« 汝が母を取らくを知らに、汝が父を取らくを知らに、イそばひ居るよ、いかるがとひめと | トップページ | 鳴きわたる雁のなみだや落ちつらむもの思ふ宿の萩のうえのつゆ »

なき人のかたみの雲やしをるらむ夕の雨に色は見えねど

作者:後鳥羽院 出典:[新古今和歌集8]803
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.378

「この世にいない」を意味する形容詞「なし」の例。

人が亡くなると雲が立つと信じられていたのだろうか?

ただし、この歌は「見し人の煙を雲とながむれば夕の雲もむつましきかな (光源氏/紫式部 [源氏物語]『夕顔』)」(岩波文庫『源氏物語(一)』p.155) の本歌取りらしい。

再びただし、源氏が夕顔の遺骸のもとを去る道すがら「道、いと露けきに、いとゞしき朝霧、いづこともなく惑ふ心地し給ふ」(岩波文庫『源氏物語(一)』p.147) とある。

なお、丸谷才一の『新々百人一首』では、この歌の「大意」が註の形で与えられていて、「故人の遺骸を荼毘に付したときの煙のせいで出来た雲が衰えてぐったりしてゐるやうだ。夕べの雨のせいでさだかには見えないけれど」とある。うーむ。

一応私の「大意」も披露しておくと、「そうしたようすがはっきり分かる訣のものでもないのだが、この夕べの雨は、死んでしまったあの人がかたみとして残した雲が弱って降ってきたように思える」。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

|
|

« 汝が母を取らくを知らに、汝が父を取らくを知らに、イそばひ居るよ、いかるがとひめと | トップページ | 鳴きわたる雁のなみだや落ちつらむもの思ふ宿の萩のうえのつゆ »

『日本語で一番大事なもの』」カテゴリの記事

日本語/和文」カテゴリの記事

詩/文藝」カテゴリの記事

読み物・書き物・刷り物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40172/40499915

この記事へのトラックバック一覧です: なき人のかたみの雲やしをるらむ夕の雨に色は見えねど:

« 汝が母を取らくを知らに、汝が父を取らくを知らに、イそばひ居るよ、いかるがとひめと | トップページ | 鳴きわたる雁のなみだや落ちつらむもの思ふ宿の萩のうえのつゆ »