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越えぬてふ名をなうらみそ鈴鹿山いとどまぢかくならむと思ふを

作者:読人しらず 出典:[後撰和歌集14]1042
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.341

接続助詞「を」の用例。

女からの「おともせずなりもゆくかな鈴鹿山こゆてふ名のみ高くたちつつ (後撰和歌集 [後撰和歌集14]1041)」に男が答えた歌。

丸谷才一の解: (すこしも来てくれないのに評判ばかり立っている、と女から言われて)「二人の関係が出来たと云う評判がたって、それを恨んではいけない。もうすぐ訪ねようと思っているのだから」。

動詞「なり」(連体形) には「(鈴などが)鳴る」、「事態が推移する」、「出御する」の意味がある。また、「おともせず」は「音もせず」と「音沙汰も無い」・「訪問も無い」とが掛かっている。
「鈴鹿山」には近江盆地と伊勢平野を結ぶ峠があり、古代には関所があった。

参考 (「鈴鹿山」):
  天暦十一年九月十五日斎宮くだり侍りけるに、内より硯調じてたまはすとて
思ふ事成るといふなる鈴鹿山越えてうれしきさかひとぞ聞く
(村上天皇 [拾遺和歌集8]494)
  円融院の御時斎宮くだり侍りけるに、母の前斎宮もろともにこえ侍りて
世にふれば又も越えけり鈴鹿山昔の今になるにやあるらむ
(徽子女王 [拾遺和歌集8]495)
なお、徽子女王の歌は丸谷才一『新々百人一首』所収歌(新潮文庫『新々百人一首(下)』p.250-p.255)。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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