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秋の田の刈穂の庵のとまをあらみわが衣手は露にぬれつつ

作者:天智天皇 出典:[百人一首]1/[後撰和歌集6]302
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.339

百人一首冒頭歌。「とまをあらみ」。「を」+形容詞の語幹+「み」で理由節の主格を示すと、通常説明されるが、「を」がなくて、形容詞の語幹+「み」でも理由を示している例は多く存在する。この「を」は本来は間投助詞であり、したがって「とまあらみ」でも通じる。以下は、そうした例である。
山高み:「みもろの 神なび山に 五百枝さし しじに生ひたる 栂の木の いや継ぎ継ぎに 玉葛 絶ゆることなく ありつつも やまず通はむ 明日香の 古き都は 山高み 川とほしろし 春の日は 山し見がほし 秋の夜は 川しさやけし 朝雲に 鶴は乱れ 夕霧に かはづは騒く 見るごとに 音のみし泣かゆ いにしへ思へば (山部赤人 [万葉集3]324/327)」
白露重み:「山ぢさの白露重みうらぶれて心も深く我が恋やまず (柿本人麻呂歌集 [万葉集11]2469/2473)」

参考:
秋田刈る仮廬を作り我が居れば衣手寒く露ぞ置きにける (作者不詳 [万葉集10]2174/2178)
このころの秋風寒し萩の花散らす白露置きにけらしも (作者不詳 [万葉集10]2175/2179)
秋田刈る廬動くなり白露し置く穂田なしと告げに来ぬらし [一云 告げに来らしも] (作者不詳 [万葉集10]2176/2180)
特に、[万葉集10]2174/2178 は、この歌の原歌とされている。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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