolio is not a mutual fund, it is not subject to certain economic distortions and inequities that are inherent to normal mutual fund investing. Consider a first fund which invests in a second mutual fund just before the second fund distributes its capital gains. The first fund realizes capital gains from this distribution, as does every shareholder of the second fund. The first fund, however, has not actually realized any gain in the value of the second fund, and so the second fund is merely returning a portion of the first fund's original investment. The first fund is required to pay tax on part of its original investment or, if it is a mutual fund, pass such tax on to its shareholders. Thus a return of investment becomes subject to tax.

Unlike a mutual fund, the portfolio makes daily allocations of income, capital gains, and expenses or investment losses, rather than actual distributions. These daily allocations, which are determined and managed by the data processing system and method disclosed herein, are based on an "allocation ratio" which is further described below. Such daily allocations avoid economic distortions and inequities by directly allocating the appropriate economic benefit and loss to each shareholder on that day. Mutual funds merely distribute income, and gain or loss, to whatever shareholders happen to exist on an arbitrary date when a distribution is made. While such gain or loss is taken into account in between such distributions through the determination of the net asset value of the mutual fund's shares, it is the distribution of the gain or loss which creates a taxable gain or loss for a shareholder. The Hub and Spoke financial services configuration thus avoids this disadvantage by more accurately matching economic and taxable income.

The partnership portfolio and partner fund configuration presents great administrative challenges. Because each of the partners in the portfolio is some type of fund, the assets of which change daily as customers make further investments or withdrawals, the partnership interest of each fund varies daily. For example, consider a portfolio made up of Funds A and B. Assume that at the start of the day Fund A has $750,000 invested in the portfolio and Fund B has $250,000 invested. The portfolio has $1,000,000 in assets with Fund A having a 75% share and Fund B having a 25% share. Next, assume that by the end of the day the portfolio has not changed in value due to market fluctuations, but that additional purchases by fund shareholders have given Fund A $800,000 in assets and Fund B $275,000 in assets. The portfolio has grown to $1,075,000 in assets, with Fund A having a 74.4% share and Fund B having a 25.6% share.

Further complexities arise as the value of the portfolio assets rise and fall or as additional funds invest in the portfolio (or as existing funds withdraw their investments entirely). Additionally, as in any mutual fund complex, many Hub and Spoke structures may be administered simultaneously. A new and unique data processing system and method is necessary to enable accurate daily allocations to be made among each of the funds in a portfolio. Also, each such daily allocation is comprised of various economic components--income, gain, loss, expenses. These various components must be isolated and aggregated, on a continual basis, for both non-tax accounting purposes and, again (in separate accounts), for tax purposes.

Economic inaccuracies would appear over time if daily allocations were not made. Such inaccuracies will arise since typically a mutual fund will not actually allocate or pay out on a daily basis the economic components of the fund's economic experience for that day. Depending on a particular fund's prospectus, actual cash distributions can be made monthly, quarterly, or as otherwise so determined.

Were the partnership portfolio structured as a mutual fund, which makes distributions on a periodic basis, income earned on a given day, if not allocated on that day would result in an increase in capital value of the fund as a whole, rather than in income received by a particular investor; similarly, expenses incurred, if not allocated on that day, would result in a decrease in capital value of the fund as a whole, rather than as a decrease in income for a particular investor. The data processing system and method of the present invention will allow each fund to recognize on its balance sheet its fair share of economic benefit or loss experienced by the portfolio on that day.

A unique method has been developed to calculate accurately the fund allocation ratios. Each fund has a book capital account, which represents each fund's total investment in the portfolio including all earned, but undistributed, economic benefit. This book capital account for each fund includes the previous day's fund shareholder purchases and redemptions, the fund's proportional share of daily portfolio income and expenses, and the fund's share of daily portfolio realized and unrealized gain or loss.

On each fund's first day as a portfolio investor, or on the beginning of each fiscal year that a fund continues to participate in a Hub and Spoke configuration, its respective share ownership in the portfolio is determined by its relative percentage of the total dollar amount of investments in the portfolio. Thereafter, the fund's allocation percentage is adjusted through proper adjustments to the book capital account balances of the participating funds (which a data processing system according to the present invention determines daily). The respective fund book capital accounts, which change every day, continually indicate the accurate relative ownership of the portfolio by each fund. Each fund's book capital account will be either increased or decreased daily depending upon the following:

(a) increased by any capital contributions (purchases by fund shareholders) made by the fund to the portfolio;

(b) decreased by any distributions (including portfolio expenses and redemptions by fund shareholders) made to the fund by the portfolio;

(c) increased by any increase in net unrealized gains or decrease in net unrealized losses allocated to the fund;

(d) decreased by any decrease in net unrealized gains or increase in net unrealized losses allocated to the fund; and

(e) increased or decreased by the amount of profit (portfolio income) or loss (portfolio expenses), respectively, allocated to the fund.

A data processing system and method according to the present invention successfully determines each of these ever changing, and interrelated, accounts. By calculating the daily adjusted total investments for each fund according to the concept of a book capital account, the allocation ratios may be calculated accurately. The data processing system also determines, each day and over time, data necessary for calculating aggregate year-end income, expenses, and capital gain or loss for tax and accounting purposes.


発明の背景
投資信託などの投資ビークルには、一定の運用コストがかかる。そうした費用の幾つかだけでも挙げてみると、機関基金(投資家が金融機関であるもの)を含めて、どの基金であっても、基金資産を投資する投資顧問への投資顧問料、基金資産の保護預かりを行うカストディアンへの料金、基金資産価値及び収益を決定するためのポートフォリオ会計処理料、基金に関する情報及びサービスを投資家に提供する様々な事業主体への株主サービス料、基金の財務諸表を検討するため基金が選定した独立会計士への会計監査料、基金及び基金から独立した個々の受託者を代理する弁護士への弁護料を支払っている。リテール資金(大多数が個人投資家からなるもの)でも、機関資金と同種の費用が発生するが、個人投資家には、熟練した機関投資家よりも必要となるサービスが多いから、リテール資金では、株主サービス料や配当料 (12b-1 フィー) など、ある種の支出は機関資金より増えることになろう。

巨額の資産を保有すると、基金運用コストに様々な「規模の経済性」が効いてくる。基金の支出の多くは、基金の資産基盤とは独立しているため、資産基盤が大きくなると、その分、運用費用率(費用対資産)が減少し、基金の純投資効果が増大する。また、基金が大きいと、証券を大きな額面金額で購入することになるので、(債券その他の負債証券において)高めの利回りで取り引きを行うことや、(持分証券において)基金が小さい場合より低い仲介手数料支払いで済むことが可能になる。

大きい資産基盤を実現する一つの方法としては、複数の投資信託その他の集団投資ビークル(以下「基金」と呼ぶ)の資産を結合することがある。しかし、現行法は、資産の混和に幾つかの制限を課している。「ハブ・アンド・スポーク "Hub and Spoke"」 ( シグナチャ・ファイナンシャル・グループ・インコーポレーティド "Signature Financial Group, Inc." のサービス・マーク) と呼ばれる、新開発の金融サービス構成では、複数の投資信託の混和が可能になる。この金融サービス構成は、連邦所得税上パートナーシップとしてみなされ、投資ポートフォリオ(以下「パートナーシップ・ポートフォリオ」と呼ぶ)と、そうしたパートナーシップ・ポートフォリオのパートナーとして投資を行う基金とを保有する事業主体を利用する。

パートナーシップ・ポートフォリオ=パートナー基金構成にあっては、複数ある基金のうちの個々の基金 --「スポーク "Spoke"」( シグナチャ・ファイナンシャル・グループ・インコーポレーティドのサービス・マーク)と呼ばれる -- は、「1940 年投資会社法 Investment Company Act of 1940」(「投資会社法」)及び「1933 年証券法 Securities Act of 1933」(「証券法」)のもとで登記された投資信託と云うこともありうるが、「スポーク "Spoke"」(シグナチャ・ファイナンシャル・グループ・インコーポレーティドのサービス・マーク)には、投資信託の他にも、年金基金(従業員退職給付保障法 -- ERISA: Employment Retirement Income Securities Act -- の管轄下にある)、共同信託基金(様々な銀行業務規制担当者の管掌下にある)、保険会社の分離勘定、米国外居住者による投資基金がなってもよい。更に「ハブ "Hub"」(シグナチャ・ファイナンシャル・グループ・インコーポレーティドのサービス・マーク)と呼ばれるパートナーシップ・ポートフォリオが設立され、各基金は、そのパートナーシップ・ポートフォリオにおける投資家となる。そのパートナーシップ・ポートフォリオは(投資会社であるから)「投資会社法」に従って登記されるが、その株式は「証券法」に従った登記はされない。個人は、このパートナーシップ・ポートフォリオへの直接投資をすることはできない。その投資家は、基金のみであり、そうした各基金は、ポートフォリオの資産群の 100% を投資する。

このポートフォリオは、法律的には信託又は他の事業主体でありうるが、税法上はパートナーシップとみなされる。パートナーシップとして、このポートフォリオは、税制上「通り抜け的」取り扱いを受けるため、税の支払いを行うことはなく、全ての経済的損益は、ポートフォリオの投資家側に通り抜ける。投資信託が課税回避するには、内国歳入法(「歳入法」)上、「適格投資会社」(RIC: regulated investment company) の要件を満たす必要がある。歳入法の適格投資会社条項は、投資信託が他の種類の基金に投資することを禁止しており、また、単一の投資信託が複数の投資信託に分割することを妨げている。また、こうした適格投資会社条項は、以下に論ずるような、株主間における経済的歪みや不均衡をもたらしている。


訳注::
上記訳文において "flow-through" に対する「通り抜け的」と云う訳語に就いては、「大蔵省財政金融研究所」(現在、財務省財務総合政策研究所)「フィナンシャル・レビュー」November-1995 所収の「投資信託の税制」(田邊 曻:日本投資信託制度研究所理事長 大蔵省財政金融研究所特別研究官)の p.31 を参照のこと。


ポートフォリオにおいて組み合わされた複数の資産に対しては、上記の規模の経済性が一層充分に働くことが可能になる。異なる種類の投資ビークルの資産が融合できるようになっているので、投資管理が一層効率的・効果的に行なえるようになっている。全ての資金が、ハブ・アンド・スポーク型サービスによる利益を受けることができるわけだが、小額資産の基金に就いて言えば、通常は運用費用率が高くなり過ぎてしまうために、基金として実際的であり得ないのが普通だったが、資産をポートフォリオに投資することで、費用効果性がある仕方での設立が可能になっている。また、ポートフォリオへの投資は、新規基金に投資履歴を付与するため、そうした資金を、投資家にとって一層魅力のあるものにする。これによって、以前は経済的に参入不可能であったような顧客市場にも提示できるような新規投資信託を一層効率的に設立することが、投資信託の主催者にとり可能になった。

ポートフォリオは、投資信託ではないため、正規の投資信託での投資に付き纏う或る種の経済的歪みや不均衡には陥らない。基金「甲」が、投資信託である基金「乙」に、「乙」によるキャピタルゲインの配当直前に投資した場合を考えると、「乙」の全ての株主同様、この配当により「甲」もキャピタルゲインを実現する。しかし、実際には「甲」は「乙」の価値における利益の実現をしていないのだから、「乙」は、「甲」の当初の投資の一部を返還するに過ぎない。「甲」は、当初投資の一部に対し税金を支払うことが求められるか、あるいは、投資信託の場合は、そうした税金は、その株主に転嫁される。つまり、投資利益が課税対象となるのである。

投資信託の場合と異なり、ポートフォリオは、実際の配当を行うのではなく、収益、キャピタルゲイン、そして費用又は投資損失の配分を日々行う。この日々の配分は、以下に記載する「配分比」に基づいて、本明細書に開示されたデータ処理システム及び方法により決定・管理される。こうした日次配分は、その日に、適切な経済的利得及び損失を各株主に直接配分することで、経済的歪み及び不均衡を回避する。投資信託は、配当が行なわれた任意の日付にたまたま株主であったたらば誰であっても、それに対し収益及び損益の配当を行うだけである。そうした配当どうしの間に、投資信託株式の純資産価値の決定を通じて、そうした損益が考慮に入れられるとは言え、株主にとって課税対象となる損益を発生させるのは、その損益配当である。そこで、ハブ・アンド・スポーク型金融サービス構成は、経済的な課税対象収益を整合化することでこうした欠点を解消する。

パートナーシップ・ポートフォリオ=パートナー基金構成は、管理上大きな問題がある。ポートフォリオの各パートナーは、何らかの種類の基金であるから、その資産は、顧客が投資を追加したり引き上げたりするのに応じて、日々変化するため、各基金のパートナーシップ持分は、日々変動する。例えば、基金 A と基金 B とからなるポートフォリオを考える。一日の寄りつきに、ポートフォリオに対し、基金 A が $750,000 投資し、基金 B が $250,000 投資していたとする。ポートフォリオの資産は $1,000,000 であり、基金 A の分担所有権は 75% となり、基金 B の分担所有権は 25% となる。次いで、その日の大引けでは、市場変動によるポートフォリオ価値の変化は無かったが、基金株主の追加購入により、基金 A の資産は $800,000 になり、基金 B の資産は $275,000 になったとする。ポートフォリオの資産は $1,075,000 に増大しており、基金 A の分担所有権は 74.4% となり、基金 B の分担所有権は 25.6% となる。

ポートフォリオの資産価値は増減したり、また、ポートフォリオへの追加資金投資があるため(又は、既存の基金がその投資全額を引き出したりするため)、さらに複雑性が増す。その上、投資信託における複雑性と同様、多くのハブ・アンド・スポーク型構造が同時に管理されることもありうる。ポートフォリオの各基金に対して日々の配分を正確に行なえるようにするためには、新規で独創的なデータ処理システム及び方法が必要である。また、そうした日次配分は、それぞれ、様々な経済要素 -- 収益、損失、支出 -- からなる。こうした様々な要素は、非課税会計処理上、そして、やはり(分離勘定においては)税法上、継続的に分離されたり総合されたりする必要がある。

日次配分が行なわれないとすると、時間経過に伴って、経済上の不正確性が現われることになろう。こうした不正確性は、典型的には投資信託が、基金にその日発生した経済的出来事の経済的要素を日次ベースで実際に配分、つまり、清算しないために発生する。実際の現金配当は、個別の基金の事業目論見に応じて、月毎、四半期毎、その他の所定期間毎に行なってよいことになっているのである。

資信託として構成されたパートナーシップ・ポートフォリオの場合、配当が期間ベースで行なわれるものであるならば、所定の日に得られた収益は、その日に配分されない限り、特定の投資家が受け取る収益の増加ではなく、基金全体の資本価値の増加に繋がることになる。同様に、費用が発生して、その日に配分されない場合、特定の投資家の収益が減るのではなく、基金全体の資本価値の減少に繋がることになる。本発明のデータ処理システム及び方法によるなら、各基金は、そのバランスシート上において、その日のポートフォリオに生じた経済的利益又は損失の公正な割当分を把握することができる。

基金の配分比を正確に計算する独自な方法が開発されたのである。各基金には、獲得されてはいるが配当されていない全ての経済的利益からなるポートフォリオへの各基金の投資額全体を表わす簿価資本勘定 (book capital account) が設けられている。各基金に対する、この簿価資本勘定には、前日の基金株主の買入及び償還と、日次ポートフォリオ収益・損失での基金の比例割当分と、日次ポートフォリオ損益(「確定」か「含み」かにかかわらず)での基金の割当分とが含まれる。

各基金のポートフォリオ投資家としての初日、つまり、基金が継続してハブ・アンド・スポーク型構成に参加する各会計年度の当初では、各資金のポートフォリオにける夫々の所有権割当分は、そのポートフォリオへの投資総額に対する相対割合により決定される。その後は、基金の配分率は、(本発明のデータ処理システムが日次決定する)参加基金の簿価資本勘定残高に対する適切な調整を通じて、調整される。各基金の簿価資本勘定は、日々変化し、ポートフォリオにおける各基金の正確な相対的所有権を、連続的に示すことになる。各基金の簿価資本勘定は、以下のように日々増大又は減少する:

(a) 基金がポートフォリオに対し行う何らかの資本供与(基金株主による買入)に応じて増加する。

(b) ポートフォリオが基金に対し行う何らかの配当(ポートフォリオ支出及び基金株主による償還等)に応じて減少する。

(c) 基金に配分される含み利益の何らかの増大、又は、基金に配分される含み損失の何からの減少に応じて増大する。

(d) 基金に配分される含み利益の何らかの減少、又は、基金に配分される含み損失の何からの増大に応じて減少する。

(e) 基金に配分される利益(ポートフォリオ収益)又は損失(ポートフォリオ支出)のそれぞれに応じて増大又は減少する。

本発明のデータ処理システム及び方法は、こうした恒久的に変化し続け相互に関連している勘定の夫々を決定するのに成功した。簿価資本勘定の概念に従って、各基金の投資総額の調整を日々計算することで、配分比が正確に計算できる。また、前記データ処理システムは、税務及び会計処理のための統合年度末収益・損失及びキャピタルゲイン・ロスの計算に必要なデータを、毎日長期間にわたり決定して行く。

What is claimed is:
1. A data processing system for managing a financial services configuration of a portfolio established as a partnership, each partner being one of a plurality of funds, comprising:

(a) computer processor means for processing data;

(b) storage means for storing data on a storage medium;

(c) first means for initializing the storage medium;

(d) second means for processing data regarding assets in the portfolio and each of the funds from a previous day and data regarding increases or decreases in each of the funds, assets and for allocating the percentage share that each fund holds in the portfolio;

(e) third means for processing data regarding daily incremental income, expenses, and net realized gain or loss for the portfolio and for allocating such data among each fund;

(f) fourth means for processing data regarding daily net unrealized gain or loss for the portfolio and for allocating such data among each fund; and

(g) fifth means for processing data regarding aggregate year-end income, expenses, and capital gain or loss for the portfolio and each of the funds.


クレーム:
1. 各パートナーが複数の基金のうちの一つであるパートナーシップとして設立されたポートフォリオ構成の金融サービスを管理するデータ処理システムであって、

(a) データを処理するコンピュータ・プロセッサ手段と、

(b) 記憶媒体にデータを記憶させる記憶手段と、

(c) 前記記憶媒体を初期化する第1の手段と、

(d) ポートフォリオ及び各基金の資産に関する前日からのデータと、前記各基金・資産の増減に関するデータとを処理し、前記ポートフォリオにおける各基金の保有割当率を配分する第2の手段と、

(e) 前記ポートフォリオの日次更新する収益・支出及び確定損益に関するデータを処理し、そうしたデータを各基金に割り当てる第3の手段と、

(f) 前記ポートフォリオの日次含み損益に関するデータを処理し、そうしたデータを各基金に割り当てる第4の手段と、

(g) 前記ポートフォリオ及び各基金の総合年度末収益・支出及びキャピタルゲイン・ロスに関するデータを処理する第5の手段とからなることを特徴とする金融サービス用データ処理システム。

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2005年7月24日 (日)

米国特許5960411(ワンクリック特許)要約・発明の背景・独立クレーム


本件は、ビジネスモデル特許として著名な、Amazon.com, Inc. の所謂「ワンクリック特許」である。

米国特許 No.5,960,411 (Hartman, et al. September 28, 1999) の要約・発明の背景・独立クレームの訳文。

Method and system for placing a purchase order via a communications network

通信ネットワークを介した購入発注方法及びシステム


Abstract
A method and system for placing an order to purchase an item via the Internet. The order is placed by a purchaser at a client system and received by a server system. The server system receives purchaser information including identification of the purchaser, payment information, and shipment information from the client system. The server system then assigns a client identifier to the client system and associates the assigned client identifier with the received purchaser information. The server system sends to the client system the assigned client identifier and an HTML document identifying the item and including an order button. The client system receives and stores the assigned client identifier and receives and displays the HTML document. In response to the selection of the order button, the client system sends to the server system a request to purchase the identified item. The server system receives the request and combines the purchaser information associated with the client identifier of the client system to generate an order to purchase the item in accordance with the billing and shipment information whereby the purchaser effects the ordering of the product by selection of the order button.


要約
インターネットを介して商品品目を購入するための発注方法及びシステム。購入者による発注は、クライアント・システム側で行なわれ、受注はサーバー・システム側で行なわれる。サーバー・システムは、クライアント・システムから、購入者識別情報、支払い情報、発送情報などからなる購入者情報を受信する。次いで、サーバー・システムは、クライアント・システムに対し、クライアント識別子を付与し、付与されたクライアント識別子に、受信された購入者情報を付随させる。サーバー・システムは、付与されたクライアント識別子と、前記商品項目を確認し且つ注文ボタンを有する HTML 文書とを、クライアント・システムに送信する。クライアント・システムは、付与されたクライアント識別子を受信・記憶し、前記 HTML 文書を受信・表示する。前記注文ボタンの選択に応じて、クライアント・システムは、確認済商品項目を購入する旨の要求を、サーバー・システムに送信する。サーバー・システムは、前記要求を受信し、クライアント・システムのクライアント識別子に付随する購入者情報を組み合わせて、代金請求及び商品発送情報に従って前記商品項目を購入すると云う注文を生成することで、購入者が注文ボタンの選択により製品の注文が行なえるようにする。

TECHNICAL FIELD
The present invention relates to a computer method and system for placing an order and, more particularly, to a method and system for ordering items over the Internet.


BACKGROUND OF THE INVENTION
The Internet comprises a vast number of computers and computer networks that are interconnected through communication links. The interconnected computers exchange information using various services, such as electronic mail, Gopher, and the World Wide Web ("WWW"). The WWW service allows a server computer system (i.e., Web server or Web site) to send graphical Web pages of information to a remote client computer system. The remote client computer system can then display the Web pages. Each resource (e.g., computer or Web page) of the WWW is uniquely identifiable by a Uniform Resource Locator ("URL"). To view a specific Web page, a client computer system specifies the URL for that Web page in a request (e.g., a HyperText Transfer Protocol ("HTTP") request). The request is forwarded to the Web server that supports that Web page. When that Web server receives the request, it sends that Web page to the client computer system. When the client computer system receives that Web page, it typically displays the Web page using a browser. A browser is a special-purpose application program that effects the requesting of Web pages and the displaying of Web pages.

Currently, Web pages are typically defined using HyperText Markup Language ("HTML"). HTML provides a standard set of tags that define how a Web page is to be displayed. When a user indicates to the browser to display a Web page, the browser sends a request to the server computer system to transfer to the client computer system an HTML document that defines the Web page. When the requested HTML document is received by the client computer system, the browser displays the Web page as defined by the HTML document. The HTML document contains various tags that control the displaying of text, graphics, controls, and other features. The HTML document may contain URLs of other Web pages available on that server computer system or other server computer systems.

The World Wide Web is especially conducive to conducting electronic commerce. Many Web servers have been developed through which vendors can advertise and sell product. The products can include items (e.g., music) that are delivered electronically to the purchaser over the Internet and items (e.g., books) that are delivered through conventional distribution channels (e.g., a common carrier). A server computer system may provide an electronic version of a catalog that lists the items that are available. A user, who is a potential purchaser, may browse through the catalog using a browser and select various items that are to be purchased. When the user has completed selecting the items to be purchased, the server computer system then prompts the user for information to complete the ordering of the items. This purchaser-specific order information may include the purchaser's name, the purchaser's credit card number, and a shipping address for the order. The server computer system then typically confirms the order by sending a confirming Web page to the client computer system and schedules shipment of the items.

Since the purchaser-specific order information contains sensitive information (e.g., a credit card number), both vendors and purchasers want to ensure the security of such information. Security is a concern because information transmitted over the Internet may pass through various intermediate computer systems on its way to its final destination. The information could be intercepted by an unscrupulous person at an intermediate system. To help ensure the security of the sensitive information, various encryption techniques are used when transmitting such information between a client computer system and a server computer system. Even though such encrypted information can be intercepted, because the information is encrypted, it is generally useless to the interceptor. Nevertheless, there is always a possibility that such sensitive information may be successfully decrypted by the interceptor. Therefore, it would be desirable to minimize the sensitive information transmitted when placing an order.

The selection of the various items from the electronic catalogs is generally based on the "shopping cart" model. When the purchaser selects an item from the electronic catalog, the server computer system metaphorically adds that item to a shopping cart. When the purchaser is done selecting items, then all the items in the shopping cart are "checked out" (i.e., ordered) when the purchaser provides billing and shipment information. In some models, when a purchaser selects any one item, then that item is "checked out" by automatically prompting the user for the billing and shipment information. Although the shopping cart model is very flexible and intuitive, it has a downside in that it requires many interactions by the purchaser. For example, the purchaser selects the various items from the electronic catalog, and then indicates that the selection is complete. The purchaser is then presented with an order Web page that prompts the purchaser for the purchaser-specific order information to complete the order. That Web page may be prefilled with information that was provided by the purchaser when placing another order. The information is then validated by the server computer system, and the order is completed. Such an ordering model can be problematic for a couple of reasons. If a purchaser is ordering only one item, then the overhead of confirming the various steps of the ordering process and waiting for, viewing, and updating the purchaser-specific order information can be much more than the overhead of selecting the item itself. This overhead makes the purchase of a single item cumbersome. Also, with such an ordering model, each time an order is placed sensitive information is transmitted over the Internet. Each time the sensitive information is transmitted over the Internet, it is susceptible to being intercepted and decrypted.


技術分野
本発明は、コンピュータによる発注方法及びシステムに関し、特に、インターネットを介した商品項目の注文方法及びシステムに関する。


発明の背景
インターネットは、通信リンクを通じて相互接続された膨大な数のコンピュータ及びコンピュータ・ネットワークからなる。相互接続されたコンピュータは、電子メール、ゴーファー (Gopher)、ワールド・ワイド・ウェブ (WWW) などからなる様々なサービスに利用して情報を交換する。WWW サービスを用いると、サーバー・コンピュータ・システム(つまり、ウェブ・サーバー又はウェブ・サイト)は、情報を、グラフィカルなウェブ・ページの形で、遠隔クライアント・コンピュータ・システムへ送信できる。そうすることで、遠隔クライアント・コンピュータ・システムは、そうしたウェブ・ページを表示することができる。WWW の各リソース(例: コンピュータ又はウェブ・ページ)は、「統一資源ロケータ (Uniform Resource Locator)」(URL)により一意的に識別可能である。特定の或るウェブ・ページを閲覧する際、クライアント・コンピュータ・システムは、例えば「ハイパーテキスト転送プロトコル (HyperText Transfer Protocol)」(HTTP) 要求などのような要求において、そのウェブ・ページの URL を指定する。その要求は、そのウェブ・ページをサポートするウェブ・サーバーに送られる。前記要求を受信した前記ウェブ・サーバーは、そのウェブ・ページを、前記クライアント・コンピュータ・システムに送信する。前記ウェブ・ページを受信すると、前記クライアント・コンピュータ・システムは、典型的には、ブラウザを使って、そのウェブ・ページを表示する。ブラウザとは、ウェブ・ページを要求したり、ウェブ・ページを表示したりするのに目的を特化したアプリケーション・プログラムである。

現在のところ、ウェブ・ページは、典型的には、「ハイパーテキスト・マークアップ言語 (HyperText Markup Language)」(HTML) を使って定義される。HTML では、如何にしてウェブ・ページが表示されるべきかを定めるタグの標準的セットが提示されている。ユーザーが、ブラウザに、或るウェブ・ページを表示するよう指示すると、ブラウザは、そのウェブ・ページを定義する HTML 文書をクライアント・コンピュータ・システムに転送するようにと云う要求を、サーバー・コンピュータ・システムに送信する。要求された HTML 文書が、クライアント・コンピュータ・システムにより受信されると、ブラウザは、HTML 文書により定められている通りにウェブ・ページを表示する。HTML 文書は、テキスト、グラフィクス、コントロールその他の要素の表示を制御する様々なタグを含んでいる。そうした HTML は、そのサーバー・コンピュータ・システム又は他のサーバー・コンピュータ・システム上で閲覧可能な他のウェブ・ページの URL を含んでいることがある。

ワールド・ワイド・ウェブは、電子商取引を実施するのに特に適する。多くのウェブ・サーバーが、販売業者による製品の広告・販売を可能にする場として開発されている。そうした製品としては、購入者にインターネットを介して電子的に配達される品目(例: 音楽)もあれば、従来の配送経路(例: 運送業者)を通じて配達される品目(例: 書籍)もある。サーバー・コンピュータ・システムは、購入可能な商品項目を列挙した電子版カタログを提供することもある。潜在的には購入者であるユーザーは、そのようなカタログをブラウザで眺めて、購入すべき様々な商品項目を選択することができる。ユーザーが購入予定の品目選択を完了した際には、サーバー・コンピュータ・システムは、品目の注文を完了するための情報をユーザーが提供するよう促す。この購入者固有の注文情報には、購入者の名前、購入者のクレジットカード番号、注文に対する送り先アドレスが含まれうる。その際、サーバー・コンピュータ・システムは、典型的には、確認用ウェブ・ページをクライアント・コンピュータ・システムに送信することで注文の確認を行ない、そして商品項目発送の予定を組む。

購入者固有の注文情報は、取り扱いに注意を要する情報(例: クレジットカード番号)を含んでいるので、販売業者及び購入者双方とも、そうした情報の安全性を確保することを望む。インターネットを介して転送される情報は、その最終目的地に至る途中で様々な介在コンピュータ・システムを通過するから、安全性問題は重要である。情報は、介在システムにおいて、不道徳な人物が傍受してしまうかもしれないからだ。取り扱いに注意を要する情報の安全性確保の一助として、そうした情報をクライアント・コンピュータ・システムとサーバー・コンピュータ・システムとの間で転送する際には、様々な暗号技術が利用されている。そうした暗号化情報も傍受されうるとは言え、暗号化されているから、おおむね、傍受者の役には立たない。それでも、そうした取り扱いに注意を要する情報の暗号解読に、傍受者が成功する可能性は常にある。従って、発注の際には、取り扱いに注意を要する情報の転送を最小限にすることが望ましいと言える。

電子カタログから様々な商品項目を選択を行うのは、一般的に「ショッピング・カート」型モデルに基づいている。購入者が、電子カタログから或る商品項目を選択すると、サーバー・コンピュータ・システムは、その商品項目を、譬えて言うなら、ショッピング・カートに入れていく。購入者の商品項目選択が完了すると、購入者が、代金請求・発送情報を提供した時点で、ショッピング・カート中の全ての商品項目が「チェックアウト」(つまり、注文)される。購入者が、何か一つの商品項目を選択するたびに、自動的にユーザーに代金請求・発送情報の提供を促して、その商品項目の「チェックアウト」が行なわれるモデルも幾つかある。「ショッピング・カート」型モデルは、非常に柔軟かつ直感的で解かりやすいとはいえ、購入者に多くの情報交換を行うよう求めると云うマイナス面がある。例えば、購入者が電子カタログから様々な商品項目を選択し、次いで、選択が終了した旨を示した際、購入者には、注文完結のために、購入者固有の注文情報を提供するよう促す注文用ウェブ・ページが提示される。そうしたウェブ・ページには、他の発注を以前行った際に購入者が提供していた情報が予め書き込まれているようにできる。そうした情報は、サーバー・コンピュータ・システムにより有効性が確かめられてから、注文が完結する。こうした注文モデルには、二つの点で問題が発生しうる。まず、もし、購入者が注文しようとする品目が一つだけの場合、注文過程の様々なステップを確認し、購入者固有の注文情報の点検・更新を待機するオーバヘッドが、商品項目選択を行うオーバヘッド自体より、遥かに大きくなる可能性がある。このオーバヘッドは、単一の商品項目の購入を煩わしいものにする。また、こうした注文モデルにあっては、発注が行なわれる度に、取り扱いに注意を要する情報がインターネットを介して転送される。取り扱いに注意を要する情報がインターネットを介して転送される度に、傍受され暗号解読される可能性がある。

We claim:
1. A method of placing an order for an item comprising:

under control of a client system,

displaying information identifying the item; and

in response to only a single action being performed, sending a request to order the item along with an identifier of a purchaser of the item to a server system;

under control of a single-action ordering component of the server system,

receiving the request;

retrieving additional information previously stored for the purchaser identified by the identifier in the received request; and

generating an order to purchase the requested item for the purchaser identified by the identifier in the received request using the retrieved additional information; and

fulfilling the generated order to complete purchase of the item

whereby the item is ordered without using a shopping cart ordering model.


6. A client system for ordering an item comprising:

an identifier that identifies a customer;

a display component for displaying information identifying the item;

a single-action ordering component that in response to performance of only a single action, sends a request to a server system to order the identified item, the request including the identifier so that the server system can locate additional information needed to complete the order and so that the server system can fulfill the generated order to complete purchase of the item; and

a shopping cart ordering component that in response to performance of an add-to-shopping-cart action, sends a request to the server system to add the item to a shopping cart.


9. A server system for generating an order comprising:

a shopping cart ordering component; and

a single-action ordering component including:

a data storage medium storing information for a plurality of users;

a receiving component for receiving requests to order an item, a request including an indication of one of the plurality of users, the request being sent in response to only a single action being performed; and

an order placement component that retrieves from the data storage medium information for the indicated user and that uses the retrieved information to place an order for the indicated user for the item; and

an order fulfillment component that completes a purchase of the item in accordance with the order placed by the single-action ordering component.


11. A method for ordering an item using a client system, the method comprising:

displaying information identifying the item and displaying an indication of a single action that is to be performed to order the identified item; and

in response to only the indicated single action being performed, sending to a server system a request to order the identified item

whereby the item is ordered independently of a shopping cart model and the order is fulfilled to complete a purchase of the item.


クレーム
1. 商品項目の発注方法であって、

クライアント・システムの制御下にあって

前記商品項目を確認する情報を表示する段階と、

単一の動作が実行されただけで、前記商品項目を注文する旨の要求を、前記商品項目の購入者の識別子と共に、サーバー・システムに送信する段階と、

前記サーバー・システムの単一動作注文コンポーネントの制御下にあって、

前記要求を受信する段階と、

前記受信された要求中の前記識別子により識別される購入者に関して以前から記憶されていた付加的な情報を検索する段階と、

前記検索された付加的情報を用いて、前記受信された要求中の前記識別子により識別される購入者に関して、前記要求された商品項目を購入するための注文を生成する段階と、

前記生成された注文に応じた納品を行って、前記商品項目の購入を完結する段階からなることで、

ショッピング・カート型注文モデルを用いることなく、前記商品項目が注文されるようにすることを特徴とする商品項目発注方法。


6. 商品項目を注文するクライアント・システムであって、

顧客を識別する識別子と、

前記商品項目を確認する情報を表示する表示コンポーネントと、

単一の動作が実行されただけで、前記確認された商品項目を注文する旨の要求をサーバー・システムに送信し、前記要求には、前記サーバー・システムが、注文完結に必要な付加的情報の所在場所を探し出すことかでき、そして、前記サーバー・システムが、前記生成された注文に応じた納品を行って、前記商品項目の購入を完結するようができるようにするために、前記識別子がふくまれるようにしてなる単一動作注文コンポーネントと、

「ショッピング・カートへの投入動作」実行に応じて、ショッピング・カートに、前記商品項目を投入させる旨の要求を前記サーバ・システムに送信するショッピング・カート注文コンポーネントとからなることを特徴とする商品項目注文クライアント・システム。


9. 注文を生成するサーバー・システムであって、

ショッピング・カート注文コンポーネントと、

複数のユーザーに関する情報を記憶するデータ記憶媒体と、各々が前記複数のユーザーのうちの一人を指定する情報を含み、単一動作が実行されただけで送信される商品項目注文要求を受信する受信コンポーネントと、指定されたユーザーに関する情報を前記データ記憶媒体から検索し、前記検索された情報を、前記指定されたユーザーのために前記商品項目の発注を行うのに利用する発注コンポーネントとからなる単一動作注文コンポーネントと、

前記単一動作注文コンポーネントによる発注に従って前記商品項目の購入を完結する納品コンポーネントとからなることを特徴とする注文生成サーバー・システム。


11. クライアント・システムを用いて、商品項目を注文する方法であって、

前記商品項目を確認する情報を表示し、前記確認された商品項目を注文するために実行されるべき単一動作を指定する表示を行う段階と、

前記指定された単一動作が実行されただけで、前記確認された商品項目を注文する旨の要求を、サーバー・システムに送信する段階とからなることで、

前記商品項目が、ショッピング・カート型モデルとは独立して注文され、納品されて、前記商品項目の購入が完結することを特徴とするクライアント・システムを用いた商品項目注文方法。

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2004年10月23日 (土)

ユンボ、ジャンボ、ダンボ、チョンボ

0. 整地作業
「ユンボ」と云う重機(「建設機械」・「建機」と同義なんだそうだが、微妙に違っているような気もする)があるのは知っていた。何というほどのことはないが、記憶に残りやすい語呂ではある。どう云うものかと云うイメージも、素人ながら持っていた。間違っているかも知れないことを承知で言うと、ブルドーザーのように、本体前面下方に近接して設置された幅広の装具(「ブレード」と言うらしい)で土砂等を押しのけるのではなく、本体前方ながらヤヤ高いところから伸びるアームの先端に設置された幅の狭い装具(「バケット」と言うらしい)で、土砂等を掻き出すのが「ユンボ」だろうと。

先回りして此処で書いておくと、「ユンボ」は、もともとは [三菱] の商品名(brand 又は brand name 又は trade name)であるが、現在やや一般名称(generic name)に近く使われている。

ついでに書いておくと「ユンボ」には、大型機と云うイメージはないなぁ。小回りが効くのが「ユンボ」の身上のような気もするが、実際の現場ではどうなのか知らない。

それで、普通の日本人が「ユンボ」から連想する重機のヨリ公式な一般名は「バックホー(backhoe)型油圧ショベル」とでも言うべきものだと云うことを確認しておく。

まず、1960年 [ユンボ] をフランスから日本に技術導入した、[新三菱重工業] (1950年に一旦分割された他二社との合併により 1964年 [三菱重工業]になる)から生産事業を引き継いだ[新キャタピラー三菱株式会社] (1987年 [三菱重工業明石製作所] と [キャタピラー三菱] とが合併して設立)のオフィシャルサイトによると:

油圧ショベルはヨーロッパ生まれ。昭和30年代前半までは、日本もその大部分を輸入していました。中で評価が高かったのはフランス・シカム社の製品「ユンボ」。昭和35(1960)年、同社と技術提携した新三菱重工(現三菱重工)が、翌年に代表機種のY35を初めて国産化するや、その名は油圧ショベルの代名詞として瞬く間に浸透しました。ショベルカーやバックホー、パワーショベルなど呼称はさまざまですが、(社)日本建設機械工業会では、「油圧ショベル」に統一しています。

※ 「パワーショベル」・・呼称が統一される前にある国内メーカが使用していた呼び名。
※ 「ショベルカー」 ・・油圧ショベルに限らず、警察用語では建設機械を「ショベルカー」と呼んでいます。 新聞報道でもこの表現が使われています。

バケットを手元に引き寄せるように掘削する方法を「バックホー」と言うのであって、 本来は油圧ショベルそのものを意味するものではありません。 ちなみに、手元から前方にすくい上げるように掘削する方式を「フロントショベル」と言います
--新キャタピラー三菱株式会社: なぜ油圧ショベルを「ユンボ」と言うのか?

付け加えておくと、油圧ショベルには、走向方式が無限軌道(履帯、或いは、所謂「キャタピラ」)による「クローラ式」と、タイヤによる「ホイール式」とがある。[車両系建設機械(総合)] を参照。


1. きっかけは・・・
ある時、全く唐突に、「ユンボ」は "Jumbo" のドイツ語風の読み方に違いないことに気がついた。直に気がつかないところが、私が[イカにもエビにもトロい]と呼ばれる由縁だが、兎に角気がついたので、少し調べてみようと思っていた。

"Jumbo" が、もともと USA で見世物に使われた(アフリカン・ネイチヴの言葉に由来する)巨象の名前であること位は、私でも知っていたから、この推測には、初めから確信があった。「ユンボ」の掘削作業は、あからさまに象の摂食行動を連想させるからだ。

しかし、そうなると、もう少し詳しいことを知りたくなる。その辺の事を、少し書いてみる。


2. ジャンボ
まず、最初に [巨象ジャンボ] に就いての情報をヤヤ精密にしておこう。

Wikipedia 英語版から:

Jumbo (1861 - September 15, 1885) was the most famous elephant ever, and is the root of the adjective 'jumbo'.

Jumbo was an African elephant, born in 1861 in the French Sudan from where he was imported to France and kept in the old Zoo Jardin des Plantes close to the South railway station Gare de Sud in Paris . In 1865 he was transferred to the London Zoo, where he became famous through the riding operations. It was the London zoo-keepers that gave Jumbo its name. It is a slightly garbled version of the word jambo, which is Swahili for "hello".

He was sold in 1882 to P. T. Barnum, owner of "The Greatest Show on Earth", the Barnum & Bailey Circus. Barnum's publicity made the name Jumbo synonymous with "huge". Estimated to be 3.25 metres high in the London Zoo, it was claimed that Jumbo was approximately 4 metres tall by the time of his death. Jumbo died at a train station in St. Thomas, Ontario, Canada, where he was crushed by a locomotive. A statue now at the site commemorates the tragedy.

Jumbo's skeleton was donated to the American Museum of Natural History in New York City. Jumbo's hide was stuffed and traveled with Barnum's circus for a number of years. In 1889, Barnum donated the stuffed Jumbo to Tufts University, where it was displayed until destroyed by a fire in 1975. In honor of Barnum's donation, Jumbo became the Tufts mascot.
--Jumbo - Wikipedia, the free encyclopedia

ジャンボ (Jumbo, 1861年 - 1885年9月15日) は、史上最も有名な象であり、形容詞 'jumbo' の元となった。

ジャンボは、オスのアフリカ象である。1861年に仏領スーダン(現在のマリ共和国 Republic of Mali)で生まれたが、そこからフランスに持ち込まれて、パリ南駅(Gare de Sud)近くの自然史博物館付属植物園(Jardin des Plantes de Paris)付設の古くからある動物園(La menagerie du Jardin des Plantes)で飼育された。1865年には、ロンドン動物園に移され、そこで人を乗せる実演を行うことで有名になった。ジャンボと云う名前は、ロンドンでの象の飼育係により付けられた。この名前は、スワヒリ語の挨拶である "jambo" を僅かに変更したものである。

1882年、ジャンボは、「世界最大のショー(The Greatest Show on Earth)」を名乗ったバーナム・アンド・ベイリー・サーカス(the Barnum & Bailey Circus)の所有者 P. T, パーナム (Phineas Taylor Barnum, 1810年7月5日 - 1891年4月7日)に売り渡された。バーナムの宣伝により、ジャンボと云う名前は、「巨大」を意味するようになった。ロンドン動物園で、ジャンボの体高は 3.25 メートルとされていたが、ジャンボ死亡の際には、約4メートルであったと喧伝された。ジャンボが死んだのは、カナダのオンタリオ州セント・トーマスにあった鉄道の駅でのことで、機関車に追突されたのだった。現在、事故現場には像が建てられている。

ジャンボの骨格は、ニューヨーク市にあるアメリカ自然史博物館(the American Museum of Natural History)に寄贈された。ジャンボの皮の方は、剥製にされて、数年の間、バーナムのサーカスの巡業に伴われた。1889年、バーナムは、ジャンボの剥製を、タフツ大学(Tufts University)に寄贈した。剥製は、1975年の火事で焼失するまで、大学で展示されていた。バーナムの寄贈に敬意を払って、ジャンボは、タフツ大学のマスコットにされた。


[[ゑびすや注:この Wikipedia からの引用部分及び訳文は、"GNU Free Documentation License" に従って再利用可能である。]]


3. ユンボ
で、「ユンボ」のことなんだが・・・

再び [新キャタピラー三菱株式会社] のオフィシャルサイトから適宜引用すると:

新三菱重工業は建設機械のレパートリーを広げるべく、今後主流となる製品を求めて、海外の建設機械の調査を重ねた。その結果、有力候補に上がったのが、フランスのユンボ社 (当時シカム社) の油圧ショベルであった。



新三菱重工業は、昭和35年2月調査団をユンボ社へ派遣。性能や将来性を検討した結果、技術提携を決定し、8月には通産省の認可を得た。10月にサンプル機Y35を輸入、さまざまな調査研究を行った。


昭和35年(1960)、建設機械の専門工場として、神戸造船所明石工場は建設された。11万8,420m²の敷地に、建設機械・鉄構・研究所の共同設備を有する工場は6月に着工し、12月には生産のすべてを引き継いだ工場が完成した。
昭和36年6月、記念すべき国産初の全油圧式パワーショベルY35の1号機が、(株)戸田組 (現・戸田建設(株)) に納入されたのを皮切りに、Y35シリーズは好調に販売を続け、38年度には累計で451台に達した。全国で、その機能を評価されたY35は、次第に日本中に浸透し三菱ユンボパワーショベルの商品名「ユンボ」は、油圧ショベルの代名詞になったほどである。


そして需要の伸びとともに、明石工場は生産能力を高め事業を拡大、昭和46年8月1日には三菱重工業明石製作所として独立した。
--新キャタピラー三菱株式会社: 新キャタピラー三菱の歴史:1959-73

なお、1977(昭和52)年9月、三菱重工はユンボ社(旧シカム社)との技術提携を解消している(新キャタピラー三菱株式会社: 新キャタピラー三菱の歴史:1986-92)。


4. パズル
ここで分らなくなってくる。フランス語では単語 "jumbo" の発音は、やはり [ジャンボ] とでもするしかないだろう(フランス語にとっての英語由来の外来語と意識されている)。

ちなみに、Hachette のオンライン辞書 Encyclopédie Voila avec Hachette では、"jumbo" こう説明されている:

jumbo [ʤæmbo] n. masc. (arg. amér. «petit éléphant».).
1. AVIAT. Équivalent français : gros-porteur. [On dit aussi jumbo jet.]
2. Chariot à portique portant un jeu de perforatrices qui permet de forer simultanément plusieurs trous de mine dans un tunnel.
--Voila Encyclopédie, c 02/2004 Hachette Multimédia / Hachette Livre

jumbo [ʤæmbo]. 名詞. 男性. (「小さい象」を意味する米国スラング)
1. [航空] フランス語の gros-porteur (大型輸送機) と同義. jumbo jet (ジャンボジェット)とも言う.
2. トンネル内で同時に複数の発破孔が掘削できるよう、複数の削岩機をまとめて保持している横木が設けられた車両.

[[ゑびすや注: 残念ながら、発音記号が旨く表示されていないかもしれない。少なくとも、私の Internet Exolorer ではそうだ。]]

我我の「ユンボ」とは違いますなぁ。つまり、普通名詞としてのフランス語 "le jumbo" には、「ユンボ」に相当する意味はなさそうだ。

じゃ、ドイツ語の "der Jumbo" は、どうかと云うと、辞書には、少なくとも機械関係では [ジャンボジェット] 以外の語義は見当たらない(wissen.de)。やはり普通名詞としては「ユンボ」を意味しえない可能性が高い。


5. デッドエンド
ネット上をいろいろ検索してみたが、"jumbo" と 「ユンボ」とを繋ぐ資料は見つからなかった。ここは、一旦「ユンボは Jumbo のドイツ語風の読み方に違いない」と云う大前提を捨てる必要がある。

かと云って、出来ることはあまりない。"yunbo" 又は "yumbo" でネットを検索するくらいだ。しかも、それは「ユンボ」に就いてネットで調べる際にルーチンワークとして遣ってある(「ユンボ」のローマ字表記だからね)。しかし、フランス語圏(もしくは、フランス国内)のサイトを標的にして、集中的に調べることはしていなかった(だって、「ローマ字表記」だからね)。たまたま、フランス語のサイトがあっても、そこでは yumbo は、バイクだかスクーターだかの商品名らしかった。


6. ドンデン
だが、いろいろジタバタしているうちに、普通名詞ではないにしろ、「ユンボ」に相当して "yunbo" 又は "yumbo" 又は、これらに何からの類同性がある言葉がフランス語として使われているはずだと思えてきた。こうして、キチンと[フランス] 限定で、"yunbo" と "yumbo" を調べるべきだと云う方針が立った。

実際に google 検索してみると、"yunbo" の方は、中国系らしい人名がヒットしたくらいだが、"yumbo" では、この商標を持つ「油圧ショベル」の存在が確認できた。


7. フランス語で言うと
「バックホー型油圧ショベル」は、フランス語では何と言うか調べてみると、「建設用語小辞典・建設機械」によれば、"pelle hydraulique sur chenilles". ただ、これは訳すと「履帯(又は無限軌道、つまり、「所謂」キャタピラ)式油圧ショベル」、更に言い換えると「クローラ式油圧ショベル」になって、必ずしも [バックホウ] に限らないので、その点は留保しておく。

実は、"pelle hydraulique sur chenilles" は、日本語サイトよりフランス語サイト Europe-Machinery.com : matériel TP et camion occasion (中古大型車両 camion occasion の売買サイトらしい)の方で先に見つけて、それが日本語の「クローラ式油圧ショベル」であることを確認する過程で、上記の「建設用語小辞典・建設機械」を見つけた次第。(この文章全体としてそうなのだが、実際に起こったことは、錯綜と冗長の極みなので、若干整理して書いてある。)

ちなみに、[履帯] ではなくてタイヤを装着した架台に搭載された「ホイール式油圧ショベル」は、Europe-Machinery.com では、"pelle hydraulique sur pneus" と表されている。ま、当然だろう。


8. ユンボ出現
で、「ユンボ」が出てくるのが、"pelle hydraulique sur chenilles" のページYumbo Y70 occasion.


売買が成立してしまうと削除されてしまうだろうから、摘要を書いておくと:

Pelle hydraulique sur chenilles Yumbo Y70 occasion

Vendeur : BOUYSSI Daniel
Adresse : 67 AV CH DE GAULLE, 81600 gaillac, France
Date d'enregistrement : 19/09/2004
Marque : Yumbo
Modèle : Y70
Année : 1980
Heures : 7500 (heures)
Poids : 14 (en tonnes)
Etat : Etat moyen
Prix HT : 4500 (Euros)

Europe-Machinery.com: pelle hydraulique sur chenilles - Yumbo Y70 occasion

クローラ式油圧ショベル Yumbo Y70 中古品
出品者: BOUYSSI Daniel
住所: フランス ガヤック 81600 シャルル・ド・ゴール通り 67
登録日: 2004年9月19日
ブランド: Yumbo
型式: Y70
製造年: 1980年
運転時間: 7500 (時間)
重量: 14 (トン単位)
状態: 中程度
税別価格: 4500 (ユーロ)

[[ゑびすや謂う。BOUYSSI と云う姓の読み方が分からない。ビュシか? ちなみに、タイプミスである可能性は低い。フランス国内には、 BOUYSSI 姓が300人ほどいる由。]]

掲示板でも、「中古 Yumbo 売りたし」といった感じのものが見つかった。

  1. vend pelle à chenilles
  2. vend pelle à chenilles
  3. vends pelle à chenilles
  4. pelle mecanique international (ancienement YUMBO 6O) chenilles

これも、早晩削除されるだろうから、転記しておこう。

1. Vends pelle à chenille bon état. Poids 14 tonnes. Fonctionnement sans problemes. Marque YUMBO
売りたし。良好な状態のクローラ式ショベル。重量14トン。問題なく動作。YUMBO ブランド。

2. Vends pelle à chenille bon état. Poids 14 tonnes. Fonctionnement sans problemes. Marque YUMBO
売りたし。良好な状態のクローラ式ショベル。重量14トン。問題なく動作。YUMBO ブランド。

3. pelle Yumbo, International, 15 tonnes, 3 godets, bon état de marche, téléphone: ** ** ** ** **
Yumbo ショベル。国際規格。15トン。3 バケット。走向良好。電話: ** ** ** ** **

4. vends petit prix pour pieces pelle mecanique international (ancienement YUMBO 6O) chenilles marecage galets neuf pompe hydraulique et verin bon état, moteur HS.
廉価にて国際規格パワーショベル(元は、YUMBO 6O)の部品売りたし。沼沢地用履帯。転輪9個。油圧ポンプ。ジャッキ良品。HSモーター。

[[ゑびすや謂う。3. と 4., 特に4., は訳していて自信がない。しかし、Yumbo ブランドの油圧ショベルに関するものであることは確かだ。]]

しかし、最初の二つは、発言者が Europe-Machinery.com の BOUYSSI Daniel その人だから、扱われている油圧ショベルも同一と思われる。従って、その新規証拠能力はない。結局、Yumbo ブランドの油圧ショベルの実在を示すのは3例と云うことになるが、これは、最小限であるとはいえ、議論の足場たりうる数であろう。勿論、これらの "Yumbo" が、三菱が提携したユンボ社(又はシカム社)の製品であると云う論理的が必然性はないのだが、十分大きい可能性はある。つまり、「ユンボ」は、フランス語としての "Yumbo" に由来すると考えてよい。

むしろ注目すべきは、Yumbo ブランドの油圧ショベルの出現頻度の低さだ。例えば、上記の Europe-Machinery.com 中の「クローラ式油圧ショベル」のページでは、
250 ほどある出品のなかで、YUMBO ブランドは Daniel BOUYSSI が出したもの1件だけだった。それに対して、日本製や韓国製のは隨分ある。存続していたとしても、Yumbo 社又は、Yumbo の製造メーカーは商売繁盛しているとは思われない。


9. よくあること
従って、「『ユンボ』は "Jumbo" のドイツ語風の読み方」と云う、私の当初の「確信」は、少なくともその時漠然と考えていたありようとしては、間違っていたと言える。

何故、「少なくともその時漠然と考えていたありようとしては」などと、持って回った留保を付けたのかというなら、「ユンボ」又は "Yumbo" と "Jumbo" とは関係が無くもないからだ。


10. ユンボとジャンボ
Disney のアニメーション映画に "Dumbo" と云うものがある。「耳の大きな仔象の物語」だということ位は私でも知っている。断片的にはテレヴィで見かけたことはあるが、全編を通して観た記憶はない(単に、観て忘れているだけかも知れないが、どちらでも話は同じだ)。シノプシスは、英語版なら、[Plot Summary for Dumbo (1941)] で知ることができる。

日本語サイトでは、組織立って映画・アニメを扱っているところでは、まともなストーリーの紹介をしているところがない(対象化が出来ていない)のだが、わずかに、ある個人が、このアニメに触れると云う形で、使える粗筋をまとめている。 [もう一つ・・・「ダンボ」]

で、この "Dumbo" なんだが、主人公の赤ちゃん象は、サーカスのメス象のところにコウノトリが運んでくる。このメス象の名前が "Mrs. Jumbo." 日本語版でも「ジャンボ」だ。しかし、フランス語版では、どうやら "Madame Yumbo" つまり、「ユンボ」と言うことがあるらしい。次を参照。

≪ Je viens livrer votre bébé, dit la cigogne-facteur à Madame Yumbo. Voulez-vous signer ici, s'il vous plaît ? ≫ Madame Yumbo poussa un cri de joie et s'empressa d'ouvrir le paquet. Enfin, elle recevait son bébé éléphant ! Il etait vraiment mignon, cet éléphanteau.



Le petit éléphant fut baptise Dumbo.
--regis.camus.free.fr, L'histoire: Dumbo. page 1

「あなたの赤ちゃんを届けに来ましたよ。ここにサインしてくださいね。」と、コウノトリの郵便屋さんはユンボさんの奥さんに言いました。奥さんは、嬉しさに叫び声をあげると、急いで包みを開けました。こうして、ユンボさんの奥さんのところに、赤ちゃん象がやって来たのです。本当に可愛らしい仔象でした。



仔象は、「ダンボ」と名づけられました。

[[ゑびすや謂う。"Madame" も、それを受ける "elle" も訳しづらい。一応「ユンボさんの奥さん」としておく。]]

Dumbo の母親を Madame Jumbo としているフランス語サイト(La page des personnages de "Dumbo" de Walt Disney)もあるから、軽軽には判断できないが、「ユンボは(フランス版)ダンボの母親」と云うのは一つの自立した説たりうるだろう。

ただ、それでも何故、英語 "Mrs. Jumbo" に、フランス語として "Madame Yumbo" を当てたかと云う疑問は残っている。

ここで、フランス語の "Yumbo" が、ドイツ語の "Jumbo" の音を移して作られたと云うことはあるだろう。ただし、これは単純な可能性に留まる。今のところは、その必然性は全く見えない。


11. 蛇足を描く。
1.チョンボ

    小型のユンボを「チョンボ」と言うことがあるらしい(関西?)。
  1. 岡山県の農業従事者の発言: 「私は重量3.5トンのユンボ(こちらでは小さいのでチョンボといっています。)を持っていますが、トラクターによる土移動はユンボのそれより多いです。」

  2. 岡山県の「プチホテル」のサイト中: ユンボの、小型です。 「チョンボ」君です。 ...

2. 「現在ユンボは (株)レンタルのニッケン によって商標登録されている。」と云う説があるが(一般名詞化した商標たち)未確認。レンタルのニッケンのサイトからは、そうした主張は探し出せなかった。ただし、[レンタルのニッケン] は、三菱グループであることに注意。

また、[レンタルのニッケン]は、製造者(ヤンマー、コマツ、コベルコ、クボタ、日立、CAT 三菱、石川島建機)に関わらず、油圧ショベルを「ユンボ」の名でまとめている。例えば、掘削機・アタッチメント を参照。

この会社の「概要」を読んでいたら、社員の名前が面白いので、タマタマそう云う人たちが集まったのかしらと、思ったら、全員「ビジネス・ネーム」と云うものを付けているのだそうな(2004年10月21日 CX 系の「トリビアの泉」でもやっていた)。創業者が「亀 太郎」で、その跡を継いだのが「鶴 ひみこ」、現社長が「鹿の子 喜太郎」(まぁ、この方は本名が「鹿子木 卓」とおっしゃるらしい)、そして監査役が「大目付 太郎」。

3. フランス語サイト中に [建築機械を製造するユンボ社] のものと思われるものは見つけ出せなかった。しかし、企業情報を提供するフランス語サイト [SOCIETE.COM L'information gratuite sur les entreprises du registre du Commerce] に依れば、"Fabrication de machines pour l'extraction ou la construction" (採掘及び建設用機械の製造)を業務とする YUMBO と云うフランス企業は存在する。ただし、その登記は2002年2月13日。


12. リンク集

    本文中に取り入れられなかったリンク:
  1. Jumbo - The Elephant

  2. Jumbo the Elephant. Roadside Pet Cemetery

  3. Tufts Journal: Tufts at 150: Elephant tales

  4. Tufts Magazine Online

  5. Histoire du tunnel du Mont Blanc

  6. 「明細書用語」-パテントサーチ研究所-

  7. ユンボ大好き

  8. 0312雑記草

  9. 土工機械史

  10. Dumbo


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2004年9月30日 (木)

Pentium と錬金術

以前から、Pentium の語源に錬金術的契機があるのか気になっていたのですが、ネット内 google 検索してもそれらしいことは書かれていませんね。

と、こう書けば、この話は終わりなんですが、それでは無愛想過ぎるので、ヤヤ詳しく書いておきましょう。

では、そもそも、Pentium の語源は、一般にどう説明されているのか、と云うと:

Pentium - Microprocessor from Intel
The fifth microprocessor in the 80x86 series. It would have been called i586 or 80586, but Intel decided to name it Pentium (penta = five) after it lost a trademark infringement lawsuit against AMD. (The judgment was that numbers like "286," "386," and "486" could not be trademarked.) According to Intel, Pentium conveys a meaning of strength "like titanium".
--List of computer term etymologies

Pentium - Intel のマイクロプロセッサ
五番目の 80x86 シリーズ・マイクロプロセッサ。本来 i566 又は 80586 と呼ばれるべきものであったが、Intel が AMD との商標侵害訴訟に敗れた後(判決では、「286」、「386」及び「486」などの数字は商標たりえないとされた)、Intel が Pentium (penta とは「5」の意味)と名づけることに決めた。Intel によれば、Pentium には、「チタン(titanium)」におけるのと同様に強さの意味が込められている。

肝腎の最後のセンテンス、何を言いたいんだか判らない。

Intel のサイトを覗いてみても、「Intel によれば」と云う箇所の裏づけになりそうなことは見つけられなかったけれども、Intel が、それに類するような事を言ったとして話を進めると・・・

Pentium と titanium との共通部分である接尾辞 -ium に関連するのだろうと推測は出来るのですが、だからこそ何を言いたいんだか判らないんです。

チタンと云う金属は確かに、「鉄よりも軽く、強く、そして錆びない」。しかし、同じ接尾辞を持つ金属アルミ(aluminium)だって、鉄より「軽く、そして錆びない」(正確には、錆び、つまり酸化、が内部に進行しないってことなんだろう。でも、これはチタンだって同じことなんじゃないかな)けれど、とても「強い」とは言えないのは、一円硬貨やビールの空き缶の事を考えればそれで十分でしょう。(helium のことは、発見の経緯が例外的だから此処では論じない。)

ここは素直に -ium は、Pentium と云う名称に、[元素な雰囲気] を出すために付けられたと理解すべきでしょう。実際、そう説明している例もある。

Names in the 1990s also need broad consumer appeal. In the 1970s, says Lexicon's Placek, Intel was far from creating a branded microprocessor. By 1993, when Lexicon created the name Pentium as a term to evoke a fifth-generation (pente) chip with resonance as an element (like titanium), Intel leveraged it into a big brand name.
--Name-o-rama: How do they come up with names like Pentium and AirTouch? (By Alex Frankel)

1990年代にあっては、名称も、消費者への広範な訴求力を持たねばならない。Lexicon Branding 社の社長 David Placek によれば、1970年代、Intel 社は、マイクロプロセッサをブランド化することが全く出来なかった。1993年に至って、Lexicon Branding 社が、第五世代(pente)チップに(チタンのような)元素の響きを持たせて登場させるために、Pentium と云う名称を作り出すと、Intel 社は、それを巨大なブランド名に育て上げた。

[[ゑびすや謂う。動詞 'leverage' の用法に注意。文脈上、このくらいの意味だろうと思われる訳を付けておく。ただし、一応裏付けはある。ネット上で使われる jargons を集めた netlingo を参照。]]

と云う訣で、Lexicon Branding のサイトにも行ってみましたが、Pentium の由来に就いて、ここでも分りませんでした(余談: この会社、Apple の PowerBook の名づけ親でもあるらしい)。

ついでに書いておくと、上記 'Name-o-rama' には、Lexicon Branding とは別の手法で商品名・企業名を作り出している会社 NameLab Inc に就いても触れられていて、その対比が面白かった。米国本田の "Acura" や、コンピュータ・メーカー "Compaq" (Hewlett-Packard と合併して、会社が無くなってしまったけれど)が、その「製品」。

ちなみに、Intel では、当初、「第五世代チップ」の新名称を社内公募したらしい。「賞品」は「お二人様、ハワイ旅行にご招待」。でも結局、どれにしたらよいか決められず、Lexicon Branding と NameLab との二社に、応募の審査ともども、別途新名称の提案を発注したとのこと。結局、Lexicon Branding の案が選ばれたのですが、それでも、正解に一番近かった(って、どう云うことだ?)二名は、ハワイ旅行に行けたそうです。そんな事が書いてあるのが、Pentium Name Story

脱線ばかりして申し訳ない。

で、まぁ、もし Pentium の -ium に元素を含意があるとすると、どうなるのかと云うと・・・

その成り立ちからして、"Pentium" には、「五番目の元素」と云う「自然な」意味が発生する。或いは、むしろ、「第五元素」と言うべきか。

ここで、漸く話が錬金術に繋がる訣です。

「第五元素」に就いて説明するのは、煩わしい。と云うか、私は知らない。所謂「四大(地・水・火・風)」の次の、というか、「四大」を超越する五番目の元素。卑金属(特に鉛)を、貴金属(特に金)に変える魔法の [触媒]。人の霊性を高め、不老不死にする「賢者の石」。と、一知半解を並べ立てたところで、捕らえ所がない。泥縄式にネットを漁ってみましたが、少なくとも、日本語の錬金術関連サイトの殆どは、まともに読む気が起こるような内容ではなかった。

それに、いま問題になっているのは、「錬金術」そのものではなくて、現代のアメリカ合衆国社会に落ちている「錬金術」の歴史的な影なんですね。

そのものずばりのタイトルを有する映画 "The Fifth Element (1997)" (邦題も「フィフス・エレメント (これも 1997年公開)」)に於いて、第五元素の具現と云うことになっている Milla Jovovich (as Leeloo) が、

Me fifth element - supreme being. Me protect you.

と言っていました(正確に言うと、TV で聞いたウロ覚えを、今回ネット上で確認した)が、まぁ、そう云う受けとられ方をしているのでしょう。("The Fifth Element" と云う映画タイトルが Pentium に示唆されている可能性も排除できないけれど。)

だから、商品名に纏わせるには、丁度良いオーラだと思ったんですが、結局、Pentium と錬金術との関係は確かめられませんでした。


これまた余談になりますが(初等的な知識を振り回すようで気恥づかしいけれど)、ギリシャ語の πεντε は基数詞、つまり、物が幾つあるかを指定する言葉なんですね。例: 複合語ですが、角が五つある図形、つまり「五角形」は、πενταγωνον となる。

これに対して、何番目に当たるかを示す序数詞では、形は変わって、例えば「五番目の」は πεμπτος と、すこし形が異なる。

なんでこんなことをワザワザ注意したかというと、「第五元素」或いは「第五実体」は、ラテン語では quinta essentia ギリシャ語では、πεμπτε ουσια と、共に序数詞を使っているのです。

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