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世にふるは苦しきものをまきの屋にやすくもすぐる初時雨かな

作者:二条院讃岐 出典:[新古今和歌集6]590
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.349

「ものを」の用例。「人間は世の中を苦労しながら生き渡るものなのに、初時雨の方は、槙葺きの屋根をやすやすと過ぎ渡っていくことですね」。「世」は「夜」を、「ふる」は「経る」と「降る」を掛け、さらに「すぐる」と対応する。また「苦しき」と「やすく」とが対比する。「真木の屋」と「時雨」は縁語。

参考 (類歌及び派生):
まきの屋に時雨の音のかはるかな紅葉や深く散り積るらむ (藤原実房 [新古今和歌集6]589)
音にさへたもとをぬらすしぐれな眞木の板屋の夜半の寐覚めに (源定信 [千載和歌集6]403)
まばらなる真木の板屋に音はしてもらぬしぐれや木の葉なるらん (藤原俊成 [千載和歌集6]404)
まきの屋の時雨の音を聞く袖に月のもり来てやとりぬるかな (西行 [西行法師家集 冬]294)
世にふるもさらに時雨の宿り哉 (宗祇 [新撰菟玖波集20]3801)
世にふるも更に宗祇の宿り哉 (芭蕉 [虚栗])

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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