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火打箱が見えぬ。

作者:近松門左衛門 出典:曾根崎心中
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.425

「ぞ」から「が」への移行は、江戸時代に入ると確立する。「火打箱が見えぬ」は連体形終止になっている。岩波文庫『曾根崎心中・冥途の飛脚・他五篇』[曾根崎心中] p.41

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

補足
[曾根崎心中]
亭主奥にて目をさまし。「今のはなんぢや。女子共 有明の火も消えた。起きてとぼせ」と起されて 下女は眠そに目をすりすり。丸裸にて起出で「火打箱が見えぬ」と。探り歩くを触らじと あなたこなたへ這いまつはるゝ玉葛、苦しき闇の現なや。やうやう二人手を取合ひ。門口迄そつと出で 掛金は外せしが、車戸の音 いぶかしく 明けかねし 折から、下女は火打をはたはたと。打つ音に紛らかし ちやうど打てば そつと開け。かちかち打てば そろそろ明け。合はせ合はせて身を縮め 袖と袖とを槙の戸や。虎の尾を踏む心地して 二人続いて つつと出で。顔を見合はせ「アヽうれし」と 死にゝ行く身を喜びし。あはれさ つらさ あさましさ、跡に火打の石の火の 命の末こそ 短けれ。 (岩波文庫『曾根崎心中・冥途の飛脚・他五篇』 p.41)

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