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メモ: 料理用語としてのイタリア語 "saltare" とフランス語 "sauter"(ついでにラテン語の諺2つ)

イタリア語の動詞 "saltare" の料理用語としての語義は、[小学館伊和中辞典] (1983年 東京 小学館。編者:池田 廉 他) に載っている。

フライパンでひっくり返しながら焼く,ソテーにする.

これで良いのだが、しかし、"saltare" はパスタ料理のレシピでも使われる言葉で、その場合の語義は、少し補足した方が解かりやすくなる。

このことは、define:saltare で Google 検索してみると、分かる。その結果は次の通り:

日本語 による saltare の定義は見つかりませんでした。
Web 上での イタリア語 による saltare の定義:

1) Per carni: cottura per rosolatura in padella;
2) Per paste alimentari: mettere la pasta in padella con la salsa e, con un particolare movimento della mano, rimuoverla affinchè assorba meglio il sugo;
3) Per verdure: procedere come sopra, saltando le verdure con burro o con un altro grasso.
www.whynat.it/terminologia/terminologia.php
1)肉に就いては: フライパンでキツネ色になるよう焼く料理法
2)パスタに就いては: パスタをソースと共にフライパンに入れ、ソースが吸収されやすいよう、独特な手の動きを使ってパスタを何度も動かすこと。
3)野菜に就いては: バターその他の油脂と共に野菜が跳ね上がるようにして、上記と同様な措置をすること。

Cuocere in padella o tegame basso, con un procedimento veloce ea calore vivo, pezzi di carne, con l'aiuto di materie grasse quali olio, burro o strutto.
www.lavinium.com/enciclopedia/enciclos.htm
フライパン又は浅鍋で、油・バター・ラード等の油脂を使って、肉の細片を強火で手早く調理すること。

"assorbire" ("assorba" は接続法現在形)だから「ソースが吸収され」と訳しておいたが、日本語のレシピとしては「ソースが絡み」とした方が良いかもしれない。


余談だが、フランス語での対応語 "sauter" に就いても、少し書いておく。

イタリア語 "saltare" もフランス語 "sauter" も、ともに「踊る」を意味するラテン語 "saltare" (不定法) に由来する訳だが、define:sauter でGoogle 検索して得られた結果から関係がありそうなところを引用すると:

日本語 による sauter の定義は見つかりませんでした。
Web 上での フランス語 による sauter の定義:

Cuire à découvert, sur un feu assez vif (l'ustensile approprié étant la sauteuse).
www.marmiton.org/recettes/lexique.cfm
素材をそのまま、十分な強火で加熱すること(適切な調理用具はソテー用浅鍋)。

cuire à feu moyen à vif dans une poêle à frire en remuant constamment.
www.lifescaneurope.com/befr/diabetique/recettes/terminologie/
フライパン内で、中火又は強火を使って常に動かしながら加熱すること。

Cuire à feu vif, sans mouiller et sans couvrir, dans des corps gras.
perso.wanadoo.fr/cuisinez/acceuil_termes.htm
水・スープ・ワイン等の液体を加えたり、蓋をしたりせずに、強火で脂肪と共に加熱すること。

Action de cuire de petites pièces de viandes, des poissons, des légumes, des oeufs..... dans très peu de corps gras chaud.
www.restocours.net/Anecdotes/glossaire%20technique1.htm
小さく切った肉・魚・野菜・卵を、極少量の熱い脂肪と共に加熱すること。

cuire dans une sauteuse avec un corps gras.
membres.lycos.fr/tambouilles/lexiq.htm
ソテー用浅鍋の中で脂肪と共に加熱すること。

faire rissoler un aliment dans un peu de gras, à feu vif.
www.cafa-rcat.on.ca/psa/glossaire.html
強火を使って、少量の脂肪で食品に焼き色を付けること。

Faire dorer dans une matière grasse des aliments.
www.cuisine-martine.com/technique/lexique-q-r-s.html
食品を脂肪と共にこんがりと焼くこと。

Cuire à feu vif des aliments dans la graisse chaude en agitant la casserole. Cuire dans une poêle avec peu de corps gras.
www.artculinaire.ch/voc/index.php4
強火を使って、シチュー鍋を揺すりながら、食品を熱い脂肪と共に加熱すること。フライパンの中で少量の脂肪と共に加熱すること。

Cuire un mets à feu vif avec une matière grasse, en le faisant sauter de temps à autre pour l'empêcher d'adhérer au récipient.
membres.lycos.fr/javelle9/glossaire.html
容器に貼りついてしまわないように食品を時々跳ね上げさせながら、強火を使って脂肪と共に加熱すること。

Faire cuire à feu vif avec un corps gras.
脂肪と共に強火で加熱すること。

当然かもしれないが、パスタに就いての特別なニュアンスが付いた語義は見られない。

なお、「ソテー」の語源として「フライパンで炒めると油が跳ね上がることから言われるようになった」と云う説があるらしいが(「語源由来辞典」)、上記の語釈を見るかぎり、首を傾げざるを得ない。素材を鍋の中で「躍らせる」ことを示していると解釈した方が素直だろう。Wiktionarysauté の項も参照のこと。


脱線ついでに、ラテン語 "saltare" が使われている例を2つ、引用しておく(両者ともオリジナルはギリシャ語だが、おそらくラテン語の表現の方が良く知られているだろう)。ともに、有名な正に「引用句」である。

まづ、「跳ぶ」として使われている例:

Hic Rhodos, hic salta 「ここがロードス島だ。ここで跳べ。」(イソップ)
αυτου γαρ και Ροδος και πηδημα

ネットを調べると分かることだが、"Rhodos" は "Rhodus" とも表記されることがある(他に "Rhodes" と表記されることがあるが、これは現代語なので、問題が別になる)。また、"salta" に就いては "saltus" と表記されている例もある。ただ、この話をしだすと、Desiderius Erasmus, G.W. Friedrich Hegel, Karl Marx と云った面面のラテン語やギリシャ語のリテラシの話をしなければならなく可能性が高い。鬱陶しそうなので、それなりの必要性にせまられるまで手を着ける気はない。

次は、「踊る」:

cecinimus vobis et non saltastis 「われら汝等のために笛吹きたれど汝ら踊らず」(マタイ 11-17)
ηυλησαμεν υμιν και ουκ ωρχησασθε

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