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「一人ひとりに、それぞれの必要に応じて。一人ひとりが、その能力に応じて。」と「全員が一人ひとりのために。一人ひとりは全員のために。」

記事 [メモ: John Lennon "Imagine"] (2007年1月4日) において、

No need for greed or hunger" などマルクスが「ゴータ綱領批判」(Karl Marx - Kritik des Gothaer Programms) で示した共産主義社会における生産と供給との関係のスローガン "Jeder nach seinen Fähigkeiten, jedem nach seinen Bedürfnissen! (一人ひとりが、それぞれの能力に応じて! 一人ひとりに、それぞれの必要に応じて!)" を連想させる(ただし、人間性の理解に就いては若干浅薄ながらも秀逸なこのキャッチコピーは、マルクスの独創ではないらしい)。

と書いたが、これは Étienne Cabet (エチエンヌ・カベー。1788年1月I日-1856年11月9日) が、彼の著作 "Voyage en Icarie ([イカリア旅行記] 初版 1840年)" 第3版(1845年)の表紙に、

A chacun suivant ses besoins. De chacun suivant ses forces.
一人ひとりに、それぞれの必要に応じて。一人ひとりが、その能力に応じて。
("forces" を 「諸力」と訳す向きもあるようだが、これは「能力」と訳す方が良いと思う。)

と掲げているのを踏まえている。

なお "Voyage en Icarie" の表紙には、次の言葉も見られる。

Tous pour chacun. Chacun pour tous.
全員が一人ひとりのために。一人ひとりは全員のために。

これと類似するモットーに "Tous pour un, un pour tous." (「全員が一人のために。一人は全員のために。」)と云うものがある。これは、アレクサンドル・デュマ・ペール (Alexandre Dumas, 1802年7月24日-1870年12月5日) の小説 [三銃士 (ダルタニャン物語 第一部)] ("Les Trois Mousquetaires" 1844年) 第9章末尾近くに登場する。

-Et maintenant, messieurs, dit d'Artagnan sans se donner la peine d'expliquer sa conduite à Porthos, tous pour un, un pour tous, c'est notre devise, n'est-ce pas ?
– Cependant… dit Porthos.
– Étends la main et jure ! » s'écrièrent à la fois Athos et Aramis.
Vaincu par l'exemple, maugréant tout bas, Porthos étendit la main, et les quatre amis répétèrent d'une seule voix la formule dictée par d'Artagnan :
« Tous pour un, un pour tous. »
« C'est bien, que chacun se retire maintenant chez soi, dit d'Artagnan comme s'il n'avait fait autre chose que de commander toute sa vie, et attention, car à partir de ce moment, nous voilà aux prises avec le cardinal. »
--Les Trois Mousquetaires - Chapitre 9 - Wikisource
(文脈をチェックしていないので、心許ないが、一応訳を付けておく。)
ダルタニャンは、ポルトスには自分の振る舞いの訣を敢えて説明せずに、こう言った:「だって諸君、『全員が一人のために、一人は全員のために』と云うのが僕らの合い言葉だったんじゃなかったっけ?」
「しかしなぁ...」とポルトス。
「手を差し出して誓え!」アトスとアラミスとが同時に叫んだ。
ブツブツ口ごもりながらも、他の三人が手を差し出したのに気圧されて、ポルトスも手を差し出した。四人の朋友は、ダルタニャンが定めた「決め科白」を声を揃えて繰り返したのだった:「全員が一人のために、一人は全員のために。」
「これでよしと。各自、一旦自分のところに戻ること。」ダルタニャンは、生まれてこのかた命令ばかりしてきたかのような口振りで言った。「ただし、すぐに出発するぞ。今度は枢機卿との戦いだ。」

日本語版ウィキペディア [(ダルタニャン物語)] によれば「原作でこの言葉が登場するのは、手を重ねて誓いを立てた1度きりで、この合言葉で銃士たちが剣を掲げる場面は登場しない」とのこと( [三銃士たちの合言葉] の項参照)。

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