« いつしかと萩の葉向けのかたよりにそそや秋とぞ風も聞ゆる | トップページ | いつはりと思ふものから今さらに誰がまことをかわれは頼まむ »

何時はなも恋ひずありとはあらねどもうたてこのころ恋ひし繁しも

作者:不詳 出典:[万葉集12]2877/2889
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.137

『万葉集』で「なも」が入っているただ一つの例。「なも」は字数を揃えるためだけのものか?

「ある特定のときはこいしいとは思わないということはないけれど、なんだかこの頃とても恋しい」と大野晋は説明している。しかし、「繁しも」は「とても」ではなくて「頻繁に」だろう。

作者 (恐らく男性だろうと推測されるが) は、恋人 (女性) に対して「最近、あきれるほど頻繁に (口語的な表現では「しょっちゅう」) きみのことが恋しくなる」と云う事実をどうしても告げたいのだが、そう言うと、女性の方が「『頻繁に』と云うことは、「恋しくない」時もある訣ね」と言われるに決まっているので、「『恋しくない』時なんて全くないのだけれど」と、あらかじめ予防線をはっているのだ。
「恋し」は「逢いたくなる」とパラフレーズできるかもしれない。「最近さ、しょっちゅう君に逢いたくなってたまらなくなることがあってさ。自分でも呆れるくらいなんだ。あっ、でも、それは、君に逢いたくないなんてことがあるわけじゃなくてさ。」

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

|
|

« いつしかと萩の葉向けのかたよりにそそや秋とぞ風も聞ゆる | トップページ | いつはりと思ふものから今さらに誰がまことをかわれは頼まむ »

『日本語で一番大事なもの』」カテゴリの記事

日本語/和文」カテゴリの記事

詩/文藝」カテゴリの記事

読み物・書き物・刷り物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40172/40408538

この記事へのトラックバック一覧です: 何時はなも恋ひずありとはあらねどもうたてこのころ恋ひし繁しも:

« いつしかと萩の葉向けのかたよりにそそや秋とぞ風も聞ゆる | トップページ | いつはりと思ふものから今さらに誰がまことをかわれは頼まむ »