« 故郷も恋ひしくもなし旅の空みやこもつひのすみかならねば | トップページ | 北面の下﨟、さては金行といふ御力者ばかりぞまいりける。 »

古人の食へしめたる吉備の酒病まばすべなし貫簀たばらむ

作者:丹生女王 出典:[万葉集4]554/557
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.264

「吉備の酒」。行為・生産の行なわれる場所を意味する、助詞「の」の用例。「食へ」の訓は「たまへ」。「古人 (ふるひと)」とは「大伴旅人」のこと。

「貫簀(ぬきす)」とは「簀の子」のこと。吐いたりする時に前に置いて着物を汚さないようにする。大野晋の解:「気持ちが悪くなったらなんとも仕方がありません。どうか貫簀(ぬきす)をください」。

この歌の詞書は、「丹生女王、太宰帥大伴卿に贈る歌二首」で、もう一首は「天雲のそくへの極み遠けども心し行けば恋ふるものかも (丹生女王 [万葉集4]553/556)」。
作者「丹生女王」は、[万葉集3]420/423-[万葉集3]422/425 の作者「丹生王」と同一人物とされている。成る程、たしかに、この [万葉集4]554/557 は、大伴旅人に宛てた歌に似つかわしいが、もう一首の 長歌である[万葉集4]420/423 への反歌とした方が似つかわしい。想像を逞しゅうするに、丹生王は石田王を失った後、酒に沈淪したのかもしれない。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

|
|

« 故郷も恋ひしくもなし旅の空みやこもつひのすみかならねば | トップページ | 北面の下﨟、さては金行といふ御力者ばかりぞまいりける。 »

『日本語で一番大事なもの』」カテゴリの記事

日本語/和文」カテゴリの記事

詩/文藝」カテゴリの記事

読み物・書き物・刷り物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40172/40544770

この記事へのトラックバック一覧です: 古人の食へしめたる吉備の酒病まばすべなし貫簀たばらむ:

« 故郷も恋ひしくもなし旅の空みやこもつひのすみかならねば | トップページ | 北面の下﨟、さては金行といふ御力者ばかりぞまいりける。 »