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2018年11月の1件の記事

本ブログ記事「2018年 (平成30年) 版 [理科年表] 附録「数学公式」[附17 (1097) 頁] における誤植」(2018年8月31日[金]) 補足

本記事内容の要約:

$a>b>0, \alpha\geq{0}$ の時、$r,s$

\begin{align*}
 r := \frac{-a + \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}, \quad s := \frac{-a - \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}
\end{align*}
と定めると、次の等式が成り立つ ( $s<-1<r<0$ に注意)。
\begin{align*}
 &\int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{(\alpha{x})}}{a+b\cos{x}}\,dx\\
 &\qquad = \frac{\pi\cos{(\alpha\pi)}{(-r)^{\alpha}}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}} + \frac{\sin{(\alpha\pi)}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\Big)\\
\end{align*}

上記等式の右辺第2項のカッコ内の式は、次の変形が可能である。

\begin{align*}
 &\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\\
 & = (-r)^{\alpha}\Bigg\{\int_{0}^{-\log(-r)}\frac{\sinh(\alpha{t})\cosh(t/2)}{\sinh(t/2)}dt\\
 & \qquad + \big((-r)^{\alpha}-(-r)^{-\alpha}\big)\left(\int_{0}^{1}\frac{rt^{\alpha}}{1+rt}dt - \frac{1}{2\alpha}\right)\Bigg\}%\\
\end{align*}

特に、$\alpha$ が、非負整数 $n$ である時は

\begin{align*}
 \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{(nx)}}{a+b\cos{x}}\,dx = \frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\left(\frac{-a + \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\right)^{\!\!n}
\end{align*}
である。

$a>b>0, \alpha\geq{0}$ の時、$p,q$

\begin{align*}
 p := \frac{a - \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}, \quad  q := \frac{a + \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}
\end{align*}
と定めると、次の等式が成り立つ ( $0<p<1<q$ に注意)。
\begin{align*}
 &\int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{(\alpha{x})}}{a-b\cos{x}}\,dx =\\
 &\qquad \frac{\pi{p^{\alpha}}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}} + \frac{\sin{(\alpha\pi)}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\Big)\\
\end{align*}

$\alpha>0$ の時、 $F$ を、Gauss の超幾何函数として

\begin{align*}
 &\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\\
 &\qquad = -\frac{p^{\alpha}}{\alpha}\Big(F(1,-\alpha,-\alpha+1,-1) + F(1,\alpha,\alpha+1,-1) - 1\Big)\\
 &\qquad\quad + \frac{1}{\alpha}\Big(F(1,-\alpha,-\alpha+1,-p) + F(1,\alpha,\alpha+1,-p) - 1\Big)\\
 &= 2\alpha\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}(p^{\alpha}-p^{n})}{n^{2}-\alpha^{2}} + \frac{p^{\alpha}-1}{\alpha}
\end{align*}

特に、$\alpha$ が、非負整数 $n$ である時は

\begin{align*}
 \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{(nx)}}{a-b\cos{x}}\,dx = \frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\left(\frac{a - \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\right)^{\!\!n}
\end{align*}
である。

[要約終わり]

[記事作成の経緯]

本ブログ記事「2018年 (平成30年) 版 [理科年表] 附録「数学公式」[附17 (1097) 頁] における誤植」(2018年8月31日[金]) での積分計算を精密化・一般化する。

なお、結果の要旨は、「本ブログ記事「2018年 (平成30年) 版 [理科年表] 附録「数学公式」[附17 (1097) 頁] における誤植」(2018年8月31日[金]) 補足。[一般式] Executive Summary」(2018年10月31日[水]) に示してある。

さて、上記記事で指摘したように、理科年表 (2018年版) に示された公式は、 $\alpha$ に就いて誤植がある。

更に、「本ブログ記事「2018年 (平成30年) 版 [理科年表] 附録「数学公式」[附17 (1097) 頁] における誤植」(2018年8月31日[金]) への注意」(2018年9月30日[日]) で、件の公式は $\alpha$ が [正整数] でないと成り立たないことを指摘した。しかし、この「注意」には瑕疵があって、$\alpha=0$ の場合も、「公式」は成立する。だから、実は「$\alpha$ は非負整数でないと成り立たない」とすべきだった。

その意味を込めて、本記事では、$\alpha$ が、非負整数に限らない、非負実数である場合に就いて検討する。

[主な記号の定義及び関係式]

まず、用いられる主な記号の定義及び関係式を示しておく。

\begin{align*}
 & a>b>0,\quad \alpha\geq{0}\\
 &I_{\alpha} := \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{\alpha{x}}}{a+b\cos{x}}\,dx\qquad J_{\alpha} := \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{\alpha{x}}}{a-b\cos{x}}\,dx\\
 \\
 &z = e^{ix}, dx=\frac{dz}{iz}\\
 &I_{\alpha} = \inverse{i}\int_{\substack{|z|=1\\-\pi\leq\arg{z}\leq\pi}}\frac{z^{\alpha}dz}{bz^{2} + 2az + b}\\
 &J_{\alpha} = -\inverse{i}\int_{\substack{|z|=1\\-\pi\leq\arg{z}\leq\pi}}\frac{z^{\alpha}dz}{bz^{2} - 2az + b}
\end{align*}

「2018年 (平成30年) 版 [理科年表] 附録「数学公式」[附17 (1097) 頁]、そして、「岩波数学公式 I」[第247頁] で取り上げられているのは、上記の式 $I_{\alpha}$ の形の積分である (「理科年表」では、 $\cos{\alpha{x}}$$\cos{ax}$ としてしまっているが、ここでは訂正した形のものを示してある) 。その結果として

\[
 \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{\alpha{x}}}{a+b\cos{x}}\,dx = \frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\left(\frac{\sqrt{a^{2}-b^{2}}-a}{b}\right)^{\!\alpha}
\]
が与えられているが、この等式は、$\alpha$ が「正整数」でなければ成り立たないと云うのが [9月30日] の記事だった (実は $\alpha=0$ でも成り立っている)。

本稿では、これを実際に、$\alpha$ が非負実数である場合を計算しようとするものである。ただし、議論の展開後、式の変異例の中では $\alpha=0$ の場合を排除する必要が出てくるので、その時は、その旨注意して $\alpha>0$ と云う限定のもとで話を進めよう。

さて、記号の定義及び関係式の続ける。

\begin{align*}
 &\{r,s\} := \{z | bz^{2} + 2az + b = 0 \} \quad (s<r)\\
 &\qquad r = \frac{-a + \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}, \quad s = \frac{-a - \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b};\\
 &s<-1<r<0, \qquad rs = (b/b) =1, \qquad r-s = \frac{2\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\\ 
 &\frac{r^{\alpha}}{b(r-s)} = \frac{\big((\sqrt{a^{2}-b^{2}}-a)/b\big)^{\alpha}}{b(2\sqrt{a^{2}-b^{2}}/b)} = \inverse{{2\sqrt{a^{2}-b^{2}}}}\Big(\frac{\sqrt{a^{2}-b^{2}}-a}{b}\Big)^{\alpha}\\
 &I_{n} := \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{n{x}}}{a+b\cos{x}}\,dx \qquad (n \in \natl)
\end{align*}

$a,b,r,s$ は次の関係式を満たす。

\begin{align*}
 &(\sqrt{a+b}+\sqrt{a-b})^{2} = 2(a+\sqrt{a^{2}-b^{2}}) = -2bs\\
 &(\sqrt{a+b}-\sqrt{a-b})^{2} = 2(a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}) = -2br\\
 &\sqrt{-s} = \inverse{\sqrt{2b}}(\sqrt{a+b}+\sqrt{a-b})\\
 &\sqrt{-r} = \inverse{\sqrt{2b}}(\sqrt{a+b}-\sqrt{a-b})\\
 &\sqrt{-r} + \sqrt{-s} = \sqrt{\frac{2(a+b)}{b}}\\
 &\sqrt{-s} - \sqrt{-r} = \sqrt{\frac{2(a-b)}{b}}\\
\end{align*}

$J_{\alpha}$ に関連しては、次の記号・関係式を用いる。

\begin{align*}
 &\{p,q\} := \{z | bz^{2} - 2az + b = 0 \} \quad (s<r)\\
 &p = \frac{a - \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}, \qquad q = \frac{a + \sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\\
 &0<p<1<q, \qquad pq = 1, \qquad p-q = -\frac{2\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\\ 
 &J_{n} := \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{n{x}}}{a-b\cos{x}}\,dx \qquad (n \in \natl)
\end{align*}

つまり、 $p,q \quad (p<q)$$bz^{2} - 2az + b = 0$ の根である。そして $p,q$ は正の実数であって $p=-r, q=-s$ を満たす。

当然

\begin{align*}
 &(\sqrt{a+b}+\sqrt{a-b})^{2} = 2(a+\sqrt{a^{2}-b^{2}}) = 2bq\\
 &(\sqrt{a+b}-\sqrt{a-b})^{2} = 2(a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}) = 2bp\\
 &\sqrt{q} = \inverse{\sqrt{2b}}(\sqrt{a+b}+\sqrt{a-b})\\
 &\sqrt{p} = \inverse{\sqrt{2b}}(\sqrt{a+b}-\sqrt{a-b})\\
 &\sqrt{p} + \sqrt{q} = \sqrt{\frac{2(a+b)}{b}}\\
 &\sqrt{q} - \sqrt{p} = \sqrt{\frac{2(a-b)}{b}}\\
\end{align*}

ここで、注意すべきは、$r$ が負の実数であるために、$\alpha$ が整数でない時には、

\[
 \frac{r^{\alpha}}{b(r-s)} = \inverse{{2\sqrt{a^{2}-b^{2}}}}\Big(\frac{\sqrt{a^{2}-b^{2}}-a}{b}\Big)^{\alpha}\\
\]
が、実数にならないことである。具体的には
\[
 \frac{e^{\alpha\pi{i}}}{{2\sqrt{a^{2}-b^{2}}}}\Big(\frac{a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\Big)^{\alpha}\\
\]
になる。これに対し、積分 $I_{\alpha}$ は、$\alpha$ が整数であるのとないのとに関わらず、実数にしかなりえない。

実は、この矛盾の解明が、$\alpha$ が非整数の時の表式を求めようと思った、第一の動機である。

ここて、後の計算のために 次の条件を満たす2つの実数 $\delta$ 及び $\varepsilon$ を導入する。

\[
  0< \delta < -r, \quad \delta <1+r, \quad 0< \varepsilon < -r-\delta
\]

[ $I_{\alpha}$ の計算]

さて

\[
 f(z,\alpha):= \inverse{i}\cdot\frac{z^{\alpha}}{bz^{2} + 2az + b} = \inverse{bi}\cdot\frac{z^{\alpha}}{(z-r)(z-s)} \qquad (z \in \cfd, \alpha \in \rfd, \alpha\geq{0})
\]
を考えると、$f(z,\alpha)$ は、$\alpha$ が (非負)整数でない限り、複素平面上、$z$ が原点を周回することに応じた多価性を有する。

これに従って、以下の議論では、$z$ の偏角の範囲を $-\pi\leq\arg{z}\leq\pi$ に制限し、更に、負実数半直線を、偏角 $\pi$ を有するものと、偏角 $-\pi$ を有するものとの 2 本が、別々に存在するものと考えて、その総体を定義域とする。すると、$f(z,\alpha)$ は、この定義域では $z$ に就いての一価函数となる。

この定義域に於いて、次の8つ部分 $A_{o},B_{uo},H_{u},B_{ui},A_{i},B_{li},H_{l},B_{lo}$ からなる経路 $C$ を考える。

1. $A_{o}$ : 外円。原点を中心とする単位円。ただし、偏角が $-\pi$ の点 ( $z=e^{-i\pi}$ ) から出発して、偏角 $\pi$ の点 ( $z=e^{i\pi}$ ) に至るもの (反時計回り)。

2. $B_{uo}$ : 上外橋。偏角 $\pi$ の半直線上、原点からの距離 $1$ の点 ( $z=e^{i\pi}$ ) から出発して、原点からの距離 $-r+\delta$ の点 ( $z=(-r+\delta)e^{i\pi}$ ) に至る線分。

3. $H_{u}$ : 上半円。偏角 $\pi$ の半直線上、原点からの距離 $-r$ の点 ( $z=-re^{i\pi}$ ) を中心とし、半径を $\delta$ とする、上半平面内の半円 (向きは時計回り)。

4. $B_{ui}$ : 上内橋。偏角 $\pi$ の半直線上、原点からの距離 $-r-\delta$ の点 ( $z=(-r-\delta)e^{i\pi}$ ) から出発して、原点からの距離 $\varepsilon$ の点 ( $z=\varepsilon{e^{i\pi}}$ ) に至る線分。$B_{uo}$$B_{ui}$ との、経路の向きを込めた合併を $B_{u}$ で表わすことにする。

5. $A_{i}$ : 内円。原点を中心とする半径 $\varepsilon$ の円。ただし、偏角が $\pi$ の点 ( $z=\varepsilon{e^{i\pi}}$) から出発して、偏角 $-\pi$ の点 ( $z=\varepsilon{e^{-i\pi}}$ ) に至るもの (時計回り)。

6. $B_{li}$ : 下内橋。偏角 $-\pi$ の半直線上、原点からの距離 $\varepsilon$ の点 ( $z=\varepsilon{e^{-i\pi}}$) から出発して、原点からの距離 $-r-\delta$ の点 ( $z=(-r-\delta)e^{-i\pi}$ ) に至る線分。

7. $H_{l}$ : 下半円。偏角 $-\pi$ の半直線上、原点からの距離 $-r$ の点 ( $z=-re^{-i\pi}$ ) を中心とし、半径を $\delta$ とする、下半平面内の半円 (向きは時計回り)。$H_{u}$$H_{l}$ との、経路の向き (時計回り) を込めた合併を $H_{s}$ で表すことにする。

8. $B_{lo}$ : 下外橋。偏角 $-\pi$ の半直線上、原点からの距離 $-r+\delta$ の点 ( $z=(-r+\delta)e^{-i\pi}$ ) から出発して、原点からの距離 $1$ の点 ( $z=e^{-i\pi}$ ) に至る線分。$B_{li}$$B_{lo}$ との、経路の向きを込めた合併を $B_{l}$ で表わすことにする。

さて、

\[
 f(z,\alpha) = \inverse{b(r-s)i}\Big(\frac{z^{\alpha}}{z-r} - \frac{z^{\alpha}}{z-s}\Big)
\]
に注意すると、個々に固定した $\alpha$ に対して、$z$ ( $-\pi\leq\arg{z}\leq\pi$ ) の函数 $f(z,\alpha)$ は、$z=r$ 及び$z=s$ に、それぞれ 1位の極を有する他は、上記定義域上で正則である。特に、経路 $C$ 上及びその内部では正則である (極 $z=r,\ z=s$ の位置は排除されている。)。

従って、

\begin{align*}
 &\int_{C}\!f(z,\alpha)\,dz\\
 &\quad = \int_{A_{o}}\!f(z,\alpha)\,dz
 + \int_{B_{uo}}\!f(z,\alpha)\,dz
 + \int_{H_{u}}\!f(z,\alpha)\,dz
 + \int_{B_{ui}}\!f(z,\alpha)\,dz\\
 &\qquad + \int_{A_{i}}\!f(z,\alpha)\,dz
 + \int_{B_{li}}\!f(z,\alpha)\,dz
 + \int_{H_{l}}\!f(z,\alpha)\,dz
 + \int_{B_{uo}}\!f(z,\alpha)\,dz\\
 &\quad = 0
\end{align*}

そして

\begin{align*}
 &\int_{A_{o}}\!f(z,\alpha)\,dz = \inverse{i}\int_{\substack{|z|=1\\-\pi\leq\arg{z}\leq\pi}}\frac{z^{\alpha}\,dz}{bz^{2} + 2az + b} = I_{\alpha}\\
 &\int_{B_{uo}}\!f(z,\alpha)\,dz\\
 &\quad= \inverse{b(r-s)i}\int_{1}^{-r+\delta}\Big(\frac{(\rho{e^{\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{\pi{i}}}-\big((-r){e^{\pi{i}}}\big)} - \frac{(\rho{e^{\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{\pi{i}}}-\big((-s){e^{\pi{i}}}\big)}\Big)e^{\pi{i}}d\rho\\
 &\quad= \frac{e^{\alpha\pi{i}}}{b(r-s)i}\int_{1}^{-r+\delta}\Big(\frac{\rho^{\alpha}}{\rho+r} - \frac{\rho^{\alpha}}{\rho+s}\Big)d\rho\\
%
 &\int_{H_{u}}\!f(z,\alpha)\,dz = \frac{-\pi{i}}{b(r-s)i}(-re^{\pi{i}})^{\alpha} = \frac{{-\pi}e^{\alpha\pi{i}}}{b(r-s)}(-r)^{\alpha}\\
%
 &\int_{B_{ui}}\!f(z,\alpha)\,dz\\
 &\quad= \inverse{b(r-s)i}\int_{-r-\delta}^{\varepsilon}\Big(\frac{(\rho{e^{\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{\pi{i}}}-\big((-r){e^{\pi{i}}}\big)} - \frac{(\rho{e^{\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{\pi{i}}}-\big((-s){e^{\pi{i}}}\big)}\Big)e^{\pi{i}}d\rho\\
 &\quad = \frac{e^{\alpha\pi{i}}}{b(r-s)i}\int_{-r-\delta}^{\varepsilon}\Big(\frac{\rho^{\alpha}}{\rho+r} - \frac{\rho^{\alpha}}{\rho+s}\Big)d\rho
%
\\
\\
%
 &\int_{A_{i}}\!f(z,\alpha)\,dz = \inverse{b}\int_{\pi}^{-\pi}\!\frac{\varepsilon^{(\alpha+1)}e^{(\alpha+1)i\theta}}{({\varepsilon}e^{i\theta}-r)({\varepsilon}e^{i\theta}-s)}\,d\theta\\
 &\int_{B_{li}}\!f(z,\alpha)\,dz\\
 &\quad = \inverse{b(r-s)i}\int_{\varepsilon}^{-r-\delta}\Big(\frac{(\rho{e^{-\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{-\pi{i}}}-\big((-r){e^{-\pi{i}}}\big)} - \frac{(\rho{e^{-\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{-\pi{i}}}-\big((-s){e^{-\pi{i}}}\big)}\Big)e^{-\pi{i}}d\rho\\
 &\quad = \frac{e^{-\alpha\pi{i}}}{b(r-s)i}\int_{\varepsilon}^{-r-\delta}\Big(\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\Big)\\
%
 &\int_{H_{l}}\!f(z,\alpha)\,dz = \frac{-\pi{i}}{b(r-s)i}(-re^{-\pi{i}})^{\alpha} = \frac{{-\pi}e^{-\alpha\pi{i}}}{b(r-s)}(-r)^{\alpha}\\
%
 &\int_{B_{lo}}\!f(z,\alpha)\,dz\\
 &\quad= \inverse{b(r-s)i}\int_{-r+\delta}^{1}\Big(\frac{(\rho{e^{-\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{-\pi{i}}}-\big((-r){e^{-\pi{i}}}\big)} - \frac{(\rho{e^{-\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{-\pi{i}}}-\big((-s){e^{-\pi{i}}}\big)}\Big)e^{-\pi{i}}d\rho\\
 &\quad= \frac{e^{-\alpha\pi{i}}}{b(r-s)i}\int_{-r+\delta}^{1}\Big(\frac{\rho^{\alpha}}{\rho+r} - \frac{\rho^{\alpha}}{\rho+s}\Big)d\rho\\
\end{align*}

従って

\begin{align*}
 &\lim_{\delta, \varepsilon \rightarrow 0}\Big(\int_{B_{u}}\!f(z,\alpha)\,dz\Big) = \frac{e^{\alpha\pi{i}}}{b(r-s)i}\Big(\mathrm{vp\!}\int_{1}^{0}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{1}^{0}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\Big)\\
 &\lim_{\delta, \varepsilon \rightarrow 0}\Big(\int_{B_{l}}\!f(z,\alpha)\,dz\Big) = \frac{e^{-\alpha\pi{i}}}{b(r-s)i}\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\Big)\\
 &\lim_{\delta \rightarrow 0}\Big(\int_{H_{s}}\!f(z,\alpha)\,dz\Big) = \frac{{-\pi}(e^{\alpha\pi{i}}+e^{-\alpha\pi{i}})}{b(r-s)}(-r)^{\alpha}
\end{align*}

また $\varepsilon \rightarrow 0$ として $-r>2\varepsilon$ となってから以降は

\[
 \abs{{\varepsilon}e^{i\theta}-s} > \abs{{\varepsilon}e^{i\theta}-r} \geq -r-\varepsilon > -r-(-\frac{r}{2}) = -\frac{r}{2}
\]
だから
\[
 \Big|\frac{\varepsilon^{(\alpha+1)}e^{(\alpha+1)i\theta}}{({\varepsilon}e^{i\theta}-r)({\varepsilon}e^{i\theta}-s)}\Big| < \frac{4\varepsilon^{(\alpha+1)}}{r^{2}}
 \]
従って
\[
 0 \leq \lim_{\varepsilon\rightarrow 0}\Big|\int_{A_{i}}\!f(z,\alpha)\,dz\Big| < \lim_{\varepsilon\rightarrow 0}\int_{A_{i}}\!\frac{4\varepsilon^{(\alpha+1)}}{br^{2}}\,d\theta = \lim_{\varepsilon\rightarrow 0}\frac{8\pi{\varepsilon^{(\alpha+1)}}}{br^{2}} = 0
\]

だから、結局

\begin{align*}
&I_{\alpha} = \int_{\substack{|z|=1\\-\pi\leq\arg{z}\leq\pi}}f(z,\alpha)\,dz \\
&\qquad =\frac{2{\pi}\cos{\alpha\pi}}{b(r-s)}(-r)^{\alpha} + \frac{2\sin{(\alpha\pi)}}{b(r-s)}\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\Big)\\
&\qquad =\frac{\pi\cos{\alpha\pi}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\frac{a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\Big)^{\alpha} + \frac{\sin{(\alpha\pi)}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\Big)
\end{align*}

[ $I_{n}$ ]

特に、$\alpha$ が非負整数 $\alpha=n$ であるなら

\begin{align*}
 I_{n} &= \int_{\substack{|z|=1\\-\pi\leq\arg{z}\leq\pi}}f(z,n)\,dz\\
 &= \frac{(-1)^{n}\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\frac{a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\Big)^{n}\\
 &= \frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\frac{\sqrt{a^{2}-b^{2}}-a}{b}\Big)^{n}
\end{align*}

[理科年表] の公式において、非負整数であるべき $\alpha$ の偶奇に応じた符号の反転は $\cos(\alpha\pi)$ に起因したものであることか分かる。

[ $I_{1/2}$ ]

では $\alpha$ が非整数、例えば $\alpha=\inverse{2}$ の時はどうなるかというと、

\begin{align*}
 \int_{\substack{|z|=1\\-\pi\leq\arg{z}\leq\pi}}f(z,1/2)\,dz &= \frac{1}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\sqrt{\rho}}{\rho+r}d\rho - \int_{0}^{1}\frac{\sqrt{\rho}}{\rho+s}d\rho\Big)
\end{align*}

$\rho = t^{2}\quad (t\geq{0})$ と変数変換すると (この変数変換で、主値は変化しない)、

\begin{align*}
 &\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{\sqrt{\rho}}{{\rho}+r}\,d\rho - \int_{0}^{1}\!\frac{\sqrt{\rho}}{{\rho}+s}\,d\rho = \mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{t}{t^{2}+r}(2t\,dt) - \int_{0}^{1}\!\frac{t}{t^{2}+s}(2t\,dt)\\
&\quad= 2\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{t^{2}}{t^{2}+r}\,dt - \int_{0}^{1}\!\frac{t^{2}}{t^{2}+s}\,dt\Big)\\
&\quad= -2\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{r}{t^{2}+r}\,dt - \int_{0}^{1}\!\frac{s}{t^{2}+s}x\,dt\Big)\\
&\quad= -2\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{r}{t^{2}-(\sqrt{-r})^{2}}\,dt - \int_{0}^{1}\!\frac{s}{t^{2}-(\sqrt{-s})^{2}}\,dt\Big)\\
&\quad= 2(-r)\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{dt}{t^{2}-(\sqrt{-r})^{2}} - 2(-s)\int_{0}^{1}\!\frac{dt}{t^{2}-(\sqrt{-s})^{2}}\\
\end{align*}

ここで

\begin{align*}
 &\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{dt}{t^{2}-(\sqrt{-r})^{2}} = \frac{1}{2\sqrt{-r}}\Big\{\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\Big(\frac{1}{t-\sqrt{-r}}-\frac{1}{t+\sqrt{-r}}\Big)\,dt\Big\}\\
 &\quad  = \frac{1}{2\sqrt{-r}}\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{dt}{t-\sqrt{-r}}-\int_{0}^{1}\!\frac{dt}{t+\sqrt{-r}}\Big)\\
 &\quad = \frac{1}{2\sqrt{-r}}\Big(\Big[\log(t-\sqrt{-r})\Big]_{2\sqrt{-r}}^{1} - \Big[\log(t+\sqrt{-r})\Big]_{0}^{1}\Big)\\
 &\quad = \frac{1}{2\sqrt{-r}}\log\frac{1-\sqrt{-r}}{1+\sqrt{-r}}\\
\end{align*}

\begin{align*}
 &\int_{0}^{1}\!\frac{dt}{t^{2}-(\sqrt{-s})^{2}} = -\frac{1}{2\sqrt{-s}}\int_{0}^{1}\!\Big(\frac{1}{\sqrt{-s}+t}+\frac{1}{\sqrt{-s}-t}\Big)\,dt\\
 &\quad = -\frac{1}{2\sqrt{-s}}\Big[\log\frac{\sqrt{-s}+t}{\sqrt{-s}-t}\Big]_{0}^{1}\\
 &\quad = -\frac{1}{2\sqrt{-s}}\log\frac{\sqrt{-s}+1}{\sqrt{-s}-1}
\end{align*}

まとめると

\begin{align*}
 &\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{\sqrt{\rho}}{{\rho}+r}\,d\rho - \int_{0}^{1}\!\frac{\sqrt{\rho}}{{\rho}+s}\,d\rho\\
&\quad = \sqrt{-r}\log\frac{1-\sqrt{-r}}{1+\sqrt{-r}} + \sqrt{-s}\log\frac{\sqrt{-s}+1}{\sqrt{-s}-1}\\
&\quad = \frac{\sqrt{a+b}-\sqrt{a-b}}{\sqrt{2b}}\log\frac{1-\sqrt{-r}}{1+\sqrt{-r}}\\
&\qquad\qquad + \frac{\sqrt{a+b}+\sqrt{a-b}}{\sqrt{2b}}\log\frac{\sqrt{-s}+1}{\sqrt{-s}-1}\\
&\quad = \inverse{\sqrt{2b}}\Bigg(\sqrt{a+b}\log\frac{(1-\sqrt{-r})(\sqrt{-s}+1)}{(1+\sqrt{-r})(\sqrt{-s}-1)}\\
&\qquad\qquad -\sqrt{a-b}\log\frac{(1-\sqrt{-r})(\sqrt{-s}-1)}{(1+\sqrt{-r})(\sqrt{-s}+1)}\Bigg)
\end{align*}

しかるに

\begin{align*}
 &\frac{(1-\sqrt{-r})(\sqrt{-s}+1)}{(1+\sqrt{-r})(\sqrt{-s}-1)} = \frac{1+(\sqrt{-s}-\sqrt{-r})-\sqrt{rs}}{-1+(\sqrt{-s}-\sqrt{-r})+\sqrt{rs}} = 1
\\
\\
 &\frac{(1-\sqrt{-r})(\sqrt{-s}-1)}{(1+\sqrt{-r})(\sqrt{-s}+1)} = \frac{-1+(\sqrt{-r}+\sqrt{-s})-\sqrt{rs}}{1+(\sqrt{-r}+\sqrt{-s})+\sqrt{rs}}\\
 & \quad = \frac{-2+\sqrt{\frac{2(a+b)}{b}}}{2+\sqrt{\frac{2(a+b)}{b}}} = \frac{\sqrt{a+b} - \sqrt{2b}}{\sqrt{a+b} + \sqrt{2b}}
\end{align*}
だから
\begin{align*}
 &\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\!\frac{\sqrt{\rho}}{{\rho}+r}\,d\rho - \int_{0}^{1}\!\frac{\sqrt{\rho}}{{\rho}+s}\,d\rho\\
 & \quad = \sqrt{\frac{a-b}{2b}}\log\frac{\sqrt{a+b} + \sqrt{2b}}{\sqrt{a+b} - \sqrt{2b}}\\
\end{align*}

最終的には

\begin{align*}
 \int_{\substack{|z|=1\\-\pi\leq\arg{z}\leq\pi}}f(z,1/2)\,dz &= \frac{1}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\sqrt{\rho}}{\rho+r}d\rho - \int_{0}^{1}\frac{\sqrt{\rho}}{\rho+s}d\rho\Big)\\
 & \quad = \frac{1}{\sqrt{2b(a+b)}}\log\frac{\sqrt{a+b} + \sqrt{2b}}{\sqrt{a+b} - \sqrt{2b}}\\
\end{align*}

検算をしてみよう。実は $\alpha=1/2$ の時、問題の積分は、三角函数の有理関数を有理化する周知の解法により、バカバカしいほど簡単に計算できる

\[
 I_{1/2} = \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{(\frac{x}{2}})}{a+b\cos(x)}\,dx = \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{(\frac{x}{2}})}{a+b\big(1-2\sin^{2}(\frac{x}{2})\big)}\,dx
\]
だから $t=\sin(x/2)$ と変数変換すると
\begin{align*}
 I_{1/2} &= 2\int_{0}^{1}\!\frac{dt}{a+b(1-2t^{2})}\\
 &\quad=\inverse{b}\int_{0}^{1}\!\frac{dt}{\frac{a+b}{2b}-t^{2}}\\
 &\quad=\inverse{b}\cdot\inverse{2\sqrt{\frac{a+b}{2b}}}\Bigg[\log\frac{\sqrt{\frac{a+b}{2b}}+t}{\sqrt{\frac{a+b}{2b}}-t}\Bigg]_{0}^{1}\\
 &\quad=\inverse{\sqrt{2b(a+b)}}\log{\frac{\sqrt{a+b}+\sqrt{2b}}{\sqrt{a+b}-\sqrt{2b}}}
\end{align*}

ここで $I_{\alpha}$ の被積分関数において、分子の $\cos$ の係数を負に変えた場合はどうなるか興味が湧いてくる。そこで

\begin{align*}
  &J_{\alpha} := \int_{0}^{\pi}\!\frac{\cos{\alpha{x}}}{a-b\cos{x}}\,dx  \qquad (a>b>0,\quad \alpha\geq{0})\\
 & \qquad = -\inverse{i}\int_{\substack{|z|=1\\-\pi\leq\arg{z}\leq\pi}}\frac{z^{\alpha}dz}{bz^{2} - 2az + b} \quad (z = e^{ix}, dx=\frac{dz}{iz})
\end{align*}
として、以下、これに就いて検討してみよう。

これを念頭に置いて

\begin{align*}
 g(z,\alpha) &:= -\inverse{i}\cdot\frac{z^{\alpha}}{bz^{2} - 2az + b}\\
 &= -\inverse{i}\cdot\frac{1}{b(p-q)}\Big(\frac{z^{\alpha}}{z-p}-\frac{z^{\alpha}}{z-q}\Big)
\end{align*}
を導入する。更に、次の4つの部分 $A_{o},B_{u}^{\prime},A_{i}.B_{l}^{\prime}$ からなる 経路 $C^{\prime}$ を、次のように定める。

1. $A_{o}$ : 外円。原点を中心とする単位円。ただし、偏角が $-\pi$ の点 ( $z=e^{-i\pi}$ ) から出発して、偏角 $\pi$ の点 ( $z=e^{i\pi}$ ) に至るもの (反時計回り)。

2. $B_{u}^{\prime}$ : 上橋。偏角 $\pi$ の半直線上、原点からの距離 $1$ の点 ( $z=e^{i\pi}$ ) から出発して、原点からの距離 $\varepsilon$ の点 ( $z=\varepsilon{e^{i\pi}}$ ) に至る線分。

3. $A_{i}$ : 内円。原点を中心とする半径 $\varepsilon$ の円。ただし、偏角が $\pi$ の点 ( $z=\varepsilon{e^{i\pi}}$) から出発して、偏角$-\pi$ の点 ( $z=\varepsilon{e^{-i\pi}}$) に至るもの (時計回り)。

4. $B_{l}^{\prime}$ : 下橋。偏角 $-\pi$ の半直線上、原点からの距離 $\varepsilon$ の点 ( $z=\varepsilon{e^{-i\pi}}$) から出発して、原点からの距離 $1$ の点 ( $z=e^{-i\pi}$ ) に至る線分。

今回は、 $C^{\prime}$ 内部に、1位の極 $z=p$ を含むから

\[
 \int_{C^{\prime}}\!g(z,\alpha)\,dz = \frac{-2\pi}{b(p-q)}p^{\alpha}
\]
であることを踏まえたうえで、 $g(z,\alpha)$ に、$f(z,\alpha)$ に行ったのと並行する議論を適用するなら
\begin{align*}
 &\int_{A_{o}}\!g(z,\alpha)\,dz = J_{\alpha}\\
%
 &\int_{B_{u}^{\prime}}\!g(z,\alpha)\,dz\\
 &\quad= -\inverse{b(p-q)i}\int_{1}^{\varepsilon}\Big(\frac{(\rho{e^{\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{\pi{i}}}-p} - \frac{(\rho{e^{\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{\pi{i}}}-q}\Big)e^{\pi{i}}d\rho\\
 &\quad= -\frac{e^{\alpha\pi{i}}}{b(p-q)i}\int_{1}^{\varepsilon}\Big(\frac{\rho^{\alpha}}{\rho+p} - \frac{\rho^{\alpha}}{\rho+q}\Big)d\rho\\
\\
\\
 &\int_{A_{i}}\!g(z,\alpha)\,dz = -\inverse{b}\int_{\pi}^{-\pi}\!\frac{\varepsilon^{(\alpha+1)}e^{(\alpha+1)i\theta}}{({\varepsilon}e^{i\theta}-p)({\varepsilon}e^{i\theta}-q)}\,d\theta\\
%
 &\int_{B_{l}^{\prime}}\!g(z,\alpha)\,dz\\
 &\quad= -\inverse{b(p-q)i}\int_{\varepsilon}^{1}\Big(\frac{(\rho{e^{-\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{-\pi{i}}}-p} - \frac{(\rho{e^{-\pi{i}}})^{\alpha}}{\rho{e^{-\pi{i}}}-q}\Big)e^{-\pi{i}}d\rho\\
 &\quad= -\frac{e^{-\alpha\pi{i}}}{b(p-q)i}\int_{\varepsilon}^{1}\Big(\frac{\rho^{\alpha}}{\rho+p} - \frac{\rho^{\alpha}}{\rho+q}\Big)d\rho\\
\end{align*}

従って

\begin{align*}
 &\lim_{\varepsilon \rightarrow 0}\Big(\int_{B_{u}^{\prime}}\!g(z,\alpha)\,dz\Big) = -\frac{e^{\alpha\pi{i}}}{b(p-q)i}\Big(\int_{1}^{0}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{1}^{0}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\Big)\\
 &\lim_{\varepsilon \rightarrow 0}\Big(\int_{B_{l}^{\prime}}\!g(z,\alpha)\,dz\Big) = -\frac{e^{-\alpha\pi{i}}}{b(p-q)i}\Big(\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\Big)\\
 &\lim_{\varepsilon\rightarrow 0}\Big|\int_{A_{i}}\!f(z,\alpha)\,dz\Big|= 0
\
\end{align*} /></div>

だから

<div style=\begin{align*}
 J_{\alpha} &= \int_{C^{\prime}}\!g(z,\alpha)\,dz - \frac{e^{\alpha\pi{i}}-e^{-\alpha\pi{i}}}{b(p-q)i}\Big(\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\Big)\\
 &= \frac{-2\pi}{b(p-q)}p^{\alpha} - \frac{2\sin(\alpha\pi)}{b(p-q)}\Big(\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\Big)\\
 &= \frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\frac{a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\Big)^{\alpha} + \frac{\sin(\alpha\pi)}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\int_{0}^{1}\Big(\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\Big)
\end{align*}

[ $J_{n}$ ]

特に、$\alpha$ が正整数 $\alpha=n$ であるなら

\begin{align*}
 J_{n} &= \frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\frac{a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\Big)^{n}
\end{align*}

$I_{n}$ と異なり、$n$ の偶奇による符号の反転はないことに注意。

[ $J_{1/2}$ ]

この場合も $\alpha=\inverse{2}$ の時はどうなるか調べてみよう。

\begin{align*}
 J_{1/2} = 
\frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\frac{a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\Big)^{1/2} + \frac{1}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\int_{0}^{1}\frac{\rho^{1/2}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{1/2}d\rho}{\rho+q}\Big)
\end{align*}

だが、左辺第1項は

\begin{align*}
 &\frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Big(\frac{a-\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{b}\Big)^{1/2} = \frac{\pi}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\cdot\frac{\sqrt{a+b}-\sqrt{a-b}}{\sqrt{2b}}\\
 &\qquad = \frac{\pi}{\sqrt{2b}}\Big(\frac{1}{\sqrt{a-b}}-\frac{1}{\sqrt{a+b}}\Big)
\end{align*}
であり、第2項のカッコ内は
\begin{align*}
 &\int_{0}^{1}\frac{\rho^{1/2}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{1/2}d\rho}{\rho+q} = 2\int_{0}^{1}\frac{t^{2}dt}{t^{2}+p} - 2\int_{0}^{1}\frac{t^{2}dt}{t^{2}+q}\\
 & \qquad = -2p\int_{0}^{1}\frac{dt}{t^{2}+p} + 2q\int_{0}^{1}\frac{dt}{t^{2}+q}\\
 & \qquad = -2\sqrt{p}\arctan(1/\sqrt{p}) + 2\sqrt{q}\arctan(1/\sqrt{q})\\
 & \qquad = -\sqrt{\frac{2}{b}}(\sqrt{a+b}-\sqrt{a-b})\arctan(\sqrt{q})\\
 & \qquad\qquad + \sqrt{\frac{2}{b}}(\sqrt{a+b}+\sqrt{a-b})\arctan(\sqrt{p})\\
 & \qquad = \sqrt{\frac{2}{b}}\sqrt{a+b}\big(\arctan(\sqrt{p})-\arctan(\sqrt{q})\big)\\
 & \qquad\qquad + \sqrt{\frac{2}{b}}\sqrt{a-b}\big(\arctan(\sqrt{p})+\arctan(\sqrt{q})\big)\\
 & \qquad = \sqrt{\frac{2(a+b)}{b}}\left(\arctan\left(\frac{\sqrt{p}-\sqrt{q}}{1+\sqrt{p}\sqrt{q}}\right)\right)\\
 & \qquad\qquad + \sqrt{\frac{2(a-b)}{b}}\Big(\frac{\pi}{2}\Big)\\
 & \qquad = \pi\sqrt{\frac{a-b}{2b}} - \sqrt{\frac{2(a+b)}{b}}\left(\arctan\sqrt{\frac{a-b}{2b}}\right)\\
\end{align*}

従って、

\begin{align*}
 J_{1/2} &= 
\frac{\pi}{\sqrt{2b}}\Big(\frac{1}{\sqrt{a-b}}-\frac{1}{\sqrt{a+b}}\Big)\\
 &+ \frac{1}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\left(\pi\sqrt{\frac{a-b}{2b}} - \sqrt{\frac{2(a+b)}{b}}\left(\arctan\sqrt{\frac{a-b}{2b}}\right)\right)\\
 &= \sqrt{\frac{2}{b(a-b)}}\left(\frac{\pi}{2}-\arctan\sqrt{\frac{a-b}{2b}}\right)\\
 &= \sqrt{\frac{2}{b(a-b)}}\arctan\left(\sqrt{\frac{2b}{a-b}}\right)
\end{align*}

なお、上記の式の変形では、公式

\begin{align*}
 &\arctan x + \arctan \frac{1}{x} = \frac{\pi}{2} \quad (x\geq{0})\\
 &\arctan x \pm \arctan y = \arctan \frac{x\pm{y}}{1\mp{xy}}% \quad (|\arctan x + \arctan y|\leq{\frac{\pi}{2}})
\end{align*}
を用いている。

こちらの方も、「検算」しておく。 $I_{1/2}$ におけるのと同じく、変数変換 $t=\sin(x/2)$ を行えば、やはり簡単に結果を求めることができる。

\begin{align*}
 J_{1/2} &= \int_{0}^{\pi}\frac{\cos(\frac{x}{2})}{a-b\cos(x)}\,dx = \int_{0}^{\pi}\frac{\cos(\frac{x}{2})}{a-b\big(1-2\sin^{2}(\frac{x}{2})\big)}\,dx\\
 &= 2\int_{0}^{1}\frac{dt}{a-b+2bt^{2}}\\
 &= \frac{1}{b}\int_{0}^{1}\frac{dt}{\frac{a-b}{2b}+t^{2}}\\
 &= \frac{1}{b}\cdot\frac{1}{\sqrt{\frac{a-b}{2b}}}\arctan\left(\frac{1}{\sqrt{\frac{a-b}{2b}}}\right)\\
 &= \sqrt{\frac{2}{b(a-b)}}\arctan\left(\sqrt{\frac{2b}{a-b}}\right)
\end{align*}

こうして、両方の計算値が一致していることが確かめられた。

[ $J_{\alpha}$ の表式への補足]

$J_{\alpha}$ に就いて $\alpha$ が、一般の正値実数 ( $\alpha>0$ ) の時の議論を、もう少し進めておこう (話を単純にするために $\alpha$$0$ にはならないとしておく)。

まず $0<p<1<q$ を念頭に置いて、変数変換 $\rho=pe^{-t}$ 及び $\rho=qe^{-t}$ により

\begin{align*}
 &\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\\
 &= \int_{\infty}^{\log{p}}\frac{p^{\alpha}e^{-\alpha{t}}}{pe^{-t}+p}(-pe^{-t}dt) - \int_{\infty}^{\log{q}}\frac{q^{\alpha}e^{-\alpha{t}}}{qe^{-t}+q}(-qe^{-t}dt)\\
 &= p^{\alpha}\int_{\log{p}}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt - q^{\alpha}\int_{\log{q}}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt\\
 &= p^{\alpha}\int_{\log{p}}^{0}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt + p^{\alpha}\int_{0}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt - q^{\alpha}\int_{\log{q}}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt\\
 &= p^{\alpha}\int_{0}^{-\log{p}}\frac{e^{(\alpha+1)t}}{1+e^{t}}dt + p^{\alpha}\int_{0}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt - q^{\alpha}\int_{\log{q}}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt\\
 &= q^{-\alpha}\int_{0}^{\log{q}}\frac{e^{\alpha{t}}}{1+e^{-t}}dt + p^{\alpha}\int_{0}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt - q^{\alpha}\int_{\log{q}}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}}{1+e^{-t}}dt\\
%
 &= q^{-\alpha}\int_{0}^{\log{q}}e^{\alpha{t}}\left(\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}e^{-nt}\right)dt\\
 &\qquad + p^{\alpha}\int_{0}^{\infty}e^{-(\alpha+1){t}}\left(\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}e^{-nt}\right)dt\\
 &\qquad - q^{\alpha}\int_{\log{q}}^{\infty}e^{-(\alpha+1){t}}\left(\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}e^{-nt}\right)dt\\
%
 &= q^{-\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}\int_{0}^{\log{q}}e^{(\alpha-n)t}dt\\
 &\qquad + p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}\int_{0}^{\infty}e^{-(n+\alpha+1){t}}dt\\
 &\qquad - q^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}\int_{\log{q}}^{\infty}e^{-(n+\alpha+1){t}}dt\\
%
 &= q^{-\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}\left(\frac{q^{\alpha-n}-1}{\alpha-n}\right)
 - p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}\left(\frac{-1}{n+\alpha+1}\right)\\
 &\qquad + q^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}\left(\frac{-q^{-(n+\alpha+1)}}{n+\alpha+1}\right)\\
 &= \sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}\left(\frac{q^{-n}-q^{-\alpha}}{\alpha-n}\right)
 + p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n+\alpha+1} + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-(n+1)}}{n+\alpha+1}
\end{align*}

ところが

\begin{align*}
 &\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n+\alpha+1} = -\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n+1}}{n+\alpha+1}\\
 &= -\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n+\alpha} + \frac{1}{\alpha}\\
 &;\\
 &\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-(n+1)}}{n+\alpha+1} = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-n}}{n+\alpha} - \frac{1}{\alpha}\\
\end{align*}

だから、結局

\begin{align*}
 &\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\\
 &= \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-n}}{\alpha-n} - q^{-\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{\alpha-n}\\
 &\qquad + p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n+\alpha+1} + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-(n+1)}}{n+\alpha+1}\\
 &= -q^{-\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{\alpha-n}
 + p^{\alpha}\left(-\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n+\alpha} + \frac{1}{\alpha}\right)\\
 &\qquad  + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-n}}{\alpha-n} 
+ \left(\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-n}}{n+\alpha} - \frac{1}{\alpha}\right)\\
 &= -q^{-\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{\alpha-n}
 - p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n+\alpha}\\
 &\qquad  + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-n}}{\alpha-n} + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-q)^{-n}}{n+\alpha}  + \frac{p^{\alpha}-1}{\alpha}\\
 &= -p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{\alpha-n}
 - p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n+\alpha}\\
 &\qquad  + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-p)^{n}}{\alpha-n} + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-p)^{n}}{n+\alpha}  + \frac{p^{\alpha}-1}{\alpha}
\end{align*}
が得られる。

そして、これら4つの級数は全て、定数係数を除けば、(Gauss の) 超幾何級数になっている

\begin{align*}
 &p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n-\alpha} = -\frac{p^{\alpha}}{\alpha}F(1,-\alpha,-\alpha+1,-1)\\
 &-p^{\alpha}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{n+\alpha} = -\frac{p^{\alpha}}{\alpha}F(1,\alpha,\alpha+1,-1) = -p^{\alpha}\int_{0}^{1}\frac{t^{\alpha-1}dt}{1+t}\\
 &-\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-p)^{n}}{n-\alpha} = \frac{1}{\alpha}F(1,-\alpha,-\alpha+1,-p)\\
 &\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-p)^{n}}{n+\alpha} = \frac{1}{\alpha}F(1,\alpha,\alpha+1,-p) = \int_{0}^{1}\frac{t^{\alpha-1}dt}{1+pt}
\end{align*}

従って

\begin{align*}
 &\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\\
 &\qquad = -\frac{p^{\alpha}}{\alpha}\Big(F(1,-\alpha,-\alpha+1,-1) + F(1,\alpha,\alpha+1,-1) - 1\Big)\\
 &\qquad\quad + \frac{1}{\alpha}\Big(F(1,-\alpha,-\alpha+1,-p) + F(1,\alpha,\alpha+1,-p) - 1\Big)
\end{align*}

次の変形も可能である。

\begin{align*}
 &\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+p} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+q}\\
 &= -\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}(p^{n}-p^{\alpha})}{n-\alpha}
 + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}(p^{n}-p^{\alpha})}{n+\alpha} + \frac{p^{\alpha}-1}{\alpha}\\
 &= 2\alpha\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}(p^{\alpha}-p^{n})}{n^{2}-\alpha^{2}} + \frac{p^{\alpha}-1}{\alpha}
\end{align*}

[beta 函数]

なお、上記の式の変形中に現れる積分

\[
 \int_{0}^{1}\frac{t^{\alpha-1}dt}{1+t}
\]
は、所謂 beta 函数 (Beta 函数ではない) である。beta 函数 $\beta(z)$ は、ディ・ガンマ関数
\[
 \psi(z) := \frac{d}{dz}{\log\Gamma(z)} = \frac{\Gamma^{\prime}(z)}{\Gamma(Z)}
\]
を用いて
\[
 \beta(z) := \frac{1}{2}\left(\psi\Big(\frac{z+1}{2}\Big) - \psi\Big(\frac{z}{2}\Big)\right) = \psi(z) - \psi\Big(\frac{z}{2}\Big) - \log{2}
\]
で表されるが
\[
 \int_{0}^{1}\frac{t^{\alpha-1}dt}{1+t} = \beta(\alpha)
\]
が成り立っている。

[ $I_{\alpha}$ の表式への補足]

$I_{\alpha}$ の表式に現れる

\[
 \mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}
\]
に就いても、同様の処理をすると $s<-1<r<0$ に注意して
\begin{align*}
 &\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\\
 &\quad = \mathrm{vp\!}\int_{\infty}^{\log(-r)}\frac{(-re^{-t})^{\alpha}(re^{-t})dt}{-re^{-t}+r}\\
 & \qquad\qquad - \int_{\infty}^{\log(-s)}\frac{(-se^{-t})^{\alpha}(se^{-t})dt}{-se^{-t}+s}\\
 &\quad = (-r)^{\alpha}\mathrm{vp\!}\int_{\infty}^{\log(-r)}\frac{e^{-\alpha{t}}dt}{-1+e^{t}} - (-s)^{\alpha}\int_{\infty}^{\log(-s)}\frac{e^{-\alpha{t}}dt}{-1+e^{t}}\\
 &\quad = -(-r)^{\alpha}\mathrm{vp\!}\int_{\log(-r)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}} + (-s)^{\alpha}\int_{\log(-s)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
 &\quad = -(-r)^{\alpha}\mathrm{vp\!}\int_{\log(-r)}^{-\log(-r)}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}} - (-r)^{\alpha}\int_{-\log(-r)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
 &\qquad\qquad + (-s)^{\alpha}\int_{\log(-s)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
 &\quad = -(-r)^{\alpha}\lim_{u\rightarrow 1+0}\left\{\int_{\log(-r)}^{-\log{u}}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}
+ \int_{\log{u}}^{-\log(-r)}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\right\}\\
 &\qquad\qquad  - (-r)^{\alpha}\int_{-\log(-r)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}} + (-s)^{\alpha}\int_{\log(-s)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
\end{align*}

しかるに、上記最終辺の中カッコ内の式は

\begin{align*}
 &\int_{\log(-r)}^{-\log{u}}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}+ \int_{\log{u}}^{-\log(-r)}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
 &\qquad = -\int_{-\log(-r)}^{\log{u}}\frac{e^{(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{t}}+ \int_{\log{u}}^{-\log(-r)}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
 &\qquad = -\int_{-\log(-r)}^{\log{u}}\frac{e^{(\alpha+(1/2)){t}}dt}{e^{(-t/2)}-e^{(t/2)}}+ \int_{\log{u}}^{-\log(-r)}\frac{e^{-(\alpha+(1/2)){t}}dt}{e^{(t/2)}-e^{-(t/2)}}\\
 &\qquad= -\int_{\log{u}}^{-\log(-r)}\frac{e^{(\alpha+(1/2)){t}}dt}{e^{(t/2)}-e^{-(t/2)}}+ \int_{\log{u}}^{-\log(-r)}\frac{e^{-(\alpha+(1/2)){t}}dt}{e^{(t/2)}-e^{-(t/2)}}\\
 &\qquad = -\int_{\log{u}}^{-\log(-r)}\frac{\sinh\big(\alpha+(1/2){t}\big)}{\sinh(t/2)}dt
\end{align*}

第2項と第3項は

\begin{align*}
 &-(-r)^{\alpha}\int_{-\log(-r)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}} + (-s)^{\alpha}\int_{\log(-s)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
 &\qquad =-(-r)^{\alpha}\int_{-\log(-r)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}} + (-s)^{\alpha}\int_{-\log(-r)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
 &\qquad =-\big((-r)^{\alpha} - (-s)^{\alpha}\big)\int_{-\log(-r)}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}
\end{align*}
だから
\begin{align*}
 &\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\\
 &\quad = (-r)^{\alpha}\lim_{u\rightarrow 1+0}\int_{\log{u}}^{-\log(-r)}\frac{\sinh\big(\alpha+(1/2)\big){t})}{\sinh(t/2)}dt\\
 &\qquad\qquad - \big((-r)^{\alpha}-(-s)^{\alpha}\big)\int_{-\log{(-r)}}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
 & = (-r)^{\alpha}\int_{0}^{-\log(-r)}\frac{\sinh\big(\alpha+(1/2)\big){t})}{\sinh(t/2)}dt\\
 &\qquad\qquad - \big((-r)^{\alpha}-(-r)^{-\alpha}\big)\int_{-\log{(-r)}}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}}\\
\end{align*}

ところで

\begin{align*}
 &(-r)^{\alpha}\int_{0}^{-\log(-r)}\frac{\sinh(\big(\alpha+(1/2)\big){t})}{\sinh(t/2)}dt\\
 &= (-r)^{\alpha}\int_{0}^{-\log(-r)}\Big(\frac{\sinh(\alpha{t})\cosh(t/2)}{\sinh(t/2)} + \cosh(\alpha{t})\Big)dt\\
 &= (-r)^{\alpha}\int_{0}^{-\log(-r)}\frac{\sinh(\alpha{t})\cosh(t/2)}{\sinh(t/2)}dt\ + \frac{(-r)^{\alpha}}{2\alpha}\big((-r)^{-\alpha}-(-r)^{\alpha}\big)
\end{align*}

そして

\begin{align*}
 &\int_{-\log{(-r)}}^{\infty}\frac{e^{-(\alpha+1){t}}dt}{1-e^{-t}} = \sum_{n=0}^{\infty}\int_{-\log{(-r)}}^{\infty}e^{-(\alpha+n+1)t}dt\\
 &\qquad = \sum_{n=0}^{\infty}\Big[-\frac{e^{-(\alpha+n+1)t}}{\alpha+n+1}\Big]_{-\log{(-r)}}^{\infty}\\
 &\qquad = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-r)^{(\alpha+n+1)}}{\alpha+n+1}\\
 &\qquad = (-r)^{(\alpha+1)}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-r)^{n}}{\alpha+n+1}\\
 &\qquad = (-r)^{(\alpha+1)}\int_{0}^{1}\frac{t^{\alpha}}{1+rt}dt\\
\end{align*}

結局

\begin{align*}
 &\mathrm{vp\!}\int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+r} - \int_{0}^{1}\frac{\rho^{\alpha}d\rho}{\rho+s}\\
 & = (-r)^{\alpha}\int_{0}^{-\log(-r)}\frac{\sinh(\alpha{t})\cosh(t/2)}{\sinh(t/2)}dt\\
 &\qquad - (-r)^{(\alpha+1)}\big((-r)^{\alpha}-(-r)^{-\alpha}\big)\int_{0}^{1}\frac{t^{\alpha}}{1+rt}dt + \frac{(-r)^{\alpha}}{2\alpha}\big((-r)^{-\alpha}-(-r)^{\alpha}\big)\\
 & = (-r)^{\alpha}\Bigg\{\int_{0}^{-\log(-r)}\frac{\sinh(\alpha{t})\cosh(t/2)}{\sinh(t/2)}dt\\
 & \qquad + \big((-r)^{\alpha}-(-r)^{-\alpha}\big)\left(\int_{0}^{1}\frac{rt^{\alpha}}{1+rt}dt - \frac{1}{2\alpha}\right)\Bigg\}
\end{align*}

これで $I_{1/2}$ を計算してみる。

\begin{align*}
 I_{1/2} &= \frac{(-r)^{1/2}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Bigg\{\int_{0}^{-\log(-r)}\cosh(t/2)dt\\
 &\qquad + \big((-r)^{1/2}-(-r)^{-1/2}\big)\left(\int_{0}^{1}\frac{rt^{1/2}}{1+rt}dt - 1\right)\Bigg\}
\end{align*}
だが、まず
\[
 (-r)^{(1/2)}-(-r)^{-(1/2)} = \sqrt{-r}-\sqrt{-s} = -\sqrt{\frac{2(a-b)}{b}}
\]
及び
\begin{align*}
 \int_{0}^{-\log(-r)}\cosh(t/2)dt &= \Big[2\sinh(t/2)\Big]_{0}^{-\log(-r)}\\
 &= (-r)^{-(1/2)}-(-r)^{(1/2)}\\
 &= \sqrt{\frac{2(a-b)}{b}}
\end{align*}
に注意すると
\begin{align*}
 I_{1/2} &= \frac{(-r)^{1/2}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\Bigg\{\sqrt{\frac{2(a-b)}{b}} - \sqrt{\frac{2(a-b)}{b}}\left(\int_{0}^{1}\frac{rt^{1/2}}{1+rt}dt - 1\right)\Bigg\}\\
 &= \frac{(-r)^{1/2}}{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}\sqrt{\frac{2(a-b)}{b}}\left\{-\int_{0}^{1}\frac{rt^{1/2}}{1+rt}dt + 2\right\}\\
 &= \sqrt{\frac{2(-r)}{b(a+b)}}\left\{-\int_{0}^{1}\frac{rt^{1/2}}{1+rt}dt + 2\right\}
\end{align*}

結局

\begin{align*}
I_{1/2} 
 &= -\sqrt{\frac{2(-r)}{b(a+b)}}\left(\int_{0}^{1}\frac{2ru^{2}}{1+ru^{2}}du - 2\right)\\
 &= -\sqrt{\frac{2(-r)}{b(a+b)}}\left(\int_{0}^{1}(2 - \frac{2}{1+ru^{2}})du - 2\right)\\
 &= 2\sqrt{\frac{2(-r)}{b(a+b)}}\int_{0}^{1}\frac{1}{1+ru^{2}}du\\
 &= \frac{2}{(-r)}\sqrt{\frac{2(-r)}{b(a+b)}}\int_{0}^{1}\frac{1}{(-\frac{1}{r})-u^{2}}du\\
 &= \frac{2}{(-r)}\sqrt{\frac{2(-r)}{b(a+b)}}\Bigg[\frac{1}{2\sqrt{-\frac{1}{r}}}\log\frac{\sqrt{-\frac{1}{r}}+u}{\sqrt{-\frac{1}{r}}-u}\Bigg]_{0}^{1}\\
 &= \sqrt{\frac{2}{b(a+b)}}\log\frac{\sqrt{-\frac{1}{r}}+1}{\sqrt{-\frac{1}{r}}-1}\\
\end{align*}

ところが

\[
 \log\frac{\sqrt{-\frac{1}{r}}+1}{\sqrt{-\frac{1}{r}}-1} = \log\frac{1+\sqrt{-r}}{1-\sqrt{-r}} = \frac{1}{2}\log\frac{(1+\sqrt{-r})^{2}}{(1-\sqrt{-r})^{2}}
\]
であって、更に
\[
 \frac{1+\sqrt{-r}}{1-\sqrt{-r}} = \frac{1+\sqrt{-(1/s)}}{1-\sqrt{-(1/s)}} = \frac{\sqrt{-s}+1}{\sqrt{-s}-1}
\]
だから、結局
\begin{align*}
 &\frac{(1+\sqrt{-r})^{2}}{(1-\sqrt{-r})^{2}} = \frac{(1+\sqrt{-r})(\sqrt{-s}+1)}{(1-\sqrt{-r})(\sqrt{-s}-1)}\\
 &\qquad = \frac{2+(\sqrt{-r}+\sqrt{-s})}{-2+(\sqrt{-r}+\sqrt{-s})}\\
 &\qquad = \frac{2+\sqrt{2(a+b)/b}}{-2+\sqrt{2(a+b)/b}}\\
 &\qquad = \frac{\sqrt{a+b}+\sqrt{2b}}{\sqrt{a+b}-\sqrt{2b}}
\end{align*}

つまり

\[
 \log\frac{\sqrt{-\frac{1}{r}}+1}{\sqrt{-\frac{1}{r}}-1} = \frac{1}{2}\log\frac{\sqrt{a+b}+\sqrt{2b}}{\sqrt{a+b}-\sqrt{2b}}
\]

まとめると

\begin{align*}
 I_{1/2} &= \sqrt{\frac{2}{b(a+b)}}\cdot\frac{1}{2}\log\frac{\sqrt{a+b}+\sqrt{2b}}{\sqrt{a+b}-\sqrt{2b}}\\
 &= \sqrt{\frac{1}{2b(a+b)}}\log\frac{\sqrt{a+b}+\sqrt{2b}}{\sqrt{a+b}-\sqrt{2b}}
\end{align*}

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