« 津の国のあしでにもなき浦を見てなにはのことに落つる泪ぞ | トップページ | 津の国の難波の春は夢なれや芦の枯葉に風わたるなり »

津の国のなには思はず山しろのとはにあひみんことをのみこそ

作者:読人しらず 出典:[古今和歌集4]696
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.416

丸谷才一が、係助詞「は」が疑問詞「なに」を承けている珍しい例とするもの。これは「なには」が「難波」の掛け言葉になっている。また、「とは」は「鳥羽」の掛け言葉になっている。

この「なに」は、疑問詞とした方が、確かに歌意が深くなる。『日本語で一番大切なもの』では、何故こうした「例外的」表現が成立するか分析されていないようだが、今ここで泥縄的に考えてみると、一つには「津の国のなには」が(「山しろのとは」と同様に、そして、この二つが並列的に使われているため一層) 形式的な文彩以上の重みを持っていないことと、係助詞「は」の後ろが「思はず」と云う明白な否定形になんているため、「なに」の持つ不定性が相対的に弱くなっているからではなかろうか。言ってみれば「も」に通じる「は」か。例えば、類似する表現として「なにはなくとも『江戸紫』」と云うものがある。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

|
|

« 津の国のあしでにもなき浦を見てなにはのことに落つる泪ぞ | トップページ | 津の国の難波の春は夢なれや芦の枯葉に風わたるなり »

『日本語で一番大事なもの』」カテゴリの記事

日本語/和文」カテゴリの記事

詩/文藝」カテゴリの記事

読み物・書き物・刷り物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40172/40484226

この記事へのトラックバック一覧です: 津の国のなには思はず山しろのとはにあひみんことをのみこそ:

« 津の国のあしでにもなき浦を見てなにはのことに落つる泪ぞ | トップページ | 津の国の難波の春は夢なれや芦の枯葉に風わたるなり »