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いよよ清けくなりにけるかも

作者:大伴旅人 出典:[万葉集3]316/319
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.28

「けるかも」の用例。
昔見し象(さき)の小川を今見ればいよよさやけくなりにけるかも (大伴旅人 [万葉集3]316/319)」。「象の小川」は、吉野の景勝地。吉野山から流れ出て宮滝で吉野川に流れ落ちる。「に」は「確かだ」という気持ちだから、全体で滝の景色が清らかになっているなあと気がついて感心している。

なお、『日本語で一番大切なもの』p.148 で引用されている「たがために引きてさらせる布なれや世をへて見れど取る人もなき (承均法師 [古今和歌集17]924)」と p.67 で引用されている「わが命も常にはあらぬか昔見し象の小川をゆきてみむため (大伴旅人 [万葉集3]332/335)」も参照のこと。

ちなみに、この歌は長歌「み吉野の 吉野の宮は 山からし 貴(たふと)くあらし 水(かは)からし さやけくあらし 天地と 長く久しく 万代に 改(かは)はらずあらむ 幸(いでま)しの宮 (大伴旅人 [万葉集3]315/318)」への反歌。その詞書に曰わく「暮春の月に、吉野の離宮に幸す時に、中納言大伴卿、勅を奉りて作る歌一首并せて短歌 [いまだ奏上を経ぬ歌]」。この行幸は、聖武天皇即位の神亀元年3月に行なわれてもので、大伴旅人は、これ従って吉野に赴いていた。この長歌及び反歌は、大伴旅人が聖武天皇の立場で詠んだ歌である可能性がある (そう云う「勅」があったのかもしれない)。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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