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メモ:[幽明録] の一節における「日中当至」に就いて

以前 (十日ほど前?) にも二・三度 [幽明録 日中当至] と云うキーフレーズで、このサイトを訪問された方がいらして、つい調べかかったのだが、現在、私の「脳味噌」は「物理学のお勉強」モードになっていて、[中文/漢文] を喋喋すると、大失態を犯しそうなので、すぐに切り上げて、放置してしまった。

しかし、昨日深夜 (2013/07/12 23:20:05)、やはり、[幽明録 日中当至] なる訪問者がいらしたので、この機会に、全く的外れかもしれないことをお含み起き戴いた上で、前回調査時にチラと考えていたことを、ここに記録しておく。

おそらく、この「日中当至」は、[太平御覧] 所引の [幽明録] (幽明录) 中の次の一節に関わっているのだろう (魯迅の手になる [古小説鈎沈 (こしょうせつこうちん)] にも収められもいる)。

隴西秦嘉字士會,俊秀之士。婦曰徐淑,亦以才美流譽。桓帝時,嘉爲曹掾赴洛,淑歸寧于家。晝臥,流涕覆面。嫂怪問之,云:「適見嘉自說往津鄉亭病亡。二客俱留,一客守喪,一客賫書還,日中當至。」舉家大驚。書至,事事如夢。
--[維基文庫]太平御覽卷四百.人事部四十一「凶夢」
(引用文中「嫂怪問之,云:」の直後のゲタ一字を、他の資料で補った。)


陇西秦嘉,字士会,俊秀之士。妇曰徐淑,亦以才美流誉。桓帝时,嘉为曹掾赴洛。淑归宁于家,昼卧,流涕覆面,嫂怪问之,云:“适见嘉自说往津乡亭病亡,二客俱留,一客守丧,一客赍书还,日中当至。”举家大惊,书至,事事如梦。[御览四百]
--古小说钩沈 [幽明录]
(引用文で [トーフ] になっている「嫂」を補った。)

うーむ。新字体に直しておくか。

隴西秦嘉字士会,俊秀之士。婦曰徐淑,亦以才美流誉。桓帝時,嘉為曹掾赴洛,淑帰寧于家。昼臥,流涕覆面。嫂怪問之,云:「適見嘉自說往津鄉亭病亡。二客俱留,一客守喪,一客賫書還,日中当至。」舉家大驚。書至,事事如夢。

このコンテキストだと 「日中当至」は、「日中マサニ至ルベシ」とでも、読ませたいのではないか。中国語で「日中」は日本語の「正午」又は「正午前後のそれなりの長さの時間」を意味するらしいから、「(手紙は)正午頃には届く筈だ」ぐらいの意味だろうが、私自身の好みを言うなら、[徐淑] が昼寝をしていたことを踏まえて、「夕方までは」としたいところだ。

意味はこんな感じだろう。

隴西の[秦嘉]は、字(あざな) を「士会」と言って、才知に優れた官僚だった。妻は[徐淑]と云う名で、これも才色兼備の名声が流布していた。(後漢第11代) 桓帝の時、嘉は曹掾として (後漢の都である) 洛陽に赴いたが、淑は、自分の実家に戻った。彼女が昼寝した後、涙を流し顔を覆ったので、兄嫁が怪訝に思って尋ねると彼女は「たった今、嘉と遭ったのです。彼自らに、 『津鄉亭に行った所、そこで病死してしまった。津鄉亭に共に滞在していた二名の内、一人は私の遺体の見守ってくれており、もう一人は手紙を携えて、そちらに急行している。夕方までには届く筈だ』と伝えられました」と言ったので、家中が大騒ぎになった。実際、手紙が届くと悉く夢の通りであった。
--2013-08-18 [日] 訳文にカギカッコ 『』 を付加し、閉じの方のカギカッコ 』 と重なる読点を削除した。

色いろ不備もあろうが、今日は、高校のクラス会で、私は、所謂「ケツカッチン」なのだ。と云う訣で、これ以上のことはしないでおく。

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