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イタリア語版 Wikibooks より [スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノのレシピ] の訳文

以下は、イタリア語版 Wikibooks に収められたスパゲッティ・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノのレシピ [Libro di cucina/Ricette/Spaghetti aglio olio e peperoncino - Wikibooks, la biblioteca libera 最終更新 2007年1月19日21:51] の訳文である(ただし、イタリア語版でのカテゴリ等、編集上のタグは原文として採用していない)。なお、訳文部分の著作権は、原文と同様 [GNU Free Documentation License] に従う。

カットした唐辛子

Sembra una banalità, ma dei semplici spaghetti aglio ed olio fuori dall'Italia spesso non li sanno fare. Con questa ricetta di base della cucina italiana contemporanea voglio aiutare tutti gli amanti dell'Italia che vivono all'estero, oltre a tutti quelli che credono di non saper cucinare. Non è vero!(1) Voi sapete cucinare, basta che seguiate per filo e per segno la ricetta giusta.(2)
ありふれた物のように見えますが、実は、素朴な形のスパゲッティ・アーリオ・ペペロンチーノは、イタリア国外では、作り方が知られていないことが多いのです。私は、現代イタリア料理の基礎となっているこのレシピが、国外に住みながらイタリアを愛して下さる方々全てだけでなく、作り方を知らないと思っていらしゃる方々全てにとり役立って欲しいと思います。ナンチャッテ! 皆さんは、料理の仕方をご存じな訣ですから、「正しいレシピ」に隅隅まで従えば十分でしょう。

訳註:
1. "Non è vero!" のニュアンスが意外と訳しづらい。所謂「流行語」の常として、アッという間に古臭くなってしまったが「ナンチャッテ!」と云うのが一番近いような気がする。
2. その後の "Voi sapete cucinare,..." も、[腰が引けている] ところがある。微妙に皮肉も混じっている。おそらく、[スパゲッティ・アーリオ・ペペロンチーノ] の作り方を公的に教えることには、一種の [おこがましさ] があるのだろう(それをまた翻訳する奴は、「がましい」が取れて只の [烏滸] だな)。
まぁ、それほど家庭的な料理だと云うことで、家庭の数ほどレシピがあるに違いない。その一方で、その [マンマの味] を習得する機会がなかった人たちも現実に存在するのだろう。


    Tempo di preparazione(1)
  • Circa 10 minuti di cottura
  • Circa 2 minuti di preparazione
  • (1)
  • Circa 10 minuti in totale
    所要時間(1)
  • 調理:約10分
  • 下ごしらえ:約2分
  • (1)
  • 合計:約10分(2)

訳註:
1.「所要時間」と訳した「所要」に対応する原文は、"preparazione," 「下ごしらえ」に対応する原文も "preparazione" で同一である。「処理」と「準備」とを弁別していない訣だが、こうした「大雑把」は、欧米人でも珍しいことでは無いようだ。もっとも、訳文の「下ごしらえ」にも、やや問題がある。実際には素材に下味をつけるようなことはしていないからだ。あまり良い訳語ではないと自分でも思っている。
ここらへんは、考え出すとかなり面倒だ。"cottura" と云う言葉が含意するように「欧米人」にとっては、「料理」とは「火を通すこと」であり、その [料理/料理以前] ([文化/文化以前]) の区別には、[火を使うこと/火を使わないこと] の二項対立が染みついているのだろうが、日本文化にあっては火を使わないままでも、十分「料理」でありうるからだ。
2. ちなみに [約10分 + 約2分 = 約10分] と云うのは、有効数字1桁で考えれば、正にその通りの計算である。

茹でる前のスパゲッティ





    Ingredienti  per 2 personeo
  • 160 g spaghetti di grano duro

  • 2 Litri acqua

  • 4 spicchi d'aglio

  • 1 peperoncino piccante

  • 10 g sale grosso circa un pugno

  • 21 g olio extravergine d'oliva circa tre cucchiai

    材料  2人前
  • 硬質小麦スパゲッティ 160グラム
  • 水 2リットル
  • ニンニク 4片
  • 唐辛子 1本
  • 粗塩 10g。大体一つかみ分
  • エクストラバージンオイル 21g。約3匙分。


オリーブオイル

Preparazione
調理法

Portare ad ebollizione l'acqua in una grossa pentola.
寸胴鍋に水を沸騰させておきます。

Sbucciare l'aglio e tagliarlo a rotelline(1) oppure schiacciarlo tra il palmo della mano ed il piano di lavoro, a seconda vi(2) piaccia mangiare anche l'aglio oppure preferiate sentire solo il profumo.
ニンニクの皮を剥き、ニンニクも味わいたいか、香りだけを楽しみたいかに応じて、輪切りにするか、手のひらと調理台とで挟んで押しつぶすかします。

Soffriggere in una padella l'aglio con metà dell'olio facendo attenzione a dorarlo solamente e non bruciarlo. Aggiungere anche il peperoncino, e farlo scaldare leggermente, basta che lasci il profumo ed il piccante.
フライパンで、半量のオリーブオイルと共にニンニクを、僅かにキツネ色になる迄、焦がさないようにして軽く炒めます。ここで、唐辛子を加えて軽く炒めるのですが、香りと辛みが着く程度に留めます。

Spegnere la padella del olio e togliere il peperoncino. Se non piace da masticare l'aglio, toglierlo, ma il consiglio è di lasciarlo.
フライパンの火を消し、唐辛子を取り出します。ニンニクを噛むようなことはしたくないと云うことであれば、ニンニクも取り出せばよいのですが、 残す方をお薦めします。

Quando bolle l'acqua, salarla e buttare la pasta.
湯が沸いたら、塩を加え、パスタを入れます。

Poco prima che la pasta sia cotta al dente, scolarla. Spesso sulle confezioni ci sono i tempi di cottura, circa un minuto prima.
パスタがアルデンテ迄に茹で上がる少し前に、湯切りをします。多くの場合、包装に茹で上がり時間が示してありますが、大体その1分前ぐらい。

Mettere la pasta nella padella con l'olio. Attenzione! Nel versare la pasta nel olio, la pasta umida nel olio schizzerà: fare attenzione a non scottarsi, per questo vi ho consigliato di spegnere l'olio prima.
パスタをフライパンに入れます。ここで注意! パスタがオリーブオイルに触れる時、パスタが濡れていると、飛び跳ねます。オリーブオイルを熱していた火を前もって消しておくのは、火傷を避けるためです。

Accendere il fuoco sotto la padella e ripassare per circa 30 secondi la pasta nel olio, aggiungendo il resto dell'olio.
フライパンの火を点けて、パスタとオリーブオイルを30秒ほど再び加熱しますが、この際残りのオリーブオイルも加えます。

Servire nel piatto bollente, mangiare subito. Qualcuno la guarnisce con del prezzemolo, ma è raro. NON condire con parmigiano o altro formaggio.
熱いうちに食卓に出し、すぐに食べます。パセリをかける人もいますが、少数派ですね。パルメザンチーズや他のチーズで味をつけてはいけません(3)

訳註:
1. [nouse: 料理用語としてのイタリア語 "tagliare a rotelline"] (2007年5月23日) で調べたように "tagliare a rotelline" は「輪切り」もしくは「小口切り」の意味があると考えられる。実は、上記引用中第2パラグラフの "tagliarlo a rotelline" ("lo" は "l'aglio" を示す第3人称代名詞男性単数直接補語非強勢形後置) が、「最初に出会ったケース」だった。と云う訣で、この場合も同様に考えて良いと思われるが、ニンニクに「小口切り」と云う表現は使いづらいから「輪切り」にした。
2. 同じく、第2パラグラフの "a seconda vi" は、私には意味不明なので "a seconda di" と読み替えて訳してある。
3. 訳者は、これまでの人生の中でずっと「ペペロンチーノ」にパルメザンチーズをタップリかけて食べてきた...


ニンニク

Consigli
アドバイス

Per fare la pasta per più persone bisogna considerare che gli spaghetti devono nuotare in parecchia acqua in modo tale che quando li mettiamo nell'acqua questa non si raffreddi e poi non si incollino.
Per aiutarvi circa 1 litro di acqua ogni persona in più. Attenzione che il sale va aumentato in quantità dell'acqua che mettete e non della pasta.
小人数のためにパスタを作るにはパスタを多くの人数分作るには、パスタを入れた後に温度が下がりもせず貼りつき合うこともないような相当量のお湯の中で泳がせなければならないことを念頭に置いておく必要があります。
一人増えるごとに約1リットルの水を追加すると良いでしょう。塩の量は、入れるパスタの量ではなく、茹でるのに使うお湯の量に応じて増やすように注意してください。
(20080214注記:冒頭部分で馬鹿馬鹿しい間違いをしていた。「小人数のためにパスタを作るには」の「小」とあったのは「多」とすべき物だったのだ。しかし、もともとこなれが悪い文であったので、「パスタを多くの人数分作るには」に変更した。)

Usare spaghetti di pasta di solo grano duro. Un buon spaghetto non lascia l'acqua di cottura torbida ma limpida.
硬質小麦100%のスパゲッティを使ってください。良いスパゲッティを使うと、茹で汁は濁らず澄んだままになります。

Non usare spaghetti precotti o in scatola(1).
既に茹でてあるスパゲッティや缶詰のスパゲッティを使ってはいけません。

Io(2) preferisco gli spaghetti abbastanza grossi perché restano più croccanti(3) e non diventano subito scotti.
私の好みは、しっかりと太いスパゲッティですね。理由は、すぐに延びてしまわずコシを持ちつづけるからです。

Usate la minima quantità di olio che potete per friggere l'aglio, l'olio crudo è molto più digeribile e salutare.
出来るだけ少ない量の油でニンニクを炒めて下さい。生の油の方が、はるかに消化されやすく健康にも良いのです。

Il peperoncino, su questo ingrediente si potrebbe scrivere un libro. I puristi preferiscono il peperoncino fresco che lascia anche un leggero profumo oltre al piccante. Molto comodi sono i peperoncini piccoli anche detti piri piri, che potete mettere interi a friggere, e quando li levate non rimangono i semini nell'olio.
このレシピでの材料の唐辛子に就いては本一冊でも書けるかもしれません。純粋主義者は、辛みの他に軽い香りを付けることができる生の唐辛子を好みます。「ピリピリ (piri piri)」と云う別名のある小粒の唐辛子は、炒める際に丸ごと入れて、取り出す時も種が油に残らないので大変便利です。

Un ulteriore consiglio: se in tavola c'è qualcuno che non sopporta il piccante, potete usare l'olio di peperoncino direttamente a tavola che ognuno metterà sulla propria pasta a piacere.
もう一つアドバイスを: 食事をする人の中には、辛い物が苦手な方もいます。食卓の方にに唐辛子オイルを置いて、一人ひとりが好みの量を自分のパスタにかけるようにすることもできます。

Per farlo basta che lasciate i peperoncini piccanti a bagno in barattolo d'olio extra vergine di oliva per qualche settimana, ma ricordatevi di toglierli perché dopo parecchio tempo cambiano sapore.
それには、エクストラバージン・オリーブオイルを入れたガラス瓶に唐辛子を数週間漬けておくだけで良いのです。ただし、長く漬ける過ぎると味が変わるので、唐辛子を引き上げるのを忘れないようにしてください。

Non usate mai polvere di peperoncino comprata, spesso viene sofisticata con un colorante rosso che è molto cancerogeno.
市販の粉唐辛子は、添加物として発がん性のある赤い色素(4)が含まれていることが多いので、決して利用しないでください。

Se volete potete macinare da voi i peperoncini, questa opzione ha il pregio di durare più a lungo del olio ed essere di facile misura.
自分で唐辛子を粉に挽く分にはかまいませせんし、そうすることで、オリーブオイルを長持ちさせ、扱いやすくなると云う利点が生まれます。

Usate sempre olio extravergine di oliva, o nei paesi dove questa dizione non esiste olio di oliva. L'olio di oliva è quello che resiste meglio alla cottura(5).
必ずエキストラバージン・オリーブオイルを使ってください。そうした呼び方が存在しない所では、オリーブオイルで結構です。オリーブオイルは、加熱に良く耐えます。

訳註:
1.「缶詰のスパゲッティ」と云うのは初耳で、少し驚いた。しかし、調べてみると Heinz Spaghetti なるものが実在する。
2. 一人称代名詞を顕示的に使っているのは、「他人様のことはどうであれ」と云うニュアンスがある。そして贅言するなら、訳者もまた同じ理由で太めのスパゲッティの方を好む。
3. "croccante" ("croccanti" は複数形) は、「コシがある」と云う意味であると解釈したが、本来は「パリパリしている」、「カリカリしている」と云うこと。英語なら、"crisp," "crispy," "crunchy" に対応する。[クロカント (croccante)] と云うお菓子もあって、日本ではフランス菓子に分類されているようだが、遡ればイタリア料理とつながるかもしれない。これは宿題にしておこう。
4. ヨーロッパ、あるいは、特にイタリアにおける食品添加物の現状に就いては、未チェック。
5. この "cottura" は「加熱」と訳した。


Vini consigliati
Frascati
お薦めのワイン
フラカスティ

翻訳後記:
イタリア語版 Wikibooks にはスパゲッティ・レシピが5件あるが、この記事は質量共に他を圧倒している。このサイトでも何回か紹介したレシピの例からも分かるようにイタリア語サイトでのレシピは、こちらの気が抜けるほど簡単なものが多いから、むしろこの記事の方が特異なのかもしれない。

この Wikibooks 記事のメインの寄稿者である Matteo Pedani に就いての情報は得られなかった。ただし、同姓同名の人物が映画監督/脚本家にいて("Matteo Pedani: Curriculum Vitae" 参照)、"Pasta" と云う短編ドキュメンタリー (1998年) を監督している(脚本も)。

日本語の「ペペロンチーノ」談義でしばしば登場する「乳化」と云う言葉が全く出てこないのは興味深かった。

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