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せりなづな御形はこべら仏の座すずなすずしろ春の七草

作者:未確認又は該当情報なし 出典:物覚え歌として流布
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.139

この「物覚え歌」の作者は不明らしい。ただし、この七種の植物そのものは、源氏物語への注釈書『河海抄(かかいしょう)』(14世紀。四辻善成) 中に、正月子の日に光源氏に「若菜」が贈られたと云う出来事に註して、十二種若菜が挙げられているが、それに添える形で、七種の組み合わせとして列挙されていると云うことである。

参考 (紫式部 『源氏物語』[若菜上]):
正月二十三日、子の日なるに、左大将殿の北の方、若菜、まゐりたまふ。かねてけしき漏らしたまはで、いといたく忍びて思し設けたりければ、にはかにて、え諌め返し聞こえたまはず。 (岩波文庫『源氏物語三』p.288)。

ただし、「若菜」と「七草粥」との関係は、同じく正月子の日に行なわれた「小松引き」や、中国からの輸入行事であるらしい「人日」(正月七日) の事も兼ね合わせて考えねばならないので (『枕草子』第3段:「七日、雪まのわかなつみ、あをやかに、例はさしもさるもの目ちかからぬ所に、もてさわぎたるこそをかしけれ。」『枕草子』第131段:「七日の日の若菜を、六日、人の持て來、さわぎとり散らしなどするに、...」)、その穿鑿は意外と難しそうだ。ここでは諦めることにする。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

補足
この「物覚え歌」は四辻善成 (「四辻の左大臣」) の作として紹介されることがあるが、『河海抄巻第十三』では、「七種」が列挙されているだけで (「薺(なづな) 蘩蔞(はこべ) 芹 菁(すずな) 御形 須々代 仏座」)、歌の体裁はとっていない。

    以下のウェブページも参照されたい:
  1. 春の七草と七草粥について
  2. 七草の歌・作者はだれ?
  3. 春の歌(1)

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