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2004年9月の6件の記事

Pentium と錬金術

以前から、Pentium の語源に錬金術的契機があるのか気になっていたのですが、ネット内 google 検索してもそれらしいことは書かれていませんね。

と、こう書けば、この話は終わりなんですが、それでは無愛想過ぎるので、ヤヤ詳しく書いておきましょう。

では、そもそも、Pentium の語源は、一般にどう説明されているのか、と云うと:

Pentium - Microprocessor from Intel
The fifth microprocessor in the 80x86 series. It would have been called i586 or 80586, but Intel decided to name it Pentium (penta = five) after it lost a trademark infringement lawsuit against AMD. (The judgment was that numbers like "286," "386," and "486" could not be trademarked.) According to Intel, Pentium conveys a meaning of strength "like titanium".
--List of computer term etymologies

Pentium - Intel のマイクロプロセッサ
五番目の 80x86 シリーズ・マイクロプロセッサ。本来 i566 又は 80586 と呼ばれるべきものであったが、Intel が AMD との商標侵害訴訟に敗れた後(判決では、「286」、「386」及び「486」などの数字は商標たりえないとされた)、Intel が Pentium (penta とは「5」の意味)と名づけることに決めた。Intel によれば、Pentium には、「チタン(titanium)」におけるのと同様に強さの意味が込められている。

肝腎の最後のセンテンス、何を言いたいんだか判らない。

Intel のサイトを覗いてみても、「Intel によれば」と云う箇所の裏づけになりそうなことは見つけられなかったけれども、Intel が、それに類するような事を言ったとして話を進めると・・・

Pentium と titanium との共通部分である接尾辞 -ium に関連するのだろうと推測は出来るのですが、だからこそ何を言いたいんだか判らないんです。

チタンと云う金属は確かに、「鉄よりも軽く、強く、そして錆びない」。しかし、同じ接尾辞を持つ金属アルミ(aluminium)だって、鉄より「軽く、そして錆びない」(正確には、錆び、つまり酸化、が内部に進行しないってことなんだろう。でも、これはチタンだって同じことなんじゃないかな)けれど、とても「強い」とは言えないのは、一円硬貨やビールの空き缶の事を考えればそれで十分でしょう。(helium のことは、発見の経緯が例外的だから此処では論じない。)

ここは素直に -ium は、Pentium と云う名称に、[元素な雰囲気] を出すために付けられたと理解すべきでしょう。実際、そう説明している例もある。

Names in the 1990s also need broad consumer appeal. In the 1970s, says Lexicon's Placek, Intel was far from creating a branded microprocessor. By 1993, when Lexicon created the name Pentium as a term to evoke a fifth-generation (pente) chip with resonance as an element (like titanium), Intel leveraged it into a big brand name.
--Name-o-rama: How do they come up with names like Pentium and AirTouch? (By Alex Frankel)

1990年代にあっては、名称も、消費者への広範な訴求力を持たねばならない。Lexicon Branding 社の社長 David Placek によれば、1970年代、Intel 社は、マイクロプロセッサをブランド化することが全く出来なかった。1993年に至って、Lexicon Branding 社が、第五世代(pente)チップに(チタンのような)元素の響きを持たせて登場させるために、Pentium と云う名称を作り出すと、Intel 社は、それを巨大なブランド名に育て上げた。

[[ゑびすや謂う。動詞 'leverage' の用法に注意。文脈上、このくらいの意味だろうと思われる訳を付けておく。ただし、一応裏付けはある。ネット上で使われる jargons を集めた netlingo を参照。]]

と云う訣で、Lexicon Branding のサイトにも行ってみましたが、Pentium の由来に就いて、ここでも分りませんでした(余談: この会社、Apple の PowerBook の名づけ親でもあるらしい)。

ついでに書いておくと、上記 'Name-o-rama' には、Lexicon Branding とは別の手法で商品名・企業名を作り出している会社 NameLab Inc に就いても触れられていて、その対比が面白かった。米国本田の "Acura" や、コンピュータ・メーカー "Compaq" (Hewlett-Packard と合併して、会社が無くなってしまったけれど)が、その「製品」。

ちなみに、Intel では、当初、「第五世代チップ」の新名称を社内公募したらしい。「賞品」は「お二人様、ハワイ旅行にご招待」。でも結局、どれにしたらよいか決められず、Lexicon Branding と NameLab との二社に、応募の審査ともども、別途新名称の提案を発注したとのこと。結局、Lexicon Branding の案が選ばれたのですが、それでも、正解に一番近かった(って、どう云うことだ?)二名は、ハワイ旅行に行けたそうです。そんな事が書いてあるのが、Pentium Name Story

脱線ばかりして申し訳ない。

で、まぁ、もし Pentium の -ium に元素を含意があるとすると、どうなるのかと云うと・・・

その成り立ちからして、"Pentium" には、「五番目の元素」と云う「自然な」意味が発生する。或いは、むしろ、「第五元素」と言うべきか。

ここで、漸く話が錬金術に繋がる訣です。

「第五元素」に就いて説明するのは、煩わしい。と云うか、私は知らない。所謂「四大(地・水・火・風)」の次の、というか、「四大」を超越する五番目の元素。卑金属(特に鉛)を、貴金属(特に金)に変える魔法の [触媒]。人の霊性を高め、不老不死にする「賢者の石」。と、一知半解を並べ立てたところで、捕らえ所がない。泥縄式にネットを漁ってみましたが、少なくとも、日本語の錬金術関連サイトの殆どは、まともに読む気が起こるような内容ではなかった。

それに、いま問題になっているのは、「錬金術」そのものではなくて、現代のアメリカ合衆国社会に落ちている「錬金術」の歴史的な影なんですね。

そのものずばりのタイトルを有する映画 "The Fifth Element (1997)" (邦題も「フィフス・エレメント (これも 1997年公開)」)に於いて、第五元素の具現と云うことになっている Milla Jovovich (as Leeloo) が、

Me fifth element - supreme being. Me protect you.

と言っていました(正確に言うと、TV で聞いたウロ覚えを、今回ネット上で確認した)が、まぁ、そう云う受けとられ方をしているのでしょう。("The Fifth Element" と云う映画タイトルが Pentium に示唆されている可能性も排除できないけれど。)

だから、商品名に纏わせるには、丁度良いオーラだと思ったんですが、結局、Pentium と錬金術との関係は確かめられませんでした。


これまた余談になりますが(初等的な知識を振り回すようで気恥づかしいけれど)、ギリシャ語の πεντε は基数詞、つまり、物が幾つあるかを指定する言葉なんですね。例: 複合語ですが、角が五つある図形、つまり「五角形」は、πενταγωνον となる。

これに対して、何番目に当たるかを示す序数詞では、形は変わって、例えば「五番目の」は πεμπτος と、すこし形が異なる。

なんでこんなことをワザワザ注意したかというと、「第五元素」或いは「第五実体」は、ラテン語では quinta essentia ギリシャ語では、πεμπτε ουσια と、共に序数詞を使っているのです。

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半パイントのビールを

測ってみたら、ギリギリで 300 mL ぐらい入った。つまり 10 オンスだ。あるいは、イギリスの計量単位なら、半パイントと言うべきか。

しかし、この場合、半パイントのグラスと言えるのかな?

つまり、グラスの公称容量は、液体を縁まで入れた状態で測ればそれで良いのか、私は知らない。だから、「私のグラスには液体が半パイント入る」とは言えても、今のところ「私のグラスは半パイントグラスだ」とは言えない。

えーと。話を進める前に、まず「おさらい」。

英国の伝統的液量単位では
液量オンス (fluid ounce): 約 28.41 ml (この量の水の質量が、1 質量オンスである 28.35 g に大体一致する)
パイント (pint) = 20 液量オンス。約 568 ml

ちなみに 16 質量オンスが 1 ポンド。このことは、米英で同じ。ポンド自体も両国で一致する(歴史的に若干の経緯があるが)から(所謂「常用ポンド avoirdupois pound」あるいは international pound とも言う。453.59237 g)、質量オンスも同一と考えていい。

米国の伝統的液量単位では
液量オンス (fluid ounce): 約 29.57 ml
パイント (pint) = 16 液量オンス。約 473 ml
従って、かなり大雑把(4% ぐらい食い違う)だが、米国では 1 パイントの水の質量は、1 ポンドになる。

グラスの公称容量は、どのように測るのか、を、知りたくて、ネットの中をウロウロしていると、英国のパブや酒類販売免許を受けた料理店(licensed restaurant)店主向けに書かれた酒類販売量の法規を説明したウェブページが見つかった。

そのうちドラフトビールとリンゴ酒については、「1/3 パイントか、1/2 パイントか、あるいは 1/2 パイントの倍量でのみ販売しうる」とし、更に正確な量を提供する目的上、「検定印付グラス('stamped' glasses)、又は、適宜のビール計量器を使用しなければならない」ことを求めたうえで、以下のように書かれている。

'Stamped' glasses are usually of the brim type, in other words to give the correct measure the glass must be filled to the brim. When using these the beer should not be served with an excessive head. If a customer considers the head too large they can ask for it to be topped up. The other type of glass is the lined type. These are oversize and the measure is denoted by a line near the top of the glass thereby allowing full measure of liquid as well as a head.

Pint glasses are often subdivided so that 1/2 pints can also be measured.

Plastic 'glasses', metal tankards, large jugs or 'pitchers' may be used but must also be 'stamped'.

Beer measuring instruments automatically dispense 1/2 pint, or other measure. If these are used there is no requirement to serve the drink in 'stamped' glasses but the instrument itself must bear the Crown stamp.
--Weights and measures in licensed premises

通常、検定印付グラスは、「すりきり」型である。つまり、正しい量目を得るには、グラスは縁まで満たされねばならない。こうしたものを用いる場合、ビールの泡は多すぎないようにすべきである。客は、泡が多すぎると思ったなら、継ぎ足すよう要求することができる。この他の種類としては、「線引き」型のグラスもある。こちらの方は、大きめに作ってあって、量目は、グラス上端近くの線により示されているため、液の全量と泡を入れることができる。

パイント・グラスは、大抵、半パイントも測れるように、分け目が入っている。

プラスチック製「グラス」、金属製タンカード、大型ジョッキ、又は「ピッチャー」を使うことも出来るが、それらも検定印を受ける必要がある。

[[ゑびすや謂う。'brim type' を『「すりきり」型』と訳すのは、是か非か?]]

この法規の内容は、私の疑問とはズレているが、ある程度の参考にはなるだろう。

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最近、ギョッとした話

コップでミネラルウォーターを一気に飲んだ後で、コップの底にカビのコロニーが出来ているのに気がついた。

その二・三時間前、イオン飲料を飲んだ後、濯がずにそのままテーブルの上に放置してあったのだ。

そのコップは、並製の old-fashoned glass で、面取りをした正八角形の口を持つ、なだらかなコーン形をしている。測ったことはないが、多分 6 オンスか 8 オンスは入るだろう。

隨分昔に、たしか新宿の Lazy Susan で買ったものだ。繊細でないことが取り柄、とでも言うしかない、普段使い用の「コップ」だ。

今まで、これで色色なものを飲んできた。

ワインもバーボンもアイリッシュウイスキーもスコッチもジンも焼酎も清酒も紹興酒もブランディもウォッカも、よせばいいのにビールもこれで飲んできた。このグラスは、ビールを飲むのには向いていないのだ。

一時期、カクテルまがいの物を毎晩のように作って、ドライマルティーニやドライマンハッタン、ギムレットなどと称して、怪しげな液体をグラスにナミナミと作って飲んだものだ。こう云う行儀の悪いことは自宅で無ければ出来ない。

ただ、ポーランド産のスピリタスと云うウォッカを飲むには、このグラスは大きすぎたので、小振りのグイ呑みを使った。その代わり、このグラスにはミネラルウォーターを入れておいて、スピリタスを舐めては、ミネラルウォーターを一口飲んだ。96度プルーフでは矢張チェーサーが必要だったのだ。

それもこれも昔の話だ。今ではグラスは傷だらけになり、私もビールを少し飲んだだけで、右脇腹がシクシク痛みだす。

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本所の北斎その他

[江戸/本所](2004年8月21日付)に書き損ねましたが、本所にゆかりの人と言えば、葛飾北斎がそうですね。1760年(宝暦10年)9月 [本所割下水] (「北割下水」と区別して言うなら「南割下水」)の生まれ、と、されています。彼が、自らの画号に 一時期[葛飾] と云う土地呼称を被せたのは、少なくともその当時、[武蔵国豊島郡江戸] に対する [下総国葛飾郡本所] の生まれであることを意識していたからでしょう。

勿論、周知の如く、彼は画号を頻繁に代えており、我我にとって最も馴染み深い「葛飾北斎」にもそれほどの執着があったとは思われませんけれども。何しろ、生涯に使った画号の数は三十ほどに及び、晩年には「前 北斎 卍」とか、更には「前 北斎 改 画狂老人 卍」などと称したと言います。

何だか、"the Artist Formerly Known As Prince" みたいで楽しい。[以前北斎として知られていた画狂老人 卍] なんてね。でも、改名の果ての「卍」と云うのは興味深いですね。よく知られているように、[元プリンス] にも「発音不能」と称する、オス記号 ♂ とメス記号 ♀ を組み合わせて図案化したと思われる記号があります。
「発音不能」と言ったって、これは [元プリ] が命名を忌避したと云うことなんだろう。そんなこと言っても、「命名」は必然で、[以前プリンスとして知られていたアーチスト]と云うメタ言説的な指示子が、表層言説に繰り込まれてしまう。それかあらぬか、[元プリ] は、元の木阿弥ならぬ只のプリンスに戻った。

「卍」にしろ、[元プリンス] glyph にしろ、ウロボロスを連想させるのは、注意しておいて良い暗合でしょう。

脱線ついでに書いておくと、Bangles の "Manic Monday" は、彼が(pseudonym を使って)作ったとのこと。


時代は下がって、五代目古今亭志ん生の極貧時代、志ん生一家が住んだのが、本所業平橋の所謂「なめくじ長屋」。志ん生も、改名と転居を繰り返した人だった。まぁ、彼の場合は、「これも貧ゆえ」と云うことだったらしいけれど。


本所回向院に墓所がある山東京伝(弟の山東京山も)や鼠小僧、そのほか、やはり本所に縁がある河竹黙阿弥、三遊亭圓朝、長谷川平蔵、遠山金四郎、柳亭種彦。これらは、ただ名前だけを記しておきます。


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飛行機に原子時計を載せて・・・

電波時計に就いてネットを調べていたら、次のように書いてあったので、少し気になって、リンクを張ったのは、電波式腕時計が故障したと思ったら・・・に見られるとおりです。

時間計測の精度は振り子時計、水晶時計、原子時計と向上してきました。現在では、二千万年に1秒まで達しています。これは、アインシュタインの一般相対性理論効果が十分にあらわれる大きさです。
--JP2WGS 上ヱ地 義徳: 電波時計 > ひとやすみ

[飛行機に原子時計を載せて飛行させ、相対論の検証を行った]と云う話を読んだことを連想したので、その心覚えで、注意しておいたのです。実際関係があるかどうかは、[上ヱ地] (「うえぢ」と、お読みするらしい)さんに問い合わせるしかないでしょうが、そこまでする事はないでしょう。

しかし、自分のうろ覚えの方は正しておきたい。大体「相対論の検証を行った」と言うが、その「相対論」は [特殊] なのか [一般]なのか? 普通に考えるなら、[一般] まで視野に入れないとワザワザ原子時計を飛行機に載せる甲斐がないけれど、そう云う先入見で議論を進めて行くと、しばしば足元をすくわれるので、ここはシッカリ確認しておきたい。

と云う訣で、ネットを調べだしましたが、例によって手古摺りました。一次情報、と言うか、一次情報に繋がる情報、と言うべきか、兎に角、個別具体的なデータが見つからない。

結局、出所はこれだろうと思われるのは、雑誌 "Science" に所載の J.C. Hafele と R.E. Keating とによる次の論文(私は未見):

1. J.C. Hafele and R.E. Keating, ``Around-the-World Atomic Clocks: Predicted Relativistic Time Gains'' Science, 177, 166-168 (1972);

しかし、これはネット上では公開されていないみたいですねぇ。逆に、この論文に批判的な発言がネット上に散見する。

そうしたところから始めて、丁寧に読む気は更更起きないから、幾つかの記事の触りの部分だけを抓み食いしてみましょう。

2. J.C. Hafele と R.E. Keating とによる報告のデータ処理を問題にして、その結論は信憑性が無いと断じている。

Abstract.
The original test results were not published by Hafele & Keating, in their famous 1972 paper; they published figures that were radically different from the actual test results which are here published for the first time. An analysis of the real data shows that no credence can be given to the conclusions of Hafele & Keating.

Conclusions
The H & K tests prove nothing. The accuracy of the clocks would need to be two orders of magnitude better to give confidence in the results. The actual test results, which were not published, were changed by H & K give the impression that they confirm the theory. Only one clock (447) had a failry steady performance over the whole test period; taking its results gives no difference for the Eastward and the Westward tests.

A. G. Kelly PhD
HDS Energy Ltd, Celbridge, Co. Kildare, Ireland.
--Hafele & Keating Tests; Did They Prove Anything?

要約
本来の実験結果を、Hafele と Keating は、彼らの著名な1972年の論文では発表しなかった。彼らが発表したのは、(今回ここに初めて明かされる)実際の実験結果とは根本的に異なる図面だった。本当のデータを分析すると、Hafele と Keating の結論には信頼性を置くことが出来ないことが判る。

結論
Hafele と Keating とによる実験は何も証明していない。信頼性の置ける結論を導き出すには、時計の精度は、あと二桁優れているものでなければならなかったろう。発表されることのなかった実際の実験結果は、Hafele と Keating とにより彼らが相対論を検証したと云う印象を与えるために変更されていた。一台の時計(447号)のみが、実験の全期間を通じてかなり安定した動作を維持したが、その結果を採用するなら、東回りの実験と西回りの実験とでは差がでない。

3. W.Nawrot は、Hafele-Keating 実験に就いて、次のように結論している:

The gravitational effects and various accelerations are playing a too great role in the experiments with macroscopic clocks and are too big in comparison with the kinetic time change. If we just omit only one of the gravitational effects, a false result of the calculations could be obtained. The speeds of planes are too low to give us the reliable result which would not depend that strongly on accelerations of various origin.

According to above, experiments with macroscopic clocks can not be a proof for the hitherto interpretation of the twin paradox
--W.Nawrot "Gravitational effects in Around-the-World Atomic Clocks experiment"

重力の効果も、様様な加速の効果も、これらの巨視的な時計による実験において果たしている役割が大き過ぎるし、また、運動論的な時間変化と比較しても大きすぎる。もし重力の効果のうちの一つだけでも無視するなら、計算結果は間違ったものになってしまうだろう。飛行機の速度は、様様な要因で発生する加速に大きく依存ることのないような信頼性ある結果を得るには遅すぎる。

従って、巨視的な時計による実験は、双子のパラドクスの従来の解釈を証明するものとはなりえない。
//2007-05-12 (土) 以前の訳文は、意味が取りづらいと思われたので、改めた。(ゑ)

Hafele & Keating と、上記二つの論文と、どちらが説得力がありそうかと云うことには、判断を差し控えます。つまり、分らないのです。

Hafele-Keating 実験に追試は行なわれなかったのか、気になったのですが、やはり行なわれてはいるらしく、それに就いての言及が、記事 "Gravitational time dilation" の最後の方にありました。

4. 次の二つ:

  1. C.O. Alley, ``Relativity and Clocks'' in Proceedings of the 33rd Annual Symposium on Frequency Control (Electronic Industries Association, Washington, 1979).
  2. R.F.C. Vessot, M.W. Levine, E.M. Mattison, E.L. Blomberg, T.E. Hoffman, G.U. Nystrom, B.F. Farrel, R. Decher, P.B. Eby, C.R. Baugher, J.W. Watts, D.L. Teuber and F.D. Wills, ``Test of Relativistic Gravitation with a Space-Borne Hydrogen Maser'' Phys. Rev. Lett. 45 2081-2084 (1980).

しかし、こうした話は、相対論の検証と云う本来の目的に関しては、既に陳腐化していると考えて良いようです。というのは、

5. GPS (Global Positioning System )衛星に就いて、こう述べられていることから窺い知れます。

要約:
相対性理論は間違っているといった疑似科学的言説が横行している。相対性理論の基本原理である光速度一定の原理は、GPS衛星が働くための基本的な原理である。GPS衛星は身近なところではカーナビや、巡航ミサイルの位置決めにも利用されている。光速度一定が成り立たなければ、カーナビは働かないのである。GPS衛星には原子時計が搭載されている。一般相対論によれば、高空を飛ぶ人工衛星の時計は地上の時計より遅れることが予言されるが、GPS衛星の時計はその遅れに対する補正もなされている。要するに、特殊相対論、一般相対論は最新技術に応用されており、もはや初歩的な意味で間違っているというような時代ではないのである。
--神戸大学理学部地球惑星科学科 松田卓也: カーナビと巡航ミサイルと相対論について (2002年7月、物理学会九州支部講演会、九州大学国際会議場にて)

(補足 2007-04-17: 上記引用中「一般相対論によれば、高空を飛ぶ人工衛星の時計は地上の時計より遅れることが予言される」の「遅れる」は --進む-- の誤りである。[nouse: [飛行機に原子時計を載せて・・・] 補足: 相対論の話を少しばかり] 参照)


GPS 衛星の発信する電波の周波数に対する相対論的補正の具体的な数値は、次の記事(日本語のものと英語のものが一つづつ見つかりました)に説明されています。

6. GPS 衛星側での補正

7. Relativistic Effects on Satellite Clocks

最後に、相対論の教科書にもリンクを張っておきましょう。

8. Reflections on Relativity
[[20070929補正。実際に読んでみて、どうもピンとこないので削除する。]]

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電波式腕時計が故障したと思ったら・・・

一週間ほど前に、電波式腕時計の時刻が可訝しいことに気がついた。それも、実際の時刻と比べて、丁度一時間だけ進んでいる。

正確には、これも電波式の目覚まし時計と比べて、一時間と数秒なのだけれども、家庭内では、秒単位の正確性を云云すること意味がないだろう。「117 に電話しろ」と言われたら、「そりゃそうだ」と答えるしかないのだけれど。

「アレマ」と思って、直しても、翌日にはまたズレている。さすがに、この時点で、「故障かな?」と思い出した。買ってから丸2年ぐらい経っているはずだから、気の早い故障なら出てきても不思議ではない。ビンボーしている関係上、凄く困るけどね。

でも、「オモシロイ故障じゃノー」と思いましたね。いろいろ試してしまった。

でもって判ったことは、標準電波による時刻の補正の際に、ズレが発生するらしいけれど、そのズレは積算されない。つまり、標準電波の時刻データを、表示時刻に変換するアルゴリズム内部にズレの原因があると云うことで、その後の、表示時刻の補正自体に問題はないと云うことだ。

これだけの準備を整えてから、ウェブで調べてみた。

で、マァ、ココから先は言いにくいのだが、カシオのサイトに行ってみると(つまり、カシオの腕時計だったのだな)、FAQ のページに、こうあった。

Q4. 電波を受信した時計の時刻が1時間進んでいる、または時刻が違うのはどうしてですか?
A. サマータイムがON設定になっている、またはホームタイムがTYO(日本)ではなく外国都市になっている場合が考えられる為、設定をご確認下さい。
--CASIO Japan, 製品情報, リストギア, WAVE CEPTER, FAQ, Q4.

「え!?」と、思って、自分の腕時計を調べてみると、たしかに[サマータイム]が ON 設定になっていた・・・


「そう言えば・・・」と、思い出したのは、表示時刻がおかしくなる前日ぐらいに、標準電波の自動受信が数日間以上行なわれていない(窓近くに置いておかなかったのです)ことに気がついたので、手動受信をしようとして、いろいろボタンを弄ってしまった(やり方を忘れていた)こと。その時に、サマータイム設定を ON にしてしまったに違いない。あー、恥づかしい。

    参考になるかもれないウェブサイト:
  • 電波時計が働く仕組み
    時間情報をのせてある標準電波を、時計のケースやバンドに内蔵された超高性能なアンテナで受信し、時刻を修正するのが電波時計です。
    日本でも、標準電波の送信に長波を使うようになりました。短波使用時と比べて、精度が格段に向上しました。
  • 電波時計に関連する話題
    時間計測の精度は振り子時計、水晶時計、原子時計と向上してきました。現在では、二千万年に1秒まで達しています。これは、アインシュタインの一般相対性理論効果が十分にあらわれる大きさです。さらに精度が良い時計はあるのでしょうか。
    実は、宇宙から来る電波の中に原子時計かそれ以上の精度のものが存在するのです。それはパルサーとよばれる天体からきます。
  • 電波時計に関するリンク集
  • 日本標準時をブラウザ上に表示するページ
    ただし、「アクセス時にWWWサーバーの時刻情報を取得し、その後、ブラウザ側で時計表示が自走する仕組みになっています。
  • 標準電波の出し方について
    このページはフレームで、その中に収められているファイルの中に、[標準電波(長波JJY)通常時のタイムコードの定義] が書かれた [長波JJY送信方法] がある。ここで面白いのは、JJY のタイムコードには、秒の単位の数値を表わす情報が入っていないことだ。「秒はパルス信号の立ち上がりとし、パルスの立ち上がりの55%値(10%値と100%値の中央)が標準時の1秒信号に同期します。」まぁ、普通の電波時計では、標準電波は時刻の訂正のみに使っているだけだから(いちいち確認したわけではないか、基本的には水晶発振子で駆動されているのだろうな)、それでも十分な訣だ。ここで、少しだけだが気になるのは、標準電波を常時受信して、パルスの数を数えることで、それを秒数表示に使っている電波時計はあるのだろうか? と、思っていたら、次のようなものを見つけた。

    私が知る限り、常時受信する機能がある時計は数社から販売されている。しかし、それらは決して小さな大きさではないし値段も数十万円以上もするのだ。日本通信機(株)、エコー通信機などから販売されている。
    --Wirelessを探る!: @電波時計を考えてみる!


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