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妹に逢はむと祈誓ひつるかも

作者:柿本人麻呂歌集 出典:[万葉集11]2433/2437
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.17

「つるかも」を万葉仮名で「鶴鴨」と表記している例。「うけひつるかも」が「受日鶴鴨」となっている。「水上 如數書 吾命 妹相 受日鶴鴨/水の上に 数書く如き わが命 妹に逢はむと 祈誓(うけ)ひつるかも (柿本人麻呂 [万葉集11]2433/2437)」

丸谷才一は「妹に逢はむと祈誓(うけ)ひつるかも」の「うけひ」を「色恋沙汰の成就を願う、一種呪術的な言葉」と解していて、その呪術的心理が「鶴」や「鴨」と云う用字を選ばせたのではないかと推理している。

ここで、私が少し引っ掛かるのは、「うけひ」が恋愛成就を願って行なわれたとは限らないのではないかと云うことだ。初三句は、死を意識させるから、恋愛の成就と云った「ご陽気」なことではなく、ただひたすらもう一度だけ逢うことを願って、それが可能であるか占ったような気配が感じられる。この歌に私なりの解を付けるならこうなる:「水の上に数字を書くようにすぐにも消える我が命だ。あの人にもう一度逢いたいものだが、それが叶うか占ってみた」。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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