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メモ:"Modus Ponens" その他

以下は、現在作成中の「例の tex ファイル」に脚註として組み込んだもの (最終稿に残るかどうか不明) に、若干の補足を付け加えたものである。

現代の数理論理学に生き残っている古典論理学の推論規則に "Modus Ponens" と云うものがある。「『AならばBである』が成り立っている時に、更に『Aである』が成り立っているなら『Bである』が成り立つ」と云うものだ。

三段論法ならぬ 1.5段論法ぐらいの基本的推論規則だが、この "Modus Ponens" ("MP" と約されることもある) は、ラテン語の "modus ponendo ponens" に拠っている。

そのうち、男性名詞 (単数主格形) "modus" は「尺度」の意味から「基準」・「規則」・「方法」・「様式」を意味するようになった言葉で、ここでは「方法」又は「様式」の意味だろう。英語の "mode" の語源。

"ponendo" は、「脇に置く」から「設置する」・「断言する」・「提言する」・「肯定する」を意味するようになった動詞 "pono" (能動相直説法現在単数形。不定形は "ponere"。英語 "position, positive" の語源) の Gerundium (大雑把に言えば「動名詞」) の単数奪格。奪格は、この場合「手段」を含意して「肯定することにより」ぐらいの色彩を帯びさせる。"ponens" は同じく動詞 "pono" の能動現在分詞で、"modus" を形容詞的に修飾して「肯定する方法」と云う意味を形作る。当然男性単数主格形。

全体の意味としては「(Aを) 肯定することにより (Bを) 肯定する方法」になる。

この外に、ラテン語で表わされる推論規則としては、"MT" と約されることがある "Modus Tollens" (詳しくは "modus tollendo tollens") もそうで、「『AならばBである』が成り立っている時に、更に『Bではない』が成り立っているなら『Aではない』が成り立つ」と云うないようである。

ここで "tollend" は、「持ち上げる」から、「受容する」・「載せる」の他に「取り消す」・「否定する」を意味する動詞 "tollo" (能動相直説法現在単数形。不定形は "tollere") のGerundiumの単数奪格で「否定することにより」ぐらいになる。 "tollens" は動詞 "tollo" の能動現在分詞 (男性単数主格形) で、やはり "modus" を形容詞的に修飾して「否定する方法」と云う意味になる

全体としては「(Bを) 否定することにより (Aを) 否定する方法」である。

ちなみに日本語版ウィキペディアの [モーダストレンス] の項で、「モーダストレンス(英: Modus ponendo tollens, MT)は・・・」としているは誤り。"Modus ponendo tollens" と "modus tollendo tollens" は別のものである。

では "Modus ponendo tollens" はどのようなものかと謂うと、「『Aであり、且つBである』ことがあり得ない時、更に『Aである』が成り立っているなら『Bではない』が成り立つ」と云う内容である。つまり「(Aを) 肯定することにより (Bを) 否定する方法」 である。

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