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一様質量密度球体の内部重力ポテンシャル ([メモ:CERN の所謂「ニュートリノ速度の測定」に就いて。或いは、「いい根性の人々」と「いい面の皮の人々」がいる風景] 補足)

[メモ:CERN の所謂「ニュートリノ速度の測定」に就いて。或いは、「いい根性の人々」と「いい面の皮の人々」がいる風景] (2011年10月25日 [火]) において、次のように私は書いた。

静止している一様密度の球体内部のポテンシャルは、球座標でニュートン・ポテンシャルの積分をすれば、高校生レベルの式の変形 --要するに、余弦公式だが-- を使って求めることが容易に出来る

(今読み返してみると、書き流してあるところがあって、「お恥づかしい代物」だが、今回の記事の主題なので、そのまま引用しておく。)

ところで、良く知られているように [ガウスの定理] や [ポアソン方程式] を用いた議論から、球対称の質量分布が作るニュートン・ポテンシャルが、総体として、ある注目点に与える重力ポテンシャルエネルギーは、その注目点と球中心との間の距離のみに依存し、更に具体的には、球の中心からその距離以内に存在する質量の全てが球の中心に存在する場合に、その注目点に与えるニュートン・ポテンシャルエネルギーに等しい。この事実を用いるなら、「一様(質量)密度の球体内部の(重力)ポテンシャル」の計算は、それこそ暗算レベルで可能である。

ただし、ポアソン方程式の引用には非本質的ながら説明が面倒な「躓きの石」がある。それはポアソン方程式は、通常の「理科系」の人々は、電磁気学のコースの中で出会うのが最初で、ひょっとすると最後かも (或いは、その形式だけを覚えいているだけかも) しれないと推定されることだ。実際、上記の事実と等価な問題が大学初年級の電磁気学で登場するのだが、それは、誘電体に分布する静電気が作る静電場ポテンシャルの計算の形で、「理科系大学生」なら「身に覚えがある」筈である。ただ困ったことに、現在の教育ではマクスウェル方程式が SI 単位系で表現されるため、静電場ポテンシャルに対するポアソン方程式に円周率があらわに出てこないので、現在の文脈との整合性を取ろうとしたら、単位系の話を僅かながらでもしなければならないだろう。これは私にはひどく「メンドー」だったので、そちらの方には話を進めなかった。

しかし、記事中、2パラグラフ前で「地心重力定数」を用いた段階で、「球対称の質量分布が作るニュートン・ポテンシャルが、総体として、ある注目点に与える重力ポテンシャルエネルギーは、その注目点と球中心との間の距離のみに依存し、更に具体的には、球の中心からその距離以内に存在する質量の全てが球の中心に存在する場合に、その注目点に与えるニュートン・ポテンシャルエネルギーに等しい」ことを議論の前提として用いてしまっている。

我ながらマヌケな限りで、申しわけないが、しかし、とんだところに北村ポアソン、こんな剽軽者に出られちぁ、仕方がねぇ。濡れぬ前(さき)こそ露をも厭へ、で、「事実」を当然のこととして、その前提のもとに問題のポテンシャル式を導出しておく。

一様な質量密度 ρ の球体があって、その半径を R とする時、0 ≤ rR に対して、球体の中心から距離 r での引力場は、「事実」により [(-4/3)πGρr3r2 = (-4/3)πGρr である (ただし、G は万有引力定数)。従って、これに対応するニュートン・ポテンシャルは、これを r に就いて積分したものになるから (2/3)πGρr2 (万有引力は r の減少方向に力が発生するので、ポテンシャルに係る符号は +)、その積分定数は r = R の時には、そのポテンシャルの値が、球体全体の作る重力ポテンシャルの球面上の値 (-4/3)πGρR2 と一致することで決定される。従って、求めるポテンシャルは -2πGρ(R2 - (1/3)r2) になる。

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