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世の中は空しきものと知る時しいよよますます悲しかりけり

作者:大伴旅人 出典:[万葉集5]793/796
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.26, p.28

気付きの助動詞「けり」の用例。「いよよますます悲しかりけり」の形で p.28 に再出。
神亀5年6月23日の作歌。大伴旅人は神亀5年4月初旬に妻の大伴郎女を失っていた (その前にも、弟の大伴宿奈麻呂が亡くなっていたらしい)。従って、勿論、この歌は「哀傷」なのだが、「悲し」には、現代語と重なる意味の他に「愛おしい」と云う意味もあることは無視してはならないだろう。このことに引き寄せた解を示しておくと:「生きることのはかなさ知った今、生きることがますます愛おしくなりました」。

参考 (「愛おしい」と云う意味の「悲し」の用例):
大汝 少彦名の 神代より 言ひ継ぎけらく 父母を 見れば貴く 妻子見れば かなしくめぐし うつせみの 世のことわりと かくさまに 言ひけるものを 世の人の 立つる言立て ちさの花 咲ける盛りに はしきよし その妻の子と 朝夕に 笑みみ笑まずも うち嘆き 語りけまくは とこしへに かくしもあらめや 天地の 神言寄せて 春花の 盛りもあらむと 待たしけむ 時の盛りぞ 離れ居て 嘆かす妹が いつしかも 使の来むと 待たすらむ 心寂しく 南風吹き 雪消溢りて 射水川 流る水沫の 寄る辺なみ 左夫流その子に 紐の緒の いつがり合ひて にほ鳥の ふたり並び居 奈呉の海の 奥を深めて さどはせる 君が心の すべもすべなさ [佐夫流と言ふは遊行女婦が字なり] (大伴家持 [万葉集18]4106/4130)

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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