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Gamma(1/4), Gamma(1/3), Gamma(2/3) の表示式

投稿のいきさつ

メモ:岩波全書 [数学公式 III] p.2 における Gamma(1/4) の表式の誤り: nouse」(2014年12月31日[水]) では「[数学公式 III] p.2 における $\Gamma(1/4)$ の無限乗積表記が誤っていることを指摘したうえで、$\Gamma(1/4)$ に関わる他の等式や、[数学公式 II] p.84 での等式の正しいことは、いくつかの初等的な事項を踏まえるなら、容易に確認できる」とは書いたものの、実際には示さないでいた。

それだけなら良いのだが、「残りは次回投稿に回す」と付け足したので、自分で自分に「宿題」を課してしまった格好である。そこで、以前ザッとした調べものをしていた途中、泥縄式でチェックして、[数学公式 III] の欄外に書き留めてあったメモを文章化した。その際、気が付いた改善や補足はしたものの、結局大した内容にはならなかった。だからと言って、このまま「未決事項」として持ち続けると云うのも気に染まない。これを投稿して、サッサと忘れることにする。

本稿の目的

そう云う訣で、以下、本稿の第一の目的は、岩波全書 [数学公式 III] p.2 に示された

\begin{align*}
 \Gamma\left(\frac{1}{4}\right) &= 2\left[\sqrt{\pi}\,K\!\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\right]^{1/2} &\text{(eq. 1)}\\
 \quad &= 2\left[\sqrt{2\pi}\int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{1-t^{4}}}\right]^{1/2} &\text{(eq. 2)}\\
 \quad &= \left[6\sqrt{2\pi}\int_{0}^{\pi/2}\sin^{3/2}{t}\,dt\right]^{1/2} &\text{(eq. 3)}
\end{align*}
が正しいことを示すことにある。

ここで $K$ とは、([数学公式 III] p.2 では「注2」の本体がないが) 第1種完全積分

\[
 K(k) = \int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{(1-t^{2})(1-k^{2}t^{2})}}
\]
を表す。岩波全書 [数学公式 I] p.229 参照 (定義としてではなく、別の形の定義から導かれる式として示されている)。

実は、岩波全書 [数学公式 I] p.229 の上記第1種完全積分の式の直前行には、上記「3つの正しい等式」と等価な等式

\[
 \int_{0}^{1}\frac{dx}{\sqrt{1-x^{4}}} = \frac{1}{\sqrt{2}}K\!\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) = \frac{1}{4\sqrt{2\pi}}\left[\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right]^{2} = 1.311029\cdots
\]
が示されている。

また、上記「メモ:岩波全書 [数学公式 III] p.2 における Gamma(1/4) の表式の誤り: nouse」(2014年12月31日[水]) で指摘した通り
$\Gamma(1/4)$ の表式のうち

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{4}\right) = 2^{3/4}\sqrt{\pi}\left[\frac{3\cdot7\cdot11\cdot15\cdots}{{\;\!}5\cdot9\cdot13\cdot17\cdots}\right]^{1/2} \quad\text{(false equation)}
\]
は、右辺の分数式は、そのまま受け取れば、「(無限大) ÷ (無限大)」で、(少なくとも通常の枠組みの中では) 意味を持たないのだが、その点を見逃して

\begin{align*}
 \Gamma{\left(\frac{1}{4}\right)} &= 2^{3/4}\sqrt{\pi}\left[\frac{3}{5}\cdot\frac{7}{9}\cdot\frac{11}{13}\cdot\frac{15}{17}\cdots\right]^{1/2}  \quad\text{(false equation)}\\
&= 2^{3/4}\sqrt{\pi}\left[\prod_{n=1}^{\infty}\left(\frac{4n-1}{4n+1}\right)\right]^{1/2}
\end{align*}
と解釈したとしても、これは誤っている。

しかし、実は[数学公式 II] p.84 に示されている「$\Gamma(1/4)$ に関連する無限乗積」

\begin{eqnarray*}
 &\prod_{n=1}^{\infty}\left(\frac{1}{1-\frac{1}{(4n-1)^{2}}}\right)\left(1-\frac{1}{(4n+1)^{2}}\right) = \frac{3^2}{3^2-1}\cdot\frac{5^2-1}{5^2}\cdot\frac{7^2}{7^2-1}\cdot\frac{9^2-1}{9^2}\cdots\\
 &\quad =\frac{1}{\pi}\left(K\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\right)^{2} = \frac{(\Gamma{(1/4)})^{4}}{16\pi^{2}} = 1.0942198\cdots
\end{eqnarray*}
の方は正しい。本稿では、

\begin{align*}
 &\prod_{n=1}^{\infty}\left[\left(\frac{1}{1-\frac{1}{(4n-1)^{2}}}\right)\left(1-\frac{1}{(4n+1)^{2}}\right)\right] \\
 &=\prod_{n=1}^{\infty}\left[\left(\frac{(4n-1)^{2}}{(4n-1)^{2}-1}\right)\left(\frac{(4n+1)^{2}-1}{(4n+1)^{2}}\right)\right]\\
 &=\prod_{n=1}^{\infty}\left[\frac{(4n-1)^{2}}{(4n-2)(4n)}\cdot\frac{(4n)(4n+2)}{(4n+1)^{2}}\right] \\
 &= \prod_{n=1}^{\infty}\left[\frac{(4n-1)^{2}}{2n-1}\cdot\frac{2n+1}{(4n+1)^{2}}\right]
\end{align*}
と変形できることに注意して、上記と等価な

\[
 \Gamma{\left(\frac{1}{4}\right)} = 2\sqrt{\pi}\left[\prod_{n=1}^{\infty}\frac{(4n-1)^{2}}{2n-1}\cdot\frac{2n+1}{(4n+1)^{2}}\right]^{1/4} \quad\text{(to be proved true)}
\]
の導出法を示すことにする。これが、本稿の第二の目的である。ちなみに、岩波全書 [数学公式 I] p.229 には、無限乗積による表式は存在しない。

その他、$\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$ や >$\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)$ のことも若干書いてある。

ガンマ関数及びベータ関数に就いての基本的事項

議論の出発点として、関数論の初歩程度のレベルの数学を勉強されたことがある方なら、誰でもが知っているだろう、ガンマ関数及びベータ関数に就いての「基本的な事項」を、再確認のため、幾つかまとめておく。そうした「再確認」が不要な方は、以下の「地盤整備」と云う言葉が含まれている行まで、読み飛ばしていただきたい。

ガンマ関数の定義

まず、ガンマ関数の代表的な定義式を4つ列挙しておく (岩波全書 [数学公式 III] p.1 及び p.4 参照)。初めの3つはレオンハルト・オイラー (Leonhard Euler) により、最後の4つ目はカール・ワイエルシュトラス (Karl Theodor Wilhelm Weierstrass) による

\begin{align*}
 \Gamma(z) &= \int_{0}^{\infty}\mathrm{e}^{-t}t^{z-1}\,dt \quad\quad (\Re(z)>0) \quad\text{(Euler)}\\
 \Gamma(z) &= \lim_{n \rightarrow \infty}\frac{(n-1)!\,n^{z}}{z(z+1)(z+2)\cdots(z+n-1)} \quad\text{(Euler)}\\
 \Gamma(z) &= \frac{1}{z}\prod_{n=1}^{\infty}\left\{\left(1+\frac{1}{n}\right)^{z}\left(1+\frac{z}{n}\right)^{-1}\right\} \quad\text{(Euler)}\\
 \frac{1}{\Gamma(z)} &= ze^{\gamma{z}}\prod_{n=1}^{\infty}\left\{\left(1+\frac{z}{n}\right)e^{-\frac{z}{n}}\right\} \quad\text{(Weierstrass)}
\end{align*}

$z$"" の実部が正ということを $\Re\,z>0$ と書くのが多数派かもしれないが、私の癖(へき)で $\Re(z)>0$ と書く。

それから、$\gamma$ は勿論 Euler 定数

\[
 \gamma = \lim_{n \rightarrow \infty} \left(\sum_{k=1}^n \frac{1}{k} - \ln(n) \right) = 0.57721 56649\cdots
\]
である。

内容はチェックしていないものの、参照先として「ガンマ関数 - Wikipedia (最終更新 2014年11月1日 (土) 05:56)」を挙げておく。

これらの他に、ガンマ関数には、Hankel の積分表示と云うものもあるが、積分経路に言及せざるを得なくなるから、この記事の文脈では、話がトッ散らかりそうなので、触れない (一応、参照先として、上記ウィキペディア記事の他に "Gamma-function - Encyclopedia of Mathematics" を挙げておく)。

ガンマ関数の関係式

ガンマ関数の基本的な関係式も書いておこう。

ガンマ関数と階乗

まず、基本中の基本と思われるのは

\[
  \Gamma(z+1) = z\Gamma(z)
\]
だろう。

ところが

\[
 \Gamma(1) = \int_{0}^{\infty}\mathrm{e}^{-t}\,dt = 1
\]
だから、特に $n$ が 正整数である場合には、変数が $n+1$ に対するガンマ関数の値は $n$ の階乗になる (恐らく、これがガンマ関数のキャッチコピー)。つまり

\[
 \Gamma(n+1) = n! \quad (n \in {\mathbb{N}_{+}})
\]
である (ここで $\mathbb{N}_{+}$ は正整数全体がなす集合) 。

特に

\begin{align*}
 &\Gamma(1) = 0! = 1\\
 &\Gamma(2) = 1! = 1
\end{align*}
である。

倍角公式

また、所謂 「倍角公式 (duplication formula)」は

\[
 \Gamma(2z) = \frac{2^{2z-1}}{\sqrt{\pi}}\Gamma(z){}\Gamma\!\left( z + \frac{1}{2}\right)
\]
である。

例えば

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{3}\right) = \Gamma\left(2\cdot\frac{1}{6}\right) = \frac{2^{-2/3}}{\sqrt{\pi}}\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)
\]
が成り立つ。

"duplication formula" は「倍数公式」と云う訳語もあるようだが、私は「倍角公式」の方がイメージの喚起力があると思う。"multiplication formula" なら「多倍角公式」。

相反公式とその応用

次に「相反公式 (reflection formula)」

\[
\Gamma(z)\Gamma(1-z) = \frac{\pi}{\sin{}{\pi{}z}}
\]
(上記「ガンマ関数 - Wikipedia」では「相半公式」と表現されている。私の語感では気持ちの悪い表現だ)。

また、変数が非整数の代表的な例は、上記「相反公式」で $z=\frac{1}{2}$ として得られる $\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)$

\[
 \Gamma\left( \frac{1}{2} \right)\ = \sqrt{\pi}
\]
が成り立つ。

また $\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)$$\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)$ との間には、相反公式により

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\Gamma\left(\frac{3}{4}\right) = \frac{\pi}{\sin{\frac{\pi}{4}}} = \sqrt{2}\pi
\]
の関係があることも注意しておいてよいだろう。

同様に、「相反公式」により、次の等式も成り立っている。

\begin{align*}
 &\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{5}{6}\right) = \frac{\pi}{\sin\,\frac{\pi}{6}} = 2\pi\\
 &\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right) = \frac{\pi}{\sin\,\frac{\pi}{3}} = \frac{2}{\sqrt{3}}\pi\\
\end{align*}

ベータ関数に就いても少々

更に、ガンマ関数と深く関わるベータ関数の初等的な関係式も挙げておく。まず、ベータ関数の等価な定義式 (岩波全書 [数学公式 III] p.8 参照):

\begin{align*}
 \mathrm{B}(p,q) &= \int_{0}^{1}t^{p-1}(1-t)^{q-1}dt = \int_{0}^{\infty}\frac{t^{p-1}}{(1+t)^{p+q}}dt\\ %x=\frac{t}{1-t}{\quad}t=\frac{x}{x+1}\\
        &= 2\int_{0}^{\pi/2}\sin^{2p-1}\theta\,\cos^{2q-1}\theta{}\,d\theta \quad (\Re(p)>0,\Re(q)>0)
\end{align*}

ベータ関数とガンマ関数との関係は

\[
 \mathrm{B}(p,q) = \frac{\Gamma(p)\Gamma(q)}{\Gamma(p+q)}
\]
で表される。

定義から自明であるが、この式からも

\[
 \mathrm{B}(p,q) = \mathrm{B}(q,p)
\]
が成り立つことが分かる。

上記ベータ関数とガンマ関数との関係式を使うと、次の式が成り立つのは明らか。

\begin{align*}
 &\mathrm{B}(p,1-p) = \frac{\Gamma(p)\Gamma(1-p)}{\Gamma(1)}= \frac{\pi}{\sin{p}\pi}\\
 &\mathrm{B}(p,q)\mathrm{B}(p+q,r) = \mathrm{B}(p,q+r)\mathrm{B}(q,r) =\frac{\Gamma(p)\Gamma(q)\Gamma(r)}{\Gamma(p+q+r)}
\end{align*}

以下の簡単な関係式も説明は不要だろう。

\begin{align*}
 &\mathrm{B}(p,1) = \frac{\Gamma(p)\Gamma(1)}{\Gamma(p+1)} = \frac{1}{p}\\
 &\mathrm{B}(1,q) = \frac{\Gamma(1)\Gamma(q)}{\Gamma(1+q)} = \frac{1}{q}\\
 &\mathrm{B}(p+1,q) = \frac{\Gamma(p+1)\Gamma(q)}{\Gamma(p+q+1)} = \frac{p}{p+q}\mathrm{B}(p,q)\\
 &\mathrm{B}(p,q+1) = \frac{\Gamma(p)\Gamma(q+1)}{\Gamma(p+q+1)} = \frac{q}{p+q}\mathrm{B}(p,q)
\end{align*}

ベータ関数についても、ウィキペディアの記事「ベータ関数 - Wikipedia(最終更新 2014年12月23日 (火) 05:50)」を参照しておく(申し訣ないが、これも、私は殆ど見ていない)。

補足的注意

なお、やはり定義より自明ではあるが、$\mathbb{R}_{+}$ を正の実数がなす集合とすると

\begin{align*}
 &z \in \mathbb{R}_{+} \rightarrow \Gamma(z) \in \mathbb{R}_{+}\\
 &p,q \in \mathbb{R}_{+} \rightarrow \mathrm{B}(p,q) \in \mathbb{R}_{+}
\end{align*}
であることを、念のため注意しておく。

「ガンマ関数とベータ関数」と云う教材

なお、ウィキペディアの「ガンマ関数」の記事には、外部リンクとして「ガンマ関数とベータ関数」と云う pdf 文書が紹介されている。私は覗いただけだが、基本的な計算の詳細が示されているようなので、初心者には役立つかもしれない。この記事は、「東京大学情報基盤センター 教育用計算機システム 講義用WWWサーバ」の「理I 22, 23, 24, 25, 26, 27組 数学IA演習」用の「プリント」とのことだ (東大駒場教養学部理科I類の学生さん用と云うことだろう)。

と、書いてから小言めいたことで気が引けるが、このプリントではベータ関数の記号が斜体の $B$ になっているのに対し、ガンマ関数は立体の $\Gamma$ になっている。これは統一した方がよかった。たとえば、ウィキペディアの「ベータ関数 (最終更新 2014年12月23日 (火) 05:50)」では、ガンマ関数と同様、立体の $\mathrm{B}$ が採用されている。

「3つの正しい等式」のうちの3番目

いや、長々とした「地盤整備」で、お退屈様であった。本論を始めよう。

「3つの正しい等式」(と云うか、当初は厳密には、「正しい等式」ではなく、「正しいことを確認する必要がある等式」だが、結局は「正しい」ことが確認される訣だから、回りくどい言い方はしないでおく) のうち、3番目の証明が一番取り掛かりやすいことは、一目でわかるだろう。右辺の積分部分が、ベータ関数を使って$\frac{1}{2}\mathrm{B}\left(\frac{5}{4},\frac{1}{2}\right)$ と表せるからだ。実際

\begin{align*}
 \mathrm{B}\left(\frac{5}{4},\frac{1}{2}\right)
&= 2\int_{0}^{{\pi}/2}\left\{\sin^{(2{\cdot}(5/4)-1)}t\right\}\,\left\{\cos^{(2{\cdot}(1/2)-1)}t\right\}\,dt\\
&= 2\int_{0}^{{\pi}/2}{\sin^{3/2}t}\,dt
\end{align*}
となる。

他方、ベータ関数とガンマ関数との関係式により

\begin{align*}
 \mathrm{B}\left(\frac{5}{4},\frac{1}{2}\right)
&= \frac{\Gamma\left(\frac{5}{4}\right)\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)}{\Gamma\left(\frac{7}{4}\right)}
= \frac{\left(\frac{1}{4}\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)\left(\sqrt{\pi}\right)}{\left(\frac{3}{4}\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)\right)}\\
&= \frac{\sqrt{\pi}}{3}{\cdot}\frac{\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)}{\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)}
= \frac{\sqrt{\pi}}{3}{\cdot}\frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2}}{\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)}\\
&= \frac{\sqrt{\pi}}{3}{\cdot}\frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2}}{\sqrt{2}\pi}
= \frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2}}{3\sqrt{2\pi}}
\end{align*}

これはつまり

\[
 \frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2}}{3\sqrt{2\pi}} = 2\int_{0}^{{\pi}/2}{\sin^{3/2}\,t}\,dt
\]
と云うことである。そして、この式を整理すれば

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{4}\right) = \left[6\sqrt{2\pi}\int_{0}^{{\pi}/2}\sin^{3/2}\,t\,dt\right]^{1/2}
\]
が得られる。これは上記の eq.3 であり、従って、岩波全書 [数学公式 III] p.2 に示された $\Gamma(1/4)$ に就いての「3つの正しい等式」のうちの3番目の「正しさ」に就いては確認された。

「3つの正しい等式」のうちの2番目

次に $\mathrm{B}\left(\frac{5}{4},\frac{1}{2}\right)$ の代わりに $\mathrm{B}\left(\frac{1}{4},\frac{1}{2}\right)$ を考える。

\[
 \mathrm{B}\left(\frac{5}{4},\frac{1}{2}\right) = \frac{\frac{1}{4}}{\frac{1}{4}+\frac{1}{2}}\mathrm{B}\left(\frac{1}{4},\frac{1}{2}\right)
=\frac{1}{3}\mathrm{B}\left(\frac{1}{4},\frac{1}{2}\right)
\]
だから

\[
 \mathrm{B}\left(\frac{1}{4},\frac{1}{2}\right) = 3\mathrm{B}\left(\frac{5}{4},\frac{1}{2}\right)
= 3{\cdot}\frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2}}{3\sqrt{2\pi}}
= \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2}
\]

然るに、

\[
 \mathrm{B}\left(\frac{1}{4},\frac{1}{2}\right) = \int_{0}^{1}x^{(\frac{1}{4}-1)}(1-x)^{(\frac{1}{2}-1)}\,dx
= \int_{0}^{1}x^{-\frac{3}{4}}(1-x)^{-\frac{1}{2}}\,dx
\]
だった。

ここで $x=t^{4}\quad(0\leq{t}\leq{1})$ と変数変換すると、$t=x^{1/4}$ かつ $dx = 4t^{3}dt$ だから

\[
 \mathrm{B}\left(\frac{1}{4},\frac{1}{2}\right) = \int_{0}^{1}\left(t^{4}\right)^{-\frac{3}{4}}(1-t^{4})^{-\frac{1}{2}}\,(4t^{3})dt = 4\int_{0}^{1}(1-t^{4})^{-\frac{1}{2}}\, dt
\]

つまり

\[
 \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2} = 4\int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{1-t^{4}}}
\]

従って

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{4}\right) = 2\left[\sqrt{2\pi}\int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{1-t^{4}}}\right]^{1/2}
\]

これで、$\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)$ に就いての「3つの正しい等式」のうちの2番目 (eq. 2) が証明された。

「3つの正しい等式」のうちの1番目

上記 (eq. 2) の右辺の積分部分で $t^{2} = 1 - u^{2}\quad(0\leq{u}\leq{1})$ と変数変換すると $2t\,dt = -2u\,du$ つまり $dt = -u(1-u^{2})^{-1/2}\,du$ だから、次のようになる。


\begin{align*}
 \int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{1-t^{4}}} &= -\int_{1}^{0}\frac{u(1-u^{2})^{-1/2}\,du}{\sqrt{1-(1-u^{2})^{2}}}\\
 &= \int_{0}^{1}\frac{u\,du}{\sqrt{1-u^{2}}\sqrt{2u^{2}-u^{4}}}\\
 &= \int_{0}^{1}\frac{du}{\sqrt{1-u^{2}}\sqrt{2-u^{2}}}\\
 &= \frac{1}{\sqrt{2}}\int_{0}^{1}\frac{du}{\sqrt{1-u^{2}}\sqrt{1-(\frac{1}{\sqrt{2}})^{2}u^{2}}}
\end{align*}

従って

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{4}\right) = 2\left[\sqrt{\pi}\int_{0}^{1}\frac{du}{\sqrt{1-u^{2}}\sqrt{1-(\frac{1}{\sqrt{2}})^{2}u^{2}}}\right]^{1/2}
\]

ここで第1種の完全積分の定義式

\[
 K(k) = \int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{(1-t^{2})(1-k^{2}t^{2})}}
\]
思い出すなら

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{4}\right) = 2\left[\sqrt{\pi}K\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\right]^{1/2}
\]
となる。これは「3つの正しい等式」のうちの1番目 (eq. 1) である。

改めて見直してみると、ガンマ関数・ベータ関数の関係式・具体値を時々適用したり、ルーチンワーク的な変数変換をしているほかは、「掛け算」と「割り算」をしているだけだね。この程度のことをセッセとやった私のオツムは小学生レベルと言ってよいだろう。

「正しい方の無限乗積」の証明

後は、岩波全書 [数学公式 III] p.2 に示されている
\[
 \Gamma{\left(\frac{1}{4}\right)} = 2^{3/4}\sqrt{\pi}\left[\prod_{n=1}^{\infty}\left(\frac{4n-1}{4n+1}\right)\right]^{1/2} \quad\text{(false equation)}
\]
ではなくて、正しいのは

\[
 \Gamma{\left(\frac{1}{4}\right)} = 2\sqrt{\pi}\left[\prod_{n=1}^{\infty}\frac{(4n-1)^{2}}{2n-1}\cdot\frac{2n+1}{(4n+1)^{2}}\right]^{1/4} \quad\text{(to be proved true)}
\]
であることを確認することが残っている (「メモ:岩波全書 [数学公式 III] p.2 における Gamma(1/4) の表式の誤り: nouse」を参照されたい)。

これはつまり

\[
 \left[\Gamma{\left(\frac{1}{4}\right)}\right]^{4}
 = 16{\pi}^{2}\left[\prod_{n=1}^{\infty}\frac{(4n-1)^{2}}{2n-1}\cdot\frac{2n+1}{(4n+1)^{2}}\right] \quad\text{(an equivalent)}
\]
を証明すればよい訣だ。

ここで、左辺から右辺を導くより右辺から左辺を導くほうが見通しが立ちやすだろうと目安を立てて、更に

\[
 \frac{1}{16{\pi}^{2}}\left[\Gamma{\left(\frac{1}{4}\right)}\right]^{4}
 = \prod_{n=1}^{\infty}\frac{(1-\frac{1}{4n})^{2}(1+\frac{1}{2n})}{(1-\frac{1}{2n})(1+\frac{1}{4n})^{2}} \quad\text{(another)}
\]
と変形して、以後の議論をする。

ここらへんの式の変形は無駄足を踏んでいるような気がするが、関連する分数式が、自然数の比として表されているためばかりでなく、私自身、式の変形の途中で、自然数比としての分数式の形を一旦経由したかったためで、それ以上の意図はない。

ただ残念なことに、右辺の無限乗積の成分毎の無限乗積

\[
 \prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\frac{1}{4n}\right),\ \prod_{n=1}^{\infty}\left(1+\frac{1}{2n}\right),\ \prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\frac{1}{2n}\right),\ \prod_{n=1}^{\infty}\left(1+\frac{1}{4n}\right)
\]
は、いずれも、無限大に発散するか (カッコ内が演算記号がプラスの場合)、あるいは、ゼロに発散する (カッコ内の演算記号がマイナスの場合) から、このままでは無限乗積と、成分間の乗除が交換できない。

しかし、分子側の成分に

\[
e^{\frac{1}{4n}},e^{\frac{1}{4n}},e^{-\frac{1}{2n}}
\]
分母側の成分に

\[
e^{\frac{1}{2n}},e^{-\frac{1}{4n}},e^{-\frac{1}{4n}}
\]
をそれぞれ掛けると、それぞれに対して

\[e^{\frac{1}{4n}}{\cdot}e^{\frac{1}{4n}}{\cdot}e^{-\frac{1}{2n}}=1
\]
及び

\[e^{\frac{1}{2n}}{\cdot}e^{-\frac{1}{4n}}{\cdot}e^{-\frac{1}{4n}}=1
\]
が成り立つから、当然

\[
\frac{e^{\frac{1}{4n}}{\cdot}e^{\frac{1}{4n}}{\cdot}e^{-\frac{1}{2n}}}{e^{\frac{1}{2n}}{\cdot}e^{-\frac{1}{4n}}{\cdot}e^{-\frac{1}{4n}}}=1
\]
であり、右辺の値には影響しない。

しかし、ここで、その表式

\[
\prod_{n=1}^{\infty}\frac{\left\{\left(1-\frac{1}{4n}\right)e^{\frac{1}{4n}}\right\}^{2}\left\{\left(1+\frac{1}{2n}\right)e^{-\frac{1}{2n}}\right\}}{\left\{\left(1-\frac{1}{2n}\right)e^{\frac{1}{2n}}\right\}\left\{\left(1+\frac{1}{4n}\right)e^{-\frac{1}{4n}}\right\}^{2}}\\
\]
つまり

\[
\prod_{n=1}^{\infty}\frac{\left\{\left(1-\frac{1/4}{n}\right)e^{\frac{1/4}{n}}\right\}^{2}\left\{\left(1+\frac{1/2}{n}\right)e^{-\frac{1/2}{n}}\right\}}{\left\{\left(1-\frac{1/2}{n}\right)e^{\frac{1/2}{n}}\right\}\left\{\left(1+\frac{1/4}{n}\right)e^{-\frac{1/4}{n}}\right\}^{2}}
\]
を見ると、

\begin{align*}
&\prod_{n=1}^{\infty}\left(\left(1-\frac{1/4}{n}\right)e^{\frac{1/4}{n}}\right), \quad \prod_{n=1}^{\infty}\left(\left(1+\frac{1/2}{n}\right)e^{-\frac{1/2}{n}}\right)\\
&\prod_{n=1}^{\infty}\left(\left(1-\frac{1/2}{n}\right)e^{\frac{1/2}{n}}\right), \quad \prod_{n=1}^{\infty}\left(\left(1+\frac{1/4}{n}\right)e^{-\frac{1/4}{n}}\right)
\end{align*}
の無限乗積のそれぞれで、その成分が全て $\displaystyle 1+O(n^{-2})$ に属するから、これら4つの無限乗積は全て絶対収束する。

従って、無限乗積と成分内の乗除を交換可能である。しかも、ガンマ関数の Weierstrass による定義式

\[
  \frac{1}{\Gamma(z)} = ze^{\gamma{z}}\prod_{n=1}^{\infty}\left\{\left(1+\frac{z}{n}\right)e^{-\frac{z}{n}}\right\} \quad\text{(Weierstrass)}
\]
つまり

\[
  \prod_{n=1}^{\infty}\left\{\left(1+\frac{z}{n}\right)e^{-\frac{z}{n}}\right\} = \left(ze^{\gamma{z}}\Gamma(z)\right)^{-1}  = \left(e^{\gamma{z}}\Gamma(z+1)\right)^{-1} 
\]
により

\begin{align*}
&\prod_{n=1}^{\infty}\left(\left(1-\frac{1/4}{n}\right)e^{\frac{1/4}{n}}\right) = \left\{e^{-\frac{1}{4}\gamma}\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)\right\}^{-1}\\ 
&\prod_{n=1}^{\infty}\left(\left(1+\frac{1/2}{n}\right)e^{-\frac{1/2}{n}}\right) = \left\{e^{\frac{1}{2}\gamma}\Gamma\left(\frac{3}{2}\right)\right\}^{-1}\\ 
&\prod_{n=1}^{\infty}\left(\left(1-\frac{1/2}{n}\right)e^{\frac{1/2}{n}}\right) = \left\{e^{-\frac{1}{2}\gamma}\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)\right\}^{-1}\\
&\prod_{n=1}^{\infty}\left(\left(1+\frac{1/4}{n}\right)e^{-\frac{1/4}{n}}\right) = \left\{e^{\frac{1}{4}\gamma}\Gamma\left(\frac{5}{4}\right)\right\}^{-1}
\end{align*}
が成り立つから

\begin{align*}
&\prod_{n=1}^{\infty}\frac{\left(\left(1-\frac{1/4}{n}\right)e^{\frac{1/4}{n}}\right)^{2}\left(\left(1+\frac{1/2}{n}\right)e^{-\frac{1/2}{n}}\right)}{\left(\left(1-\frac{1/2}{n}\right)e^{\frac{1/2}{n}}\right)\left(\left(1+\frac{1/4}{n}\right)e^{-\frac{1/4}{n}}\right)^{2}}\\
&\quad=\frac
{\left[{e^{-\frac{1}{4}\gamma}\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)}\right]^{-2}\left[{e^{\frac{1}{2}\gamma}\Gamma\left(\frac{3}{2}\right)}\right]^{-1}}
{\left[{e^{-\frac{1}{2}\gamma}\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)}\right]^{-1}
\left[e^{\frac{1}{4}\gamma}\Gamma\left(\frac{5}{4}\right)\right]^{-2}}\\
&\quad=\frac{\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)\left(\Gamma\left(\frac{5}{4}\right)\right)^{2}}{\left(\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)\right)^{2}\Gamma\left(\frac{3}{2}\right)} = \frac{\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)\left(\frac{1}{4}\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2}}{\left(\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)\right)^{2}\left(\frac{1}{2}\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)\right)}\\
&\quad=\frac{1}{8}\cdot\frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{2}}{\left(\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)\right)^{2}} = \frac{1}{8}\cdot\frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{4}}{\left\{\Gamma\left(\frac{3}{4}\right)\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right\}^{2}} = \frac{1}{8}\cdot\frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{4}}{\left(\sqrt{2}\pi\right)^{2}}\\
&\quad=\frac{1}{16{\pi}^{2}}\cdot\left(\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)\right)^{4}
\end{align*}

これで

\[
 \frac{1}{16{\pi}^{2}}\left[\Gamma{\left(\frac{1}{4}\right)}\right]^{4}
 = \prod_{n=1}^{\infty}\frac{(1-\frac{1}{4n})^{2}(1+\frac{1}{2n})}{(1-\frac{1}{2n})(1+\frac{1}{4n})^{2}}
\]
が証明された。

E.T.Whittaker and G.N.Watson "A Course of Modern Analysis" (Cambridge University Press)

なお、Weierstrass の定義式を用いた上記の式の変形は、E.T.Whittaker-G.N.Watson の "A Course of Modern Analysis" (Cambridge University Press) の受け売りである (上記の特殊例に当てはめて簡略化した)。

私が持っている「モダン・アナリシス」は、第4版のリプリント(発行:1935年。印刷:1965年) だから、現在市販されているものと食い違っているかもしれないが、pp.238-239, 第XII章 (THE GAMMA FUNCTION) の 13節 (ジュウサンではなくイチ・サン。言い換えれば、第1節の第3小節)、つまり "12・13 The evaluation of a general class of infinite products") を見ていただくと、ヨリ一般的な形のものを知ることができるだろう。

実は、「正解の式」そのものが、"A Course of Modern Analysis" 第XII章の "Miscellaneous Example" の 4 として紹介されている (p.259)。

$\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$$\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)$ の表式

$\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$ の表式

ついでに、岩波全書 [数学公式 III] p.2 にある $\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$ の表式

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{3}\right) = \left[2^{4/3}3^{1/2}\pi\int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{1-t^{3}}}\right]^{1/3}
\]
の導き方も示しておこう。

「倍角公式」と「相反公式」の復習

既述の通り、倍角公式より

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{3}\right) = \Gamma\left(2\cdot\frac{1}{6}\right) = \frac{2^{-2/3}}{\sqrt{\pi}}\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)
\]
が成り立つ。

また、同じく既述だが相反公式により

\begin{align*}
 &\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{5}{6}\right) = \frac{\pi}{\sin\,\frac{\pi}{6}} = 2\pi\\
 &\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right) = \frac{\pi}{\sin\,\frac{\pi}{3}} = \frac{2}{\sqrt{3}}\pi\\
\end{align*}
である。

余談: $\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$$\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$ との関係式

余談だが、この「復習」の式から、まず「倍角公式」を変形すると

\[
\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right) = 2^{2/3}\sqrt{\pi}\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)
\]
となるが、更に相反公式を用いて

\[
\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\left(\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right) = 2^{2/3}\sqrt{\pi}\left[\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right]^{2}
\]
から、

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\left(\frac{2}{\sqrt{3}}\pi\right) = 2^{2/3}\sqrt{\pi}\left[\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right]^{2}
\]
得られる。つまり

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{6}\right) = \sqrt{3/\pi}2^{-1/3}\left[\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right]^{2}
\]
が言える (参照: 岩波全書 [数学公式 III] p.2)。

$\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$ の表式

さて、本題に戻ると、まず

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{6}\right){\cdot}\Gamma\left(\frac{1}{3}\right){\cdot}\Gamma\left(\frac{2}{3}\right){\cdot}\Gamma\left(\frac{5}{6}\right)
\]
を考える。

これは一方では

\begin{align*}
&\left\{\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{5}{6}\right)\right\}{\cdot}\left\{\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right\}\\
& \quad = \frac{\pi}{\sin{\frac{\pi}{6}}}{\cdot}\frac{\pi}{\sin{\frac{\pi}{3}}} = (2\pi){\cdot}\left(\frac{2}{\sqrt{3}}\pi\right)\\
& \quad = \frac{4}{\sqrt{3}}\pi^{2}
\end{align*}
となるが、他方では

\begin{align*}
& \left\{\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right\}{\cdot}\left\{\Gamma\left(\frac{5}{6}\right)\right\}{\cdot}\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\\
& \quad = \left\{2^{2/3}\sqrt{\pi}\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right\}{\cdot}\left\{\frac{\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)}{\mathrm{B}\left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right)}\right\}{\cdot}\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\\
& \quad = 2^{2/3}\sqrt{\pi}\cdot\frac{\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)\left(\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right)^{3}}{\mathrm{B}\left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right)}\\
& \quad = 2^{2/3}{\pi}\frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right)^{3}}{\mathrm{B}\left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right)} \\
\end{align*}
とも計算できる。

両者が一致している訣だから

\[
 \frac{4}{\sqrt{3}}\pi^{2} = 2^{2/3}{\pi}\frac{\left(\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right)^{3}}{\mathrm{B}\left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right)}
\]
が成り立っている。

これを整理すると

\[
 \left(\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\right)^{3} = 2^{4/3}3^{-1/2}\pi\mathrm{B}\left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right)
\]
つまり

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{3}\right) = \left[2^{4/3}3^{-1/2}\pi\mathrm{B}\left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right)\right]^{1/3}
\]

ここでベータ関数部分の積分表示

\[
 \mathrm{B}\left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right) = \int_{0}^{1}x^{-2/3}(1-x)^{-1/2}\,dx
\]
$x=t^{3} \quad (0{\leq}t{\leq}1)$ と変数変換すると

\[
 \mathrm{B}\left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right) = 3\int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{1-t^{3}}}
\]
だから、結局

\[
 \Gamma\left(\frac{1}{3}\right) = \left[2^{4/3}3^{1/2}\pi\int_{0}^{1}\frac{dt}{\sqrt{1-t^{3}}}\right]^{1/3}
\]
が確認できた (参照: 岩波全書 [数学公式 III] p.2)。

$\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)$ の表式

$\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)$ の方は $\mathrm{B}\left(\frac{2}{3},\frac{1}{2}\right)$ を考えればよい。

\begin{align*}
 \mathrm{B}\left(\frac{2}{3},\frac{1}{2}\right) &=\frac{\Gamma\left(\frac{2}{3}\right){\cdot}\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)}{\Gamma\left(\frac{7}{6}\right)}
=\frac{\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\sqrt{\pi}}{\frac{1}{6}\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)}\\
&=\frac{6\sqrt{\pi}\,\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)}{\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)}
=\frac{6\sqrt{\pi}\,\left(\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right)^{2}}{\Gamma\left(\frac{1}{6}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)}\\
&=\frac{6\sqrt{\pi}\,\left(\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right)^{2}}{2^{2/3}\sqrt{\pi}\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)}
=\frac{2^{1/3}3\left(\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right)^{2}}{\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)}\\
&=\frac{2^{1/3}3\left(\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right)^{3}}{\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)}
=\frac{2^{1/3}3\left(\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right)^{3}}{\frac{2}{\sqrt{3}}\pi}\\
&=2^{-2/3}3^{3/2}\pi^{-1}\left(\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right)^{3}
\end{align*}

そして

\[
  \mathrm{B}\left(\frac{2}{3},\frac{1}{2}\right) 
= \int_{0}^{1}x^{-1/3}(1-x)^{-1/2}\,dx = 3\int_{0}^{1}\frac{t}{\sqrt{1-t^{3}}}\,dt
\]
だから
\[
2^{-2/3}3^{3/2}\pi^{-1}\left(\Gamma\left(\frac{2}{3}\right)\right)^{3} = 3\int_{0}^{1}\frac{t}{\sqrt{1-t^{3}}}\,dt
\]
なので、結局

\[
 \Gamma\left(\frac{2}{3}\right) = \left[2^{2/3}3^{-1/2}\pi\int_{0}^{1}\frac{t}{\sqrt{1-t^{3}}}\,dt\right]^{1/3}
\]
が得られる (参照: 岩波全書 [数学公式 III] p.2)。

超越数としての $\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)$ 及び $\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$

ところで、$\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)$$\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$ に就いては、次の事実が知られている (「超越数 - Wikipedia」(参照、最終更新 2015年1月17日 (土) 04:56)。
$\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)$$\pi$ とは、有理数体上、代数的に独立である。
同様に、
$\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$$\pi$ とは、有理数体上、代数的に独立である。

これらは、つまり、有理数と円周率 $\pi$ に基づく限り、加減乗除及び累乗根をとる演算を如何に組み合わせても、$\Gamma\left(\frac{1}{4}\right)$$\Gamma\left(\frac{1}{3}\right)$ のどちらについても、それを表す式は得られないと云うことである。

amazon リンク

最後に amazon で見つかった "A Course of Modern Analysis" のリンクを貼っておく。私が持っているものは、数十年前、神保町で購入したものなので、内容が一致しているかどうか、今一つ自信がない。

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