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潮待つとありける船を知らずして悔しく妹を別れきにけり

作者:遣新羅使 出典:[万葉集15]3594/3616
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.335

「に」と同じ「を」。丸谷才一は「こう云う場合に、万感の思いがこもる。だから詠嘆の「を」がつく」と解しているが、「万感」と云う言い方は、やや微妙。
船の停泊はまだ当分続くと信じていた作者は、船に戻ったものの再び「妹」と会うつもりだったので、「妹」と惜別を盡くさないまま別れてきた。ところが、潮待ちをしていたにすぎない船は、作者を乗せて出港してしまった。そのために作者には「妹」に対する念が残っている。それを表わす「を」だろう。
「船が潮待ちをしていただけだなんて知らなかった。あの人と別れらしい別れをしてこなかったのが残念でたまらない」

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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