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「複合變列」につまづく

ふと思い立って[ガリレオ・ガリレイ]の「新科学対話」を読みはじめた(トリノオリンピックの余波とは自分では思っていない)。上下ニ分冊の岩波文庫版である。

これがなかなか面白いのだが、全部読み切っていないことでもあるし、どう面白いのかの説明は、いづれ機会があったらすることにして、今回は、上巻を100ページも読んでいないのに、躓いてしまったことを書いておく。

galileo


上巻の92ページには、[第十二圖]として上記のような図が乗っていて、その一番右端の図形に関連して、こう書いてある。

與へられた圓に外接する多角形のうち、少邊數のものは多邊數のものより面積が大であるが、圓と等周の多角形の場合には多邊數のもの程少邊數のものより面積が大である、といふことを證明しませう。

(一応、岩波文庫版の原文の雰囲気を出すために、旧字旧かなを再現しようとしたが、字形が見当たらない場合は、普通のものにしてある。以下同様)

で、その内容はと云うと、

O を中心、OA を半徑とする圓に切線 AD を引き、この切線上に、圓 O の外接五角形の一邊の半分を表はす AD, 外接七角形の一邊の半分を表はす AC をとります。線分 OGC, OFD を引き、O を中心、OC を半徑として弧 ECI を描きます。さて
△DOC > 扇形EOC, 扇形COI > △COA
∴ △DOC : △COA > 扇形EOC : 扇形COI
即ち > 扇形FOG : 扇形GOA
そこで複合變列して、△DOA : 扇形FOA > △COA : 扇形GOA
從つて △DOA×10 : 扇形FOA×10 > △COA×14 : 扇形GOA×14
即ち外接五角形と圓との比は、外接七角形と同じ圓との比よりも大。故に、五角形は七角形よりも面積が大であります。

これで、証明しようとすることの前半が済んでいる訣だが、この「複合變列」と云うところで詰まってしまった。

暫く頭をひねったが、「複合變列」などと云う操作は、知りもしないし想像もつかない。

で、原文にあたることにした。

探してみると、次のようなものが見つかった。

  1. Discorsi e dimostrazioni matematiche intorno à due nuoue scienze attenenti alla mecanica & i mouimenti locali / del signor Galileo Galilei
  2. DISCORSI E DIMOSTRAZIONI MATEMATICHE INTORNO A DUE NUOVE SCIENZE ATTENENTI ALLA MECANICA & I MOVIMENTI LOCALI

最初の方は原本の影印版、二番目の方は電子テキスト化してある。と云う訣で、扱いやすい二番目の方から、問題のところを探してみると:

Nel cerchio, il cui centro O, semidiametro OA, sia la tangente AD, ed in essa pongasi, per esempio, AD esser la metà del lato del pentagono circoscritto, ed AC metà del lato dell'ettagono, e tirinsi le rette OGC, OFD, e, centro O, intervallo OC, descrivasi l'arco ECI. E perché il triangolo DOC è maggiore del settore EOC, e'l settore COI maggiore del triangolo COA, maggior proporzione arà il triangolo DOC al triangolo COA, che 'l settore EOC al settore COI, cioè che'l settore FOG al settore GOA; e componendo e permutando, il triangolo DOA al settore FOA arà maggior proporzione che il triangolo COA al settore GOA, e dieci triangoli DOA a dieci settori FOA aranno maggior proporzione che quattordici triangoli COA a quattordici settori GOA, cioè il pentagono circoscritto arà maggior proporzione al cerchio che non gli ha l'ettagono; e però il pentagono sarà maggior dall'ottagono.

うーん。日本では [島原の乱] があったり、海禁政策が取られ出したりした時代、井原西鶴が生まれる前の著作だから、動詞なんかの言い回しが古いみたいですね。 私が持っている辞書では調べが付かない。

だから、内容を把握したと言い張るつもりは無いが、それでも、最後の "ottagono" は "ettagono" にしないと意味が通じないぐらいなら気が付いた(ま、動詞じゃないし)。

念のため影印版の方を当たってみたら、たしかにその通りでした(より正確には、"dall'ottagono" は --dell'ettagono-- にしないといけない)。

まぁ、それはともかく、問題の「複合變列(して)」は、原文では "e componendo e permutando," だね。

ははは。これならわかる。そして、自分の間抜けさが忌々しくなるほど単純なことだ。

「複合變列して」ではなくて、「複合し、そして變列して」とでも読むべきだったのだろうが、こうした言い換えでは分かりづらいかもしれない。もっと簡単な言い方がありそうなものだが、とにかく、その内容は、"componendo" は、比例式(「比例不等式」とでも謂うのか?)の、(正確な言い方かどうかはしらないが)後項を前項に足し合わせること、そして "permutando" は、内項どうしを交換することだ。記号を使うと:

△DOC : △COA > 扇形FOG : 扇形GOA が分っていいる。
それぞれ後項を前項にたして
(△DOC + △COA): △COA > (扇形FOG + 扇形GOA): 扇形GOA
つまり、
△DOA : △COA > 扇形FOA : 扇形GOA
内項どうしを入れ換えて
△DOA : 扇形FOA > △COA : 扇形GOA

返す返すも自分の頭の悪さが怨めしい。

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