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うつせみし神に堪へねば

作者:不詳 出典:[万葉集2]150
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.324

「し」の用例。「し」は「それ」の意と思われるから「うつせみし神に堪へねば」は「うつせみ、それ神に堪へねば」と解釈できる。
うつせみし 神に堪へねば 離れ居て 朝嘆く君 放り居て 我が恋ふる君 玉ならば 手に巻き持ちて 衣ならば 脱く時もなく 我が恋ふる 君ぞ昨夜の夜 夢に見えつる (作者不詳 [万葉集2]150)」
この歌は天智天皇への挽歌。詞書は「天皇の崩りましし時に、婦人が作る歌一首 [姓氏はいまだ詳らかにあらず]」。

一応、歌の全体に対する、私なりの解を示しておく。ここで、「神」とは「神となった天智天皇」のこと。「堪(あ)へねば」(『万葉集』原文は「不勝者」) の解釈はやや微妙だが、「傍にいられない」にしておく。「朝嘆く君」は「我朝嘆く君」の意。何故、作者が朝にため息を吐いたのかというと「君ぞ昨夜の夜 夢に見えつる」だからだ。「現世のものは神の傍には居られないというので、我が君からは離れているのですが、今朝はため息を吐いてしまいました。離れ離れで居る為に恋しさに堪えない我が君が、もし玉であったなら腕に着け、衣でしたら脱ぐ時はない、それほど恋しい我が君が、昨日の夜の夢見に立ったのです。」

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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