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噫遁れよと、嫋やげる君がほとりを、
緑牧、草野の原のうねりより
なほ柔かき黒髪の綰の波を、──
こを如何に君は聞き判きたまふらむ。

作者:蒲原有明 出典:『有明集』「智慧の相者は我を見て
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.38

近代詩での感動詞「ああ」の用例。「嫋やげる」の訓は「たをやげる」。「綰」の訓は「わがね」。「判き」の訓は「わき」。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

補足
   智慧の相者は我を見て (『有明集』巻頭歌)

智慧の相者(さうじや)は我を見て今日(けふ)し語らく、
汝(な)が眉目(まみ)ぞこは兆(さが)悪しく日曇(ひなぐも)る、
心弱くも人を恋ふおもひの空の
雲、疾風(はやち)、襲(おそ)はぬさきに遁(のが)れよと。

噫(ああ)遁れよと、嫋(たを)やげる君がほとりを、
緑牧(みどりまき)、草野(くさの)の原のうねりより
なほ柔かき黒髪の綰(わがね)の波を、──
こを如何(いか)に君は聞き判(わ)きたまふらむ。

眼をし閉(とづ)れば打続く沙(いさご)のはてを
黄昏(たそがれ)に頸垂(うなだ)れてゆくもののかげ、
飢えてさまよふ獣(けもの)かととがめたまはめ、

その影ぞ君を遁れてゆける身の
乾ける旗に一色(ひといろ)の物憂き姿、──
よしさらば、香(にほひ)の渦輪(うづわ)、彩(あや)の嵐に。
--(日本ペンクラブ:電子文藝館「智慧の相者は我を見て」)

有明集』は1908年年1月刊。蒲原有明 (かんばらありあけ、1875年3月15日-1952年2月3日) の詩集。

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