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きのふだにとはんと思ひし津の国の生田の杜に秋は来にけり

作者:藤原家隆 出典:[新古今和歌集4]289
中公文庫版『日本語で一番大切なもの』p.256

『新古今和歌集』における「だに」の用例。「せめて...だけでも」では解けず、「...すらも」と考えねばならない。

丸谷才一は「秋にならないうちの昨日ですらも来ようと思っていた、それが秋になってしまったからいっそう訪ねたくなる」と解いているが、これはやや疑問。気付きの助動詞「けり」で結んであるから、作者は今は「生田の杜」にいると解釈すべきだろう。このようでもあるか:「昨日ですら訪づれようと思っていた津の国の生田の杜に今日来てみれば、そこはもう秋になっていた」

参考 (『新古今和歌集』中の前後の歌と共に):
いつも聞く麓の里とおもへども昨日にかはる山おろしの風 (後徳大寺左大臣 [新古今和歌集4]288)
昨日だにとはんと思ひし津の国の生田の杜に秋は来にけり (藤原家隆 [新古今和歌集4]289)
吹く風の色こそ見えねたかさごの尾の上の松に秋は来にけり (藤原秀能 [新古今和歌集4]289)

本記事は、極めて長文である [nouse: 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大切なもの』引用文索引] (2008年3月1日[土]) から同一引用文に係る項目を分離独立させたもので、内容に実質的な変化はない。

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