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花の色も宿も昔のそれながら変れるものは露にぞありける

作者:清原元輔 出典:[拾遺和歌集20]1276
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.230

新しい使い方の「も」で、並列の「も」

[ゑ]補足:この歌は『拾遺和歌集』巻第二十「哀傷」第3歌。第1歌に和したものだろう。第1歌から第5歌を再録すると:
  むすめにまかりおくれて又の年の春、さくらの花ざかりに家の花を見て、いささかに思ひを述ぶといふ題を詠み侍ける
櫻花のどけかりけりなき人をこふる涙ぞまづは落ちける
(小野宮太政大臣/藤原実頼 [拾遺和歌集20]1274)
面影に色のみ残る櫻花幾世の春をこひむとすらん (平兼盛 [拾遺和歌集20]1275)
花の色も宿も昔のそれながらかはれる物は露にぞ有ける (清原元輔 [拾遺和歌集20]1276)
櫻花にほふものからつゆけきはこのめも物を思なるべし (大中臣能宣 [拾遺和歌集20]1277)
  この事をきき侍りて後に
君まさばまづぞをらまし櫻花風のたよりにきくぞ悲しき
(大納言延光 [拾遺和歌集20]1278)

一応私なりの解を付けておく:「花の色も、人の住み処も、以前と同じです。変わってしまったのは、今では目から落ちるようになった露なのでした」

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

補足
藤原実頼 ((ふじわらのさねより 900年-970年) には、娘が二人しかいなかったようだ。長女は慶子 (けいこ/よしこ)。朱雀天皇の女御となった。951年11月10日沒。次女は、述子 (じゅつし/のぶこ)。946年、村上天皇の女御となったが、翌947年病死 (疱瘡)、15歳だった。二人の他に藤原実頼には入内させるべき娘を持たなかったので、実頼には天皇の外戚となる道が閉ざされた。この結果、小野宮家は没落していき、藤原嫡流は弟の藤原師輔 (娘安子は村上女御・中宮として冷泉・円融両帝を産んだ) の家系に切り替わっていく。

この哀傷歌は述子が夭折した際のものらしい。

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