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ひさかたの天照る月は見つれども吾が思う妹に遇はぬころかも

作者:不詳 出典:[万葉集15]3650/3672
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.293

大野晋の説明と解:「ア(吾)ガ」は、じかに「思ふ」にかかるのではなく、本来はその下の「妹」にかかるので「アガ妹」、つまり恋人にかかる。しかし、言葉の上では時間的な順序として「アガ」の次に「おもふ」と云う動詞がある。そこで「アガおもふ」と云う結び付きが強く意識されるようになる。
「大空を渡っていく月は見たけれども、私が胸の中に抱いている恋人にはこの頃は逢うことができない」。

参考 ([万葉集15]3644/3666 から [万葉集15]3651/3673 に対する詞書):
佐婆の海中にしてたちまち逆風に遭ひ、漲ぎらふ浪に漂流す。経宿の後に、幸くして順風を得、豊前の国の下毛の郡の分間の浦に到著す。ここに追ひて艱難を怛みし、悽惆しびて作る歌八首

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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