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メモ:朝日新聞2010年10月9日朝刊(土曜)第[e1]面「オールウェイズ・ラブ・ユー」の訳に就いて

最近、新聞をあまり読まないのだが、たまたま [朝日新聞2010年10月9日朝刊] の「うたの旅人」を目にする機会があった。

米国のシンガー・ソングライター Dolly Parton 1973年に作成、1974年に発表し、1992年に米国の歌手 Whitney Houston が自らが出演した映画 "The Bodyguard" (共演 Kevin Costner) の主題歌としてカヴァーした "I Will Always Love You" を扱った記事だったのだが、そこに掲載されていた歌詞の「和訳」を一読して「困ったもんだ」と思ったので少し書いておく (Dolly Parton のものと、Whitney Houston のものとでは、歌詞が少し異なるようだが、以下の話の要点には関わらない)。

まず、原詞を載せているウェブページを紹介しておこう (歌詞サイトは、怪しげなものが多いから、訪問するの場合は、所謂「自己責任」で願いたい)。実際の歌唱は、YouTube (この記事の最下部) を参照。

  1. Whitney Houston - I Will Always Love You Lyrics
  2. I WILL ALWAYS LOVE YOU Lyrics - WHITNEY HOUSTON
  3. Whitney Houston :: I Will Always Love You Lyrics

さて、原詞の冒頭2行はこうなっている。

If I should stay,
I would only be in your way.

で、その「訳」なるものが、こうなっていた。

もしいなくてはならないのなら
あなたのやり方に従うまでよ
(訳者:江戸賀あい子)

しかし、"be in one's way" が「邪魔をする」と云う意味であるのは高校英語レベルの知識だ。

と、ここまで書いて、「もしや」と "be in one's way" をキーフレーズに google 検索してみたら、「邪魔をする」と云う正しい語義の説明をしているウェブ・ページが数件ヒットする。この歌詞の解説をして正しい記載がしてあるものもある。

そう云う訣で、原稿の続きを書く動機が、大幅減少してしまった。

後は、ザッと書くことにしよう。朝日版の「訳」の、もう一つの問題点は "should" と "would" と云う対応で仮定法になっていると云う、この短文の明白な基本構造を掴みそこなっていることだ。だから "should stay" が「いなくてはならない」にすると云う珍妙な仕事をしてしまっている (大体 "should" を見ると義務に訳すと云うのは「出来の悪い高校生」の英語力だよ。つまり「決して翻訳を生業にしてはならない」段階である)。仮定法従って解釈するならば、「これから自分がすることと反対の未来」を仮定して、その「その、起こるべくもない結果、つまり、実は話者の阻止したい未来の事態 」を説明していることが簡単に見て取れる。

と云う訣で、「普通」の訳し方をするなら、こうなる (女性の言葉づかいにしておく) 。

このまま私がいたならば
あなたの邪魔になるだけね。

乗りかかった船なので、歌詞の大雑把な意味を示しておこう。

このまま私がいたならば
あなたの邪魔になるだけね。
だから行くけど、私には分かってる。
一歩一歩のその度にあなたの事を思いだすって。

そして何時までもあなたを愛しつづけるって
何時までもあなたを愛しつづけるって
あたなを。わたしの愛しい人を。(ハミング)

苦くて甘い思い出。
それだけは、私、持っていくわ。
だから、さよなら。お願いだから泣かないで。
お互い分っている。あなたが...あなたが必要としているのは私じゃない。

けれど、、私はあなたを何時までも愛しつづけるわ。
私はあなたを何時までも愛しつづけるわ。

あなたの人生が辛くならないようにって私は願ってる。
あなたの夢見てきたことがみんな叶うことを私は願ってる。
あたたが喜びと幸せに恵まれることを私は願ってる。
そして何より、あなたが愛に恵まれることを私は願ってる。

そして、私はあなたを何時までも愛しつづけるわ。
私はあなたを何時までも愛しつづけるわ。
私はあなたを何時までも愛しつづけるわ。
私はあなたを何時までも愛しつづけるわ。
私はあなたを何時までも愛しつづけるわ。
私は、そう、私はあなたを何時までも愛しつづけるわ。

あなたを。私の愛しい人、あなたを、私は何時までも愛しつづけるわ。

原詞を一読して、「演歌だねぇ」と思ったせいか、そんな感じにになってしまった。なんだか欧陽菲菲の (「演歌」とは言いづらいが) 「ラヴ・イズ・オーヴァー」を連想させる。

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