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マルトデキストリンの構造式?

ときどき [maltodextrin (マルトデキストリン) 構造式] と云った類のキーフレーズで、このサイトを訪れる方がいらっしゃる。それを見ると、本当に大きなお世話だろうが、「一体、この人は、どの程度の情報を知りたがっているのだろう」と、首を傾げてしまうのだ。

変なサジェスチョンをすると、「そんな分かりきったことを調べているのではない」と叱られそうな気がする。その一方で、かなり初歩的なレベルで困っていらっしゃるのかも知れないと云う気もする。

最近も、そうした訪問者があった。勇を鼓して、変なサジェスチョンをしておこう。

まず話の土台を作るために、その物ずばりのタイトルであるドイツ語版ウィキペディア "Maltodextrin" (28. April 2007 um 14:38 Uhr) から少し訳出する:

Maltodextrin (Warenzeichen Maltrin) bezeichnet ein wasserlösliches Kohlenhydratgemisch, das durch Hydrolyse von Stärke (Poly-α-glucose) hergestellt wird (siehe modifizierte Stärke). Die Hydrolyse erfolgt teilweise durch Säure, teilweise auf enzymatischem Wege.
マルトデキストリン (商標名 "Maltrin") はデンプン (ポリ-α-グルコース) の加水分解により生産される水溶性炭水化物混合体のことである(ドイツ語版ウィキペディア "modifizierte Stärke" --化工デンプン-- の項を参照)。加水分解は、酸によって行なわれることも、酵素によって行なわれることもある。

Maltodextrin ist ein Gemisch aus Monomeren, Dimeren, Oligomeren und Polymeren der Glucose. Je nach Hydrolysegrad unterscheidet sich die prozentuale Zusammensetzung. Diese wird durch das Dextrose-Äquivalent beschrieben, das bei Maltodextrin zwischen 3 und 20 liegt.
マルトデキストリンは、グルコースの、モノマー、ダイマー、オリゴマーポリマーからなる混合物である。成分の割合は、加水分解の進み具合に応じて様様であるため、組成の記述にはデキストロース当量が用いられるが、その値は3乃至20である。

訳註:
1.「ダイマー」と「オリゴマー」との間に、「トリマー、...」を入れたくなるのだが、そのまま訳しておく。
2. デキストロース当量 (「ブドウ糖当量」とも謂う。或いは "DE" とも表記される。これは、英語 "Dextrose Equivalent" の略) とは、デンプンの加水分解物や糖が、同量のデキストロース(つまり「グルコース」、つまり「ブドウ糖」)の何%に相当する還元力を持っているかを示す値。従って、デンプンのデキストロース当量は0で、デキストロース(グルコース/ブドウ糖)のデキストロース当量は100になるのは当然だが、この他に例えばショ糖は非還元糖なのでは 0 になる。デキストロース当量は、デンプンの加水分解にあっては、還元糖までの分解がどの程度まで進んでいるかを示す目安になる。

Das Wort Maltodextrin leitet sich von Maltose und Dextrose ab: Maltose (= Malzzucker) ist das Dimer zweier Glucose-Moleküle, während Dextrose (= Glucose = Traubenzucker) ein Monomer darstellt.
マルトデキストリンと云う言葉は、マルトースとデキストロースに由来する。マルトース(麦芽糖)は、2個のグルコース分子のダイマーであるのに対し、デキストロース(つまりグルコース、つまりブドウ糖)は単糖である。

訳註:
1. "ab|leiten sich4 von et3": 「...に由来する」
2. この部分の記載に対して、私は眉に唾を付けざるをえない。字面を素直に読む限り、Maltodextrin は、麦芽(malt/モルト)中に形成される(のと同様な)デキストリンの意だろう。

Maltodextrin ist kaum süß und beinahe geschmacksneutral. Da es gerade noch wasserlöslich ist, wird es in der Diätetik eingesetzt, um Mahlzeiten mit Kohlenhydraten anzureichern. In Wasser bildet es eine klebende, trübe und viskose Masse.
マルトデキストリンには、殆ど甘味はなく、ほぼ無味である。水にはなんとか溶けるので、食事に炭水化物を補足する目的で、食餌療法において用いられる。水に溶けると、マルトデキストリンは、粘着性のある不透明な粘性な塊を形成する。

訳註:
1. "Diätetik" は「食餌療法」と訳しておいた。日本語の「ダイエット」は意味に偏りがありすぎるからである。

Maltodextrin hat die CAS-Nummer 9050-36-6.
マルトデキストリンの化学物質登録番号 (CAS Number) は9050-36-6である。

以上を読めば、お分かりになると思うが、「マルトデキストリン」の「化学物質」としての「立場」は、「ビミョー」なのだ。

まず、「マルトデキストリン」には、「デンプンの加水分解によって得られた」と云う製法依存の属性が付いている (つまり「マルトデキストリン」とは「デンプンの加水分解によって得られたデキストリン」と云うことだ)。従って、「マルトデキストリン」は化学的にはせいぜい「デキストリン」の下位概念にしかならないし、それどころか「工業的には意味があっても、化学的には独立した意味がない概念だ」と云う考え方もできるのだ。

その上、「デキストリン」そのものが、グルコースモノマーが基本になっているとは言え、様様な重合度の糖類が様様な割合で混合した一連の範囲の組成物の総称だから、議論によっては、構造式を云云すべきではないこともありうるだろう。

勿論、適用範囲に限界があることを十分念頭におくなら、英語版 Wikipedia の "Dextrin" の項 (あるいは、むしろ、Wikipedia が引用している "21 C.F.R. 184.1444 Maltodextrin") で示されているような、グルコース1分子から水1分子を落としたものを重合化したことを表わす ((C6H10O5)n が有用である場合もあるだろうけれども。

関連記事:
nouse: [nouse: マルトデキストリンの構造式?] 補足

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