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"Inkscape tutorial:Basic" 訳文 (再編集簡約版)

以下は、[nouse: "Inkscape tutorial:Basic" 訳文] (2007年7月18日 [水]) から、原英文を除去し、[訳註] も最小限にまで減らした (そのため、明示せずに訳者補綴を本文に織り込んだ部分や、ミセケチを実際に削除したところもある) ものである。

Inkscape 教程:基本

この教程 (tutorial) は、Inkscape利用法の基礎を解説したものである。本文書は、Inkscape用として正規のものであり、読者はこれを閲覧・編集・複製・保存することができる。
この [教程:基本] では、キャンバスの移動方法と、文書の扱い方と、造形ツールの基本と、選択の仕方と、選択・グループ化・塗り潰し (フィル) 及び運筆 (ストローク) 設定よるオブジェクトの変形と、整列と、Z順位 (z-order) とを扱う。ヨリ高度の事柄に就いては、ヘルプメニューにある他の教程に当たられたい。

[[訳註:"Inkscape for Windows" のメニュー等では "document" は「文書」ではなく「ドキュメント」となっている。]]


キャンバスの横方向/縦方向移動

文書キャンバスを横方向/縦方向移動 (スクロール) させる方法は幾つもある。キーボードでスクロールさせるには、Ctrl+矢印 を使う。マウスの中央ボタンを使ってもキャンバスのドラッグが可能である。縦及び横のスクロールバー (Ctrl+B で表示/表示が切り替わる) を使っても良い。縦方向のスクロールは、マウスの ホイール でも可能であるし、ホイールと Shift を併用すれば横方向スクロールができる。

[[訳註:"arrow" は「矢印」または「矢印キー」と訳し、「カーソルキー」と云う訳語は節約する。]]


拡大・縮小

縮小又は拡大を行なうには、- キー又は + キー (= キーでもよい) を押すのが最も簡単な方法である。拡大する他の方法としては、Ctrl+中央クリックCtrl+右クリック でも良く、縮小する他の方法としては、Shift+中央クリックShift+右クリック でも良い。Ctrl を押したまま、マウスホイールを回転させても、拡大・縮小は可能である。別の方法としては、(文書ウィンドウの右下隅にある) 拡大・縮小率入力フィールドをクリックして、正確な拡大・縮小率を百分率で与えてから入力キーを押しても良い。(ウィンドウ左側のツールバーには) 拡大・縮小ツールがあるので、それでドラッグを行なって 矩形を作ると、それにより囲まれる領域は、ウィンドウ一杯に収まるように拡大表示される (ズームインが起こる)。

[[訳註:訳者の "Inkscape for Windows" では、= キーによる拡大は、インプリメントされていないようだ。]]

Inkscape は、作業過程中、用いられた拡大・縮小レベル履歴を保持する。` キーを押すと、一段階前の拡大・縮小レベルに戻り、Shift+` を押すと一段階後の拡大・縮小レベルに進む。

[[訳註:訳者の "Inkscape for Windows" では、この機能はインプリメントされていないようだ。]])


Inkscape のツール群

左側に縦に伸びたツールバーには、Inkscape の描画・編集ツール群が置かれている。ウィンドウ上部、メニューの直下にあるのは、一般的なコマンドを配したコマンドバーと、各ツール固有の制御を行なうためのツール制御バーである。ウィンドウ下部にはステータスバーがあって、作業に役立つヒント及びメッセージが表示される。

多くの操作がキーボード・ショートカットで実行可能である。ヘルプ > キー/マウスを開くと、完備したリファレンスを見ることができる。


文書の作成及び操作

空の文章を作成するには ファイル > 新規 を使うか、Ctrl+N を押すこと。既存の SVG 文書を開くには、ファイル > 開く (Ctrl+O) を用いられたい。保存するには、ファイル > 保存 (Ctrl+S) を使うか、改めて名前を付けて保存する場合は 名前を付けて保存 (Shift+Ctrl+S) を使われたい。(Inkscape はまだ不安定であるので、こまめに保存することを忘れないように!)

Inkscape は、ファイルに SVG (Scalable Vector Graphics:スケーラブル ベクター グラフィックス) フォーマットを用いている。SVG は、広範なグラフィクス・ソフトウェアによりサポートされているオープン・スタンダードである。SVG ファイルは、XML に基づいており、(Inkscape 以外でも) テキスト・エディターや XML エディター のどれを使っても編集可能である。Inkscape は、SVG 以外にも他の幾つかのフォーマット (EPS や PNG) に就いてインポート及びエクスポートが可能である。

Inkscape は、文書ごとに別々の文書ウィンドウを開く。そうした複数の文書間の行き来は、ウィンドウ・マネージャー (例えば Alt+Tab) を利用すれば可能であるし、また Inkscape のショートカット Ctrl+Tab を使えば開いている文書ウィンドウの全てを循環していく。


図形作成

図形を作成してみよう。まず、ツールバーの矩形作成ツールをクリックされたい (あるいは、F4 を押されたい)。次いで、新規の空文書でクリック・アンド・ドラッグを行なわれたい。

An example image

デフォルトでは、矩形は、(若干透明性のある) 青い色をしており、運筆 (輪郭) は黒である。後で、これを変化させる仕方を説明する。他のツールを使うと、楕円、星形、螺旋を作成することもできる。

[[訳註:上記の例図とパラグラフの内容は整合しない。]]
[[訳註:"stroke" は「運筆」と訳しておく。"Inkscape for Windows" のメニューでは、「ストローク」になっている。]]

An example image

これらのツールは、まとめて造形ツールと呼ばれる。作成された図形の各各には、一つ又は複数の小さい矩形のハンドルが表示される。こうしたハンドルをドラッグしてみて、図形がどのように変化するか確かめられたい。造形ツールの制御パネルによっても、図形を変形させることができるが、その設定は、その時点で選択されている図形 (つまり、ハンドルが表示されている図形) を変形させるだけでなく、新規に作成される図形にもデフォルトとして適用される。

直前の操作を取り消す (アンドゥする) には、Ctrl+Z を押されたい。もう一度思い返して、取り消した操作をやはり行なう (やり直しする) には、Shift+Ctrl+Z を押せば良い。


図形の移動、寸法変更、回転

Inkscape で最も良く用いられるツールはセレクタである。ツールバーの一番上のボタン (矢印が表示されているもの) をクリックするか、F1 又は Space を押されるなら、キャンバス上の任意のオブジェクトを選択できるようになる。

An example image

オブジェクトの周りに、8個の矢印形ハンドルが現われるが、この状態では以下のことが可能になる:

  • オブジェクトをドラッグすると、オブジェクトが移動する。(Ctrl を押しながら、これを行なうと、移動方向が水平と垂直とに限定される。)
  • ハンドルのどれでもドラッグすると、オブジェクトの寸法の変更が起こる。(Ctrl を押しながら、これを行なうと、当初の縦横比が保存される。)

上記の矩形をもう一度クリックすると、ハンドルが変化する。この場合可能なのは:

  • 隅のハンドルをドラッグすると、オブジェクトが回転する。(Ctrl を押しながら、これを行なうと、回転が15度刻みになる。回転の中心にしたい位置に十字マークをドラッグすること。)
  • 隅にないハンドルをドラッグすると、オブジェクトは 斜めに歪む。(Ctrl を押しながら、これを行なうと、15度刻みで傾斜が起こる。)

セレクタを利用している間なら、制御バー (キャンバス上方にある) における数値入力フィールドを使って、選択されているオブジェクトの正確な座標値 (X 及び Y) と寸法値 (W 及び H) を設定することができる。


キー入力を用いた変形

Inkscape が他の大多数のベクター・エディターと異なる特徴の一つは、キーボードによる操作を強化している点である。キーボードから行なえないコマンド又はアクションは殆ど存在せず、オブジェクトの変形もその例外ではない。

キーボード入力によって、オブジェクトを移動することも (矢印 キー)、 寸法を変更することも (< キー及び > キー)、回転させることも ([ キー及び ] キー) 可能である。デフォルトでは、移動及び寸法変更は 2px 刻みであるが、Shift を押しながら行なうと、移動及び寸法変更の変化量は10倍になる。Ctrl+> 及び Ctrl+< では、寸法が元の大きさの、それぞれ200%と50%とになる。デフォルトでの回転は15度刻みであるが、Ctrl を押しながら行なうと、90度刻みになる。

ただし、恐らく最も役に立つのは、Alt と共に変形用キーを用いることで実現される画素サイズ準拠変形 (pixel-size transformations) である。例えば、Alt+矢印 を使うならば、選択したオブジェクトは、現在の拡大/縮小率に応じた1画素分の移動をする (つまり、画面上に表示されている1画素分の移動である。従って、拡大/縮小率とは独立した SVG の長さの単位である画素/ピクセルと混同しないようにされたい)。このことはつまり、拡大をおこなった際には、Alt+矢印 は、画面上の見かけでは同様に1画素分移動したように見えるかもけれども、移動の絶対量は減少していると云うことである。このため、所要の拡大又は縮小を行ないさえすれば、オブジェクトを任意の正確な位置に置くことが可能である。

同様に、Alt+> 及び Alt+< によって、選択したオブジェクトの寸法変更が見かけの1画素単位で行なわれるし、Alt+[ 及び Alt+] を使うならば,、オブジェクトの回転を、その中心から最も離れた点が画面上での1画素分移動するように起こさせることができる。


多重選択

Shift+クリック を使うことで、同時に任意個数のオブジェクトを選択することができる。あるいは、選択したいオブジェクトを囲むように ドラッグ してもよい。これは、輪ゴム選択 (rubberband selection) と呼ばれる。(セレクタは、図形のない部分からドラッグを始める場合に「輪ゴム」を形成するのだが、もし、ドラッグ開始前に Shift が押されているなら、Inkscape は常に「輪ゴム」を形成する)

[[訳註:「輪ゴム選択」(rubberband selection) と云う用語は、読者をミスリードする可能性がある。「ドラッグ」により指定される領域は勿論矩形である。その矩形の輪郭部分を「輪ゴム」と呼んでいるのだ。このパラグラフは、セレクタ支配下の状況でポインタのドラッグを行なうことで形成される矩形内に入った図形は複数あっても同時に選択されることに関する。パラグラフの後半は、ドラッグの開始点が図形内にあった場合、通常ならば、その図形が選択されてしまうため (その後ドラッグしても、選択された図形の移動が起こるだけになり)、多重選択用の矩形が形成が始まらないが、Shift キーを押しながらドラッグを始めるならば、矩形形成が行なえると云うこと。]]

An example image

An example image

多重選択されたうちの個々のオブジェクトには、デフォルトでは破線でできた矩形枠である選択済標示が現われる。こうした標示により、どのオブジェクトが選択されていて、どのオブジェクトが選択されていないかが一目で分かる。例えば、上記の2個の楕円の両方と矩形とを選択した場合、標示がなかったなら楕円が選択されているかどうかを判断するのは困難なものになるであろう。

[[訳註:最後のセンテンスは、多重選択が行なわれた場合、ハンドルは個々の選択されたオブジェクトに付くのではなく、選択された複数のオブジェクト全体を囲むように付くだけであることに関する。従って、多重選択の場合、ハンドルからだけでは、内側にあるオブジェクトが選択されているかどうかは判断できない。]]

選択されているオブジェクトに Shift+クリック を行なうと、その選択を外すことができる。

Esc が押されると、選択されたオブジェクト全ての選択が解除される。Ctrl+A では、現在操作中のレイヤに載っている全てのオブジェクト (レイヤが一枚だけの場合、これは文書中の全オブジェクトを意味する) が選択される。


グループ分け

幾つかのオブジェクトをまとめて、一つのグループとすることができる。グループ化されると、ドラッグや変形の際に単一のオブジェクトであるかのように振る舞う。

An example image

グループを作成するには、1個又は複数個のオブジェクトを選択してから、Ctrl+G を押せばよい。1つにしろ複数あるにしろグループを解除するには、選択してから Ctrl+U を押せば良い。グループ自体のグループ化も、他のオブジェクトと全く同様に、可能である。こうした再帰的グループは、任意の深さまで構成することができる。しかし、Ctrl+U によっては、選択されたグループにおける最上層レベルのグループしか解除することができない。グループの入れ子が深くなっているグループ化を完全に解除するには、Ctrl+U を繰り返し押す必要がある。

ただし、グループ内のあるオブジェクトを編集しようとする場合でもグループ解除をする必要はない。そのオブジェクトを Ctrl+クリック しさえすれば、そのオブジェクトが選択されて、それだけの編集が可能になる。また、幾つかのオブジェクト (グループ内に入っていても、いなくてもよい) に対して Shift+Ctrl+クリック を行なうなら、グループ分けに関わらない多重選択が可能である。


塗り潰し及び運筆

Inkscape の機能の多くが、ダイアログを介して利用可能になっている。あるオブジェクトを一定の色で塗る最も単純な方法は、恐らくオブジェクト・メニューからスウォッチ・ダイアログを開き、オブジェクトを選択し、そのオブジェクトに塗るためのスウォッチを選択する (塗り潰す色を変更する) と云うものであろう。

[[訳註:このパラグラフの説明は実態から離れているかもしれない。"Inkscape for Windows" ではスウォッチ・ダイアログは「表示メニュー」内にある。また、Inkscape には "Object menu" はあっても "Objects menu" なるものは実装されていないようだ。さらに、スウォッチの利用は、スウォッチ・ダイアログ (Ctrl+Shift+W) より、ウィンドウとステータスバーとの間に置かれているユーザー・インターフェイスを使った方が簡単だろう。]]

ヨリ強力であるのは、「塗り潰し/運筆ダイアログ」(Shift+Ctrl+F) である。

[[訳註:この翻訳では "Fill and Stroke dialog" は「塗り潰し/運筆ダイアログ」と訳した。ちなみに "Inkscape for Windows" では「フィル/ストローク」とされている。]]
[[訳註:私が持っている "Inkscape for Windows" (Ver. 0.45) では、Shift+Ctrl+F を押しても、"Fill and Stroke dialog" は起動しない。ただし、メニューからなら開くことができる。]]

An example image

見れば分かるように、このダイアログには「塗り潰し」、「運筆跡 (オブジェクトの輪郭)」、「運筆様式」3つのタブがある。「塗り潰し」では、選択された (単一のにしろ複数にしろ) オブジェクト(内部)を塗り潰しの仕方を編集できる。「塗り潰し」タブの下方にあるボタンにより「塗り潰さない」(×印の付いたボタン)、「平坦に塗り潰す」、「直線方向グラデーション」、「放射方向グラデーション」などの種類を選択できる。

[[訳註:この翻訳文では "Stroke paint" 及び "Stroke style" を、それぞれ「運筆跡(オブジェクトの輪郭)」及び「運筆様式」と訳してある。ちなみに "Inkscape for Windows" では「ストロークの塗り」及び「ストロークのスタイル」になっている。]]
[[訳註:この翻訳文における「平坦に塗り潰す」、「直線方向グラデーション」、「放射方向グラデーション」は、"Inkscape for Windows" では「単一色」、「線形グラデーション」、「放射グラデーション」になっている。]]

その下にあるのが、「RGB」、「CMYK」、「HSL」、「ホイール」と云う固有のタブがそれぞれに付けられた一連の色指定手段である。恐らく、最も簡便であるのは「ホイール式指定」と思われるが、この場合は、三角形を回転させてホイール上ので色相 (hue) を選択し、次いで三角形内でけその色相の明彩度 (shade) を選択する。どの色指定手段にもスライダーが付いていて、選択したオブジェクトのアルファ (不透明度) が設定できる。

オブジェクトが選択されると何時でも、その時点での「塗り潰し」、「運筆跡(オブジェクトの輪郭)」、「運筆様式」の状態を示すよう色指定手段の表示が更新される。(多重選択されたオブジェクトの場合、このダイアログは平均の色を示す。) 自分でオブジェクトを作成して確認していただきたい。

An example image

「運筆跡(オブジェクトの輪郭)」では、オブジェクトの運筆跡 (輪郭) を除去したり、色や透明度を指定することができる。

An example image

最後のタブである「運筆様式」では、運筆における幅その他のパラメータの設定が可能である。

An example image

また、塗り潰し及び/又は運筆においては、色を平坦に塗る以外に、グラデーションを付けることができる。

An example image

色の塗り方を平坦からグラデーションへと切り替えると、それまで平坦に塗られていた色が、不透明から透明に変化するように塗り変えられる。グラデーション・ツールへ切り替えて (Ctrl+F1)、グラデーション・ハンドル - グラデーションの方向と長さを規定する線分で結ばれた制御ハンドル--をドラッグする実習をされたい。グラデーション・ハンドルが選択される (青い色に変わる) と、塗り潰し及び運筆ダイアログは、選択されたオブジェクト全体の色ではなく、そのハンドルが支配する色を指定するようになる。

オブジェクトの色を変更する簡便な方法としては、この他に、「スポイト・ツール」(F7) を使うと云うものがある。このツールで図面上の任意の位置を クリック するだけで、そこの色が、選択されているオブジェクトの塗り潰しに使われる (Shift+クリック すると、運筆の色として使われる)。


複製、整列、配置

オブジェクトへの操作で最も普通にあるものの一つは、複製である (Ctrl+D)。複製されたオブジェクトは、元のオブジェクト上に正確に重なって置かれた状態で選択されているので、マウスや矢印キーを使ってドラッグすることができる。

An example image

上記のような四角形を実際に、幾つか複製してみると、そうした四角形の複製は多かれ少なかれ不規則に並んだのではなかろうか。そのような場合は、整列ダイアログ (Ctrl+Shift+A) が便利である。列の全体を選択 (Shift+クリック するか、「輪ゴム」をドラッグ) してから、整列ダイアログを開いて、「中心を水平軸上に合わせる」ボタンを押し、次いで「オブジェクト間の水平方向間隔を等しくする」ボタンを押すなら (「中心を水平軸上に合わせる」と「オブジェクト間の水平方向間隔を等しくする」はボタンのツールチップに表示される)、オブジェクトがキレイに整列し、等間隔で配置されるようになる。以下に、整列及び配置を適用した例を示す:

An example image

Z順位

Z順位と云う用語は、図面におけるオブジェクトの積み重なりの順位、つまり、どのオブジェクトが上にあって、他のオブジェクトを覆い隠しているかと云うことに関する。オブジェクトメニューにおける2つのコマンド「最前面へ」(Home キー) と「最背面へ」(End キー) とは、選択されているオブジェクトを、その時点でのレイヤZ順位の最前面と最背面へと移動する。他の2つのコマンド、「前面へ」(PgUp) と「背面へ」(PgDn) とは、選択部分を一段階だけ、つまりZ順位中において、非選択オブジェクト1個を越えるようにして移動させる (「Z順位中において」なので、選択部分と重なっているオブジェクトのみが問題となり、選択部分と重なるオブジェクトがない場合には、「前面へ」と「背面へ」は、それぞれ最前面と最背面への移動を引き起こす)。

[[訳註:"z-order" の z は、画面/ウィンドウを x 軸及び y 軸が張っているとみて、それらに直行する z 軸の謂いである。]]

An example image

Tab は、選択を行なうショートカットとして非常に有用である。このショートカットは、なにも選択されていない状態では、最背面のオブジェクトを選択し、選択が行なわれている状態ではZ順位で選択されているオブジェクト (単一でも複数個でもかまわない) の上のオブジェクトを選択する。Shift+Tab の働き方は逆方向であって、最前面のオブジェクトから始まって、順次後ろのほうに下がっていく。作成されるオブジェクトは、積み重なりの一番上に付け加えられるので、何も選択していない状態で、Shift+Tab を押すなら、最後に作成されたオブジェクトが選択されるので都合が良い。


背面にあるオブジェクトの選択と、選択されたオブジェクトのドラッグ

必要なオブジェクトが他のオブジェクトの背面に隠れている場合どうするか? 最前面のオブジェクトが (若干ながらでも) 透明であるなら最背面のオブジェクトを見ることはできるかもしれないものの、クリックをしても選択されるのは最前面のオブジェクトであって、必要なオブジェクトではない。

こうした時のためにあるのが Alt+クリック である。まず、Alt+クリック で、通常のクリックと同じようにして最前面のオブジェクトを選択する。しかし、同じ位置で、もう一度 Alt+クリック すると、最前面の直下にあるオブジェクトが選択される。更に同じことをするなら、更に下のオブジェクトが選択される...。このようにして、Alt+クリック を何回か繰り返すと、最前面から最背面の列を循環して、クリック位置でのZ順位が付けられたオブジェクトの積み重なりを辿ることになる。最背面のオブジェクトに到達すると、次の Alt+クリック では当然最前面のオブジェクトが再び選択されるのである。

これは結構なことだとは言え、表面に現われていないオブジェクトを選択しても、それで何ができるのか? キーを使えば変形ができるし、選択されたオブジェクトのハンドルのドラッグが可能である。しかし、オブジェクト自体をドラッグすると、やはり最前面のオブジェクトが選択しなおされてしまう (これは、クリック・アンド・ドラッグ動作の仕様である--まずカーソル位置 (最前面) でのオブジェクトが選択され、ついで選択されたオブジェクトがドラッグされる)。Inkscape に、その時点で選択されているオブジェクトを、他のオブジェクトを選択させることなく、ドラッグさせるには、Alt+ドラッグ を用いると良い。これにより、何処でマウスをドラッグしても、その時点で選択されているオブジェクトを移動させることができる。


An example image


結び

これで、基本教程を終える。Inkscape には語るべきことが他に多くあるが、ここで説明した技法によるだけでも、単純ながらも有用なグラフィックスを作成することが可能である。より複雑な内容に就いては、ヘルプ > 教程 における「上級」その他の教程を見られたい。

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