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津の国のあしでにもなき浦を見てなにはのことに落つる泪ぞ

作者:勝命 出典:月詣和歌集
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.418

丸谷才一が、係助詞「は」が疑問詞「なに」を承けている珍しい例とするもの。これは「なには」が「難波」の掛け言葉になっている。

しかし、この「なに」は疑問詞だろうか? 「あしでにもなき浦を見て」を括弧に入れて考えれば、そのまま素直に繋がるから、「津の国の難波の浦は、あしでにも無いような姿なので、涙が落ちてしまったのだった」と普通に解せる。
「涙が落ちる」理由は明確に存在するのだ。

参考 (「津の国の難波のこと」):
  書寫の聖、結縁經供養し侍りけるに、人々あまた布施おくりける中に、思ふ心やありけん暫しとらざりければよめる
津の國の難波のことか法ならぬ遊び戯ぶれまでとこそきけ
遊女宮木 [後拾遺和歌集20]1199

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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