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霍公鳥鳴きて越ゆなり今し来らしも

作者:大伴家持 出典:[万葉集20]4305/4329
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.245

伝聞の「なり」の用例。
大野晋の解:「霍公鳥(ほととぎす)がその山を鳴いて越える声が聞こえる、ああ、やってくるらしいな」
木の暗の茂き峰の上を霍公鳥鳴きて越ゆなり今し来らしも (大伴家持 [万葉集20]4305/4329)」

[ゑ] 補足:この歌の詞書は「霍公鳥を詠む歌一首」と当たり前だが、左註が「右の一首は、四月に大伴宿禰家持作る」とあって、注意を引く。大伴家持は、霍公鳥 (ホトトギス) を愛し、この鳥が立夏の日に鳴くことにこだわった。立夏までにホトトギスが鳴かないと、不満を表わす歌を詠んだりしているほどである。この歌が詠まれた天平勝宝6年の立夏は、4月8日であったらしいが、この歌では素直に期待感とその成就が顕れているから、おそらく立夏のころ、少なくとも立夏には遅れずに詠まれたのだろう。さらに、この歌の一首前の「山吹の花の盛りにかくのごと君を見まくは千年にもがも (大伴家持 [万葉集20]4304/4328)」は3月25日での祝宴で作られている (主賓の橘諸兄が宴を中止したために謡われなかったが) から、3月26日から4月8日の間に詠まれたのではないだろうか。ちなみに、彼は4月5日に、少納言から転じて、従五位上として兵部少輔に任じられている。

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

補足
「大野晋の解」に補足するなら、気分としては木が鬱蒼と繁った山(「木の暗の茂き峰」)であるからこそに、ホトトギスの姿が見えず、声だけが聞こえると云う含みがあるのだろう。

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