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昨日こそ君は有りしか思はぬに浜松が上に雲とたなびく

作者:大伴三中(おおとものみなか) 出典:[万葉集3]444/447
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.176

「こそ」による係結びの例。

大野晋の解と説明:「たった昨日こそあなたは生きていらっしゃったのに、思いがけず (火葬にして) 、今は浜松の上にもう雲とたなびいてしまわれた」。「こそ」は、論理的強調と云うより、びっくりしたとか、悲しみに耐えないとかいう感情で強調している。

参考 (この歌を反歌とする長歌と、この歌と、それらの詞書):
  天平元年己巳、摂津の国の班田の史生、丈部龍麻呂(はせつかべのたつまろ)の自ら経(わな)きて死にし時、判官大伴宿禰三中の作る歌
天雲の 向伏す国の ますらをと 言はゆる人は 天皇の 神の御門に 外の重に 立ち侍ひ 内の重に 仕へ奉りて 玉葛 いや遠長く 祖の名も 継ぎ行くものと 母父に 妻に子どもに 語らひて 立ちにし日より たらちねの 母の命は 斎瓮を 前に据ゑ置きて 片手には 木綿取り持ち 片手には 和栲奉り 平けく ま幸くいませと 天地の 神を祈ひ祷み いかにあらむ 年月日にか つつじ花 にほへる君が にほ鳥の なづさひ来むと 立ちて居て 待ちけむ人は 大君の 命畏み おしてる 難波の国に あらたまの 年経るまでに 白栲の 衣も干さず 朝夕に ありつる君は いかさまに 思ひいませか うつせみの 惜しきこの世を 露霜の 置きて去にけむ 時にあらずして
(大伴三中(おおとものみなか) [万葉集3]443/446)
昨日こそ君はありしか思はぬに浜松の上に雲にたなびく (大伴三中(おおとものみなか) [万葉集3]444/447)

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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