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2009年2月の4件の記事

ロシア語で「ローズヒップ」

今日になりたてのころ (2009/02/22 00:40:18)、キーフレーズ [ロシア語で何という ローズヒップ] で、このサイトを訪問された方がいらっしゃるようだ。リモートホスト名から推察するに、ロシア在住の日本人である可能性がある。あるいは、何かお困りなのかもしれない。

勿論、私とて取り立てて詳しいわけではないのだが、簡単に調べてみる。と言っても、遣ることはこのような場合のルーチンワークを外れるものではない。

ローズヒップ写真
Плоды шиповника
собачьего (Rosa canina)

取り敢えず、日本語ウィキペディアの「ローズヒップ」の項から、ロシア語ウィキペディア "Википедия" 中の対応ページ "Шиповник" へ 飛ぶと、これは「ヨーロッパノイバラ」一般を扱った項目なのだが 、その中にローズヒップの写真が出ているので、そのキャプションから、求めるものが "Плоды шиповника" であるとスグに知れる。ここで、Плоды (果実) は男性名詞の複数主格形。шиповника (ヨーロッパノイバラ) は男系名詞の単数生格形である。

ただし、研究社露和辞典 (東京。研究社 1988年 ISBN-10: 4767490332 ISBN-13: 978-4767490335) によれば、その主格形である шиповник だけでも集合名詞としてのローズヒップを表わすらしい。


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Winshell3.3 の Runtime Error

LaTeX ファイル作成支援ソフトWinShell を 3.3 にヴァージョンアップしたところ (Download WinShell) 、新規プロジェクトを作成しようとすると runtime error が出て、ソフトが強制終了されるようになった。

プロジェクトを作らないままでなら新規の TeX ファイルは作れるようだ。

この事例と全く一致するのか、私には判断できないが、類似の現象はネット上に報告されている。

  1. 3.2.1でVisual C++ Runtime Error!で涙目になったから,必死で旧版を探して使っている件 - BiBoLoG
  2. TeX総合スレ III の「296:10/03(金) 10:49 NtmTXPou0 」と「297:10/03(金) 11:03 NtmTXPou0 」
  3. TeX Q & A スレッド (50001-50500)」の「[qa:50060] Runtime Error」。この件に就いて、奥村晴彦は MSXP での Msvcirt.dll 7.0.x の欠陥に関るのではないかと推測しており (「TeX Q & A [qa:50078] Re: Runtime Error」参照)、 MS は「修正プログラム」も発表しているが、私はまだ試していない。
  4. TeX Q & A スレッド (50001-50500)」の「[qa:50292] WinShellのRuntime errorの再現性とダウングレード」では Winshell をダウングレードする対処法が報告されていて、その結果は良好だった由。
  5. Winshell の 公式サイト "WinShell - LaTeX User Front End" 中のフォーラム "WinShell - Forum" でも、報告されていて (WinShell - Forum - Miscellaneous - run time error!)、WinShellWinShell を一旦閉ぢてから WinShell.ini ファイルを削除し、その後 Winshell を再開することが薦められているが、これでは解決しないようだ。

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ニール・アシュビー「GPS における相対論」第1章及び第2章訳文 (草稿)

このサイトに、かなりの頻度で、[GPS 相対論] や、これに類するキーフレーズでの訪問される方々がいらっしゃる。たしかに、このサイトでは、[nouse: 飛行機に原子時計を載せて・・・] (2004年9月9日[木]) や [nouse: [飛行機に原子時計を載せて・・・] 補足: 相対論の話を少しばかり] (2007年4月17日[火]) などで GPS (Global Positioning System) に触れてはいるのだが、詳しいものではない。

もし詳細な議論をお望みなら、上記2記事で引用している "Relativity in the Global Positioning System" (Neil Ashby) を参照なさることをお薦めする。私が、ネットをザッと調べた範囲では、GPS への相対論の適用に就いてこれが一番包括的な記述であるように思われる (もっとも、私自身は、この文献の数か所を走り読みしただけで、内容を把握しているとは到底言えない。それでも、「一番包括的」などと言うのは、GPS に就いて詳しく説明した文書がネット上では、それほど少ないからである)。

そこで、紹介かたがた、以下に、"Relativity in the Global Positioning System" の第1章と第2章 (及び「要約」) の翻訳を試みることにした。この文書の「肝」は、第3章以降ではないかとも思われるが、今のところそこまでは手が回らないので、勘弁していただくことにする。それに、第2章ではサニャック効果について一応はまともな議論 (つまり、簡略化されているとは言え、一般相対論に従った解説) がされていて、これもネット上ではなかなか見られないものなので、それなりの価値があると言えるだろう。

なお、私が翻訳の底本とした "Relativity in the Global Positioning System" は a Creative Commons Attribution-Noncommercial-No Derivative Works 2.0 Germany License によって公開されている。

原文では、図や参考文献その他へのリンクのための anchor タグが数多く挿入されているが、この訳文中では機能しないため、それらは全て削ってある(第1図については、原文ではリンクされている先の大判のグラフを --そのままでは幅が広すぎて、このブログ画面には収まらないので、やや縮小して-- 訳文中に示すようにした) 。従って、参考文献番号や View Equation は「お飾り」にしかなっていないが、底本画面との見かけの対照性を維持するために残してある。


Relativity in the Global Positioning System

Neil Ashby
Dept. of Physics, University of Colorado
Boulder, CO 80309–0390
U.S.A.

'External link'http://www.colorado.edu/physics/Web/directory/faculty/ashby_n.html

This article has been revised on 21 June 2007 (see changes in detail).

Abstract

The Global Positioning System (GPS) uses accurate, stable atomic clocks in satellites and on the ground to provide world-wide position and time determination. These clocks have gravitational and motional frequency shifts which are so large that, without carefully accounting for numerous relativistic effects, the system would not work. This paper discusses the conceptual basis, founded on special and general relativity, for navigation using GPS. Relativistic principles and effects which must be considered include the constancy of the speed of light, the equivalence principle, the Sagnac effect, time dilation, gravitational frequency shifts, and relativity of synchronization. Experimental tests of relativity obtained with a GPS receiver aboard the TOPEX/POSEIDON satellite will be discussed. Recently frequency jumps arising from satellite orbit adjustments have been identified as relativistic effects. These will be explained and some interesting applications of GPS will be discussed.

グローバル・ポジショニング・システムにおける相対論

ニール・アシュビー
アメリカ合衆国コロラド州 80309–0390 ボウルダー市
コロラド大学物理学科

'External link'http://www.colorado.edu/physics/Web/directory/faculty/ashby_n.html

この文書は2007年6月21日に改訂されている。(「変更点の詳細」を参照されたい)

要約
グローバル・ポジショニング・システム (Global Positioning System/GPS) は、高精度で安定した原子時計 (衛星に搭載されたもの及び地上局に設置されたものの双方) を用いて、全世界で位置及び時刻の決定が出来るようにするためのシステムである。こうした原子時計には、重力及び運動が及ぼす影響による周波数シフトが発生するが、それは、様ざまな相対論的な影響を慎重に考慮しないならば、システムが機能しなくなる程に大きなものである。本文書では、GPS を用いた航行案内の概念的基礎を、特殊及び一般相対論に基づいて議論する。考慮すべき相対論における原理及び効果としては、光速度の不変性、等価原理、サニャック効果、時間遅延 (time dilation)、重力による周波数シフト及び、同時性が相対的であることが挙げられる。TOPEX/POSEIDON 衛星搭載の GPS 受信器による相対論の検証に就いても論じられる。最近発生した、衛星軌道調整に伴う周波数跳躍は、相対論的な効果であったことが解明された。こうしたことの説明が与えられ、また GPS の興味深い応用の幾つかが論ぜられる。

"Relativity in the Global Positioning System"
Neil Ashby
http://www.livingreviews.org/lrr-2003-1
Creative Commons License
This work is licensed under a
Creative Commons Attribution-
Noncommercial-No Derivative Works 2.0
Germany License
.
Problems/comments to livrev@aei.mpg.de

訳註


  1. http://www.colorado.edu/physics/Web/directory/faculty/ashby_n.html に就いては、このサイトで内容を紹介済みである。[nouse: Neil Ashby に就いて: 相対論の実用] (2007年4月26日[木]) を参照されたい。

  2. "changes in detail"/「変更点の詳細」へは、底本 (Relativity in the Global Positioning System) 内部からでないとでないと辿りつけないようだ。


1 Introduction

The Global Positioning System (GPS) can be described in terms of three principal “segments”: a Space Segment, a Control Segment, and a User Segment. The Space Segment consists essentially of 24 satellites carrying atomic clocks. (Spare satellites and spare clocks in satellites exist.) There are four satellites in each of six orbital planes inclined at ∘ 55 with respect to earth’s equatorial plane, distributed so that from any point on the earth, four or more satellites are almost always above the local horizon. Tied to the clocks are timing signals that are transmitted from each satellite. These can be thought of as sequences of events in spacetime, characterized by positions and times of transmission. Associated with these events are messages specifying the transmission events’ spacetime coordinates; below I will discuss the system of reference in which these coordinates are given. Additional information contained in the messages includes an almanac for the entire satellite constellation, information about satellite vehicle health, and information from which Universal Coordinated Time as maintained by the U.S. Naval Observatory – UTC(USNO) – can be determined.

1 序論

グローバル・ポジショニング・システム (GPS) は、大きく「宇宙」・「管制」・「利用者」の3つの部分に分けて説明することができる。宇宙部分は、本質的には、原子時計を搭載した24基の衛星からなる (予備の衛星、及び衛星内には予備の原子時計が存在する)。これら24基の衛星は、地球の赤道面に対し ∘ 55 傾斜した6枚の軌道平面上の各々にある4基の衛星からなっており、地球上のどの地点からも、そこでの地平線/水平線上空に、ほぼ常時4基以上の衛星が存在するように分布されている。原子時計には、各衛星から送信される時刻信号が割り当てられている。こうした信号送信は、送信位置及び送信時刻により特徴づけられる時空内での一連の事象として考えることができる。これらの事象に伴って、送信と云う事象の時空座標を特定するメッセージが送られる。こうした座標を規定する基準座標系に就いては、後述する。メッセージには、付加的な情報として、衛星系全体の航行暦 (almanac) と、衛星体の作動状態情報と、及び米国海軍天文台 (U.S. Naval Observatory/USNO) 管理担当分の協定世界時 (Universal Coordinated Time/UTC)、つまり UTC(USNO) を導き出すことが可能な情報とが含まれている。


The Control Segment is comprised of a number of ground-based monitoring stations, which continually gather information from the satellites. These data are sent to a Master Control Station in Colorado Springs, CO, which analyzes the constellation and projects the satellite ephemerides and clock behaviour forward for the next few hours. This information is then uploaded into the satellites for retransmission to users.
管制部分は、GPS 衛星からの情報を継続的に収集する幾つかの地上監視局からなる。そうしたデータは、コロラド州コロラド・スプリングズの主管制局に送られ、そこで衛星系の解析及び、以後数時間分の衛星軌道位置及び時刻推移の計画が策定される。この情報は、衛星へとアップロードされて、利用者へ配信される。


The User Segment consists of all users who, by receiving signals transmitted from the satellites, are able to determine their position, velocity, and the time on their local clocks.
利用者部分は、信号から発信された信号を受信して、自身の位置・速度及び地域計時での時刻を決定することが可能な全ての利用者からなる。

The GPS is a navigation and timing system that is operated by the United States Department of Defense (DoD), and therefore has a number of aspects to it that are classified. Several organizations monitor GPS signals independently and provide services from which satellite ephemerides and clock behavior can be obtained. Accuracies in the neighborhood of 5–10 cm are not unusual. Carrier phase measurements of the transmitted signals are commonly done to better than a millimeter.
GPS は、米国防衛総省 (United States Department of Defense/DoD) により運営されている航行案内及び計時システムであるため、機密扱いになっている局面が幾つか存在する。幾つかの機関が、個別に、GPS 信号を監視して、衛星軌道位置及び時刻推移が分かるようにするサービスを提供している。5–10 cm 程度の精度も稀なことではない。発信信号の搬送波位相測定も広く行なわれており、サブミリメートルの精度が得られる。


GPS signals are received on earth at two carrier frequencies, L1 (154 × 10.23 MHz) and L2 (120 × 10.23 MHz). The L1 carrier is modulated by two types of pseudorandom noise codes, one at 1.023 MHz – called the Coarse/Acquisition or C/A-code – and an encrypted one at 10.23 MHz called the P-code. P-code receivers have access to both L1 and L2 frequencies and can correct for ionospheric delays, whereas civilian users only have access to the C/A-code. There are thus two levels of positioning service available in real time, the Precise Positioning Service utilizing P-code, and the Standard Positioning Service using only C/A-code. The DoD has the capability of dithering the transmitted signal frequencies and other signal characteristics, so that C/A-code users would be limited in positioning accuracy to about ±100 meters. This is termed Selective Availability, or SA. SA was turned off by order of President Clinton in May 2000.
地上で受信される GPS 信号の搬送波周波数は、L1 (154 × 10.23 MHz) と L2 (120 × 10.23 MHz) の2つがある。L1 搬送波は、2種類の擬似乱数雑音コードで変調されている。そのうちの1つは、1.023 MHz で変調されているもので、粗精度/捕捉コード (Coarse/Acquisition) 又は C/A コードと呼ばれる。他方は、10.23 MHz で変調され暗号化されているもので、P-コードと呼ばれている。P コード受信器は、L1 と L2 の双方の周波数を利用可能であって、電離層遅延の補正が可能であるのに対し、民間の利用者は C/A-コードのみの利用が可能である。従って、実時間で利用可能な位置決定サービスには、P-コードを用いる高精度位置決定サービスと、C/A-コードのみを利用する標準的位置決定サービスとの2つのレベルが存在することになる。国防総省は、送信信号の周波数その他の信号特性にディザリングを掛けることで、C/A-コード利用者の位置決定精度が、±100 メートル程度に限定されるようにすることが出来る。これは、選択的利用可能性 (Selective Availability/SA) と名付けられている。選択的利用可能性は、2000年5月にクリントン大統領の命令により停止された。





Figure 1
Figure 1: Typical Allan deviations of Cesium clocks and quartz oscillators, plotted as a function of averaging time τ.
第1図: 平均化時間 τ の関数として示されたセシウム原子時計及び水晶発振器における典型的なアラン偏差 (Allan deviation)。


The technological basis for GPS lies in extremely accurate, stable atomic clocks. Figure 1View Image gives a plot of the Allan deviation for a high-performance Cesium clock, as a function of sample time τ. If an ensemble of clocks is initially synchronized, then when compared to each other after a time τ, the Allan deviation provides a measure of the rms fractional frequency deviation among the clocks due to intrinsic noise processes in the clocks. Frequency offsets and frequency drifts are additional systematic effects which must be accounted for separately. Also on Figure 1View Image is an Allan deviation plot for a Quartz oscillator such as is typically found in a GPS receiver. Quartz oscillators usually have better short-term stability performance characteristics than Cesium clocks, but after 100 seconds or so, Cesium has far better performance. In actual clocks there is a wide range of variation around the nominal values plotted in Figure 1View Image.
GPS の技術的な基礎となっているのは、極めて正確で安定した原子時計である。図 1View Image には、サンプル時間の関数として高性能セシウム時計のアラン偏差が表示されてる。幾つかの時計を、初めに同期化してから、時間τ の経過につれて互いを比較すると、アラン偏差は、時計に固有な雑音過程による、時計同士間の二乗平均平方根 (rms) 周波数偏差比 (fractional frequency deviation) を表わす。周波数オフセット及び周波数ドリフトも、別途考慮する必要のある構造的効果である。図 1View Image には、GPS 受信器に典型的に見られるような水晶発振器のアラン偏差も表示してある。水晶発振器は、通常、短期の安定特性では、セシウム時計よりも優れいてるが、100秒程度を越えると、セシウム時計の方が断然優れた性能を示す。実際の時計の変動域は、図 1View Image に示された公称値を含む幅広いものである。


The plot for Cesium, however, characterizes the best orbiting clocks in the GPS system. What this means is that after initializing a Cesium clock, and leaving it alone for a day, it should be correct to within about 5 parts in 1014, or 4 nanoseconds. Relativistic effects are huge compared to this.
しかしながら、このセシウム時計に就いてのグラフは、GPS システムにおいて軌道上にある時計として最良の様態を特徴づけるものなのである。これはつまり、セシウム時計は、初期化された後、1日放置されるなら、1014 分の 5 程度、言い換えると、4 ナノ秒ぐらいまでの補正が必要になると云うことである。相対論的な効果は、これと比較して非常に大きいのである。


The purpose of this article is to explain how relativistic effects are accounted for in the GPS. Although clock velocities are small and gravitational fields are weak near the earth, they give rise to significant relativistic effects. These effects include first- and second-order Doppler frequency shifts of clocks due to their relative motion, gravitational frequency shifts, and the Sagnac effect due to earth’s rotation. If such effects are not accounted for properly, unacceptably large errors in GPS navigation and time transfer will result. In the GPS one can find many examples of the application of fundamental relativity principles. These are worth careful study. Also, experimental tests of relativity can be performed with GPS, although generally speaking these are not at a level of precision any better than previously existing tests.
この文書の目的は、GPS において相対論的な効果が如何に考慮されているかを説明することにある。時計は低速度であり、地球近辺での重力場は弱いとは言え、そられは、重大な相対論的効果を引き起こす。そうした効果としては、時計の相対的運動による1次ドップラー周波数シフトと2次ドップラー周波数シフト、重力による周波数シフト、地球の自転によるサニャック効果が挙げられる。こうした効果を正当に考慮しないならば、認容しえないほど大きい誤差が、GPS による航行案内と時刻比較に発生することになる。GPS には、基本的な相対論的原理の応用例が数多く見られる。そうしたものは、注意深い研究に値する。また、GPS を用いて、相対論の検証実験を行なうことも可能である。もっとも、概して言えば、そうした検証実験は、既存の実験と比較して、精度が高いとは少しも言えないのだが。


The principles of position determination and time transfer in the GPS can be very simply stated. Let there be four synchronized atomic clocks that transmit sharply defined pulses from the positions rj at times tj, with j = 1,2,3,4 an index labelling the different transmission events. Suppose that these four signals are received at position r at one and the same instant t. Then, from the principle of the constancy of the speed of light,

c2(t − tj)2 = |r − rj|2, j = 1,2,3,4. (1 )

where the defined value of c is exactly 299792458 m s−1. These four equations can be solved for the unknown space-time coordinates {r,t} of the reception event. Hence, the principle of the constancy of c finds application as the fundamental concept on which the GPS is based. Timing errors of one ns will lead to positioning errors of the order of 30 cm. Also, obviously, it is necessary to specify carefully the reference frame in which the transmitter clocks are synchronized, so that Eq. (1View Equation) is valid.
GPS における位置決定及び時刻比較原理は、非常に簡単に述べることができる。今、4台の同期した原子時計が、時刻 tj に、位置 rj から (ここで、添え字 j = 1,2,3,4 は、異なる送信事象を表わす)、エッジが急峻な (sharply defined) パルスを発信したものとしよう。これら 4つの信号は、位置 r において同一時刻 t に受信されたものとすると、光速度不変の原理より、

c2(t − tj)2 = |r − rj|2, j = 1,2,3,4. (1 )

が成り立つ。ただし、ここで c の定義値は、正確に 299792458 m s−1 に等しい。こられ4つの方程式は、受信事象の未知の時空座標 {r,t} に就いて解くことが可能である。こうして、c 一定の原理は、GPS の基礎をなす基本概念としての応用を有している。時刻誤差が 1 ナノ秒あったとすると、位置の決定が 30 cm 程度ズレることになる。また、明らかなことだが、式 (1View Equation) が有効なものになるよう、送信側の時計を同期化するための基準座標系は慎重に指定されねばならない。


The timing pulses in question can be thought of as places in the transmitted wave trains where there is a particular phase reversal of the circularly polarized electromagnetic signals. At such places the electromagnetic field tensor passes through zero and therefore provides relatively moving observers with sequences of events that they can agree on, at least in principle.
ここで謂うところの時刻パルスとは、送信された波動の列の中で、円偏光電磁信号での特定の位相反転が起きている箇所のことと見なせる。そうした箇所では、電磁場テンソルがゼロ値を通過するため、少なくとも原理上は、相対的な運動を行なっている観測者に対し、一致可能な事象系列を提供することになる。

"Relativity in the Global Positioning System"
Neil Ashby
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訳註


  1. 恒星日 を 86164.091 秒として、その 1014 分の 5 を求めると 4.31 ナノ秒ほどになる。


2 Reference Frames and the Sagnac Effect
Almost all users of GPS are at fixed locations on the rotating earth, or else are moving very slowly over earth’s surface. This led to an early design decision to broadcast the satellite ephemerides in a model earth-centered, earth-fixed, reference frame (ECEF frame), in which the model earth rotates about a fixed axis with a defined rotation rate, ωE = 7.2921151467 × 10 −5 rad s− 1. This reference frame is designated by the symbol WGS-84 (G873) [19, 3]. For discussions of relativity, the particular choice of ECEF frame is immaterial. Also, the fact the the earth truly rotates about a slightly different axis with a variable rotation rate has little consequence for relativity and I shall not go into this here. I shall simply regard the ECEF frame of GPS as closely related to, or determined by, the International Terrestrial Reference Frame established by the International Bureau of Weights and Measures (BIPM) in Paris.

2 基準座標系とサニャック効果

殆ど全ての GPS 利用者は、自転する地球上で固定した位置にいるか、又は、地表を非常にゆっくりとした速度で移動している。このため当初決定された設計では、地球中心地球固定基準座標系 (earth-centered, earth-fixed, reference frame/ECEF frame) モデル内での衛星軌道位置を送信することとなった。この地球モデルは、一定角速度 ωE = 7.2921151467 × 10 −5 rad s− 1 で、固定した軸を中心にして自転している。この基準座標系には、記号 WGS-84 (G873) [19, 3] が付与されている。相対論に就いて議論する場合は、ECEF 基準座標系の具体的な選択は問題とならない。また、地球は、実際には、僅かに異なる軸を中心にし、回転速度が変動すると云う事実も、相対論上の議論には殆ど影響しないので、本文書では、この点を論じないでおく。本文書では、GPS の ECEF 基準座標系とは、パリ国際度量衡局 (International Bureau of Weights and Measures/BIPM) が規定した国際地球基準座標系 (International Terrestrial Reference Frame/ITRF) と密接に関係する、もしくは、国際地球基準座標系によって決定されるものであると云うことだけにしておく。


It should be emphasized that the transmitted navigation messages provide the user only with a function from which the satellite position can be calculated in the ECEF as a function of the transmission time. Usually, the satellite transmission times tj are unequal, so the coordinate system in which the satellite positions are specified changes orientation from one measurement to the next. Therefore, to implement Eqs. (1View Equation), the receiver must generally perform a different rotation for each measurement made, into some common inertial frame, so that Eqs. (1View Equation) apply. After solving the propagation delay equations, a final rotation must usually be performed into the ECEF to determine the receiver’s position. This can become exceedingly complicated and confusing. A technical note [10] discusses these issues in considerable detail.
送信された航行案内メッセージから、利用者は、送信時刻の関数の形で、ECEF 慣性基準座標系内での衛星位置の計算値を導き出す関数が得られるだけであることは強調しておかねばならない。通常、複数の衛星からの送信時刻 tj は一致しないため、衛星の位置が指定される座標系は、計測の度に、方向が変わっている。従って、式 (1View Equation) を具体化するには、利用者は、一般には、測定の度に一定の共通な慣性座標系に対して異なる回転を与えて、式 (1View Equation) が適応するようにしなければならない。伝搬遅延方程式を解いた後には、通常 ECEF に最終的な回転を与えて、受信器の位置を決定する。これは、極めて複雑で混乱を招くものになりうる。技術上の注意点 [10] では、こうした問題点が相当に詳しく論じられている。


Although the ECEF frame is of primary interest for navigation, many physical processes (such as electromagnetic wave propagation) are simpler to describe in an inertial reference frame. Certainly, inertial reference frames are needed to express Eqs. (1View Equation), whereas it would lead to serious error to assert Eqs. (1View Equation) in the ECEF frame. A “Conventional Inertial Frame” is frequently discussed, whose origin coincides with earth’s center of mass, which is in free fall with the earth in the gravitational fields of other solar system bodies, and whose z-axis coincides with the angular momentum axis of earth at the epoch J2000.0. Such a local inertial frame may be related by a transformation of coordinates to the so-called International Celestial Reference Frame (ICRF), an inertial frame defined by the coordinates of about 500 stellar radio sources. The center of this reference frame is the barycenter of the solar system.
ECEF 基準座標系は、航行案内においては第一義的な重要性を持つとは言え、(電磁波伝搬など) 多くの物理過程は、慣性基準座標系で叙述した方が単純になる。実際、式 (1View Equation) を表現するには慣性基準座標系が必要であるのに対し、ECEF 基準座標系内において式 (1View Equation) を主張するなら、重大な誤りを犯すことになる。「慣用慣性座標系 (Conventional Inertial Frame)」に就いて言及されることがしばしばあるが、これは、原点が地球の重心に一致し、太陽系の他の天体の作る重力場の中で地球と共に自由落下しており、その z-軸が、元期 (epoch) J2000.0 における地球の角運動量の軸と一致するような慣性座標系のことである。こうした局所慣性座標系は、座標変換により、約 500 個の電波天体の座標によって定義される慣性基準座標系である所謂「国際天文基準座標系 (International Celestial Reference Frame/ICRF)」と関連付けられることができる。この基準座標系の中心は、太陽系の重心である。


In the ECEF frame used in the GPS, the unit of time is the SI second as realized by the clock ensemble of the U.S. Naval Observatory, and the unit of length is the SI meter. This is important in the GPS because it means that local observations using GPS are insensitive to effects on the scales of length and time measurements due to other solar system bodies, that are time-dependent.
GPS で用いられている ECEF 基準座標系では、時間の単位は、米国海軍天文台の時計群が実現している「SI 秒」であり、長さの単位は 「SI メートル」である。このことは、GPS を用いた局所的な観測が、時間依存的である太陽系の他の天体の長さ・時間測定尺度への効果の影響を受けないことを意味し、GPS にとり重要である。


Let us therefore consider the simplest instance of a transformation from an inertial frame, in which the space-time is Minkowskian, to a rotating frame of reference. Thus, ignoring gravitational potentials for the moment, the metric in an inertial frame in cylindrical coordinates is

2 2 2 2 2 2 − ds = − (c dt) + dr + r dφ + dz , (2 )

and the transformation to a coordinate system {t′,r′,φ′,z ′} rotating at the uniform angular rate ωE is

′ ′ ′ ′ ′ t = t, r = r, φ = φ + ωEt , z = z. (3 )

This results in the following well-known metric (Langevin metric) in the rotating frame:

( ω2 r′2 ) − ds2 = − 1 − --E2-- (cdt′)2 + 2ωEr ′2d φ′dt′ + (dσ′)2, (4 ) c

where the abbreviated expression (d σ′)2 = (dr′)2 + (r′dφ′)2 + (dz ′)2 for the square of the coordinate distance has been used.
そこで、慣性基準座標系からの変換の一番簡単な例、つまり、ミンコフスキー時空から回転基準座標系への変換を考えよう。従って、差し当たりは重力ポテンシャルは無視して、慣性基準座標系の計量を円筒座標系で表わすと

2 2 2 2 2 2 − ds = − (c dt) + dr + r dφ + dz , (2 )

となるが、ここで一様な角速度 ωE で回転する座標系 {t′,r′,φ′,z ′} への変換

′ ′ ′ ′ ′ t = t, r = r, φ = φ + ωEt , z = z. (3 )

を行なうなら、その結果は、回転基準座標系での周知の計量 (ランジェヴァン計量/Langevin metric)

( ω2 r′2 ) − ds2 = − 1 − --E2-- (cdt′)2 + 2ωEr ′2d φ′dt′ + (dσ′)2, (4 ) c

を導く。ただし、ここでは座標距離の平方に対する簡約化した記法 (d σ′)2 = (dr′)2 + (r′dφ′)2 + (dz ′)2 が用いられいてる。


The time transformation t = t′ in Eqs. (3View Equation) is deceivingly simple. It means that in the rotating frame the time variable t′ is really determined in the underlying inertial frame. It is an example of coordinate time. A similar concept is used in the GPS.
式 (3View Equation) における単純な時間変換 t = t′ は曲者である。その意味するところは、回転基準座標系においては時間変数 t′ が、実際には、前提となる慣性基準座標系により決定されると云うことである。それは座標時間の例となっている。同様な概念が GPS でも用いられている。


Now consider a process in which observers in the rotating frame attempt to use Einstein synchronization (that is, the principle of the constancy of the speed of light) to establish a network of synchronized clocks. Light travels along a null worldline, so we may set ds2 = 0 in Eq. (4View Equation). Also, it is sufficient for this discussion to keep only terms of first order in the small parameter ′ ωEr ∕c. Then

′2 ′ ′ (cdt′)2 − 2-ωEr-dφ-(cdt-) − (dσ′)2 = 0, (5 ) c

and solving for (cdt′) yields

ωEr ′2dφ′ cdt′ = dσ′ + --------. (6 ) c

さて、回転基準座標系内の観測者が "Einstein synchronization" (つまりは、光速度不変の原理) を用いて、一連の同期した時計の体系を構築しようとしたと考えてみよう。光は、ヌル世界線に沿って進行するので、式 (4View Equation) において ds2 = 0 とおいてよい。また、この議論にあっては微小なパラメータ ′ ωEr ∕c の1次の項までを考えるだけで充分である。そこで

′2 ′ ′ (cdt′)2 − 2-ωEr-dφ-(cdt-) − (dσ′)2 = 0, (5 ) c

が成り立つから、これを (cdt′) について解くと

ωEr ′2dφ′ cdt′ = dσ′ + --------. (6 ) c

が得られる。


The quantity r′2dφ ′∕2 is just the infinitesimal area dA ′z in the rotating coordinate system swept out by a vector from the rotation axis to the light pulse, and projected onto a plane parallel to the equatorial plane. Thus, the total time required for light to traverse some path is

∫ ∫ ′ ∫ dt′ = dσ--+ 2ωE- dA ′. [light] (7 ) path pathc c2 path z


r′2dφ ′∕2 は、回転座標系内において、回転軸から光パルス迄のベクトルが掃過する無限小領域を赤道面と平行な平面に投影した無限小面積 dA ′z そのものである。従って、光が、或る径路を通過するのに掛かる総時間は

∫ ∫ ′ ∫ dt′ = dσ--+ 2ωE- dA ′. [light] (7 ) path pathc c2 path z

となる。


Observers fixed on the earth, who were unaware of earth rotation, would use just ∫ ′ dσ ∕c for synchronizing their clock network. Observers at rest in the underlying inertial frame would say that this leads to significant path-dependent inconsistencies, which are proportional to the projected area encompassed by the path. Consider, for example, a synchronization process that follows earth’s equator in the eastwards direction. For earth, 2ω ∕c2 = 1.6227 × 10−21 s m −2 E and the equatorial radius is a1 = 6,378,137 m, so the area is 2 14 2 πa 1 = 1.27802 × 10 m. Thus, the last term in Eq. (7View Equation) is

2 ω ∫ --2E dA ′z = 207.4 ns. (8 ) c path

地上に固定している観測者は、地球の自転を意識しないなら、時計の体系を同期化するために、∫ ′ dσ ∕c だけを利用することになるだろうが、回転座標系の前提となっている慣性基準座標系内で静止している観測者なら、そうした同期化していくと、径路が囲む領域の投影面積に比例する、径路依存の重大なズレが生じると指摘するであろう。例えば、地上を赤道に沿って東回りに同期化していく場合のことを考えてみよう。地球の諸元によるなら 2ω ∕c2 = 1.6227 × 10−21 s m −2 E であり、赤道半径は a1 = 6,378,137 m だから、赤道が囲む面積は 2 14 2 πa 1 = 1.27802 × 10 m となる。従って、式  (7View Equation) の最後の項は

2 ω ∫ --2E dA ′z = 207.4 ns. (8 ) c path

となる。


From the underlying inertial frame, this can be regarded as the additional travel time required by light to catch up to the moving reference point. Simple-minded use of Einstein synchronization in the rotating frame gives only ∫ ′ dσ ∕c, and thus leads to a significant error. Traversing the equator once eastward, the last clock in the synchronization path would lag the first clock by 207.4 ns. Traversing the equator once westward, the last clock in the synchronization path would lead the first clock by 207.4 ns.
回転座標系の前提となる慣性基準座標系の見地からは、これは、移動する基準点に光が追い付くのに掛かる付加的な時間と見なすことができる。Einstein synchronization を素朴に適用するなら ∫ ′ dσ ∕c しか得られず、このため、重大な誤差が生じる。赤道上を東回りに同期化を進めた場合、径路を同期化していった最後の時計は、最初の時計より 207.4 ns 遅れるのである。西回りに進めた場合には、径路を同期化していった最後の時計は、最初の時計より 207.4 ns 進む。


In an inertial frame a portable clock can be used to disseminate time. The clock must be moved so slowly that changes in the moving clock’s rate due to time dilation, relative to a reference clock at rest on earth’s surface, are extremely small. On the other hand, observers in a rotating frame who attempt this, find that the proper time elapsed on the portable clock is affected by earth’s rotation rate. Factoring Eq. (4View Equation), the proper time increment d τ on the moving clock is given by

⌊ ( ′)2 ′2 ′ ( ′)2⌋ (dτ)2 = (ds∕c)2 = dt′2⌈1 − ωEr-- − 2ωEr--dφ--− dσ-- ⌉ . (9 ) c c2dt′ cdt′

慣性基準座標系にあっては、移動式の時計を時間同期のために使うことができる。そうした時計は、移動中、地上に静止している基準時計に対して、移動する側の時計での時間遅延による時間の進み方の変化が極めて小さくなるよう緩やかに移動しなければならない。他方、回転基準座標系内の観測者が、同じことをしようとすると、移動式時計で経過する固有時間が、地球の自転速度に影響されることを見いだすことになる。式 (4View Equation) を積の形に表わすと、移動する時計における固有時間の増分 d τ

⌊ ( ′)2 ′2 ′ ( ′)2⌋ (dτ)2 = (ds∕c)2 = dt′2⌈1 − ωEr-- − 2ωEr--dφ--− dσ-- ⌉ . (9 ) c c2dt′ cdt′

で表わされる。


For a slowly moving clock, (dσ′∕cdt′)2 ≪ 1, so the last term in brackets in Eq. (9View Equation) can be neglected. Also, keeping only first order terms in the small quantity ωEr ′∕c yields

ω r′2d φ′ d τ = dt′ −--E-2---- (10 ) c

which leads to

∫ ′ ∫ 2ωE-∫ ′ pathdt = pathdτ + c2 pathdA z. [portable clock] (11 )

緩やかに移動する時計では、(dσ′∕cdt′)2 ≪ 1 となるから、式 (9View Equation) の角括弧内最後の項は無視することができる。さらに、微小な1次の項 ωEr ′∕c だけを残すなら、その結果として

ω r′2d φ′ d τ = dt′ −--E-2---- (10 ) c

が得られる。したがって

∫ ′ ∫ 2ωE-∫ ′ pathdt = pathdτ + c2 pathdA z. [portable clock] (11 )

である。


This should be compared with Eq. (7View Equation). Path-dependent discrepancies in the rotating frame are thus inescapable whether one uses light or portable clocks to disseminate time, while synchronization in the underlying inertial frame using either process is self-consistent.
これは、式 (7View Equation) に相当するものである。このように、回転基準座標系で発生する径路依存型のズレは、時刻の同期化に光を使っても移動式の時計を使っても免れることはできない。これに対し、回転基準座標系の前提となっている慣性基準座標系では、どちらの方法でも同期化は食い違いを生じない。


Eqs. (7View Equation) and (11View Equation) can be reinterpreted as a means of realizing coordinate time t′ = t in the rotating frame, if after performing a synchronization process appropriate corrections of the form +∫ ′ 2 2ωE pathdA z∕c are applied. It is remarkable how many different ways this can be viewed. For example, from the inertial frame it appears that the reference clock from which the synchronization process starts is moving, requiring light to traverse a different path than it appears to traverse in the rotating frame. The Sagnac effect can be regarded as arising from the relativity of simultaneity in a Lorentz transformation to a sequence of local inertial frames co-moving with points on the rotating earth. It can also be regarded as the difference between proper times of a slowly moving portable clock and a Master reference clock fixed on earth’s surface.
式 (7View Equation) 及び (11View Equation) は、同期化を行なった後、+∫ ′ 2 2ωE pathdA z∕c と云う適切な補正を行なうならば、回転基準座標系内において、座標時間 t′ = t が見出だされると解釈しなおすこともできる。これには数多くの見方が可能あることは注目すべきである。例えば、慣性基準座標系から見ると、同期化を開始する基準時計は移動しており、光は、回転基準座標系から見る場合とは異なる径路を進まねばならない。サニャック効果は、ローレンツ変換の同時性が、自転する地球上の諸地点と共に運動する一連の局所慣性基準座標系に対して相対的であることから発生すると解釈できるが、また、サニャック効果は、緩やかに進む移動式時計の固有時間と、地上に固定した主基準時計の固有時間の相違と見なすこともできる。


This was recognized in the early 1980s by the Consultative Committee for the Definition of the Second and the International Radio Consultative Committee who formally adopted procedures incorporating such corrections for the comparison of time standards located far apart on earth’s surface. For the GPS it means that synchronization of the entire system of ground-based and orbiting atomic clocks is performed in the local inertial frame, or ECI coordinate system [6].
このことは、1980年代初頭には、「秒の定義のための諮問委員会 (Consultative Committee for the Definition of the Second)」及び「国際無線通信諮問委員会 (International Radio Consultative Committee)」によって認識され、地表から遠く離れた場所に位置における時刻標準との比較のために、こうした補正を取り入れる手続きが正式に採用された。それは、GPS にとっては、地上局内及び軌道上の全ての原子時計の体系の同期化を、局所慣性基準座標系、つまりは、ECI 座標系内で行なうことを意味する [6]


GPS can be used to compare times on two earth-fixed clocks when a single satellite is in view from both locations. This is the “common-view” method of comparison of Primary standards, whose locations on earth’s surface are usually known very accurately in advance from ground-based surveys. Signals from a single GPS satellite in common view of receivers at the two locations provide enough information to determine the time difference between the two local clocks. The Sagnac effect is very important in making such comparisons, as it can amount to hundreds of nanoseconds, depending on the geometry. In 1984 GPS satellites 3, 4, 6, and 8 were used in simultaneous common view between three pairs of earth timing centers, to accomplish closure in performing an around-the-world Sagnac experiment. The centers were the National Bureau of Standards (NBS) in Boulder, CO, Physikalisch-Technische Bundesanstalt (PTB) in Braunschweig, West Germany, and Tokyo Astronomical Observatory (TAO). The size of the Sagnac correction varied from 240 to 350 ns. Enough data were collected to perform 90 independent circumnavigations. The actual mean value of the residual obtained after adding the three pairs of time differences was 5 ns, which was less than 2 percent of the magnitude of the calculated total Sagnac effect [4].

GPS は、2つの地上に固定された時計から単一の衛星が見える時には、それらの時計間の時刻を比較するのに利用することができる。これが、前もって地上測量により地上位置が非常に正確に分っているのが普通である時間一次標準器間の比較を行なう「衛星仲介遠隔較正法 (common-view method)」である。2か所にある受信器から共通して見える単一の衛星からの信号から、地上の2つの時計間の時間差を決定するのに充分な情報が得られる。サニャック効果は、配置によっては数百ナノ秒に上るので、こうした比較を行なう際に極めて重要である。1984年、3対の地上時間センターから同時に共通して見える GPS 3号機、4号機、6号機、8号機が、地球周回サニャック効果実験に最終的な結論を出すために、用いられた。その地上センターとは、米国コロラド州ボウルダー市の「国立標準局 (National Bureau of Standards/NBS)」、ドイツ国ブラウンシュヴァイク (Braunschweig) の「国立理工学研究所 (Physikalisch-Technische Bundesanstalt/PTB)」と東京の国立天文台 (Tokyo Astronomical Observatory/TAO) である。サニャック効果による補正量は、240 ナノ秒乃至 350 ナノ秒であった。独立した 90 回の周回により充分なデータが収集された。3対の時間差を加えて得られた差し引き残余の実際の平均値は 5 ナノ秒であり、サニャック効果の計算合計値より 2 パーセント未満であった  [4]




"Relativity in the Global Positioning System"
Neil Ashby
http://www.livingreviews.org/lrr-2003-1
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訳註


  1. 1 恒星日 を 86164.091 秒とし、円周率 π を 3.141592654 として、地球自転の角速度を計算すると 2π/86164.091 = 7.292115816 × 10-5 が得られる。

  2. 米国の "National Bureau of Standards/NBS" は 1988 年に、改組されて、"National Institute of Standards and Technology/NIST" となっているが、そのまま訳してある。他方、原文 "West Germany" は、現況に合わせて「ドイツ国」と訳した。

参考文献

[3] Department of Defense World Geodetic System 1984 – Its Definition and Relationships with Local Geodetic Systems, NIMA Technical Report, TR8350.2, (National Imagery and Mapping Agency, Bethesda, U.S.A., 2004). Related online version (cited on 11 June 2007):
External Linkhttp://earth-info.nga.mil/GandG/publications/tr8350.2/tr8350_2.html. 3rd amended edition.

[4] Allan, D.W., Weiss, M., and Ashby, N., “Around-the-World Relativistic Sagnac Experiment”, Science, 228, 69–70, (1985).

[6] Ashby, N., An Earth-Based Coordinate Clock Network, NBS Technical Note, 659; S.D. Catalog # C13:46:659, (U.S. Dept. of Commerce, U.S. Government Printing Office, Washington, U.S.A.,
1975).

[10] Ashby, N., and Weiss, M., Global Positioning System Receivers and Relativity, NIST Technical Note, TN 1385, (National Institute of Standards and Technology, Boulder, U.S.A., 1999).

[19] Malys, S., and Slater, J., “Maintenance and Enhancement of the World Geodetic System 1984”, in Proceedings of the 7th International Technical Meeting of The Satellite Division of The Institute of Navigation (ION GPS-94), September 20–23, 1994, Salt Palace Convention Center - Salt Lake City, UT, 17–24, (Institute of Navigation, Fairfax, U.S.A., 1994).




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Neil Ashby
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  1. nouse: 飛行機に原子時計を載せて・・・
  2. nouse: [飛行機に原子時計を載せて・・・] 補足: 相対論の話を少しばかり
  3. nouse: Neil Ashby に就いて: 相対論の実用
  4. nouse: 英語版ウィキペディア "Sagnac effect" 訳文
  5. nouse: ドイツ語版ウィキペディア "Sagnac-Interferometer" 訳文
  6. nouse: フランス語版ウィキペディア "Effet Sagnac" 訳文
  7. nouse: オランダ語版ウィキペディア "Sagnac-effect" 訳文
  8. nouse: 一般相対論によるサニャック効果の導出 (注意: この記事の現在の URL は http://yeblog.cocolog-nifty.com/nouse/2007/09/post-4f1e.html てある。)
  9. nouse: 英文版ウィキペディア "Born coordinates" 導入部、第1節-第3節翻訳草稿
  10. nouse: ホロノミー (holonomy) としてのサニャック効果 (Sagnac effect): 数学的準備
  11. nouse: ホロノミー (holonomy) としてのサニャック効果 (Sagnac effect): 物理篇
  12. nouse: [nouse: 一般相対論によるサニャック効果の導出] の URL (所謂「固定リンク」) に就いて
  13. nouse: 日本語版ウィキペディアの「サニャック効果」に対する誤った解説について。付けたし:欧州宇宙機関の HYPER プロジェクト

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今日は初午。練馬区高松の地口行灯

東京都練馬区高松に、所謂「激安スーパー」である [業務スーパー練馬店] (東京都練馬区高松3-21-18) があって、時時買い物をする。だから、その敷地の中に、恐らく以前はそこに大きな屋敷 (農家) があっただろう名残と思われる稲荷祠があることには気が付いていた。

いま google map のストリートビューで確認してみたら、看板や木が邪魔をして屋代そのものは見えづらいのだが、鳥居ぐらいは見ることができた (航空写真では、屋代の赤い屋根が見える)。

その [業務スーパー] に、たまたま昨日今日 (2009年2月5日・6日) と行く用事があったのだが、その「お稲荷さん」に地口行灯 (地口行燈) が五・六灯飾ってあったのだな。「ああ。そう言えば、もう初午なんだな」と思ってしまった。調べてみたら今日 (「こんにち」と読んでいただきたい) 2月6日が初午だった。

しかし、顧みてみると、初午に地口行灯が飾ってあるのを実見したのは初めてかもしれない。子どものころ見たことがあるかもしれないのだが、だとすると、忘れてしまっている (そう言えば、去年だったか一昨年だったか、板橋の下頭橋の豊敬稲荷だったかの前を初午の日に通りかかったら、太鼓が柵柱に吊り下げてあって、誰でも叩けるようにしてあったのを見た記憶があるが、その時にも地口行灯はなかったようだ)。

勿論、地口行灯そのものは、北千住の商店街や浅草寺門前の伝法院通りで見かけたことがあるのだが、あれは観光用であって常時掲げられており、初午とは関係ない。

今日見た地口行灯で私が読み取れたものはたった二つで、曰わく「小狐三本桜」と「狐道成寺」だけだった。まぁ「義経千本桜」と「娘道成寺」ぐらいなら私でも知っていると云うだけのことなのだが、そのほかも全て「狐」で通しているらしかった。かってそう云う風習があったのだろうか。浅学にして、その有無を承知しないのが残念である。

原稿を書いているうちに日付が変わってしまったが、このまま投稿することにする。

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