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わが恋は松を時雨の染めかねて真葛が原に風騒ぐなり

作者:慈円 出典:[新古今和歌集11]1030
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.220, p.291

丸谷才一の紹介する所では、窪田敏夫に、王朝和歌の本質は謎と答えであると云う説がある。それを、この歌に当て嵌めると、「わが恋は松を時雨の染めかねて」と云う謎に対して「真葛が原に風騒ぐなり」と云う答えを出す形になっている。

「真葛が原に風騒ぐなり」は「うらみ」に掛けてあるのだろう。『日本語で一番大切なもの』では解はあたえられていない。強いて付けるならば「私の恋のことを言うならば、いくら時雨に濡れても松が色を変えないように、いくら待ってもあの人の心は変わらないのだ。その代わりに、葛の生い茂った野原である真葛が原に風が吹き騒いで一面の葛の葉の裏が見えるように、私の心は『うらみ』で一杯になるくらいあの人への思いが吹き騒いでいる」。

p.291 では、地名は「が」で承けることが多い例として引用 (「真葛が原」)。

参考 (「嵐吹く真葛が原」):
嵐吹く真葛が原に啼く鹿はうらみてのみや妻を恋ふらん (俊恵法師 [新古今和歌集5]440)

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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