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旅の衣は篠懸の、露けき袖やしをるらん

作者:観世小次郎信光? 出典:能「安宅」
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.402

「かな」に相当する「らん」の例。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

補足
『安宅』
[名乗] ワキ「かやうに候ふ者は加賀の國富樫の某(なにがし)にて候、さても頼朝義経おん中不安にならせ給うにより、判官殿十二人の作り山伏となつて、奥へおん下りのよし、頼朝聞こしめし及ばれ、國々に新関を立てて、山伏を堅く選み申せとのおんことにて候、さる間この所をば、某(それがし)承つて、山伏を留め申し候、今日も堅く申し付けばやと存じ候。

[問答] ワキ「いかにたれかある」。 アヒ「おん前に候」。 ワキ「けふも山伏のおん通りあらばこなたへ申し候へ」。 アヒ「畏り候」。

[次第]シテ立衆「旅の衣は 篠懸の、旅の衣は 篠懸の、露けき袖や 萎るらん」。 オモアイ「おれが衣は篠懸の、破れて事や缺きぬらん」。

[サシ] シテ立衆「鴻門楯破れ 都のほかの旅衣、日も遥々の越路の末、思い遣るこそ遙かなれ」。 シテ「さておん供の人びとには」、 立衆「伊勢の三郎駿河の次郎、片岡増尾常陸坊」、 シテ「弁慶は先達の姿となり」、シテ立衆「主従以上十二人、未だ慣はぬ旅姿、袖の篠懸露霜を、けふ分け初めていつまでの、限りもいさや白雪の、越路の春に急ぐなり」。(岩波古典文學大系『謡曲(下)』p.169-p.170)

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